ここMigdal SNSが(試行期間を終え)正式に始動した際に献呈した祝辞「Migdalの正式始動に寄せて」が、ここ最近(CL-KIITA宣言と同様に)人工言語による翻訳のお題と化しそうな機運があります。
しかし、この祝辞は新旧約聖書や映画「パプリカ」からの引用や翻案が多く、特に聖書から引用や翻案されている部分は聖書/キリスト教として特有の意味や事情を背景として持っており、人工言語やその他の言語に翻訳する際に注意する必要があります。なので、祝辞を翻訳する皆様の参考として役立たせるため、祝辞本文のそれぞれについて引照を附し注解を行うものして本記事を提供いたします。
なお聖書箇所を引照している部分において引用している章句は新共同訳に拠ります。また箇所記載の直後に角括弧で記されているのはページ数で、順に新共同訳、聖書協会共同訳のものとなります。聖書をお持ちでない方は㈶日本聖書協会の聖書検索にて(箇所記載の)書名・章・節を入力し検索することで章句を閲覧できます。
Migdalの正式始動に寄せて (原典引照版本文)
東の方から誕生した人工言語の集いの場、Migdalの正式始動を祝して。
- 東の方(ひがしのほう): 東方(とうほう)ともいう。場所/位置ではなく方向であることに注意。半ば東方Projectとも言葉掛けされているが、この箇所に特に深い意味はない。
全地の人工言語よ、産声を上げよ、育てられよ、地に満ちよ。いちじくの青い実が、大風に揺さぶられて振り落とされるように、全地の人工言語は、我々愛好家の知性により生み出され、使われる。
- 全地(ぜんち): 全世界と同じ(諸共同訳聖書及び正教典礼における和訳を使用)。以下出現箇所において同様。 産声を上げよ、育てられよ、地に満ちよ:「産めよ、増えよ、地に満ちて」(創世記1章28節第2文<旧2/2>)「産めよ、増えよ、地に満ちよ。」(前掲書9章1節第2文)<旧/10>)より。
- いちじくの〜振り落とされるように: 「まるで、いちじくの青い実が、大風(おおかぜ)に揺さぶられて振り落とされるようだった。」(ヨハネの黙示録6章13節第2文<新459/447>))より。
- いちじくの青い実: 果実であれば何でも良いわけではなく、知恵の実である「いちじく」だからこそ成り立つ表現である。また「青い」というのは物体の色自体を指しているのではなく、(少なくとも完全には)熟していないということを表す。非商業創作物である以上多かれ少なかれ未熟な点があるのが当然であり、したがって未熟なことを理由に躊躇ったり退けたりするものではなく、また完成度に関わらず受け入れられるという含意がある。
初めより神と共にあり、またこの世界の万物を成しているあらゆる輝ける言語、全地の言語のもとに生まれた新たな言語が、またそれら言語に関する記事が、積み重なり、塔となるように、その命にて世界を、暗闇を照らすように。
- 初めより神と共にあり: 「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。」(ヨハネによる福音書1章1節第1文〜第2文<新163/160>))より。
- 世界の万物を成している: 「万物は言によって成った。」(前掲書1章3節第1文<新163/160>)より。語彙によって世界のあらゆる事物や実体が弁別され、個々のものとして認識されるようになるのです。
- 積み重なり、塔となるように: ここMigdal SNSの名前の由来でもある、かの有名なバベルの塔(創世記11章<旧13/13>)のこと。
- 命: 聖書において世界最初の女性の名前エバがヘブライ語で「命」を意味することから。
- 世界を、暗闇を照らすように: 「神は光と闇を分け」(前掲書1章4節第2文<旧1/1>))「光る物があって、地を照らせ」(前掲書1章14節第3文<旧1/1>))などより。
現実の自分、創作世界の自分。どちらが本当の現実かは関係ない、どちらの自分も真実であり、肯定されるべきものだ。
- 「夢」を「創作世界」と改めて用いている。映画パプリカのセリフ由来のはずだが出処不明。
祝福された現実を生きるために、全地の愛好家よ、人工言語に取り組め!
- 祝福された現実を生きる: 映画パプリカのセリフ由来のはずだが出処不明。
Migdal、人工言語の門から!今こそ、青空に向かって凱旋だ!
- 今こそ、青空に向かって凱旋だ!: 「今こそ青空に向かって凱旋だ!」(パプリカにおける島所長によるセリフ)より。
進め!集まれ!人工言語の愛好家たちよ!我々の「大きな夢」を成し遂げ「人類の巨大な歴史的宝庫」とするために!
- 進め! 集まれ!: 「進め! 集まれ! 私こそがお代官様!」(同島所長によるセリフ)より。
- 我々の「大きな夢」〜とするために!: 映画パプリカのセリフ由来のはずだが出処不明。
(日時署名略)
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