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乙夢ぽや
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alowixem語 - 想いを構造(かたち)にする言語 #1

Ⅰ.序章・この言葉に宿るもの

osetuwant-asunakepiptahirokastomexto
――あなたを私のものにしたいから、私はこの気持ちを伝えるよ。
「あなたが好き」って。

創作理念

 alowixemとは、「つたえる・表現することができるもの」という意味です。言語は人の想いを伝えることができますが、完全ではありません。想いがうまく伝わらなかったり、意図しない形で伝わったりします。alowixem語は、そんな複雑な感情を形にすることを目指しています。
 alowixem語の文章は一見すると難解であり、スムーズな相互コミュニケーションに向いていません。ひとつの文をつくるために自分の心と向き合い、時間をかけて言葉を選んでいく中で、自分の気持ちを整理したり、新たな想いに気付いたりすることができます。

特徴

 alowixem語では、話者の「感情」「意思」を特別な言葉で表現します。これはいつも文の初めに置かれます。感情があって、はじめて言葉が紡がれるのです。
 また、alowixem語には善音悪音と呼ばれる、主観的価値を母音にこめて表す手段があります。先頭に近い母音ほど、善悪のニュアンスが強く反映されます。たとえば「愛」を表す語はastomですが、話者がこれを醜い、歪んだ愛だと思うならästömastömästomとすることができます。
 たとえ許されない想いでも、自分が正しいものと信じる愛なら、迷わずastomを選ぶでしょう。

Ⅱ.音素

母音:a ä e ë i ï o ö u ü

 alowixem語の10の母音は、善音/a e i o u/・悪音/ä ë ï ö ü/という対立構造を持ちます。これは話者の主観的判断として善または悪であることを表します。また、長短を区別しません。辞書の見出し形はすべて善音で記述されます。話者は、語中の全ての母音について、善音または悪音を任意で用いることができます。

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子音:p m w f t n s z r l c j k x h

 alowixem語には15の子音があります。有声・無声は対立しません

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Ⅲ.文の構成要素

ïcuwasïm:asünäkepiptahirokastömëxtä
――あなたとは今のままでいたい。この関係が壊れるのが怖い。
それなのに、愚かにも私はこの歪んだ愛を、あなたに伝えてしまうのでしょう。

心印

 心印は常に文のはじめに用いられ、話者の感情を表します。喜び、悲しみ、願望、戸惑い――アロウィシェム語は感情を言語の第一要素として位置づけています。

志標

 志標は心印に連なるように置かれ、話者の意思や目的を表します。心印によって示された感情に対し、話者が何を望み、避け、成したいのか。時として心印と矛盾することもあります。

繋符

 繫符は心印・志標とそれに続く文の間をつなぐ記号です。話者の感情や意思にしたがった行動や状態には調符「-」を、感情や意思に背く内容を導く場合は断符「:」を用います。心印・指標と繋符を合わせて序奏と呼びます。

詩核

 詩核は、ことばの根本といえます。あらゆる物体、生物、状態、概念、動作など、有形・無形を問わずすべて詩核によって表現されます。接辞がつくと詩語と呼ばれます。詩語のうち、動作や状態を表し文の中心となるものは動詩と呼ばれます。

接辞

 接辞は詩核の前あるいは後に置かれ、時制、相、態、格などを表します。詩核によって表された言葉たちの意味をより精密に整えます。

詠息

 詠息は文の末尾に置かれる母音です。疑問や詠嘆など、文全体のニュアンスを付加します。詠息を用いない場合もあります。詠い終わりの余韻のように、生きた言葉たちを締めくくります。

Ⅳ.文型と格

unëpulip-ijafinkasolözörtösëtofurä
――うわっ、おっきいりんごがある。なんか不気味だなあ

基本文型

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序奏

 心印・志標・繋符の総称です。
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動詩

 動詩は詩核、相などを表す接頭辞、時制を表す接尾辞で構成されます。時制接尾辞が付かないとき、不定詩としてふるまいます。
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間接目的語

 与格接頭辞を用います。また、奪格句も同様に扱います。

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直接目的語・主語

 主格・対格は無標です。詩核をそのまま用い、語順によって表します。

詠息

 詠息は文全体に細かいニュアンスを与えます。通常、長く伸ばして発音されます。詠息が無い場合はニュートラルな意味になります。他の構成要素と同様に、悪音を用いることができます。

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存在文と存在動詩

 「Aがある」を表現するには、”存在するもの”を表す詩語etofurを主語とし、Aに当たる詩核を存在動詩にします。存在動詩は未完了相・完了相を区別せず、接頭辞ij-を伴います。

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