【この記事は第九回人工言語コンペ参加作品です。】
どうも、こんにちは、こんばんは、夕向奏です。
マイクラで30レベル貯めて失って30レベル貯めて失って30レベル貯めて失ってダイヤ装備ロストして完全に心が折れた夕向奏です。
先日人工言語コンペなるものに参加しておりまして、その作品を発表いたしとうございます。
お題は以下の通りでした。
一般に言語には「上下」「東西南北」といった方向を表す語彙があります。このような概念は、重力と地軸が存在する地球上での生活に特有のものと考えられます。
では、もし「地球外の無重力空間で生活する人々」が存在するとしたら、どのように方向を表すでしょうか? 彼らの話す言語を作り、方向を表す語彙を使って道案内する文章を作ってください。
by 人工言語コンペDiscordより
えーっと、地球外の無重力空間で生活しており、その言語で方向を表せと?
………………
難題だあ……
まあ線条性を破壊しろよりマシかと思い、四苦八苦しながら考えてみました。
いやはや、こういうのは幾分初めてなもんでちゃんと出題者の意向を汲み取れてるか不安ですが、紹介いたします。
じゃあイクゾー! デッデッ\(ず・ω・だ)大明神!/
レスターヴ語
遥か遠く未来の地球、地球や他の惑星に巨大隕石が降り注ぎ、人類は地球脱出を余儀なくされた。
人類はノアの方舟のような船に人類を乗せ、新たなる惑星に人類を移住させることで絶滅を回避することに決めた。
そのプロジェクトの名は「Anti-Ausstarben」。
ドイツ語で「反絶滅」を意味する
ドイツが主体となって組まれたプロジェクトであり、人類は全ての地域から平等になるようにコンピューターから一万人選ばれた。
地球から脱出し、太陽系から遠く離れたアポロン系にある惑星ギーウを目指し、人類は旅立った。
ほぼ何でも出来るような科学技術を持っていたが、唯一出来なかったのは重力の実装であった。
今はアンドロメダ銀河から遠く離れたベレロポーン銀河の辺りを漂っている。
レスターヴ語はその船内で話されているという設定の言語である。
……という設定です。
ガバガバB級映画みたいですね。
今思うと「惑星が謎の現象により重力を失った」でも良かったなって思います(小並感)
SFはサイエンス・フィクションであって、サイエンスではない、いいね?
レスターヴ語のレスターヴは英語の「Last hope」から来ています。これは例のプロジェクトに選ばれた人々のことをそう言ったからです。
さて、レスターヴ語は孤立語で、VSO型です。孤立語なのは色々な人種の人が入り混じったからという設定で、VSO型はただの趣味です。
品詞は名詞、述詞、副詞、感嘆詞、助詞、助述詞の五つに分かれます。
述詞というのは述語になることが出来る語のことです。動詞や形容詞だと思ってください。
基本的に格や法は助詞、助術詞で表され、助詞、助述詞は前に置きます。
助詞と助述詞では、助詞の方が前です。
助詞の中でも格を表すものは前に置かれます。
時制は過去、現在、未来
(ðeljj, 無しもしくはljoņþ, qqerr)
主要な相は完了・終止、進行・継続、習慣・反復
(ñcœs, ůƣuakþ, huœƃ)
法は命令法、禁止法、推測法、放任法、条件法、勧誘法、断定法があります。
(o, aƣrgj, ɣlli, ve, xůx, qua, ůljd)
格は、主格、対格、与格、属格、奪格、具格、空間格、内格、外格、共格、近格、周格
(ů, e, xxœ, gjje, œ, ůnj, łłeñ, kci, vvœɂ, ƌeņ, kjœt, njjo)
の十二格です。
じゃあこの言語独自の格の説明します。
空間格は「〜の区切られていない空間にいる」ことを表します。地面に接しているという概念がないのでこの用語を使っています。ほぼ処格と思ってもらってもいいです。でも以下の格との使い分けに注意してください。
内格は「区切られた空間の中にいる」ということを表します。
外格は「区切られた空間の外にいる」ということを表します。
近格は「〜の近くにいる、〜の近くで」ということを表します。
周格は「〜の周りにいる、〜の周りで」ということを表します。
この言語独自ではないですが、共格についても。
共格は「〜と一緒に」ということを表します。英語の”with”に近いです。
じゃあ音韻紹介をば。
/a/ /e/ /ø/ /i/ /o/ /u/
/b/ /bˤ/
/bʷ/ /bʷˤ/
/t/ /d/ /tˤ/ /dˤ/
/tʷ/ /dʷ/ /tʷˤ/ /dʷˤ/
/k/ /g/ /kˤ/ /gˤ/
/kʷ/ /gʷ/ /kʷˤ/ /gʷˤ/
/q/ /ɢ/ /qˤ/ /ɢˤ/
/qʷ/ /ɢʷ/ /qʷˤ/ /ɢʷˤ/
/f/ /v/ /fˤ/ /vˤ/
/s/ /z/ /sˤ/ /zˤ/
/sʷ/ /zʷ/ /sʷˤ/ /zʷˤ/
/ʂ/ /ʐ/ /ʂˤ/ /ʐˤ/
/ʂʷ/ /ʐʷ/ /ʂˤʷ/ /ʐʷˤ/
/ɕ/ /ʑ/ /ɕˤ/ /ʑˤ/
/ɕʷ/ /ʑʷ/ /ɕʷˤ/ /ʑʷˤ/
/x/ /ɣ/ /xˤ/ /ɣˤ/
/xʷ/ /ɣʷ/ /xʷˤ/ /ɣʷˤ/
/χ/ /ʁ/ /χˤ/ /ʁˤ/
/χʷ/ /ʁʷ/ /χʷˤ/ /ʁʷˤ/
/ɬ/ /ɮ/ /ɬˤ/ /ɮˤ/
/ɬʷ/ /ɮʷ/ /ɬʷˤ/ /ɮʷˤ/
/m/ /mˤ/
/mʷ/ /mʷˤ/
/n/ /nˤ/
/nʷ/ /nʷˤ/
/ɲ/ /ɲˤ/
/ɲʷ/ /ɲʷˤ/
/ŋ/ /ŋˤ/
/ŋʷ/ /ŋʷˤ/
/ɴ/ /ɴˤ/
/ɴʷ/ /ɴʷˤ/
/ɾ̼/ /ɾ̼ˤ/
/ɾ̼ʷ/ /ɾ̼ʷˤ/
/ʎ/ /ʎˤ/
/ʎʷ/ /ʎʷˤ/
/ʟ/ /ʟˤ/
/ʟʷ/ /ʟʷˤ/
/ⱱ̟/ /ⱱ̟ˤ/
/ⱱ̟ʷ/ /ⱱ̟ʷˤ/
/ʙ/ /ʙˤ/
/ʙʷ/ /ʙʷˤ/
/ʔ/ /ʔˤ/
/ʔʷ/ /ʔʷˤ/
/k͡ʘ/ /g͡ʘ/ /k͡ʘˤ/ /g͡ʘˤ/
/k͡ʘʷ/ /g͡ʘʷ/ /k͡ʘʷˤ/ /g͡ʘʷˤ/
/q͡ʘ/ /ɢ͡ʘ/ /q͡ʘˤ/ /ɢ͡ʘˤ/
/q͡ʘʷ/ /ɢ͡ʘʷ/ /q͡ʘʷˤ/ /ɢ͡ʘʷˤ/
/ŋ͡ʘ/ /ŋ͡ʘˤ/
/ŋ͡ʘʷ/ /ŋ͡ʘʷˤ/
/ɴ͡ʘ/ /ɴ͡ʘˤ/
/ɴ͡ʘʷ/ /ɴ͡ʘʷˤ/
/k͡!/ /g͡!/ /k͡!ˤ/ /g͡!ˤ/
/k͡!ʷ/ /g͡!ʷ/ /k͡!ʷˤ/ /g͡!ʷˤ/
/q͡!/ /ɢ͡!/ /q͡!ˤ/ /ɢ͡!ˤ/
/q͡!ʷ/ /ɢ͡!ʷ/ /q͡!ʷˤ/ /ɢ͡!ʷˤ/
/ŋ͡!/ /ŋ͡!ˤ/
/ŋ͡!ʷ/ /ŋ͡!ʷˤ/
/ɴ͡!/ /ɴ͡!ˤ/
/ɴ͡!ʷ/ /ɴ͡!ʷˤ/
/k͡ǂ/ /g͡ǂ/ /k͡ǂˤ/ /g͡ǂˤ/
/k͡ǂʷ/ /g͡ǂʷ/ /k͡ǂʷˤ/ /g͡ǂʷˤ/
/q͡ǂ/ /ɢ͡ǂ/ /q͡ǂˤ/ /ɢ͡ǂˤ/
/q͡ǂʷ/ /ɢ͡ǂʷ/ /q͡ǂʷˤ/ /ɢ͡ǂʷˤ/
/ŋ͡ǂ/ /ŋ͡ǂˤ/
/ŋ͡ǂʷ/ /ŋ͡ǂʷˤ/
/ɴ͡ǂ/ /ɴ͡ǂˤ/
/ɴ͡ǂʷ/ /ɴ͡ǂʷˤ/
……ッ多すぎる!!!!!!!!!!!!!!
完全に趣味です。吸着音があって、軟口蓋と口蓋垂で区別するのも趣味です。
もっと語りたいのですが今回の本題ではないので省略。
あ、ちゃんと発音を知りたい人はZpDICがあるのでそちらをどうぞ。
さて、じゃあ人称代名詞についてです。
代名詞はウチとソトの区別がありますが、これも本題ではないので以下略。
どっちかというと紹介したいのは指示代名詞についてです。
指示代名詞は「話者に近い」「聴者に近い」「第三者に近い」「どれにも近くない」「動く無生物に近い」「動かない無生物に近い」に分けられます。
例えば事物を表す指示代名詞は「zuiri」「eðeri」「ñuori」「ůkjiri」「iɣɣiri」「kpœri」に分けられます。
これは宇宙でのことを想定して、色々な指示代名詞があったら解りやすいかなと思ってこういった形態にしました。
じゃあてことで手早く例文いきます。
例文
今回はミノタウロス型宇宙人「トゥルシュデルギ」と、
ヌェズィーグ(船の名称)の住民、「ヴィシュリ」との交信例文です。
どうぞ。
Tuððůkjdderrggi : aaɂ aaɂ, muo Žžuœn xxœ wwůłł?
トゥルシュデルギ:「あーあー、聞こえるかい?」
Wikjlj : œœ, ðeljj Ñþłagpgj xxœ ðua ů aņņo. añuo?
ヴィシュリ:「はい、聞こえます。なんでしょうか?」
Tuððůkjdderrggi : xuaņņžž Ñþłagpgj xxœ wwůłł ů ñcekpr, ðeljj ůƣuakþ Qcemmin ů ƃuůk.
トゥルシュデルギ:「聞きたいことがあるんだ。ちょっとレーダーが故障していてね。」
Wikjlj : œœ, xxuizu.
ヴィシュリ:「はい、良ければ。」
Tuððůkjdderrggi : qccaljjukuanju. gjakcc, xuaņņžž Ttuůl kjœt denii.
トゥルシュデルギ:「ありがとう。早速だけど、デニー星雲に行きたいんだ。」
Wikjlj : ůan, egjo łłeñ qcůnif iljj?
ヴィシュリ:「えっと、どこにいますか?」
Tuððůkjdderrggi : ƣci egjo kjœt emfitraeta.
トゥルシュデルギ:「今はエンフィトゥライタ惑星にいるね。」
Wikjlj : omm ðeljj Ttuůl lœlj-ixx e iɣɣinif, omm ðeljj Ljebbðuee Oņņþ bbue-ƣppo, kja egjo ůnj ełłueðuee.
ヴィシュリ:「それならそこを五光年先に進んでから70度逆回転して、Z軸を左回転すればあります。」
Tuððůkjdderrggi : Oņņþ e žželjuƃƃu wwůłłef nuiñþ, hhokjj kuekþœɣɣu. ljuaqu ðeljj Ljœņp.
トゥルシュデルギ:「君たち独特な言い方をするんだね、でもありがとう。大体解ったよ。」
Tuððůkjdderrggi : šœœqqu vůr ů zuiri, Ɂkjigceƣue łłeñ iketůñxia e wwůłłef.
トゥルシュデルギ:「これもお礼だ。後で君たちをイケトゥンヒアに招待してあげるよ。」
Wikjlj : egjo łłeñ qcůnif iljj?
ヴィシュリ:「どこにありますか?」
Tuððůkjdderrggi : ðeljj Ttuůl kjœt aaƌii ů wwůłł, ðeljj gƃœ xxœ suošu kjœt eðenif gjje ůkjinif, Egjo xůx Ttuůl dua-ixx ů wwůłł.
トゥルシュデルギ:「アーズィーに向かって、その近くを右手側に曲がって、三光年先に進むとあるよ。」
Wikjlj : kuekþœɣɣu.
ヴィシュリ:「ありがとうございます。」
Tuððůkjdderrggi : aaɂ, ðeljj ůƣuakþ Ņuljakjułłuljœllu, “Lluenjuakj=Ƣpoɣɣ=Tuððůkjdderrggi” ů ƣuaņc gjje ñcekpr.
トゥルシュデルギ:「そうだ、言い忘れていた。僕の名前は『ルウェニュワシュ・ゴグ・トゥルシュデルギ』というんだ。」
Wikjlj : “Růůnjenj=Wikjlj” ů ƣuaņc gjje aņņo.
ヴィシュリ:「私は『ルーニェン・ヴィシュリ』です。」
……如何でしたでしょうか?
全部は使っていませんが、なんとなく雰囲気は掴めるのではないでしょうか。
実はX軸回転、Z軸回転、Y軸回転で方向を表そうと思ったのは電気制御が元ネタです。
ロール・ピッチ・ヨーってやつですね。
ご拝読ありがとうございました。
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