さて、産業革命によってこの地域の言語や文化はどのように変質したのでしょうか?
苛烈な気候によって、歴史的に独特の言語や文化が形成されてきた……とある地域。
過酷な気候を持つその地域は、特殊なエネルギー源によって産業革命を成し遂げ、高い生活水準を手に入れたという。
・過酷な地域の様相について。
(ケッペンの気候区分のA区分,B区分,E区分など)
・気候によって形成された独特の言語や文化。
・特殊なエネルギー源の詳細。
・産業革命による言語や文化への影響。
これらを説明してください。
民族暦1961年、ダーリトゥ砂漠において鉄製の構造物が発見された。
その構造物は人間によって作られた、地下一階を含めて三階層の建築物であった。
とある採掘者は構造物が高層建築物のてっぺんであったことを暴き、また地下に極めて保存状態の良い二種類の資料と男性ものの衣服を発見した。
また、資料のうち一つには文法や単語が記載されており、解読の末それはダーリトゥ砂漠で用いられているアルドリトゥール(aldoriturr)の一方言或いは同じ語族に属する言語であることが判明した。
これはその資料であり、現在は砂漠文書と呼ばれている。
砂漠文書
みなさんどうも。 基礎的な事から行こう。そうなると語順だ。 助動詞(Mv)というのは、動詞の意味をちょっと変える。 目的語格(Mo)というのは、目的語の意味を変える。 文章を作るのは簡単な方だ。読むのは簡単ではない。 動詞の前に助詞をつけて動作者を表す。 ※多人称とは、二人称と三人称の総称 つける助詞はこのように単純だ。 全ての動詞(と助詞)には原形と人称形があり、最後の動詞(あるいは助詞)を人称形にする。 上二つを総合すると「eucazi/eɯkaʑi/」の一人称単数直説法、はこうである。 aeuca 「sayy/saj/」は、人称形において特定の形を持っていないため一人称単数直説法はこうである。 a ここまでは分かったかな……頼むぜ…… まず、全ての名詞は「変化形」を持っている。 形容詞も名詞と同じように「変化形」をもっている。 やっとこさ文を作ることが出来る。 ineucapanlizou ==> 採掘者たちが集まる。 sayyの場合 anpanlizou ==> 我々は採掘者である。 助詞「co/ko/は過去の意味を持つ。 ineucazicasjupanlizouarai => 採掘者たちは集めた。 sayyの場合 ansayycasjupanlizouarai => 私は採掘者たちにならされた。 さて……それでは歴史について記すとしよう。とても辛いことだが。 都市から遠い人間が教育機関に通える。 毎日風呂に入ることが出来る。 遙か遠くの人に一瞬で通信できる。 などらしい。私は一歳の誕生日だった。 1778年、トマジュ・ヂュエチョウという男が指揮して、再び恐ろしい戦士を使役した。
前置き
私の名前(姓ではない方)はルアチェウ(luatjeu)という。
さまざまな理由があって……私の民族は絶滅の危機に瀕している。
ここはヂョリタシウヂョイという砂漠の都市だが……
最早、みなさんと呼びかけられる人間はいない。
私が感じるよりも早く、一気に私の国は崩壊してしまったのだ。
とどのつまり……だからこそ、ここにアイヂョリタイ(ayyjoritai)と呼んでいる言語について記そう。
そして何が起きたのか残しておこう。と言うわけだ。
アイヂョリタイ(ayyjoritai)
辞書
音素
子音
\
両唇
唇歯
歯茎
歯茎後部歯茎
硬口蓋
口蓋垂
破裂音
p
t
k
破擦音
t͡ɕ/d͡ʑ
k͡x
摩擦音
s
ɕ/ʑ
鼻音
m
n
ふるえ
r̥/r
ʀ̥/ʀ
接近
β̞
j
側面接近
l
母音
\
前舌
後舌
狭
i
ɯ
半狭
e
o
広
a
語順
とはいえ……なんだか複雑なんだ。だからこそ最初に解説する必要がある。
動詞-主語-目的語-助動詞-目的語格(VSOMvMo)とでも表現するのが適当か。
とくに解説すべきなのは、後の二つだろう。
特異な部分
助動詞(Mv)
例えば「集まる」という動詞「eucazi/eɯkaʑi/」ならば、「balajar/β̞alad͡ʑar/」や「tjejir/t͡ɕed͡ʑir/」といった助動詞とあわさって、意味を変える。
eucazi-balajar ならば「着る」
eucazi-tjejir ならば「融合する」という意味を持つようになる。
目的語格(Mo)
与格にする「tia」と時位格の「te」があり、これによって目的語の格をあらわす。
これは例文を見ておくれ。
文を作る
「eucazi」とコピュラを意味する「sayy/saj/」、を用いて例示する。
①人称を決める
\
一人称
多人称
単数
a-
i-
複数
an-
in-
②動詞(あるいは助詞)を活用させる
③名詞を追加する
これは動詞が人称形を持っているようなものだ。
そして名詞は、おおよそ主格以外の格であれば「変化形」へと変わり、それは語尾の母音がなくなったような姿をしている。
「採掘者」と言う意味の「panlizou/panliʑoɯ/」の変化形は「panlizo」である。
形容詞
修飾的な使い方をするときに「変化形」となる。
④文を作る。
気味が悪いと思うが、行間を空けない。
eucaziの場合
助動詞(Mv)の「arai/arai/」は受動と使役の意味を持つ。
それらを追加すると、それぞれこうなる。
eucaziの場合
(i-n-eucazi-casju-panlizou-arai)
ineucazicasjupanlizoarai => 採掘者たちは集められた。
(i-n-eucazi-casju-panlizo-arai)
(a-n-sayy-casju-panzou-arai)
都市の発展
まず、私が生まれた頃、私のいる土地にはヂョリタイ(Joritai)という国があったそうだ。
ヂョリタイは昔から砂ばかりの砂漠であり、空気は良く乾いていて砂塵が吹き荒れることもある。
雨は降らないが湧き水はあるので人間が暮らすことは出来る。
殆どの人間は放浪しながら生きていた。
ヂョリタイの東側には山があり、それを越える場所にはエウルシャヂャイ(eulusjajai)いう国があったらしい。
エウルシャヂャイはヂョリタイとは打って変わって雨が多い国らしい。
聞いたことがあるのはそれぐらいだ。
さて、エウルシャヂャイは都市ごとに軍隊を持っており、タンクルニという都市は特に紡績などによって栄えていたそうだ。
ところが、1753年、ヂョリタイはタンクルニに宣戦布告されたらしい。
また、タンクルニは恐ろしい戦士を使役したという。
三メートルほどの巨体で、体は金属で出来ており緩慢な動きでヂョリタイの人間や建物を押しつぶしていった。
ヂョリタイの人々は地下に穴を掘って難を逃れることを選んだという。
そして、当時片田舎だったというヂョリタシウヂョイの採掘者は地下に遺跡を発見して、遺跡から特別な液体を取り出したそうである。
また、特別な液体は遺跡の祭壇にある「名状しがたい物体」から滴り落ちているそうだ。
さて、そこから数ヶ月で、ヂョリタシウヂョイの三階ほどの高さに液体の輸送用パイプが張り巡らされた。
液体は強烈なエネルギーを持っていて、蒸発によって大いに仕事をしたのだ。
この液体は蒸発するとエネルギーを放出し、水蒸気が残る。
エネルギー源と水という二つの問題が一挙に解決したのだ。
1755年10月24日、ヂョリタシウヂョイの遺跡の直上に戦争終結を祝う高層建築物が建てられ、都市は最盛期を迎えたという。
例えば……
なんなら、もともとコップという意味だった言葉が風呂になっている。
それほどの水を「液体」から得られたのだ。
転落
しかし前の戦争とは違い、ヂョリタイには工業化による余裕があった。
恐ろしい戦士というモノを、よく見るとそれは鉄鋼で出来た機械だった。
しかし問題も工業化から発生した。
あるとき、恐ろしい戦士の一個体が液体線に触れて、中の液体が放出されたのだ。
液体の色によって鉄の体は赤く染まり、それによってその個体はより獰猛に人を害した。
獰猛な機械は人間を砂塵に変えてしまったのだ。
そして獰猛な個体は、液体線を壊すことで他の個体をまた獰猛に変える……そうしてどんどんと獰猛な個体が増えていった。
特別な液体を出す「名状しがたい物体」はその頃悪臭を放つようになり、同時に特別な液体からは鉄のような臭いを放ち、エネルギーの能力も劣化していった。
恐ろしい戦士は劣化した液体によって重ねて獰猛になり、多くの建築物は壊されて、この国の人間は急速に少なくなっていった。
エウルシャヂャイの人間も既に残っていないという。
いま私は先述した高層建築物の43階にいるが、最早時間の問題だろう。
機械の唸る音や、金属が建物を叩く音が聞こえる。
1781年3月12日、私の人生はここまでだろう。
思い残すことはひとつ。61年6月27日に生まれ、生き別れた妹にもう一度会いたかった。
ウィチロ・アリタウvitjiroalitauと言う名前だった。
資料のうち、もう一つは何かの地図の様なものであり、一部は薄汚れて読むことは出来ない。
なお汚れというのは、紙に液体がついて色がとれなくなっているものと思われる。
地図
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