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ΚΥΑΝΟΦΑΝΕΣ
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オグルト語(第11回人工言語コンペ)

お題

苛烈な気候によって、歴史的に独特の言語や文化が形成されてきた……とある地域。
過酷な気候を持つその地域は、特殊なエネルギー源によって産業革命を成し遂げ、高い生活水準を手に入れたという。
さて、産業革命によってこの地域の言語や文化はどのように変質したのでしょうか?
・過酷な地域の様相について。
(ケッペンの気候区分のA区分,B区分,E区分など)
・気候によって形成された独特の言語や文化。
・特殊なエネルギー源の詳細。
・産業革命による言語や文化への影響。

どうもCyanophanēsです。
今回はオグルト語について書いていきます。

まず

このオグルト諸島のある世界は、私の作っているエルフ語族やドワーフ語となどとのある世界と共通で、設定としては指輪物語に似ていて、とても昔の世界が舞台になっています。この記事はあくまでも現代の視点ではなく、当時の世界でも後年の視点で書かれています。ただ、現代人に分かりやすくする為に、一部に現代の用語を用いています。

オグルト語とは

オグルト語とは、オグルト諸島南部に住むコーカソイド系の民族、オグルト人の話す言語です。語族自体はハルディス語族1ゴーヒェ語派北ゴーヒェ語群の言語で、フラタワ語族2のアルジェバチュ語の影響を受けています。
特徴としては大陸側の北ゴーヒェ語に比べ保守的で、印欧語族などと似た屈折語でアプラウトの様なものもあることです。
表記法としてはゴーヒェ人の間で広く使われたサジュール(Þaśýr書かれるものの意)文字3を使うこともありますが、ポルクス大陸で広く使われるノルガス文字4を使うことが現在は多いです。

オグルト諸島について

オグルト諸島の気候など

オグルト諸島はポルクス大陸北のドアルネ公国北東にある諸島で、かつてはオグルト島という一つの島でした。
気候としてはツンドラ気候で、木が生える事はありません。また、草や苔の生える夏期と、雪が降り積もる冬期がありますが、夏期の最も暖かい月でも平均気温は10℃ほどと、一年を通してかなり寒いです。現代では暖房が発展したため、昔ほどは暮らしづらくありません。

オグルト諸島の歴史

最初に人がやって来たのはシュワナ暦56世紀辺りだと考えられていて、モンゴロイド系の民族アルジェバチュ人が最初の住民でした。
それから15世紀後の2084年、イェーガラード6のホッシニルの一味は船に乗っていた時に嵐に見舞われ、そしてオグルト島に辿り着きました。それからアルジェバチュ人に救出され、儀式を受けました。
幸運な事に、彼等が辿り着いた時は夏期であり、船にいた家畜も生きていたので、お礼として家畜の飼育の技術と、その肉をアルジェバチュ人にあげました。
それから少し経って、イェーガラードの船がオグルト島にやって来て、イェーガラード同士での再会を喜びました。この時に初めてオグルト島の事が記録され、また、大陸とオグルト島の交易が確立されました。
ホッシニルの一味はオグルト島に住み続け、その子孫も多くは島に住んでいました。彼等とアルジェバチュ人の関係は良好で、2民族の文化は混ざり合い、独特の文化が形成されることとなりました。
それから8世紀経った3863年、大きな出来事が起きます。
オグルト島にあった山であるコホワー山で大爆発が起きました。そして島は分かれ、諸島へと変わりました。
その山の跡からは現在でもクォーチェシュ・シュタッシュ(Kvōtjeśy śtʼaś力の石の意)と呼ばれる資源が採掘でき、これによって島の生活は大きく変わることとなりました。

産業革命前のオグルトの文化、生活

オグルト人の来る前

まず、かつてのアルジェバチュ人は今で言うイヌイットや、その他ツンドラ地域の民族の様な生活をしていました。自然を愛し、また、尊敬していました。
狩りを中心とする生活をし(ただしコケモモの様な果物も食べます)、狩りをする際は神や動物への感謝を欠かしませんでした(なぜなら感謝や親切心によって、神は資源などを与えてくれると考えているからです)。また、毛皮や骨なども有効活用するのが狩った動物への礼儀だと考えています。その為、家はトナカイの毛皮などを使ったテントで、その他の槍などの道具も、骨を使う事が多いです。

オグルト人が来てすぐ

オグルト人とアルジェバチュ人は、それぞれ自分達のアイデンティティを守る為に、住居はそれぞれの伝統的なものを使い続けました。オグルト人は石や芝土などを用いた住居に住み、オグルト島では木は貴重なのであまり用いませんでした。
また、アルジェバチュ人は時期によって大きく住む場所を変えるので、オグルト人も南部と中部方面などで2つの住居を持ち、なるべく二つの民族で離れない様にしました。
また、オグルト人は夏期に生える草を刈り、乾燥させた干し草を家畜に食べさせ、その肉を食べたりしました。アルジェバチュ人は狩猟も行いましたが、家畜の技術を真似てトナカイの遊牧も始めました。この遊牧で育てたトナカイの肉などや、素材を共有することも多くなりました。
また、この時代から大陸のイェーガラードなどとの交易が始まり、アザラシや鯨、骨を使った道具と、大陸側にしかない木材や金属、干した果物(木の実が多い)、酒などを交易しました。特にオグルト人は、この時期にやって来るフルーツや酒などをとても楽しみました。
そして、オグルト人を通して文字が伝わったことで、アルジェバチュ人の神話や説話などの記録も始まりました。バウマなどの様な後世に残る詩人も出て来ました。
この時期にできた文化として、1ヶ月に1,2回オグルト式の家に集まり、歌や踊り、食事などを楽しみました。これを、フィェイリィェシル(Fjeiljeśir楽しみの意)と呼びました。その他にも夏期の前に草が生えることを願うドヨス・タウリル(Dojos thaulir大地の祈りの意)という祭りもあります。

その後

やがてオグルト人とアルジェバチュ人の文化は混ざり合っていきました。
夏期にはテントで、冬期には家で過ごすという人も出て来ました。
その他にも宗教なんかが混じり、オグルト神話7が出来上がりました。また、オグルト人とアルジェバチュ人の混血も増え、オグルト人とアルジェバチュ人で協力して狩りを行うことが多くなりました。
そして、かつては大陸人との交易の際にはオグルト人がコミュニケーションをする事が多かったのですが、アルジェバチュ人にも大陸の言語を学びコミュニケーションができる人が多くなります。

オグルト語への影響

アルジェバチュ人の自然崇拝の影響により、そういった宗教的な単語や、狩り関連の単語など、イェーガラード語にはなかった自然に関わる多くの単語がアルジェバチュ語から借用されました。
例えば、祈りを意味するthagli、アザラシ猟を意味するwaiqasobnなどが借用され、thaulir,waikasœrとして入っています。

つまり、厳しい環境であるからこそ彼等はその厳しい自然を愛し、調和を目指し、懸命に生き抜こうとしています。それが自然に関する単語や宗教に関わる道徳的な言葉に繋がっているのでしょう。

-ハスイ・ハロミネ・ドガーリ(Hasuj Halomine Dogálj)8
有名なオグルト学者であるドガーリは、上の様に述べました。厳しいオグルト諸島の環境が、この様に彼等の文化や言語形成に繋がっているのでしょう。

産業革命と文化、生活への影響

産業革命とは

オグルトにおける産業革命は、クォーチェシュ・シュタッシュ(以後力の石とします)が採れる様になった所から始まりました。
力の石は赤く光る謎の鉱石で、熱を発したりなど謎のエネルギーを秘めています。この石の正体には諸説あり、巨人には死ぬと山になる者がいるので、力ある巨人が死んだ事によりコホワー山となり、その力が結晶になったのが力の石なのではないかという説や、かつてのドワーフの発明品が残っていたのではないかという説があります。
そして、この石の秘めるエネルギーを使う事でオグルト諸島での生活ははるかに送りやすいものとなりました。その熱を使い暖房や調理器具を作ったり、物を作る為の機械を作ったり、乗り物や武器を作ったりと。その他にも、この時に現代的な家が出来始めました。

産業革命の影響

オグルト人は産業革命による利便性を求めた一方で、アルジェバチュ人は自然との調和を更に求め、居住区域が分かれることとなりました。
結果、オグルト人は南部に住むこととなりました。そして、武器を手に入れた今、アザラシなどの動物を乱獲しようとする様になります。
そこで、思想家のタウリービルが活動をし、再び乱獲規制法が誕生し、オグルト神話的思想が復活しています。
これにより文明的な機械などに関する言葉がオグルト語にでき、世界全体に借用されることとなりました。また、世界中で思想が広まり、自然保護に関する意識が高まりました。

オグルト語の詳細

オグルト語の音

子音 両唇 歯茎 硬口蓋 軟口蓋 両唇化軟口蓋
破裂音 p,b t,d,(t͡sʲ),(d͡zʲ) c[t͡ɕ],ʒ[d͡ʑ] k,g kv[kʷ],gv[gʷ]
放出音 tʼ,(t͡sʼʲ) cʼ[t͡ɕʼ] kvʼ[kʼʷ]
摩擦音 f,(v) þ[θ],(ð),s,(z),(sʲ),(zʲ) ś[ɕ],(ʑ),ç h[x],(ɣ) hv[xʷ]
鼻音 m n ń[ɲ] (ŋ)
流音 r,l[ɫ],(lʲ)
接近音 v[ʋ] j

gは母音の間でɣになります。また、jやiが子音の直後にあると、その子音を硬口蓋化させます。ただし、t,d,sなどの硬口蓋化はt͡sʲ,d͡zʲ,sʲ、hの硬口蓋化はç、lの硬口蓋化はlʲです。
また、摩擦音f,þ,s,śは有声音に挟まれたときに有声音になります。

母音 前舌 後舌
i,y u
e[ɛ],œ[œː] o[ɔ]
á[aː] a[ɑ],å[ɒː]

◌́は長母音を表し、全ての母音が長母音になることができます。ただ、œとåは短母音が無いです。

オグルト語の文法

格変化

オグルト語には主格、対格、与格、属格、具格、奪格、位格、方格、様格、共格の10個の格と、単数、複数、有生、無生の区別があります。
また、名詞には古くからありアプラウトの起こる子音幹名詞と、それより後のものが多くアプラウトの起きない母音幹名詞があります。

アプラウト幹sg. pl. a,e幹sg. pl. o幹sg. pl. i幹sg. pl. u幹sg. pl.
il 1c il ec œl oc il ic yl uc
er ir œr ir yr
o 1ttje etj u otj jy itj u utj
1 2ce jœj í y ý jyj í voj ý
1es 2cah is ih is œx is ih ys yh
1ja 2cey ja jy oja œy ja vja
1ou 2śśo jœy ú ú
aj 1ces ij ís œj œs ij is yj ys
無o 1ssje ja esi oja osi ja isi vja usi
ś 1j ej oj ij y

無生名詞の場合は主格は対格と同形です。
形容詞で修飾する際は、その名詞の語尾に合わせます。
1,2,無については後述します。

数詞 接続形
1 ńérjer ńere
2 hjeńńer hjere
3 jóśer jośe
4 céńńer celje
5 noʒer noʒe
6 úhńer uce
7 pjeśśer pjeśe
8 róśńer rośe
9 ecer ece
10 ńittjer (ń)itje
100 þotjer (þ)otje
1000 adjer (a)dje

数字を繋げるときは接続形を使います。
ただし、次に来る単語が母音から始める場合は語尾のeを無くします。
例えば3863の場合はjośedjerośotjycitjejóśerになります。

代名詞、指示詞 一人称 二人称 これ それ あれ
sg. fou cou cilj cirj kotj sjéu
pl. ó cíś cicʼ koś sjéś
動詞の活用
  第一変化 第二変化 受動
不定 eky uky ekuþ
一人称sg. efj ufj efiþ
二人称 ec uc eciþ
三人称 jéþ
一人称pl. efij ufij efuþ
二人称 ecý ucý ecyþ
三人称 ená uná eniþ
命令sg. jy jy
pl. ja o
  完了 接続法
一人称sg. eb if
二人称 ej
三人称 ó
一人称pl. efi ifu
二人称 ecy icy
三人称 é ja

過去形にするときはアプラウト母音1にします。
完了語幹を作るときは第一変化はC1eC1C2という形にします。
例えば、食べるという意味のsogekyはsesg-という形にします。
第二変化の場合は語幹の後ろに-enを付けます。
例えば、航海するという意味のtógetukyはtógen-という形にします。
また、オグルト語には現在能動、現在受動、完了能動、完了受動の4つの分詞があります。それぞれekośir,2eśyr,1eljeńir,2esjehirです。
現在未完了以外では、受動分詞とコピュラ動詞ákyの完了形や過去形などを使います。
また、過去完了ではákyの過去形+完了分詞で表します

アプラウトについて

アプラウトは通常母音、アプラウト母音1、2、無母音があります。

1 2
a o i
e u a
o e a
i a o
u e o

上で1や2などと書いていたのはこれのことです。(ただし、C1C2の1,2は一番目の子音、二番目の子音を表すものなので違います)

例文

Thaulíbir áfefj.私はタウリービルです。
Ogurutja ófefj sareljeńil.私はオグルトから来ました。
Kotj náńé sogeky lóśir.あれは世界を喰らうだろう。


  1. ハルディス語族とは、コーカソイド系の人々によって、ハルディス(ポルクス大陸南部から中部辺り)で話される屈折語の語族です。大陸から南西のヨロダヌス大陸などで話される、屈折語のハディール語族との関係性があるという説が有力視されています。 

  2. フラタワ語族とは、モンゴロイド系の人々によって、北極圏付近で話される膠着語の語族です。 

  3. かつてゴーヒェ人が広く用いた文字で、ルーン文字の様に直線的な見た目が特徴です。現在ではほとんど用いられませんが、その神秘的な見た目から好んで使う人もいます。 

  4. ハルディスにかつてあった大きな帝国、ノルガスで使われた文字です。その後大陸中に広まり、多くの言語で使われることとなります。 

  5. かつて力のあったエルフの王国ガディバロの、第3代国王シュワナが定めた暦です。 

  6. 中期(13世紀~22世紀あたりまで)後半にハルディス北部を拠点とし、海賊行為や交易などを盛んに行ったゴーヒェ系の人々のことです。ヴァイキングの様な人々を思い浮かべていただくと分かりやすいかと思います。 

  7. アルジェバチュ人の自然崇拝と、オグルト人の多神教の神話が混ざり合ったものです。元のゴーヒェ神話に比べ、精霊などの小さい存在などの信仰が増えています。また、自然への感謝などについて説いた神話も増えています。 

  8. 36世紀に活躍したオグルト学の第一人者です。彼によって力の石の爆発事件以前の資料が多く残されています。 

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