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オ ェジュルニョェーッ語の名詞:基本事項

動詞{https://migdal.jp/lanva_fez/%E3%82%AA-%E3%82%A7%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%83%E8%AA%9E%E3%81%AE%E5%8B%95%E8%A9%9E-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E4%BA%8B%E9%A0%85-5cn5} に引き続き、名詞の基本事項についてもConsenceからの転載と言う形で纏める。

名詞の構成・曲用

名詞は 語幹+数+格という順番になる。複合格の場合、慣例化した語順に従う。

文法:文法範疇:格

絶属斜能呼、或いは生殺与奪を始めとする27の格がある。オエル語の格は接尾辞と明確な区別が出来ず、しばしば形容詞、副詞、接続詞、古語では動詞にも接続する。

母音で始まる接尾辞が母音で終わる単語に接続し、かつ語末母音が半母音に変化しない場合、接尾辞の語頭母音が脱落する。(呼格と於格を除く)
ex.) nacic⇔wēnoc

-i, -ī で終わる単語に属格が、-e, -ē で終わる単語に斜格が接続する場合はそれぞれ- īc, -ē'となる。
ex.) brī→brīc, tangē→tangē'

また斜格は、-i, -uで終わる単語に接続する場合、それぞれ-yと-wに変える。
ex.) āgbeni→āgbenye', ūlu→ūlwe'
その他の格も同様である。

絶対格:1格:-bix(子音の後では-ix)

・自動詞主語(自分で制御出来ないもの 「震える」や「滑る」など)と他動詞目的語を示す文法格。
ex.1)Savwe kasi xasōbix.
彼は新木を(今)切った。or 新木は(今)切れた。
ex.2)Жevōge yas baшenix dai karonix luƣa'ob.
我々は心の中に怒りと悲しみを有しているものだ。

属格:2格:-ic

・所属を示す文法格。必ず後置修飾する。
・動詞を修飾する格(広く能格や絶対格も含む)を連体修飾語にするために用いる(日本語の「東京へ行く」→「東京へ[* の]移動」のように)。
ex.1) bixat nāelworhwic
宝石の言葉たち(=宝石類の名前のことを指す)
ex.2) savexuswe-tasras ūzatixic Tēcēkoc
彼らの東京に最近(不本意ながら)移動したこと

斜格:3格: -e'

・文語では与格と同義の文法格。
ex.) Ƣiv ge qēka kaiƣe' ƣadyonix.
私はあなたに家を渡さない。

(以下は現代語の用法であることに注意)
※現代オ゛ェジュルニョェーッ語の斜格は、与格と大体の意味格が合流して形成されたものである。
※他の格の支配が指定されていない前置詞の後の名詞は必ず斜格を取る。また方向を示さない格の支配が指定されている前置詞の後の名詞は斜格を取ることができる。
ex.) ēnd(end) ƣadyone' 家から

能格:4格:-∅

・自動詞主語(自分で制御出来るもの 「歩く」や「泳ぐ」など)と他動詞主語を示す文法格。

呼格:5格:-u'e

・呼び掛け先を表す文法格。
・母音の後ろでも例外的に"u"は脱落しない。
・口語では現れない事も多い。
・"旧字旧仮名を使うような日本人"に相当する人間は口語でも呼格を使うだろう。
ex.) Жexluƣa'u'e!
ジョェヘふア゛ッよ!
なお、形容詞に接続すると瞬間的な感情を表現できる。

於格:6格:-uъe

・場所を示す意味格。
・母音の後ろでも例外的に"u"は脱落しない。
ex.) Жaban'uъe
日本で

向格:7格:-ako

・着点の方向を示す意味格。
ex.) ƣadyonako nacic
私の家へ

奪格:8格:-end

・起点の方向を示す意味格。
ex.)Tēcēnd
東京から

通格:9格:-axu

・通過点を示す意味格。
ex.)dāп ƣadyonaxu
大きい家を通って

接格:10格:-op

・接着を示す意味格。
ex.) nacop
私に触れて

内格:11格:-oб

・非接着内側にあることを示す意味格。
ex.) ƣadyonoб
家の中に

外格:12格:-el

・非接着外側にあることを示す意味格。
ex.) ƣadyonel
家の外に

上格:13格:-az

・非接着上方を示す意味格。
ex.) kaiƣaz
あなたの上に

下格:14格:-es

・非接着下方を示す意味格。
ex.) kaiƣes
あなたの下に

側格:15格:-ya

・非接着側面を示す意味格。
ex.) kaiƣya
あなたの側に

時格:16格:-oal

・時間に関する意味格。「~するとき」を言う場合は、従属接続詞のtsadに接続する。
条件法とともに使うと、「もし〜なら」という意味の強調になる。
ex.) aku ntazoal 午前一時に
tsadoal wor ƣiv 私が見ているとき
tsadoal woroni savix もし私が見ているなら

頻度格:17格:-oƣa

・頻度に関する意味格。
ex.) aku vastaƣa 一日毎に
vastaƣa単体では「毎日」という意味になる。

付格:18格:-uпix(付格・欠格的用法)

・付帯に関する意味格。
・with/withoutに相当する
・付帯状況を示す際には従属接続詞のtsadに接続する。

ex.)tsaduпix wor ƣiv 私が見ながら

第一用法(付格的用法) 

付格ともいう。附帯していることを表す
 ex.)lanvaпix 世界と共に

第二用法(欠格的用法) 

欠格ともいう。附帯していないことを表す
ex.)ge-lanvaпix 世界なしに

変格:19格:-wir

・変化先を表す意味格。
・変化させる対象はデフォルトでは絶対格(能格にする場合は [文法:接辞関係:変格・生格・殺格の再帰用法] を参照。それ以外にする場合は連格修飾([文法:接辞関係:連格修飾] を参照)を用いて斜格で指定する)。
・(edder)wir は英語でいうところの to change (絶対格の語) into (edder) という副詞句にあたる
ex.) gles brīwir
冷たい水にすべく

生格:20格:-ati

・得させるものを表す意味格(直接目的語にあたる)。益格ともいう。
・得させる相手はデフォルトでは絶対格(能格にする場合は [文法:接辞関係:変格・生格・殺格の再帰用法] を参照。それ以外にする場合は連格修飾([文法:接辞関係:連格修飾] を参照)を用いて斜格で指定する)。
・(edder)ati は英語でいうところの to give (絶対格の語) (edder) という副詞句にあたる
ex.) tangenē'ati
金を得させるべく/〜の結果として金を得させる

殺格:21格:-atig

・失わしめるものを表す意味格(直接目的語のようなものにあたる?)。生格と対義。
・失わしめる相手はデフォルトでは絶対格(能格にする場合は [文法:接辞関係:変格・生格・殺格の再帰用法] を参照。それ以外にする場合は連格修飾([文法:接辞関係:連格修飾] を参照)を用いて奪格で指定する)。
・(edder)atig は英語でいうところの to make (絶対格の語) lose (edder) という副詞句にあたる
ex.) tangenē'atig
金を失わせるべく/〜の結果として金を失わせる

因格:22格:-eca

・原因や理由を示す意味格。絶対格主語受動文の動作主も示す。他動詞主語を強調するときにも因格 -eca が用いられることがあり、これを「他動詞主語強調の因格」と呼ぶことがある。
・従属接続詞のtsadに接続して句をとることも可能。(口語ではdawi を使うよりも堅めの表現)
ex.)Vāca īluntitixic, satavusaweш ārnokunē пatiduzat nacatic Tsūdelveruъe.
イヌワシが怖くて (=イヌワシたちへの恐怖により)、私達の先祖はツーデルヴェルに住むことを止めたのだろう。

ex.) Tsadeca edarix wor ƣiruvuswe, twavusoдi фes пaotшeca, tsadix nacarix дadжeca ƣirulivexozari zuzikadiv.
私達三人がそれを見たので、王は私達三人が火によって近いうちに殺されなければならないだろうと(高らかに)言った。
※пaotшecaの因格は他動詞主語強調の因格。

具格:23格:-iж

・道具や手段を示す意味格。能格主語受動文の動作主も示す。
・因格と同様、tsadに接続しても使われる。
ex.)savus-фesrasiж ūzic 彼の発言によって
tsadiж фes savus 彼が発言したことによって

配分格:24格:-aшn

・物を分配するとき、その配分を示す意味格。
ex.)Savusaдi qēka Kāsiм шekezādarix жaшn Ibrāye', akwaшn Жexluƣa'e'.
カーシムは3つのチョコレートをユブラーユに2個、 ジョェヘふア゛ッに1個渡した。
tsadと共に用いると、並列の意味を表す。
ex.)Tsadaшn ūz qaksira savigwe, aqih ba.
その男は食べ、その女は作る。

様態格:25格:-ahi(様格的用法・類格的用法(・法格的用法)・等同格的用法)

・様態に関する意味格。

第一用法(様格的用法) 

「~として」のような、立場・任務・状態に関する意味を示す。
ex.) Savi qazatin жex ƣaqēhi. 彼は正しい人として働け。

第二用法(類格的用法)

「~のように」のような、様子が類似していることを表す。
ex.)Ƣivon atinixe жex ƣaqēhi. 正しい人のように生きたいものだが。

第三用法(法格的用法(その1)) 

古代オエル語では能力・目的/意図・可能性を表していたが、早期に消失した。消失後は助動詞を用いてこれらの意味を表す。この場合、動詞をもう一度繰り返して接続する。

quot.) Ghiworusasirag worahi, adeteca kehic ghigeliuswe eliahi.
我は其を見むと思はば見えたるを、汝が妨げたれば許されず。(後ろの-ahiは第四用法)

第四用法(法格的用法(その2)) 

古代オエル語では必要性・義務・許可を表していたが、早期に消失した。消失後は助動詞を用いてこれらの意味を表す。
quot.) 'Ekrūgi krūgahi 'ehal bix.
汝が名を書くべし。

第五用法(等同格的用法) 

類格的用法から派生したもの。集合体や複数事物に接続して、それらの構成事物が互いに等しいことを表す。これらは現代文語では古めかしい表現にしか残っていない。
quot.) Ge жetavirag ƣeznē'ahi, жev idжyahi. 人は等しくないが、苦しみは等しい。

また、これらとは別に形容詞に接続した場合、副詞にする働きがある。
ex.1)жnaм「簡単な」→жnaмahi「簡単に」
ex.2)Saveш elyok tas, balwako жnaмahi жnaм v. 彼は危険にも簡単に注意できるとのことだ。

比較格:26格:-apra

・比較対象を示す意味格。
・チェチェン語などでは何某の事物に似ている、何某の事物の性質を持つという意味も表し得ることとなっているが、オエル語ではそのようなことはなく、ただ単に比較の意味を表すだけである。

名詞に接続する場合は、
比較格「まさに(ちょうど)~と同じ程度である」
側格+比較格「~と同じ位である」
上格+比較格「~より良い」
下格+比較格「~より悪い」
となる。
ex.)'Ev dzur nacapra.
貴方は私とまさに同じくらいバカだ。
'Ev dzur nacyāpra.
貴方は私と同じくらいバカだ。
'Ev dzur nacazapra.
貴方は私よりバカだ。
'Ev dzur nacesapra. (='Ev ge dzur nacazapra.)
貴方は私よりバカではない。
形容詞に格単体で接続すると最上級を表せる。これは、「まさに~と同じ程度である」という本来の意味から派生した用法である(hsosopra「まさしく"良い"という程度だ」→「最も良い」)。
名詞+比較格,名詞で「~と」という意味、ge+名詞+比較格,名詞で「~または」を表せる。なお現代口語ではdai、gegwehに置き換わっている。
ex.)oмapra nan 米とパン
ge nanapra hazoм パンか麦粥

位格:27格:-isш

・「~のために[意に沿って]」(work for の for にも近い)、また「~の支配下で」「~の摂理・規則・法などのもとに」を示す意味格。上下関係は含意するとは限らない。
・連体修飾も可能。
・ugu「自身」と組み合わせることで、「自由人として」(< 自身の意に沿って, 自身の支配下で) のような意味にもなる。

ex.) Twavusoдi ūч ūz brībix nacisш.
彼は私のために水をついでくれた。

ex.) 'Evuxi krūg luneqiмix akwic nirbāghu'isш Ƣezne'bixic.
オエル語文法に則った文を一つ書きなさい。

ex.) Ūzeca ugwisш, twaveш tasite cwarat ūzugwisш ntaznē'ahi.
自由奔放な彼のことだから、いつもの如く彼自身のために動くに違いない。
(自由人としての彼は、いつものように彼自身の意に沿って物事を行うに違いない。)
なお、上の例では、能格項で能格語能格語句強調の因格形を、明示的当然の非受動性能格 -∅ を目的語においている。

口語では前置詞は格支配の別がある。3或いは6格支配は(どちらを使うかは方言による。首都圏方言とウシェルニェク方言は全ての格支配が3格で表される)場所、4格以外の前置詞に関するもので、4格支配は方向に関するものである。このとき、話者の方言によって前置詞の母音の長短、有無が変わる。
ex.)Qrīжban, 'evye qakwir isepexix ж дadжe' ēl ƣadyone'?!
あー、鳥っこ焼いて家の外で食おうぜ!(首都圏方言)
Nrжāqē, чadeca nac salōn qakse', ƣivi duш ko granerestaran.
うーん、腹減ったし、美味えレストランに行きてえな。(ツーデルウェル方言)

なお前述以外の意味格は、tsadの格変化を除き文語文でのみ用いられる。

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