第11回人工言語コンペ(春)には間に合わなかったけど完成はしたので公開しました。
目次
今回のお題
苛烈な気候によって、歴史的に独特の言語や文化が形成されてきた……とある地域。
過酷な気候を持つその地域は、特殊なエネルギー源によって産業革命を成し遂げ、高い生活水準を手に入れたという。
さて、産業革命によってこの地域の言語や文化はどのように変質したのでしょうか?
・過酷な地域の様相について。
(ケッペンの気候区分のA区分,B区分,E区分など)
・気候によって形成された独特の言語や文化。
・特殊なエネルギー源の詳細。
・産業革命による言語や文化への影響。
これらを説明してください。
難し
クーオン地域の文化と歴史
クーオン語はリシュ王国(Lishu Kuninlija)で話される言語である。リシュはミルタ語で太陽を意味する単語である。
リシュ王国はミルタ族のクーオン家により建国された。ミルタ族はリシュ地域の南にあるタラサ地域に住んでいた民族である。タラサ地域に住んでいたミルタ族は東方の遊牧民の攻撃を受けて海や山へ逃げ出し、その一派であるクーオン家とその領民がリシュ地域に行き着きそこにリシュ王国を建国した。
ミルタ族の住むリシュ地域は大陸最北の場所で、とても寒い。寒いとしか形容できないほど寒い。
そこで初め、彼らは洞窟に住み、穴を掘って町をつくることで寒さをしのいだ。
文字の消失と音楽文化の形成
彼らは文字を持っていたが、北へ逃げる時に書物を持っていけなかったこと、町の建設に忙しかったことから失われてしまった。
彼らはこのままでは技術や文化、信仰の継承に支障が出ると考え「歌」をつくった。
文字を何かしら残す手段はないか試みた人もいた。しかし、リシュ地域はとても寒い地域で、紙をつくるための木はないし、動物や木の皮も彼らの丸い文字で書くのは困難だった。
そこで結局歌で歌い継ぐことにしたのだ。
また、歌だけでは寂しいと考えた人々によって、動物の骨などで多くの楽器がつくられた。時代が経つと洞窟で取れる青銅をつかった楽器もつくられた。
そうして、彼らにとって音楽は洞窟内の数少ない娯楽として人気になった。文字の再興
前述の通り、ミルタ族の文字は長い間失われていた。
しかし、人口が増えて町が広がっていく中で次第にまた文字の必要に駆られた。
そこで彼らは象形文字を発明した。象形文字であれば教育を受けておらず文字が読めなくてもある程度の理解ができる。そして、前の文字が抱えていた書字媒体がない問題もこの象形文字は石に刻めるように設計されたので問題なかった。象形文字は洞窟の壁での交通標識の役割や、家畜や人口の管理に役立った。
他にも文字によって技術・曲・物語を口伝する必要もなくなり、様々な分野の研究が進んだ。
文字は彼らの生活を豊かなものにした。クーオン語
ミルタ族はクーオン語を話す。
クーオン語の語順はSVOである。
寒い地域で発達したため、口をあまり開かない音が好まれた。
[音素]
ɪ,ɯ,ɑ,o,e
p,t,k,kh,s,ʃ,x,m,n,ŋ,j,w,l
[発音規則]
アクセントは常に単語の最初の母音に置かれる。
アクセントのある母音は伸びる。ただし、最初の母音の後に二重に子音が綴られている場合は単音となる。ただしshは例外的に1文字とされる。
Moina(モーイナ)ーこんにちは
shとs+j、以外の二重子音は存在しない。ただし他も綴り上では出現する。
これはアクセントの母音が伸びないようにする役割を持つ。
Molle nja isto(モレニャーイスト)ー私は神です
S,P,Kは子音交代が起こる。綴り上でuがついていれば、その音は有声化する。
Sunpumo(ズンブモ) 怠け者
(文字は後から出てきます!)
エネルギー革命
ミルタ族は寒さを避けて長い間洞窟の中に町をつくって暮らしていたが、その暮らしはLishunakula(太陽の石)と呼ばれる石の発見によって大きく一変した。
リシュナクラは緑色をした半透明の美しい石である。
彼らがリシュナクラを見つけたのは町の建設中のことだった。
家を作るための穴を掘っているとたくさんの半透明の石が出てきたのだ。
彼らがその記念にそこで楽器を演奏したところ、不思議なことにその石たちは光り出して、高熱を発した。
彼らは石がまるで神話に伝わる太陽のようなことから太陽の石という意味でその石をリシュナクラと名付けた。
リシュナクラの登場によって彼らは洞窟で使うのにリスクが多い火を使わなくなっていった。
リシュナクラは町の各所に置かれ、その周りで音楽を演奏(aplis)する仕事ができた。この仕事をaplimo(奏者)と呼ぶ。
また、お金持ちたちはこぞって音楽家を雇い、コンロや照明としてリシュナクラを利用した。
それからしばらくしてリシュナクラをもっと何かに使えないかと考えた人々により、蒸気機関が発明された。
蒸気機関は、リシュナクラの発する熱で水を沸騰させてその蒸気で歯車を回すことで回転エネルギーをつくりだす機械である。
蒸気機関は製糸、輸送、自動扉などに使われた。
蒸気機関の発明後、人々は街の外に出る試みを行った。外部の文明との接触に成功し交易が行われるようになった。そのころ外国で風車の回転を電気エネルギーなるものに変える機械「モーター」が開発されていて、それを知ったある研究者がモーターと蒸気機関を複合させることを考えた。結果その試みは成功し、より効率的にリシュナクラのエネルギーを享受できるようになった。
このころ、研究の効率化のために、文字の単純化が行われた。
彼らは象形文字から文字をいくつか選出し、それを表音文字として使うことにした。
象形文字から発生したクーオン文字にはそれぞれ意味がある。
音素 | 単語 | 意味 |
i | isto | 神 |
u | ulin | 温泉 |
a | apto | 棒 |
o | oko | 川 |
e | etu | 旗 |
p | peto | 山 |
t | toko | 池 |
k | koko | 釣り針 |
kh | khati | 湯気 |(有気無声音)
s | solo | 帆 |
sh | sheli | 木 |
h | hamo | 魚 |
m | melis | 吹雪 |
n | niko | 鳥 |
j | jappi | 雪崩 |
w | wonka | メガネ |
l | liko | リボン |
これが現在でも使われるクーオン語のクーオン文字である。クーオンはリシュ王国建国の英雄クーオン・ルーヴァからきている。
この時まではクーオン語はミルタ語と呼ばれていた。
エネルギー革命(Lishnakula Ebenta)でミルタ族の生活水準は大きく向上した。
クーオン語の音素はVとC+Vが基本だったが、エネルギー革命が起きる中で、CやCHVやCjVが出現した。
リシュナクラの力で、諸外国と容易に交易ができるようになり外国人や新たな文化との接触で
語彙が大幅に増えたことによって
新たな音が発生したと考えられる。
まとめ
リシュ王国では、「リシュナクラ(太陽の石)」発見によるエネルギー革命と蒸気機関の発明により、生活水準が向上した。それに伴って文字の改良が行われ、新世界との交流で新たな音素がクーオン語に加わった。エネルギー革命は、リシュ地域の言語と生活を大きく変えたといえるだろう。
おまけ(自己満)
- 感想
正直もうちょっと言語をつくりこめばよかったと感じました。対話形式にするつもりで書いてたのですが、全然間に合わなそうで締切の1時間前に急いでこの形式にしたら間に合いませんでした…(すみません)
次はもっと余裕を持って取り組みます
- 使えなかった諸設定
寒い地域で命を落としたとき、長い間見つからないことがある。そして、それが誰か分からなくなることがあった。そこでそれぞれ違った特色あるリボンをつけた服や帽子を着ることで、誰なのか見分けられるようにした。これは彼らの宗教で死者は名前が書かれた墓に埋葬されなければ天国に行くことができないと考えられていることが大きな要因である。洞窟で暮らすようになってからもリボン文化は途絶えず、クーオン文字の一つ(Liko)になった。
雪原で歩いていると、雪盲という現象が起きる。そこでメガネが役に立つ。これはガラスでできたメガネではなく、動物の骨を削りだして目の位置に2つのスリット(穴)をあけてそこから景色を見るものである。これは光の量を抑え、雪盲の対策になる。また視力が少し良くなる副効果もあった。洞窟内で暮らすようになってからは使い物にならないのでつける人も減ったが、エネルギー革命後はリシュナクラの放つ光から目を守るために技術者や演奏者に着けられるようになった。クーオン文字の一つ(wonka)に選ばれている。
画像元
リシュナクラの石にはそれぞれ特定の周波数があり、それを確認する仕事elikumo(調律師)が出来た。周波数に会うように演奏すると最も効率よくエネルギーを回収できる。これをpalio(共鳴)と言う。
Linjaos meali asse sjale!
(最後まで見てくれてありがとう!)
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