2025年春 (第11回) さて、産業革命によってこの地域の言語や文化はどのように変質したのでしょうか?
苛烈な気候によって、歴史的に独特の言語や文化が形成されてきた……とある地域。
過酷な気候を持つその地域は、特殊なエネルギー源によって産業革命を成し遂げ、高い生活水準を手に入れたという。
・過酷な地域の様相について。
(ケッペンの気候区分のA区分,B区分,E区分など)
・気候によって形成された独特の言語や文化。
・特殊なエネルギー源の詳細。
・産業革命による言語や文化への影響。
これらを説明してください。
辞書
通達
この記事は我が国の人民のために、教育省によって無償かつ無負担で提供されています。
アッシャラダヨに栄光あれ。
簡潔な歴史
我々の国アッシャラダヨは熱帯、とくに夏期に小雨となる地域に属しています。
ケッペンの気候区分ではAm
雨期には国土の多くが沈没することによって、歴史的に隣国であるドリテヨに産業的な遅れを取っていました。
また、我が国は隣国に戦争を仕掛けられており、略奪によって国土は段々と縮小し、ただでさえ産業が未熟であるのに、戦争を仕掛けられ国力は弱まるばかりでした。
しかしながら、偉大なるヴィティロヴェ・ルイチェフ(vityirove luichev)氏は、自らの発明によって産業的変革をもたらし我が国の生活水準を飛躍的に向上させたのです!
この記事では、アッシャラダヨの言語であるアッティヴェヨALTiveyoを学んでいきましょう!
言語の基本的特徴
音素
子音
\ | 両唇 | 唇歯 | 歯茎 | 後部歯茎 | 歯茎後部歯茎 | 硬口蓋 |
---|---|---|---|---|---|---|
破裂音 | p/b | t/d | k/g | |||
破擦音 | (t͡ʃ) | t͡ɕ | ||||
摩擦音 | (f)/v | s | (ʃ)/(ʒ) | ɕ/ʑ | ||
鼻音 | m | n | ||||
はじき | ɾ | |||||
接近 | j | |||||
側面接近 | l |
母音
\ | 前舌 | 中舌 | 後舌 |
---|---|---|---|
狭 | i | ɯ/u | |
半狭 | e | o | |
広 | a | ä |
自己紹介をしましょう!
すべての名詞はその語尾によって「vo名詞」「yo名詞」「jo名詞」に分けられます。
多くの名詞は語尾にvoが付く「vo名詞」あるいは語尾にyoが付く「yo名詞」であり、語尾にjoが付く「jo名詞」はごく少ないです。
-
多くの場合voは生物をあらわし、yoは非生物を表します。
(※対比的に用いられることもあるので、そうとは限りません)
joは一部の名詞が分類され、一切の法則はありません。 私を意味する言葉はamo(vo名詞)、自己紹介にはsadirという動詞(コピュラの役割)を用いますが、通常状態では省かれています。
よって、以下の文が自己紹介に用いる文となります。
amo luichev => 私はルイチェフです。
理解しましたか?それでは、偉大なるルイチェフ氏の功績を知りましょう!
ルイチェフ樹脂精製法
偉大なるヴィティロヴェ・ルイチェフの最も優れた功績は、
ルイチェフ樹脂精製法(luicheve scavediye jovara cudaniyo)と呼ばれる、特定の樹木の樹脂を精製する方法の発明です。
精製された樹脂は、比重12.65g程度の個体となります。
燃焼時に質量の約70%をエネルギーに変換する能力を持ち、強い力を加えると爆発します。
我々はこの精製法によって先進的な技術を入手し、ルイチェフ氏は我が国の最高権力者となりました。
先進的技術の例
彼自身は短命でしたが、現指導者ドゥエテョヴェ・トマゴフ(duetyove tomagov)は彼の後を継いで教育制度を施行するなどの成果を上げています。
名詞と動詞。その変化と活用
名詞は通常の場合「vo」「yo」あるいは「jo」で終わりますが、動詞や他の名詞に影響されて、最後の母音を変化させます。
名詞最後の母音によって区別され、三種類の格が存在します。
- 最後の母音が「o」の「通常格」
- 最後の母音が「a」の「辺格」
- 最後の母音が「e」の「修辞格」
動詞の原形は語尾が「ir」または「or」です。
後述しますが動詞は四種類の活用をします。
今回は動詞の語尾に「a」が付いています。
アッティヴェヨは能格言語に似ています。
能格言語とは、自動詞の主語と他動詞の目的語が同形で、他動詞の主語が異形である言語のことです。
とはいえ、アッティヴェヨは厳密に言うと違います。
amo/ämo/(私)、tyivo/tʲivo/(貴方)cuayo/kɯajo/(お金)、catir/katiɾ/(眠る)、shedor/ɕedoɾ/(見る) penchir/pent͡ɕiɾ/(渡す)を例に取ってみましょう。
amo catira => 私は眠る。
ama shedora tyivo => 私は貴方を見る。
amo penchira tyivo cuaya => 私は貴方にお金を渡す。
変化については、以下の表のような法則となっています。
\ | 主語 | 直接目的語 | 間接目的語 |
---|---|---|---|
名詞1つ | 通常格 | \ | \ |
名詞2つ | 辺格 | 通常格 | \ |
名詞2つ | 辺格 | \ | 通常格 |
名詞3つ | 通常格 | 通常格 | 辺格 |
動詞の活用
動詞は四つの種類に活用します。
それぞれ「人称形」「助詞接続形」「名詞接続形」「受動使役形」と呼ばれています。
ir動詞、or動詞、それぞれの定格活用は以下の通り。
\ | 人称形 | 助詞接続形 | 名詞接続形 | 受動使役形 |
---|---|---|---|---|
ir動詞 | -ira | -iri | -ari | -arai |
or動詞 | -ora | -ori | -aro | -arai |
「人称形」はごく自然の文章で用いられます。
「助詞接続形」は助詞の直前に用いられます。助詞はスペースを取りません。
「名詞接続形」は名詞の直前に用いられ、その名詞を修飾します。
「受動使役形」は受動態の文章や命令などに用いられて、名詞を修飾することもあります。
midevo/midevo/(人間)、penuyo//penujo/(水)、 malyir/malʲiɾ/(食べる、飲む)、sajor/saʒoɾ/(流す)、co/ko/(過去の助詞)を例を見てみましょう。
人称形
amo malyira => 私は飲む。
tyiva malyira penuyo => 貴方は水を飲む。
midevo malyira => 人間は飲む。
ama sajora penuyo => 私は水を流す。
助詞接続形
amo malyirico => 私は飲んだ。
tyiva sajorico penuyo => 貴方は水を流した。
名詞接続形
tyive malyari penuyo => 貴方の飲む水
ama malyirico tyive sajaro penuyo =>私は貴方の流す水を飲んだ。
受動使役形
malyara penuyo => 飲まれた水
mideve sajarai penuyo => 人間に流された水
amo sajarai tyivo penuya => 私は貴方に水を流させた。
tyiva sajarai penuyo => 貴方は水を流せ。
助詞には様々な種類があります。
過去を表す「co」や否定するための「se」、可能や意思を表す「pida」があります。
助詞は独特に活用します。
\ | 人称形 | 助詞接続形 | 名詞接続形 | 受動使役形 |
---|---|---|---|---|
co | co | casi | con | cuma |
se | se | si | san | soro |
pida | pida | pidi | pin | pirya |
形容詞と原形の使用
形容詞は名詞の語尾から子音を取り除いたような形をしています。
つまり語尾が「v」か「y」かで終わります。
例えばolanpev/olanpef/(若い)や、sadaey/sedaej/(優しい)を例に見てみましょう。
tyivo olanpev => 貴方は若い。
olanpeve tyivo => 若い貴方
tyivo dirico olanpev => 貴方は若かった。
(diri-co。sadirの助詞接続形+過去のco)
tyiva saravira sadaey => 貴方は優しくありたい。
sadaeye tyiva saravira sadir sadaey => 優しい貴方は優しくなりたい。
実践編
さて、基礎的なルールを理解したところでアッシャラダヨの文学を読んでみましょう。
sajoririnan luntovo
最初に読むのは今から百年以上前、アントヴェ・アルティフ編の説話集「cumoje palutayo」。
笑いの話集というような意味を持つこれは、全313話の伝承や笑い話が集められています。
今回は「sajoririnan luntovo」を読みながら解説しましょう。解説があり、下に和訳が存在します。是非、見ながら覚えましょう!
本文
sangiye sitavo. luntova olanpeye depyiricaran penjiricasicaran nyacay luntova sivalvorico caliyo.
※
sangiye sitavo => 昔の人々。話の枕言葉である。
depyi-ri-caran => 死ぬ-(完了)-(確定条件)
penjiri-casi-caran =>行く-(過去)-(単純接続)
sivalvori-co => 買う-(過去)
nyacay => ニャカイ市。アッシャラダヨ成立以前は、自治権のある市とそうではない町の二つがあった。
caliyo => 魔除けのためのお香。
昔の人々。男は親が死んだのでニャカイ市に行った、そして、男は(魔除けの)お香を購入した。
sivalvo tivoricuma luntovo tiyeya.
※
sivalvo => 商人
tivori-cuma => 喋る-(過去)(使役)
商人は男に理由を喋らせる。
luntova tivorico soluyo. ame olanpeyo sajoririnu.
※
tivori-co => 喋る-(過去)
sajori-ri-nu => 流れる-(完了)-(婉曲)
sajori-nu => 亡くなる、身罷る
男はこのように喋った。私の親が亡くなった。と。
soluva penchiriripado cuayo noluye luntovo penjirico.
※
penchiri-ri-pado => 渡す-(完了)-とき
noluye => 別の
penjiri-co => 来る-(過去)
彼がお金を渡したとき、別の男が来た。
luntova nocyirico tiyevo. sivalva tivorico. soluvo sajoririnan luntovo. darisidalo tanyguney.
※
nocyiri-co => 質問-(過去)
tivori-co => 語る-(過去)
soluvo => 彼
sajoriri-nan => 帰る-(伝聞)
dari-sidalo => する-(場所)
男は誰か質問した。商人が語る。彼は帰るという男である。タングネイ市へとである。と。
loluve luntova siraviricasicaran sajoririnan luntovo soluva calyarai caliyo.
※
loluve => 同じ、その
siraviri-casi-caran => 思う-(過去)-(単純接続)
sajori-ri-nan => 流れる-(完了)-(婉曲)
calyarai => 嗅ぐ(使役)
かの男は亡くなった男だと思って彼に(魔除けの)お香を嗅がせた。
minsiravarari noricara. ama siravirinu sanchir.
※
minsiravari => 思い違い(名詞に接続する) ==> 思い違い話
siraviri-nu => 思う-詠嘆
思い違い(話)で名前を残す。私は夢があると思うなあ。
なんとも捉えどころの無い話ですが、313編の話集はかなり大型だったのでアッシャラダヨでは有名です。
doiseye ulaye cyiy
さて、次に読むのはジェベイェ・セディフ著「nacyayo」のdoiseye ulaye cyiy。生活という意味を持つ題名、アッシャラダヨ過渡期を描いた全六冊の文学であり、偉大なるルイチェフ氏も生前読んでいた作品です。
doiseye ulaye cyiyというのは、五冊目の第二章にあります。
10月24日を意味しており、「タングネイ市戦争」の終結日です。
アッシャラダヨの文化を知ることが出来る叙事文として高い価値があります。
それではご覧ください!
本文
sadoriyo chidariri. nacyayo simenyiriri.
※
chidari-ri => 終わる-(完了)
simenyiri-ri => 変わる-(完了)
戦争は終わった。生活は変わった。
tanyguneye sitave sadoriya simenyriri ame lontove nacyayo.
タングネイ市蜂起が私の家族の生活を変えた。
※タングネイ市蜂起とは、タングネイ市を中心に発生した革命であり、これによってアッシャラダヨは成立する。
olanvo simpira tiridyir tiriyo. alanyevo sadoririsipida.
※
olanvo => 成人していない我が子
simpira tiridyir => 通い始める
alanyevo => 成人している我が子
sadoriri-si-pida => 戦う-(否定)-(適当)
若い方の子どもは学校に通い始めた。成人した方は戦争に行かなくて良い。
sajaro chidaricasicaran chdarisan santara.
※
chidari-casi-caran => 消える-(過去)-(単純接続)
流れる(もの)は消え、不滅の(ものの)時代となる。
※昔の人は転生を信じていました。
ama tiridyirineo baniye cudanirsiyo.
※
tiridyiri-neo => 働く-(伝聞)(使役形)
baniyo (baniye) => 船 | cudanir=siyo => 工場
==> 造船所
私は造船所で働かされるらしい。
※アッシャラダヨでは全ての労働に立候補できますが、希望する職業がない場合国によって割り当てられます。
alshaladayo santarai.
※santarai => 栄光ある(命令)
アッシャラダヨに栄光あれ。
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