第 3 回は形容詞についてです。だんだん語形変化パターンが増えていきます。
形容詞の性と定性
前回、名詞には性が定まっていて、名詞ごとに赤性か青性かのどちらか一方に分類されているという話をしました。
一方、形容詞には赤性の形と青性の形の両方があります。これはその形容詞が説明している名詞の性によって使い分けられます。説明している名詞が赤性なら形容詞自身も赤性の形になり、名詞が青性なら形容詞も青性の形になるというわけです。
さらに前回は、名詞は定性によって形が変わることを学びました。定の場合は ле- か ло- が付くのでしたね。
形容詞も同様で、定の形と不定の形の両方をもちます。説明している名詞が定なら形容詞も定の形になり、名詞が不定なら形容詞も不定の形になります。
形容詞の変化
つまり、形容詞は性と定性の両方に従って形を変えるということです。性も定性もそれぞれ 2 種類ずつあるので、形容詞には最低 4 つの形があるということになります。
形容詞の変化は、赤性・不定の形が基本となります。この基本形を基準にして、青性・不定の形には -о が付きます。さらに、それぞれの不定の形を基準にして、定の形には ле- もしくは ло- が付きます。どちらが付くかは名詞と同様に単語ごとに異なり、含まれる長母音が е̄ なら ле- が付き、長母音が о̄ なら ло- が付きがちです。
表の形にまとめておきましょう。例として бе̄жжам「赤い」の変化を下に列挙します。
赤性 | 青性 | |
---|---|---|
不定 | бе̄жжам | бе̄жжамо |
定 | лебе̄жжам | лебе̄жжамо |
規則から少し外れた変化
形容詞の変化の規則は上で述べた通りですが、基本形の形によってはここから少しだけ外れた変化をします。
基本形が е で終わっている場合は、青性の -о が付くときに е が消えます。
赤性 | 青性 | |
---|---|---|
不定 | хе̄лаффе | хе̄лаффо |
定 | лехе̄лаффе | лехе̄лаффо |
基本形が〈単子音 + а + 子音〉の形で終わっている場合は、青性の -о が付くときにその а が脱落します。
赤性 | 青性 | |
---|---|---|
不定 | се̄хан | се̄хно |
定 | лесе̄хан | лесе̄хно |
基本形が〈а + 重子音〉で始まっている場合は、定を表す ле-/ло- が付くときに語頭の а が消えます。このタイプの単語は、さらに基本形が〈単子音 + а + 子音〉で終わっていることが多く、その場合は上で述べた変化もさらに起きます。
赤性 | 青性 | |
---|---|---|
不定 | ашше̄лах | ашше̄лхо |
定 | лешше̄лах | лешше̄лхо |
なお、形容詞だけではなく名詞でも、基本形が〈а + 重子音〉で始まっている場合は、定を表す ле-/ло- が付くときに а が消えます。
形容詞の用法
形容詞は、それが修飾する名詞の後に置かれ、その名詞と同じ性と定性をとります。例えば、修飾する名詞が青性・不定なら、形容詞自身も青性・不定にします。
Е̄ко де̄ско се̄хно.
ييک ديسک سيخن.
🞂 それはおもしろい本です。
де̄ско「本」 · се̄хан「おもしろい」Е̄к леме̄ре̄е лешше̄лах.
ييک لميريي لشّيلخ.
🞂 それがその白い猫です。
ашше̄лах「白い」
前回は〈A + е̄к + B〉の形で「A は B である」の意味になることを学びましたが、この B の位置には形容詞を置くこともできます。このとき、その形容詞は、主語の名詞と同じ性をとりますが、定性に関しては常に不定をとります。
Лерӣс е̄к бо̄жамме.
لريس ييک بوژمّ.
🞂 その水は熱いです。
рӣс [定: лерӣс] 「水」 · бо̄жамме「熱い」
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