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スライムさん
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人工言語コンペ第13回 投稿作品

coi rodo mi'e .slaimsan.
どうもこんにちは、毎度おなじみスライムさんです。
今回も人工言語コンペやっていきます。

いやぁ、この時期はアドベントカレンダーの記事も書かなきゃならないので、本当に忙しいです。タイピングの量が多くなって、腱鞘炎になってしまうかもしれませんが、キーボード配列を魔改造して負担を減らしておいて良かったなと思いました。

余談はさておき、今回のお題です。

今回のお題
独自の表意文字を使う言語を創作しましょう。
語彙は既存の言語から借用しても構いませんし、既存の言語の娘言語でも構いません。
しかし、文字は独自のものでなくてはならず、正書法では、数字や記号以外は既存の文字をそのまま用いたり、変形させて用いたりしてはなりません。
そして、正書法の中で表音文字を使うことは禁止しませんが、そのような場合であっても漢字のような表意文字も用いなくてはなりません。
これを踏まえた上で、以下のものを用意してください:
文法、音韻等の言語自体についての解説
正書法で用いる独自の表意文字の一覧(最低でも各文字の読み方と意味の説明が必要)
(正書法で独自の表音文字を用いる場合は)その文字の読み方の解説
正書法で書かれた世界人権宣言前文の全訳
独自文字を使うためのフォント
(余力があれば)辞書
(さらに余力があれば)独自文字をパソコン上で簡単に使える環境

……うん、課題を全部こなすのは無理! ただ、表意文字を作ろうという趣旨は了解です。後はフォントを作ったりパソコンで入力できる仕組みを考えようと。かなり難しい課題で、全部やるのはできない見込みですが、今回思いついたアイディアがかなり良いものに思えるので、お題に対する課題の消化は途中になる見込みですが、やれるところまでやって公開しようと思います。

アイディアメモ

毎回、アイディアを捻り出すときにはアイディアメモを書くのですが、今回は先に「これだ!」というアイディアが降ってきました。なので、振ってきた後に何をどう作るかというメモを書きました。まずはその画像を貼ります。

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走り書きで何のこっちゃだと思うので、説明します。一言で言うと、フェンナ語用の表意文字を作るということです。フェンナ語は言わずと知れたZiphilさんが作っている言語で、3子音語根システムを採用している言語です。
フェンナ語が良かったというよりは、3子音語根を前提とした言語に表意文字を割り当てようという発想でした。なので、アラビア語の可能性もあったのですが、例外的な単語も多いみたいなので、より厳密に3子音語根を採用しているフェンナ語を採用することにしました。(後、お題の発表の前週にZiphilさんのフェンナ語の話を聞いた影響かもしれません。)
3子音言語は作ってみたいとは思っていたのですが、今回、お題の難易度を考慮して、既存の言語を利用することにしました。

3子音語根に表意文字を割り当てる利点

同じ3子音語根から作られている単語は、共通するイメージを持っている。この共通するイメージに対して表意文字を割り当てるというのが今回の大方針である。いくつか利点を挙げてみます。

1. ある程度数が限られている

表意文字、というか表語文字は単語に対して文字を割り当てることになるのですが、単語というのは割と無限に増えていくので文字を無限に割り当てなければならず、かなり大変です。これに比べて、3子音語根は種類が単語に比べて抑えられます。文字を割り当てるのに向いています。

2. 単語の成り立ちが分かりやすくなる

3子音語根の弱点なのですが、ものによっては語根が何なのか分かりにくいものがあります。語根の間に子音が接中辞的に挿入されたり、語頭・語末に接辞が付くことはざらで、その言語に慣れていないと語根が見抜けないことになります。
しかしここで共通する表意文字を使うことで、語根が何なのかを明示することができ、非常に便利です。

3. 文字が作りやすい

表意文字作る時の難点なのですが、抽象的な概念を図形化するのは非常に大変です。しかし、3子音語根なら語根が共通する単語の中から図形化しやすい単語を選んで表意文字化することができます。
一般的に、動詞や形容詞のような抽象的な概念は図形化するのは難しいですが、名詞、特に具象物を図形化するのは比較的楽です。「読む」という動作よりは「本」という物の方が図形化しやすいというわけです。そして今回の方針では、「本」のイメージを元にフェンナ語の語根 √к-т-ш の表意文字を作成し、これに手を加えることで「読む」を表すようにするというわけです。

3子音語根に表意文字を割り当てる上での問題点と解決策

利点も多いアイディアなのですが、問題点もあります。というか最大の問題点です。語根の間に挟まれている要素をどうやって表示するかです。少なくとも母音を、場合によっては子音が挿入されたりするので、ある意味文字の中に文字を挿入するような構造になります。これは大変だ。
今回、これに対する解決策は、挿入される要素をルビのように文字の上に乗せるです。ダイアクリティカルマークのような形で乗せるイメージです。具体例をフェンナ語の例で示します。
まず図形化しやすい「本」から √к-т-ш の表意文字を作ります。ここから「読む」という語 като̂ш を表すようにаとо̂を挿入したいです。ここでкとтの間に挟まる要素が入る部分を「スロット1」、тとшの間の部分を「スロット2」と呼ぶことにします。スロット1の要素は表意文字の上に、スロット2は下に配置するルールとします。(当初、どちらも文字の上に置いて左側と右側にするつもりだったのですが、実際にやってみたら狭くて、スロット2は下に配置することにしました。)

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これで「読む」という意味の като̂ш という語の出来上がりです。間に子音が入るなら、その子音もスロット部分に配置してしまえば良いです。
……おっと、ここでフェンナ語(あるいはアラビア語も)の構造に起因する問題が生じますね。語根の子音を二重にするという場合がありますね。ке̂тташ(本)の т がまさにそれです。これはまあ、アラビア語のシャッダのような記号で表現する方針にしましょう。なので ке̂тташ はこういう感じになります。

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さて要素が挿入される場所は語根の頭と尾にもありますね。これは難しくなくて、単に表意文字の左側と右側に置きましょう。(ラテン文字と同様、左から右に文章が書かれる想定です。)接尾辞がある例として кеде̂тташо(図書館)を挙げておきます。

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どうでしょうか? いい感じになりそうじゃないですか? え、4子音語根とかはどうするのか? 今回は忘れます!

具体的な字形

表意文字をどのように埋め込むかは決まりました。しかしこれだけでは駄目です。具体的な表意文字の字形が必要です。この章では、具体的な字形をどうするかについて検討していきます。
そういえば言及し忘れていましたが、表音性の文字はフェンナ語の原則であるキリル文字を使うことにします。
具体的な字形ですが、ある程度規格を定めたいです。何のガイドも無く自由に字形を作るというのはかなり厳しいです。制限がある方が実は創作しやすいのです。
さて、今回課す制限ですが、元ネタは7セグメントディスプレイです。7種類の線で数字を表示するあれです。頑張れば128種類の文字が表せますね。……圧倒的に足りないですね。なので大きく拡張しちゃいましょう。縦も横も5列ずつ表示できる線を設けましょう。40セグメントディスプレイです。

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これだけあれば、それっぽく見える字形がいっぱい作れそうな気がしませんか? 理論上では2の40乗、約11兆種類の文字が作れる計算です。まあ、似た形が頻出するので実際に見分けられる字形はこれより大幅に減るでしょうが、まぁ1万字程度くらい作れれば十分でしょう。これはいけるのではないでしょうか。
試しに、今までの例示で出てきた √к-т-ш の表意文字を作って、「読む」「本」「図書館」を書いてみましょう。

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どうでしょうか? いい感じにまとまるんじゃないでしょうか?

入力システム

入力システムを作るのはできていませんが、作るとしたら、日本語と同様の方式になると思います。つまり、音声ベースで文字を入力していき、変換ボタンを押したら、その読み方で辞書に登録されている表意文字とスロットに挿入されている文字の塊に変換されるイメージです。そのため、膨大な辞書をIMEに搭載する必要がありそうです。まあ、日本語でやれていることなので、技術的には可能でしょう。

実際に字形を作ってみる

さて、後は可能な限り字形を作っていくだけです。残り時間でできるだけフェンナ語の語根に字形を割り当てて終わりとします。

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