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言浜有体
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ケープタウンで発見された奇妙な文書【第16回人工言語コンペ】

お題

吸着音のある言語

父の書斎から奇妙な本を見つけたのだが

俺はケープタウンに住んでる。俺の家は二階建てで、二階には父の書斎がある。この書斎は曾祖父の代から受け継いだものらしく、かなり古い本がたくさん残っていて、とても面白い。中には本ではなく綴じられていない紙の束もあって、父はそれを棚に丁寧に保存しているのだけど、その中に、ちょっと変な文書を発見したんだ——

サンミス語の紹介

サンミス語(sanmisna)とは、主にサンミスキ(sanmiski)と呼ばれる異空間、その元居住者・出身者サンミスカン(sanmisqan)で話される言語である。コンコン語(qonʼqonna)とも呼ぶ。

サンミスキ(sanmiski)とは、南アフリカ共和国西ケープ州████にある廃墟に存在するポータル、そこから侵入可能な異空間のことである。
空間内部は常に砂嵐に包まれている。丘陵地が多く、山脈が存在する。
山脈の各地に多くの鉱坑の跡が見られる。以前はこの鉱坑で大規模な採掘が行われていて、周辺に多くの集落が存在したようだが、多くの人がこの異空間から抜け出してしまったため、ほとんどが廃れてしまっている。
現在、サンミスキでは空間入口付近にある「カバルキ(gqabarki)」という集落のみが残っている。

この言語は孤立した言語であり、
周辺の言語との同源語彙がほとんど存在しない。
しかし、英語やアフリカーンス語からの借用語がいくつか存在する。

実際のところ、サンミス語はもはやほとんど使用されていない。
サンミスキから脱出したほとんどの人たちはサンミス語を嫌っている。
彼らは専ら英語を使用していて、サンミスカンを見つけることも難しい。
そのため、サンミス語は半ば絶滅寸前の状況にある。
この記事は、そんな半ば絶滅寸前の状況にあるサンミス語を、
少しでも後世に伝えていくために作ったものである。
ここからは、サンミス語の音韻・文法について解説していく。

音韻

子音

頭子音

非吸着音

両唇音 歯茎音 軟口蓋音 口蓋垂音
平音 唇音
鼻音 m[m] n[n]
破裂音 無気音 p[p] t[t] k[k]
有気音 ph[pʰ] th[tʰ] kh[kʰ]
有声音 b[b] d[d] g[g]
放出音 pʼ[pʼ] tʼ[tʼ] kʼ[kʼ] ʞ[qʼ] ʞw[qʷʼ]
破擦音 無気音 z[t͡s]
有気音 zh[t͡sʰ]
放出音 zʼ[t͡sʼ]
摩擦音 s[s]

吸着音

歯音 歯茎音 歯茎側面音
c[k͡ǀ] q[k͡!] x[k͡ǁ]
ch[k͡ǀʰ] qh[k͡!ʰ] xh[k͡ǁʰ]
gc[g͡ǀ] gq[g͡!] gx[g͡ǁ]
ʞc[q͡ǀ] ʞq[q͡!] ʞx[q͡ǁ]
ʞch[q͡ǀʰ] ʞqh[q͡!ʰ] ʞxh[q͡ǁʰ]
nc[ŋ͡ǀ] nq[ŋ͡!] nx[ŋ͡ǁ]

末子音

n[Ṽ] s[s] r[V˞] h[h]

その他

母音同士や末子音と母音が隣り合ったとき、ʼ[ʔ,w,j]を挿入する。
または末子音nとc,q,xが隣り合ったとき、鼻音吸着音との区別のために、
綴り上ʼを挿入する。発音は変わらない。

母音

前舌 中舌 後舌
短 長 短 長 短 長
狭 i[i] ii[iː] u[u] uu[uː]
中央※ é[e] éé[eː] e[ə] ee[əː] o[o] oo[oː]
広 a[a] aa[aː]

※正確ではないが、音韻としてはこの位置で扱う。

文法

代名詞

サンミス語の代名詞は単数・少数・多数の区別を持つ。
少数とは複数あるもののうち、数が少ないもの、
多数とは数が多いものである。

単数 少数 多数
一人称 aka akéén moo
二人称 ide idéén idan
三人称 iqe iqéén iqan
誰か iisʼiqe iisʼiqéén iisʼiqan
誰 umuʼiqe umuʼiqéén umuʼiqan
近称 go ga gan
遠称 no na soon
何か iisno iisna iissoon
どれ umuno umuna umusoon
何 aar aarʼa aarʼan

クラス

サンミス語の単語は意味による分類「クラス」を持ち、
接尾辞によってそれを表現する。
この接尾辞は換えることができる。
また、代名詞と異なり、数は多数・少数のみを区別する。

多数 少数
人 -qan -qéén
場所・時間 -koo -ki
動物 -baar -béén
無意志状態 -i -in
有意志状態 -dah -di
その他 -be -biin
-soon -na
-t’a -t’o

qonʼqonkoo[k͡!õk͡!õkoː]: 採掘場
qonʼqonʼi[k͡!õk͡!õʔi]: 砕かれている、採掘されている。
qonʼqonbe[k͡!õk͡!õbe]: 石、鉱石。

格

サンミス語は三つの格を使い、それぞれ平格・有格・在格と呼ぶ。
それぞれこのような意味である。

  • 平格: ~がある。
  • 有格: ~にある・~が持つ、
  • 在格: ~のある・~を持つ、

ただし、これらの意味を越えて、これらの格は様々な構文の要素を担う。
それぞれの構文における用法は、次項「構文」を参照すること。
これらは接尾辞で表される。

平格 有格 在格
-∅ -dur -éé

構文

コピュラ

「S=C」という状況を表すには、
SとCを平格で並べる。
これは文単位ではなく、単に修飾としても使える。

[S or A:Aka] [C or N:etehqéén].
[S:私は][C:人間だ]。or [A:私である][N:人間]

AN

修飾は前から行われる。

[A:Aka-dur] [N:bodoonbiin]
[A:私の][N:パン]

SV

「SがVする」「SがVという状態だ」という自動詞の文は、
「SにVがある」と表現する。
つまり、S:平格, V:在格 などと表す。

[V:Nciinciidi-ʼéé] [S:iqan].
[S:彼らは] [V:怒られている]。

SVO

「SがOをVする」という他動詞の文は、
「SがOを持ち、OにVがある。」と表現する。
つまり、S:有格 V:在格 O:平格 などと表す。

[S:Aka-dur] [V:qonʼqondi-ʼéé] [O:tonnerki].
[S:私は][O:坑道を][V:掘った。]

否定

否定文を作るときは、文中にある平格の語を一つ選び、
それに否定接頭辞"ʞi-"を付ける。

Borkaʼin-ʼéé ʞi-ʼaka.
私は(今)仕事が与えられていない。

場所・時間

場所・日時の語は有格を取る。
また、時制を表す文法はなく、
日時を表す表現に代替される。

Morki-dur Pʼaanki-dur etehdi-ʼéé aka.
私は明日パーンキ(穴)に行く(いる)。

疑問

否定文を作るときは、文中にある平格の語を一つ選び、
それに疑問接頭辞"e-"を付ける。

Asaanki-dur etehdi-ʼéé e-ʼide?
あなたは外に行きますか(いますか)?

命令

最後に、命令文の作り方を紹介する。
まず初めに、平叙文を述語部分が平格になるように作る。
その後に「borkaʼin-ʼéé [命令対象].」と続けると出来る。

No bodoonbiin-dur kozodi borkaʼin-ʼéé aka.
そのパンを食べろ。

例文

サンミス語は発音に吸着音が存在するのが特徴である。
なので、吸着音が非常に多い文章を作ってみることにした。
早口言葉のようなものである。
最後にこちらを掲載して、終わりとする。

Nxunuunʼéé iqééndur gqitodi,
nciinciidiʼéé iqéén,
caasgadiʼéé iqééndur gqitona.
[ŋ͡ǁunũːʔeː ik͡!ẽːdu˞ g͡!itodi]
[ŋ͡ǀĩːŋ͡ǀiːdiʔeː ik͡!ẽː]
[k͡ǀaːsgadiʔeː ik͡!ẽdu˞ g͡!itona]
彼らは走るのがとても遅く、
怒られ、足を切られた。

付録: サンミス語基礎語彙集

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