砂粒が窓にあたる音に目を覚ます。
起きて早々、古びたラジオに手を伸ばした。
陽気なラジオMCが今日も火星についての話題で盛り上がっている。地球についてのニュースは長らく聞いていない。
「最近のIMUBでは人工肉てぇのが流行ってるらしい!なんでも向こうには大型の動物がいないから、天然の肉がなかなか食べれないんだとさ。そう考えると地球で暮らす喜びってのも、見えてくるよなぁ…。」
火星移住の成功により地球社会ではより近未来的な社会を目指す風潮が生まれた。
地球温暖化対策もその一つで、国際的な協定により牛の大幅な飼育頭数削減や大規模な火力発電規制、エアコンや冷蔵庫など環境に悪いガスを多く排出する物品の生産制限などが決まった。
この協定は地球上でのみ有効で、火星では適用されない。
ラジオMCの言っていた天然の肉が食べられる喜びというのも、数少ない牛肉の大半が火星に送られる現状からは見出し難い。
地球という星は、火星から見れば利用可能な資源に他ならないのかもしれない。
お題
特定の身分や職業や立場の人間たちが用いている言語を作ってください。
架空の身分や職業でも構いませんし、言語を話せるならば人間でなくても可。
概要
最初、それはただの月からの寄り道に過ぎなかった。
2053年、無人探査機「オリンポス」が火星に着陸
人類は何にも侵されていない星を手に入れた。
彼らはその星を自らの穢れを雪ぐ場所にすることにした。
2055年、国連総会にて火星の土地利用に関する条約「火星条約」が制定され火星での利権が明確になる、それとともに火星での法の整備が進む
2056年、国連総会にて原子爆弾の放棄に関する条約「包括的核兵器全廃条約」が制定される
2061年、火星原子爆弾爆破処理所の建設が開始
2072年、火星原子爆弾爆破処理所が完成
事は順調に運び
2074年、火星で核爆弾の爆破処理が行われる
神秘に包まれた赤い星は地球のごみ箱となった。
そんな時
2089年、火星の磁場の再形成が確認される
核爆弾の爆発によって融解した放射性物質を多く含んだ地盤は地殻へと流れ落ち急速に冷えたコアを温めた。
人類は目を輝かせた。
2140年、火星の磁場が回復する
2143年、国際火星コロニー[International Marsian Unified Base(IMUB)]構想が公開される
2146年、有人探査機「アレース二号」が火星に着陸、同年に火星にロケット発着場が建設される
2148年、火星探査基地[Marsian Research Station(MRS)]構想が公開される
2149年、MRS建造開始
2156年、MRS建設完了、同年から火星居住実験が開始される
2161年、火星居住実験が終了、火星で暮らすことが可能だと証明される
核汚染の暗黒地帯が色濃く残るその星に、人類はまた手を伸ばした。
2162年、IMUB建造開始
2188年、IMUB建造完了
2199年、火星移住が開始
歴史(後回し推奨)
2029年 アメリカでXico社(エクスィコ社)が設立される(二度目の月面着陸に向けた機器開発を行うために設立された)
2030年 イタリアが移民問題によりEU離脱
2031年 Xico社が「project X」を計画、安定した超高出力エンジンの開発を目指す
2033年 国連の手引きによりロシア・ウクライナ戦争の終結における妥協案に関する条約「クリミア条約」に対し両国が合意、ロシア・ウクライナ戦争が終結する、クリミア半島がロシアへの租借地となる
2036年 国連総会にて地球温暖化や生態系保存に関する協定「ニューヨーク協定」が結ばれる
2046年 Xico社がXエンジンを発明、「project X」の完遂を宣言
2047年 中国が先進国として認められる
2048年 中国が先進国であることを否定し先進国の称号が撤回される(先進であることを理由に二酸化炭素排出量の削減を求められたため)、Xエンジンを搭載したロケットの飛行実験が成功
2053年 無人探査機「オリンポス」が火星に着陸
2055年 国連総会にて火星の土地利用に関する条約「火星条約」が制定され火星での利権が明確になる、それとともに火星での法の整備が進む
2056年 国連総会にて原子爆弾の放棄に関する条約「包括的核兵器全廃条約」が制定される
2057年 原子爆弾の放棄に反対する勢力により米国大統領などが暗殺される(英国議員や米国外交官も暗殺された)
2061年 火星原子爆弾爆破処理所の建設が開始
2064年 核兵器の廃棄を拒んだ北朝鮮が韓国へ侵攻、朝鮮戦争が始まる、アメリカ、日本などが韓国へ物資支援をする(日本政府は集団的自衛権の行使を承認)
2066年 北朝鮮が明洞条約に調印し無条件降伏、朝鮮戦争が終わる
2070年 G13が開催され、広島議定書により先進国の核廃絶が確定
2072年 火星原子爆弾爆破処理所が完成
2073年 エジプトが核爆弾を使用し地中海から水を引きカッタラ海を完成させる(1970年代から構想あり(ガチ))
2074年 火星で核爆弾爆破処理が行われる、アメリカにエジプト大統領が拘束され、2ヶ月後に解放される
2079年 大規模な太陽風により通信障害が頻発、それに伴い故障した人工衛星の回収が行われる
2089年 火星の磁場の再形成が確認される
2127年 インドが先進国として認められる
2132年 クリミア半島がウクライナに返還される
2140年 火星の磁場が回復する
2143年 IMUB構想が公開される
2146年 有人探査機「アレース二号」が火星に着陸、同年に火星にロケット発着場が建設される
2148年 MRS構想が公開される
2149年 MRS建造開始
2156年 MRS建設完了、同年から火星居住実験が開始される
2161年 火星居住実験が終了、火星で暮らすことが可能だと証明される
2162年 Xico社などによりIMUB建造開始
2173年 アメリカのオレゴン州で選抜者一時住居地(通称 :地球村)が建造開始
2179年 地球村建造完了
2188年 IMUB建造完了
2193年 「五大陸共同進歩」という標語の下にインターネットでのIMUB移住選抜が開始、エンジニアを中心に総勢1000人を募集した
2194年 応募締め切り、選抜結果発表、それとともに地球村への移住受け入れ開始
2199年 火星間ロケットの第一陣が発射され、火星移住が開始
2204年 IMUB移住選抜第二弾が開始
2205年 応募締め切り、選抜結果発表、それとともに数百人ずつ地球村への移住受け入れ開始
2207年 火星行ロケット第六陣にて移住選抜第一弾分の移住が完了する
2209年 第二火星間ロケットの第一陣が発射される
2216年 火星行ロケット第八陣にて移住選抜第二弾分の移住が完了する
2321年 IMUBにて設備の老朽化により数カ所のガス管が破損・破裂し有毒ガス等が漏れ出る事件が起こる(このころに施設長の概念が生まれ始める)
2342年 IMUB汎用語の正書法が変わる
2366年 IMUB住民の要求によりIMUB汎用語が正式に言語として認定される
IMUB
施設内循環を基に火星での文化的な生活を可能にした階層型都市。外見は太った塔のようで、その外見から旧約聖書に登場する建造物になぞらえてバベルと呼ばれることもある。最大収容人数は5000人。
施設長を中心とした中央管理職によって施設の管理が行われている。
階層は大きく就労層/居住層/プラント層に分かれている。
就労層...企業オフィス/通信局/中央管理郡(特定の役職が施設内を集中管理している)/商店などが位置している。
居住層...一般住居などが位置している。
プラント層...農場/植物園などが位置している。IMUBの敷地面積の約半分を占める巨大な層。
MRS
IMUBからほど近い場所にある探査基地で一般人が立ち入ることは少ない。
探査機などを多く保有しており、宇宙開発に役立てられている。
南極/北極大規模原子力発電局
火星の南極と北極の二地域に存在する大規模な原子力発電所乱立地帯でIMUB内で使用される電気はほぼすべてこの発電局からの電気が使用されている。
人が立ち入ることはなく、定期的な点検も遠隔地から機械を用いて行われている。
暗黒地帯
核爆弾爆破処理の名残である、シンクホールを孕んだ巨大なクレーターのような地形を中心に広がっている地帯。
明確な境界はないがIMUBを本初子午線とした経度を用いて西経115°から東向きに回って東経115°までが暗黒地帯と言われている。
IMUB汎用語
国際火星コロニー(通称:IMUB)内で使用される言語。
火星の低重力により筋力が低下した人々が口頭で使う言語として発達した。
三回の変革期を経て言語としての確立を果たした。
以下ではこれらの例文を用いて変革期での変遷を映し出す。
Look at that blonde motherfucker! He's apparently the president of the United States!
Due to global warming in recent years, polar beers are fermenting.
What a beautiful face. Like a fish.
第一次変革期
多文化多言語が入り混じるIMUBに秩序が生まれ始めた時代。
様々なコミュニティーに揉まれ、言語は最適化された方言へと歩みだす。
[English]←当時のIMUB汎用語の扱い
(2210~2240年代)←変革期の年代
Camon look a tha blonde banned! He's apparenly the presiden of the United States!
[kʌmon lʊk a ðə blond band ˈçiːz apeɹənliː ðə ɸɹeziden ov ðə junaitədː steit͡s]Due to global warmed in recen years, polar beers are fermenting.
[duː tuː ɡloubal ɚːməd in ɹesen jɚːz]Wha a beautiful face. Like a fish.
[β̞a a bjuːtifʊl feis ˈlaik a fiʃː]
第二次変革期
IMUBが一つのコミュニティーとして方言を育むようになった時代。
火星という特異な環境に適応するように、言語は姿形を変えていく。
[English(IGA)] IGA...IMUB General Accent
(2260~2310年代)
Camon look a tha vlond vand! He's afarenly the fresiden ov the United States!
[xamon lux ʔa zə βlond βand ˈçiːz ʔəɸeɹenliː zə ɸɹeziden ʔoβ zə junaitedː steit͡s]
Due to gloval armed in recen years, folar veers ar fermenting.
[zuː suː ɡlouβal ʔaːmd ʔin ɹesen jəːz ˈɸoulaː viːz aː ɸeːmentiŋ]
Fa a veautifur fer. Like a fir.
[ɸa ʔa vjuːtiɸuː ɸeː ˈlaix ʔa ɸiː]
第三次変革期
方言とされていたものが正式に言語と認められた時代。
一つの言語に帰属した一つの方言という地位から脱却を果たした言語はIMUBのアイデンティティとなるだろう。
[IGL] IGL...IMUB General Language
(2340~2380年代)
Xahn luh a za vlond vand! ih'i aferenlih za frezinen oh za Unoired Stseh!
[xaːn luː ʔa za βlond βand ˈjiːiː aɸeɹenliː za ɸɹezinen ʔoː za ʔunoiɹed st͡seː]Zuh suh glohvah ahn in risen ah, fohlah vih ahz fehmentsing.
[zuː suː ɡloːβaː ʔaːn jin ɹisen ʔaː ˈɸoːlaː βiː ʔaːz ɸeːment͡siŋ]Fa a vuhrifuh feh. Loih a fih.
_[ɸa ʔa βuːɹiɸuː ɸeː ˈloiː ʔa ɸiː] _
k>x[x~ɸ]音韻変化(メタ)
p>f[ɸ] b>v[β]
$tV>$sV $dV>$zV
tV>tsV dV>dzV
VtV>VrV VdV>VnV
CtC>CC CdC>C(n)C
ou>oh ai>oi au>ou ei>eh $i[ji]
ui>i ea>eh ue>e ua>a uo>o
ia>a(h) iu>u(h) ie>e(h) io>o(h)
できるなら末摩擦音脱落かつ末母音長音化
語末t脱落 語頭h消失
r性母音>a r性母音$>ah$
j>i Vl>V(h) Vck>Vhx
th>s dh>z
w>u tion>shon wh>f
特殊表現
Hallo
->Ohsahf(英語のOh, sup?から)
Sorry
->Gahseh(日本語のごめんなさいから)
Thank you
->Shurah(ヒンディー語のशुक्रियाから)
そうなの/でしょ?
->ma?(中国語の吗から)
I'm not sure though
->sranxd(日本語の知らんけどから)
勝手にしろ
->On uah eh(英語のOn your wayから)
積み重なった街
->tsounah(英語のtownとtowerから)
infrastructure
->infrah(日本語のインフラから)
Are you/Is he/Is she/Are they
->eh
じゃないよ
->ehn'(英語のain'tから)
all
->jah
Let's
->xahn(英語のCome onから)
〇〇の間に、内に
->en 〇〇(イタリア語のentroから)
クソ野郎
->vand(英語のbannedから)
それだけじゃないよ>I ehn' jah.
過去形はbe動詞以外全て-d
現在分詞は全て-ing
過去分詞は一部を除いて-n
不規則変化の過去分詞
sehx(take)>sehn
lehx(like)>lohx
lohv(love)>livn
vigin(begin)>vigun
vrehx(break)>vrohxn
zuh(do)>zahn
drinx(drink)>drixen
drihv(drive)>drihven
ih(eat)>ihn
ge(get)>garn
giv(give)>givn
goh(go)>gohn
noh(know)>nohn
roiz(rise)>rihzen
shoh(show)>shohn
sing(sing)>sang
spihx(speak)>spohxn
ehx(wake)>ohxen
eh(wear)>oa
roi(write)>rirn
finih(finish)>finen
過去分詞だけで〇〇した事を表す
現在分詞だけで〇〇する事を表す
良く〇〇した(修飾詞)>〇〇eh
良く食べた>ihneh使用例
良く飲んだ>drixeneh
良く食べたか?>eh drixeneh?
〇〇 not>〇〇(n)'
How Why以外の疑問詞は規定の場所に
あれは誰?>Za ih fuh?例
何を食べたの?> Ah uh ih fa?
どこに行くの?> Ah uh goh feh?
he/she>fih(カジュアル)[格変化 fih fah fih fahm]
I'm>O'am
You're>uh'a
He's>ih'i
She's>shih'i
We're>ih'a
They're>zeh'a
It's>ih'
This's>zih'i
That's>zo'i
fih ih>fih'i
〇〇's>〇〇'ohn
今日もまた、風にさらわれた砂粒が窓を揺らす。ただでさえ馬鹿げた協定で地球温暖化が食い止められずにこの頃暑いというのに、目覚めが悪くてたまらない。
そんな自分を皮肉るように、ラジオMCは声を張り上げている。
「今、IMUBで空前の天然肉ブーム!火星のグルメさんによりゃあ、味は似ててもやっぱり天然モノがいいらしい、本物志向なんだなぁ。…」
筋肉は衰え、言語のカタチも変えた口は、肉を噛むことはできるようだ。味蕾ばかり発達したらしい火星人は、地球人の気も知らずに贅沢ぶって肉を食う。地球のために火星を開拓した。火星のために地球があったのではない。地球はIMUBの植民地ではなかったはずだ。
オリエントで穀物の生産が始まり、税が誕生した時から脈々と受け継がれてきたこの虚構のトップダウン式は、宇宙に飛び出した。そして今、我々はまんまとIMUBというトップに屈しているのだ。
いや、違う。我々は数千年の歴史に屈しているのだ、IMUBにではない、火星にではない。そう思えば、この気怠げな生活にも救いが見えるかもしれない。
火星の奴隷として働く、この生活に?
「いももち」Hey, yo. なんとなーく書いたらめっちゃロマンあふれる言語になっちゃった(本意)。しかし、そのロマンとは裏腹に15年で火星の磁場が再形成され始めるという無理のある設定になってる。さらにしっかりとお題に沿ったものをかけているかどうかも怪しい...。まぁ、このIMUB汎用語にてnoveと一緒に言語を作るのは三度目です。二度あることは三度あるとか三度目の正直とかいう言葉があるように、三という数は混沌を孕んでいます。今回のこの言語も3に弄ばれた結果だと、思えば、無理も、ない、でしょう。多少のズルはしましたが、設定の細かさには自信があります。 「nove022」ご閲覧ありがとうございました。今回はサポートを務めました、nove022です。そこそこ設定の凝った作品になったとは思いますが…これ、お題に沿っているのでしょうか?まぁ、いももちが考えたので沿えてなかったらいももちのせいです(擦り付け) 発案・言語・題名・プロローグ等 いももちあとがき
歴史考証・エピローグ等 nove022
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