こんにちは! ふぃるきしゃです。先日、舞孫弗たつきんさんが吸血鬼のための例文集という面白そうな例文集を公開されました。ので、勢いでニョンペルミュに翻訳してみました。思ったよりも造語していない語彙が多く登場し、おかげでかなり造語雨降りましたね! というわけで早速見ていきましょう!
吸血鬼のための例文集
1. 我らは血を食す。
lasju kja sjaslu.
私-食べる-血
早速でなんですが、「我」という古風な一人称に相当する表現はニョンペルミュにはありません。残念ながら普通に la「私」になってしまいます。後に登場する「汝」も fi 「あなた」になってしまいますね。
kja は「食べる」「飲む」「吸う」のいずれも表します。「口にする」が近いですかね。トキポナの moku と同じですね。
2. 我は空腹なので血を欲する。
la kjanjan lussas fen sjaslu.
私-空腹だ-だから-欲する-血
lussas は lus「だから」と sas「~と」の合成で、原因と結果の主語が同じ場合に用いられます。
3. 我らは銀を恐れる。
lasju pjel holles.
私たち-恐れる-銀
pjel「恐れる」のように感情を表す動詞は、知覚する者 (experiencer) が主語、刺激 (stimuli) が直接目的語になります。ニョンケスミュでは有生性が高い方が主語になりやすいわけですね。
holles「銀」は hol「白い」と les「金属」の合成です。分かりやすいね。
4. 汝は我の眷属だ。
fi na la mi taspjutjun.
あなた-である-私-の-眷属
吸血鬼に噛まれると自分も吸血鬼になり、自分を噛んだ吸血鬼の配下になってしまうのだそうです。そのようにして吸血鬼の手下となった者を「眷属」と呼ぶみたいですね。taspjutjun は taspju「従う」+ tjun 「人」で「従者」という意味ですが、吸血鬼の眷属もこれに含めていいでしょう。
5. にんにくを近づけないでくれ。
fi lo me pa la mule mashos.
あなた-しろ-(否定)-に-私-近づける-にんにく
lo は命令を表す助動詞です。lo を使った文で主語を省略すると語調の強い命令文に、省略しないとやや丁寧な命令文になります。今回の文は懇願してる感じなので後者でいいでしょう。mashos「にんにく」は mas「力」+ hos「袋」の合成です。
6. 月が血のように赤く染まっている。
mjal kalkon sjaslu pinti ful.
月-のように-血-染まる-赤
なんだか本気で殺してきそうな文だな。pinti「染まる」は元々「染める」として辞書登録していましたが、「染める」は二重他動詞なので pinle が正しいですね。というわけで、pinti は「染まる」に変更されました。
7. 汝は吸血鬼の力を甘く見ているようだ。
fi lina hensja sjaslukjapjelsjas mi mas.
あなた-見える-侮る-吸血鬼-の-力
「甘く見る」は hensja「侮る」と訳出しました。「吸血鬼」は sjaslu「血」+ kja「食べる」 + pjelsjas「怪物」の合成で sjaslukjapjelsjas です。この記事読んだ方はこの語だけでも覚えて帰ってくださいな。シャスルキャピェルシャス。シャスルキャピェルシャス。覚えた?
8. 我は、我らの中で最も鋭い牙がある。
la sja su lasju na paspe kilnas tite pilsjos.
私-持つ-において-私たち-である-1番目に-鋭い-(関係詞)-牙
最上級の比較文ですね。比較範囲は前置詞 su「~において」で、順位は序数詞の paspe「1番目に」で表します。序数詞を lispe「2番目」や sjalpe「3番目に」などに入れ替えれば他の順位も表現できます。
9. 羽根が日光で燃えた。
hjelhes ljasfe tisfas tjaku.
翼-が原因で-日光-燃える
前述の通りニョンペルミュでは有生物を主語に置きたがる傾向にあるので、tisfas tjati hjelhes. 「日光が羽を燃やす」とかはあまり言わないですね。
10. B型の血が最も美味である。
tonPIfuskal mi sjaslu na paspe njanlen.
B型-の-血-である-1番目に-美味しい
はい、来ました……アルファベットの音写です。ニョンペルミュの音韻は有声性の区別がないので P と B をそのまま音写するとどちらも PI になってしまいます。そこで、有声音の方には ton「重い」を付けることにしました。というわけで B は tonPI になります。
そういえば蚊は O型の血を好みやすく AB型は好まないなんて聞いたことがありますが、吸血鬼にもそういうのあるんでしょうかね?
11. 吸血鬼ハンターには気を付けろ。
lo fosjen sjaslukjapjelsjaskjofussatjun.
しろ-注意する-吸血鬼ハンター
「吸血鬼ハンター」は sjaslukjapjelsjas「吸血鬼」と kjofussatjun「狩人」の合成で sjaslukjapjelsjaskjofussatjun です。なげえな!!
12. 我の父は吸血鬼ハンターに、銀のナイフで殺された。
la mi malon fe sjaslukjapjelsjaskjofussatjun kju ki holles sitol nolti.
私-の-父-によって-吸血鬼ハンター-される-を使って-銀の-ナイフ-殺す
受け身の文は助動詞 kju で表し、行為者は前置詞 fe で表して kju の前に置きます。
holles「銀」は形容詞として使っても問題ないでしょう。たぶん。
13. このワインは、人間どもの血から作られた。
ke pjansjuhjalu fe tjunsju mi sjaslu.
この-ワイン-から-人々-の-血
「(原料) で作られている・(原料) でできている」は fe 一語で表せます。
14. もし汝が鏡に映るなら、汝は愚か者である。
fi kalsjenku faskel fos, fi na fisfintjun.
あなた-映る-鏡-ならば, あなた-である-愚か者
吸血鬼が鏡に映らないのは知っていましたが、吸血鬼界隈では「鏡に映る奴は愚か者」という認識なんでしょうかね? 初めて知りました。fisfintjun は「知識・学力が足りない人」という意味ですが、このニュアンスで合ってるのかは分かりません。
15. 吸血鬼たる者、威厳が必要だ。
sjaslukjapjelsjas nami tjun tjol tustonmis.
吸血鬼-である-者-必要だ-威厳
「威厳 (がある)」は tus「立つ」+ ton「重い」で新造しました。
16. 十字架ほど忌まわしき記号はない。
hje nenkal fe tupelkal na tjastjen.
ゼロ-記号-より-十字架-である-忌まわしい
hje は「ゼロ」の意ですが、英語の no のような使い方もできます。直訳すると「ゼロ個の記号が十字架よりも忌まわしい」となります。
tupelkal「十字架」は tu「もの」と pelkal「文字」の合成です。なぜ tu「もの」かというと、ニョンケスミュ (ニョンペルミュ表記用文字) で表記した時に十字に似ているからです。
17. 数百年という時間は、我らにとって瞬きに等しい。
nisjanfelfel ljes nami tel mu lasju kon pjastel.
数百-年-である-時間-にとって-私たち-等しい-一瞬
nisjan「いくつかの」を felfel「100」などの前に付加すると「数百」を表せます。
18. 何が汝をここに連れてきたのだ?
no pa kelan hele fi?
何-に-ここ-連れてくる-あなた
すごい英文和訳っぽい文ですね。ニョンペルミュではあまり使わなそうな表現です。
19. その建物に入るためには、招かれなければならない。
lasju mu fussa se mal tjol kju helepel.
私たち-ために-入る-その-建物-必要だ-される-招く
20. 我は貴様と血を分け合うだろう。
la pen pa fi tanjo sjesja sjaslu.
私-だろう-に-あなた-奴-分け合う-血
fi tanjo は「貴様・お前」に相当する表現です。
21. 血なしで生活することは不可能だ。
lasju me so meki sjaslu kus.
私たち-(否定)-できる-なしで-血-生きる
22. 我は流水を越える方法を研究し続けている。
la lun solpju tussussjus sjetalu kalte.
私-続ける-研究する-越える-流水-(関係詞)
kalte は関係詞の一種であり、補文の末尾に置かれて「~する方法」を表します。関係詞と言いつつも、被修飾語を伴わずに単独で用いられることが多いですね。
23. 我は貴様よりも遥かに年上だ。
la kussjus fe fi tanjo kussjus nute na pjennas sjan tite ljes.
私-生きている-よりも-あなた-奴-生きている-(関係詞)-である-遥かに-多い-(関係詞)-年
ニョンペルミュでは表現しにくい文で、今回最も翻訳に苦労しました。
まずニョンペルミュでは年齢を動詞 kussjus 「(n年) 生きている」で表すんですよね。なので訳すとしたら「私は貴様よりも多い年を生きている」のような表現になるんですが、ここで問題。ニョンペルミュの前置詞は形容詞を修飾できないので、fe fi tanjo「貴様よりも」が sjan「多い」を修飾できないんです。そこで、sjan を動詞 na「である」の目的語にし、fe fi を na の修飾語とすることで間接的に sjan を修飾する形式にしています。この方法だと関係詞を用いることになるので文が少し冗長になってしまいますね。
さらに言うと「貴様よりも多い年を生きる」って、要するに「『貴様が生きた年』よりも多い年を生きる」ってことですよね。ニョンペルミュではその辺なぜか厳密なので、 fe fi tanjo kussjus nute「貴様が生きているよりも」と表現する必要があります。よって全体を直訳すると「私は貴様が生きているよりも遥かに多い年を生きている」となります。ここまでのクッソ分かりづらい説明理解できる人いるのか……?
24. 吸血鬼が最上位存在に決まっているだろう。
sjaslukjapjelsjas ljalus na paspe hatosnas sutu, me na?
吸血鬼-当然-である-1番目に-上位の-存在, ない-である?
直訳すると「吸血鬼は当然最上位の存在だ、そうだろう?」となります。英語の付加疑問文に相当する表現はニョンペルミュでもよく用いられますね。
25. 聖水とは、皮膚を溶かす危険な液体だ。
mjelljun lu na luti pal tite sjeesmel lu.
聖なる-水-である-溶かす-皮膚-(関係詞)-危険な-液体
lu には「水」と「液体」の両方の意味があります。
26. 貴様、我を吸血鬼らしくないと言ったか?
fi tanjo pel me pel la me lina sjaslukjajelsjas te?
あなた-奴-言う-(否定)-言う-私-(否定)-見える-吸血鬼-(補文標識)
諾否疑問文は、中国語やトキポナのように反復疑問文で表します。今回の pel me pel のように、否定副詞 me を挟んで動詞を2回反復させる形式ですね。「吸血鬼らしくない」は「吸血鬼のように見えない」と訳出しています。
27. 我が吸血鬼らしくないはずがない。
la hjelus me lina sjaslukjajelsjas.
私-はずがない-(否定)-見える-吸血鬼
28. 我は貴様に血を捧げさせた。
la pa fi tanjo le pa la le sjaslu.
私-に-あなた-奴-させる-に-私-与える-血
1番目の le は「させる」という使役の助動詞、2番目の le は「与える」という動詞の意味で用いられています。
29. 早く彼に血を与えてやってくれないか?
fi so me so sjun pa selon le sjaslu?
あなた-できる-(否定)-できる-速く-に-彼-与える-血
so「できる」の反復疑問文は丁寧な依頼の意味になります。英語の Could you~? のようなものですね。
30. 我を見ても恐れないとは、面白い。
fi me pjel li la te na fomutjen.
あなた-(否定)-恐れる-見る-私-(補文標識)-である-面白い
直訳すると「あなたが私を見るのを恐れないことは面白い」となります。
31. 我らを侮辱すると、どうなるかわかってるだろうな?
fi tasto fi minkjan lasju fossas kju nonas minfu te, me ti?
あなた-理解する-あなた-侮辱する-私たち-ならば-される-どのように-扱う, (否定)-する
minkjan「侮辱する」は min「顔」+ kjan「壊す」の合成です。全体を直訳すると「あなたが私たちを侮辱した場合にどのように扱われるかあなたは理解している、そうだろう?」となります。
32. 人間よ、吸血鬼になれ。
tjun lo ku sjaslukjapjelsjas.
人-しろ-なる-吸血鬼
言われているのは某メイド長かな
33. 汝は我の眷属になるべきだ。
fi tjol ku la mi taspjutjun.
あなた-必要だ-なる-私-の-眷属
34. 吸血鬼を尊敬しないことは、死を意味する。
fi me hali sjaslukjapjelsjas te nen nolmis.
あなた-(否定)-尊敬する-吸血鬼-(補文標識)-意味する-死
35. 血が苦手だと!?貴様本当に吸血鬼か?
fi tjas sjaslu!? fi tanjo sol na me na sjaslukjapjelsjas!?
あなた-苦手だ-血 あなた-奴-本当に-である-(否定)-である-吸血鬼
36. 我は吸血鬼にもかかわらず、血を見ると恐怖で心臓の鼓動が速くなる。
la na sjaslukjapelsjas mefos, la li sjaslu tel, fokafol ljasfe pjelmis sjunku.
私-は-吸血鬼-にもかかわらず, 私-見る-血-時, 心拍-が原因で-恐怖-速くなる
37. さっき汝の血を食そうとしたのは、我の母親だ。
pofa kja fi mi sjaslu tite na la mi manel.
さっき-食べる-あなた-の-血-(関係詞)-である-私-の-母
tite は関係詞ですが、後続するはずの被修飾語が省略されています。このように関係節は結構単独で用いられることも多いです。
38. 我はここにいる全ての人間を眷属にしてしまった。
la tju pa la mi taspjutjun kule kelan sumi ljatjun.
私-既にした-に-私-の-眷属-変える-ここ-にいる-全員
39. その呪われた部屋に近づいてはならぬ。
lo me mu se kju nonmje tite kul.
しろ-(否定)-近づく-その-される-呪う-(関係詞)-部屋
40. このカメラという機械は、愚か者を閉じ込める箱か?
ke kallunmju sosmi tol na me na fusnun fisfintjun kite kos?
この-カメラ-という名の-機械-である-(否定)-である-閉じ込める-愚か者-(関係詞)-箱
kite は、被修飾語が関係節内で ki「~を使って」の目的語であることを表します。要するに「~するための」とか「~するのに使われる」という意味ですね。
41. ここ3日間ずっと血を追い求めている。
la sjus ke sjal tis lun pju sjaslu.
私-の間に-この-3-日-続ける-追う-血
42. 汝は我に使役される覚悟があるか?
fi ti me ti fotalti fe la kju ki?
あなた-する-(否定)-する-覚悟する-によって-私-される-使役する
反復疑問文ですが、fotalti「覚悟する」の前に特に意味のない ti「する」を置いて代わりに反復させています。大体3音節以上の動詞だと、反復が冗長になるのでこのような形式をとることがほとんどですね。
ki「使う」は、「使役する」の意味も含みます。
43. 夜になったので、我が眠っている棺桶をコウモリが開けた。
nontel tju he lus, hjelsjos pis la njos sute hjufekos.
夜-既にした-来る-なので, コウモリ-開く-私-眠る-(関係詞)-棺桶
「夜になる」は nontel he「夜が来る」と表現します。時間や季節、天候が起こる場合には he「来る」を使うことが多いですね。
関係詞の sute は、被修飾語が関係節内で前置詞 su「~において」の目的語であることを表します。つまり「~する場所である」の意ですね。
hjelsjos 「コウモリ」は hjel「飛ぶ」+ sjos「歯」、hjufekos「棺桶」は hjufe「別れる」+ kos「箱」の合成です。
44. もし太陽がなかったら、我らの力は更に強大だっただろうに。
tis me su fos, lasju mi mas na njusnas mel.
太陽-(否定)-ある-ならば, 私たち-の-力-である-さらに-大きい
ニョンペルミュには仮定法の特別な形式は特にありません。
45. 最近の人間は吸血鬼を可愛いと言うが、我はそれを理解できない。
mutel mi tjun pel sjaslukjapjelsjas na mjustjen te hjen, la me so tasto semis.
最近-の-人間-言う-吸血鬼-である-可愛い-だが, 私-(否定)-できる-理解する-そのこと
うー☆とか言ってるからじゃないかな
46. 我の父親は既に灰になった。
la mi malon tju ku tjapjas.
私-の-父-既にした-なる-灰
ジョルノかな?
47. 心臓を杭で打たれない限り、我らは復活する。
fotanson me kju ki tustun his fos, lasju hikus.
心臓-(否定)-される-を使って-杭-刺す-ならば, 私たち-復活する
直訳すると「心臓を杭で刺されないならば、私たちは復活する」となります。
48. 我らは、再び夜が更け始めるのを待っている。
la mu nontel njustjon pisku telte lunti.
私-のために-夜-再び-始まる-(関係詞)-待つ
lunti「待つ」は本来「留まる」の意であり、直接目的語には場所をとります。待つ相手を表したい場合は前置詞 mu「~のために」を用います。
関係詞の telte は、被修飾語が関係節内で時間を表す副詞であることを表します。つまり「~する時間である」の意ですね。今回は被修飾語が省略されており、nontel njustjon pisku telte「夜が再び始まる (時間)」を表しています。
49. さぁ、復活の時だ。
ne, hikus telte tju he.
さあ, 復活する-(関係詞)-既にした-来る
ne は元々「今」の意であり、今回「さあ」とか「それじゃあ」とかの間投詞の用法を追加しました。
telte は例文48 と同じ使われ方で、hisku telte「復活する (時)」を表しています。
hikus「復活する」は hi「再び」+ kus「生きる」の合成です。
50. 朝になったので、我らは棺桶で眠る。
hatel tju he lus, lasju fussu hjufekos njos.
朝-既にした-来る-なので, 私たち-の中で-棺桶-眠る
完走した感想
なかなか翻訳し甲斐のある例文集でしたね。「眷属」「十字架」「B型」など、この例文集を翻訳しなければなかなか造語しなかったのではないかなと思うような単語が多く、考えるのが非常に面白かったです。ニョンペルミュで吸血鬼とコミュニケーションをとらなければならなくなった場合もこれで安心ですね! 何より誰が作った例文集なのかクッソ分かりやすいのが良いと思います。
なんか最近立て続けに例文集翻訳してるので、また何か訳すかもですね。hjufemis! (またね!)
Top comments (2)
ありがとうございます!
B型はただ某紅い月が好きな血液型ってだけです((
Bの音写って部分で有声音と無声音の区別がないならPと同じになってしまうっていう部分で、実際に自然言語で有声無声区別しない場合どうしてるのか気になりましたね((
そ、そうなんや……にわかですみません
例えばハワイ語だと、借用語で有声音のアルファベットを用いることもあるみたいですね。ただ発音まで区別してるのかはよく分からないです
aloha-program.com/about/signage