覚え書きにいくつかアイデアをここに投下。使いたい人はご自由にどうぞ
概要と方向性
目指しているエルフ像は、寒冷で湿潤な気候の深い森に住む狩猟採集民族
- 息音・摩擦音が豊富、無声音優位の体系にする
- 鼻音が多い:/m/, /n/, /ŋ/ が語中・語末に現れやすい
- 低・中母音を豊富に:/a/, /o/, /ɔ/, /ə/ など、暗く深みのある母音。母音調和によって響きを良くする
ヒューマンや他の種族の大昔の歴史を数多くの叙事詩にして口伝する
- モーラ(拍)の長短対立を設ける
- 音節構造を規則的に:CVN(子音+母音+鼻音)や CV 型を基本に据える
- トーン(声調)はないが、ピッチアクセントに意味を持たせる
内向的・閉鎖的・他種族に習得困難
- 他言語にない音素や発音規則を入れて、母音調和や子音交替などの形態音韻規則を複雑にする
- 文法的性(grammatical gender)を複雑にして、独特の世界観を作る
- 外来語を受け入れず、抱合的な造語によって近代的な概念を翻訳する
そのほか
- 森に住む狩猟民族なので、オノマトペや擬態語が多い(他の種族には少し直感的でないセンスもある)
- 子音クラスターは控えめ・独特
音韻論と表記
文字体系はまだ考えていない。初学者にとっても、慣れないエルフ文字が出てきたらかなり困ると思う。とりあえず、しばらくはラテン文字での表記法を設定する。
子音
K, J, W, X などはほとんど使われず、外来語のみに出現する。
| 表記 | 音素 | 説明・参考 |
|---|---|---|
| P, p | /p/ | 無声両唇閉鎖音 |
| T, t | /t/ | 無声歯茎閉鎖音 |
| C, c | /k/ | 無声軟口蓋閉鎖音 |
| F, f | /f/ | 無声唇歯摩擦音(英語の f ) |
| V, v | /v/ | 有声唇歯摩擦音(英語の v ) |
| Fh, fh | /ɸ/ | 無声両唇摩擦音(日本語の「ふ」に近い) |
| Vh, vh | /β/ | 有声両唇摩擦音(スペイン語の語中 v に近い) |
| Th, th | /θ/ | 無声歯摩擦音(英語 thin の th) |
| Dh, dh | /ð/ | 有声歯摩擦音(英語 this の th) |
| S, s | /s/ | 無声歯茎摩擦音 |
| Z, z | /z/ | 有声歯茎摩擦音 |
| Hy, hy | /ɕ/ | 無声歯茎硬口蓋摩擦音(日本語の「し」に近い) |
| Ch, ch | /x/ | 無声軟口蓋摩擦音(ドイツ語 acht の ch) |
| Gh, gh | /ɣ/ | 有声軟口蓋摩擦音(/x/ の有声だが割と区別されず) |
| H, h | /h/ | 無声声門摩擦音 |
| M, m | /m/ | 両唇鼻音 |
| N, n | /n/ | 歯茎鼻音 |
| Ny, ny | /ɲ/ | 硬口蓋鼻音(スペイン語 ñ や日本語「にゃ」に近い) |
| Ng, ng | /ŋ/ | 軟口蓋鼻音(英語 sing の末尾) |
| L, l | /l//ɬ/ | 無声歯茎側面摩擦音(注1) |
| ly | /l/ | 歯茎側面接近音(注1) |
| R, r | /r/ | 歯茎ふるえ音(注2) |
注1:L, l は音節頭では歯茎側面接近音 /l/ だが、音節末では無声歯茎側面摩擦音 /ɬ/ になる。これはウェールズ語の ll に近い。音節末で歯茎側面接近音を発音する場合は ly の表記を使用する
注2:R, r は音節頭では歯茎ふるえ音 /r/ だが、音節末では歯茎接近音 /ɹ/ になる。これは英語の er やトルコ語の音節末の r に近い。
母音
| 表記 | 音素 | 説明・参考 |
|---|---|---|
| A,a / A,ā | /a/ /aː/ | 中央低母音 |
| E,e / Ē,ē | /e/ /eː/ | 前舌中母音 |
| O,o / Ō,ō | /o/ /oː/ | 後舌中母音 |
| U,u / Ū,ū | /u/ /uː/ | 後舌高母音 |
| ĕ / — | /ə/ | 中央中母音、長母音なし(後述) |
| I,i / Ī,ī | /i/ /iː/ | 前舌高母音 |
| Ö,ö / Ȫ,ȫ | /ø/ /øː/ | 円唇前舌中母音 |
母音クラスと母音調和
厳格な母音調和ではなく、異なるクラス間を行き来できる中間母音がある。
| クラス | 母音 | 特徴 |
|---|---|---|
| 前舌クラス(F類) | e, ē, ö, ȫ, i, ī | 前舌・円唇前舌 |
| 後舌クラス(B類) | o, ō, u, ū | 後舌 |
| 中間母音(N類) | a, ā, ĕ | どちらのクラスにも属せる |
基本ルール:語根内にF類またはB類の母音が存在する場合、接辞の母音はそのクラスに従う。N類母音のみの語根は後舌クラスをデフォルトとする。
N類母音の振る舞い
a :「強母音」。強勢あり・なし両方に現れる。前後どちらのクラスの語にも自由に共存できる。ただし方向性を持る。
- 語根内でF類と共存 → F類に従う:theān → 接辞はF類 -en , -eth, -ely
- 語根内でB類と共存 → B類に従う:thoar → 接辞はB類 -on, -oth, -oly
- a / ā のみの語根 → デフォルトのB類扱い:āvar → 接辞はB類
ĕ :「弱母音」。強勢なし専用。完全な「透明母音」として、調和規則を一切トリガーしない。
- 語根の調和クラスはĕ以外の母音が決定する
- ĕ自体は接辞に現れない(交替形 e/o のどちらかになる)
- 特殊ルール:語根内にN類(a / ĕ)のみ存在のとき、接辞は a になる -an, -ath, -aly
強勢母音の引力:語幹に母音の不調和があり、かつ無強勢の母音が短母音の場合、強勢が置かれる母音に他の母音の音が引っ張られる。
CÓ.cis → ['koːkɪs]
この場合、二音節目の i (F群母音)が一音節目の o (B群母音)に引っ張られて、わずかに後舌化する。
| 母音 | 強勢要素 | 変化後の音素 | 備考 |
|---|---|---|---|
| e | B群 | [ɘ] | 英語の better の er に近い |
| i | B群, a | [ɪ] | 英語の bit の i |
| o | F群 | [ɘ] | 英語の better の er に近い |
| u | F群 | [y] | 仏語の humeur の hu |
二重母音
二重母音のクラス帰属は第一要素(核母音)で決定する。
| 二重母音 | 第一要素 | クラス | 備考 |
|---|---|---|---|
| aw | a | N類(デフォルトB) | B類語根と自然に共存 |
| ua | u | B類 | B類として振る舞う |
| öa | ö | F類 | F類として振る舞う |
音節構造と音素配列
音節の基本構造は以下の通り
(C)(C) V (C)
- 頭子音(Onset):0~2個。任意
- 核(Nucleus):母音1つ、または二重母音1つ
- 末子音(Coda):0〜1個。制限あり(後述)
音節の重さ:詩の韻律は軽音節(L)と重音節(H)の配列パターンで作る。
| 種類 | 拍数 | 構造 | 例 |
|---|---|---|---|
| 軽音節(L) | 1 | 短母音 + Coda無し | CV: vo, the, na |
| 重音節(H) | 2 | 長母音、または短母音+Coda有り | CVː:vō, thē / CVC:von, thes |
| 超重音節(HH) | 2 | 長母音 + Coda有り | CVːC:vōn, pthēs |
超重音節は、の行内では2拍として数えられるが、行末では3拍として数える。行内に超重音節が連続して続くことは好ましくない。
音節頭(Onset)の規則
単子音Onset:全ての子音が頭子音に立てる。ただし、
- ng は語頭に立てない(音節頭では内部・語中のみ)
- ĕ は語頭音節の核になれない(弱母音のため)
二子音Onsetのクラスターについて、制約あり
| 第一子音 | 第二子音として許容 | 例 |
|---|---|---|
| 閉鎖音 p, t, k | r, l のみ | pr-, tr-, kl- |
| 摩擦音 f, v, s, z | r, l, n, m のみ | fr-, sn-, vn- |
| 鼻音 m, n | r, l のみ | mr-, nl- |
禁止クラスターは以下の通り
- 閉鎖音+閉鎖音:pk-, tp- など
- fh, vh, th, dh, ch, ny, hy は常に単独
例外クラスター(稀に出現)
- mny /mɲ/:語中で頻出。語頭でも稀に出現
- cth /xθ/:特殊な綴り
- chv /xv/:語中で頻出。語頭でも稀に出現
- lv /lv/:l を /ɬ/ っぽく発音
- pth /pθ/:語頭にのみ出現
- thn /θn/:語中で頻出。語頭でも稀に出現
アクセント
基本規則:語根の第一音節に第一強勢。重音節の接辞は第二強勢を持てる。
規則1:第一音節強勢。全ての語根は第一音節に強勢を持つ。接頭辞がつく場合、接頭辞に強勢が移る。
VO.lar → VÓ.lar
a + NA.thos → Á.na.thos
規則2:重音節引力。第二音節が超重音節(CVːC)の場合、強勢が引き寄せられる。
normal: FÁ.ro.mel
rule-2: fa.RŌLN (第二音節がCVːC → 強勢移動)
規則3:規則3:複合語の強勢。二つの語根が複合する場合、第一語根に第一強勢、第二語根に第二強勢。
Coy + caule → CÓy.càule
(forest) (ancient) → ancient forest
ピッチアクセント
強弱だけでなく音の高低も区別する。強勢音節に二種類のピッチを設定。
| 名称 | 表記法 | ピッチ | 文法的意味 |
|---|---|---|---|
| 平声(level tone) | ā | 高→高、平坦 | 中立、叙述 |
| 降声(falling tone) | â | 高→低、下降 | 断定、命令、詠嘆 |
短母音の強勢音節はピッチ対立を持たず、中音域で固定される。ピッチ対立は長母音・二重母音を持つ重音節のみに出現する。また、朗詠の場合、行末の長母音・二重母音は必ず降声になる。短母音の場合は少し低音域になる。逆に、行中点(最も重要な語)以前やクライマックスでは、文法的に降声であっても平声で朗詠されることが多い。
弱音節の振る舞い
強勢のない音節の母音は ĕ に弱化する傾向があるが、全ての無強勢母音が ĕ になるわけではない。
- 無強勢の短母音、かつ開音節 → ĕ に弱化しやすい
É.lev.na → É.lev.nĕ
- 無強勢でも長母音 → 弱化しない(長さを保つ)
- 無強勢でもCoda持ち(重音節) → 弱化しない
- 複合語の第二強勢音節 → 弱化しない
叙事詩の散文的朗読(物語部分)では弱化が起きるが、歌唱・儀礼的朗唱では弱化せず全母音をはっきり発音する=日常語と詩語の乖離
詩と韻律
未定(面白そうだが複雑なのでよく考えて設定したい)
統語と形態
- 基本的な語順はSOV。ただし、強い屈折性と抱合性を伴う
- コピュラ動詞と存在動詞は区別する
- 主に接頭辞、頭位修飾(メタ設定:詩の朗読上、韻 rhyme が定型的にならないようにするため)である
- 法(mode)、相(aspect)、主語の性(gender)、コンバーブに従って動詞が複雑に屈折・膠着する
- 形容詞と副詞の区別がなく、名詞に近い文法的性質を持つ
- 動詞に分詞、動名詞はなく、不定詞がそのまま名詞として扱える
- 抱合的な造語が可能
名詞・形容詞の格変化
名詞には5つの文法的性(gender)があり、格変化が異なる。数による格変化はない。形容詞・副詞は品詞として特に大きな違いはなく、ほとんど様態名詞として機能する。
名詞の文法的性は以下の通り
| 性 | 対象 |
|---|---|
| 人性 | エルフ、理性存在、精霊的存在 |
| 有生性 | 動物、昆虫、森や川など意思あるもの |
| 無生性 | 山、石、実体のある意思なきもの |
| 創造性 | 人工的、道具的、実体のない概念 |
| 禁忌性 | 神的、魔術関係のもの |
それぞれ複雑なニュアンスや揺れがあり、また状況によって同じ名詞でも異なる性を使い分ける場合がある。覚えるしかない。例)
死体 → 無生性
祖霊 → 人性
死者 → 禁忌性
名詞は以下のように活用する(母音調和により e/o か i/u に変化)
| 格 | 人性 | 有生性 | 無生性 | 創造性 | 禁忌性 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主格 | ∅ | ∅ | ∅ | ∅ | ithne- |
| 対格 | e- | e- | ∅ | ∅ | ithne- |
| 与格 | eil- | il- | il- | il- | ithneil- |
| 属格 | es- | es- | e- | es- | ithnes- |
| 処格 | il- | il- | il- | il- | ithiel- |
| 奪格 | eala- | eala- | en- | en- | ithneala- |
| 様態格 | en- | en- | en- | en- | ithnen- |
| 呼格(注1) | - | - | - | - | me- |
注1:最終音節が短母音の場合、ピッチが低くなる。長母音や二重母音の場合、降声(ā → â)になる。
形容詞の比較に関しては、「と比べると超えている」galēa や「劣っている」 mnyas 、「一番である」 anyelve などの形容詞を連用して表現する。
動詞の活用
動詞は以下のスロットが順に連なる形で活用する。
[法接頭辞] - [相接頭辞] - [性接頭辞] - [抱合名詞根] - 動詞語根 - [コンバーブ接尾辞]
法接頭辞
| 法 | 接頭辞 | 意味 |
|---|---|---|
| 直説法 | ∅ | 現実の出来事 |
| 接続法 | si- | 仮定・願望・希求 |
| 命令法 | ep- | 命令・促し |
| 禁止法 | enep- | 不可能も意味する |
| 反実仮想法 | vhen- | 「もし〜ならよかったのに」 |
| 証拠法 | mir- | 伝聞・推定 |
相接頭辞
| 法 | 接頭辞 | 意味 |
|---|---|---|
| 完結相 | el- | すでに完結し今は行なっていない |
| 継続相 | ith- | 進行していて当分継続する |
| 反復相 | re- | 繰り返しまたは習慣的 |
| 開始相 | nihi- | 今していないが近未来に行う |
| 無標 | ∅ | 時制中立・叙述 |
主語の性接頭辞
| 法 | 接頭辞 |
|---|---|
| 人性 | en- |
| 有生性 | ∅ |
| 無生性 | ∅ |
| 創造性 | ∅ |
| 禁忌性 | ithien- |
コンバーブ接尾辞:主動詞に従属する副詞的な動詞節を作る
| 法 | 接頭辞 | 意味 |
|---|---|---|
| 継起 | -ies | 〜してから |
| 同時 | -iene | 〜しながら |
| 原因 | -imlath | 〜なので |
| 逆接 | -impthas | 〜にもかかわらず |
| 条件 | -ivhis | 〜ならば |
コピュラ動詞:書きかけ
抱合の仕組み
書きかけ
構文
構文体系
SOVが基本だが、格標示があるため語順変更はある程度自由がある。ただし、語順には情報構造上の意味が含まれる。
- SOV(基本)→ 中立・叙述
- OSV → 目的語が話題(主題化)
- VSO → 動作の強調、詠嘆、文語的
- V → S省略、O抱合、日常的に最多用
話題化構文:日本語の「は」に相当。文頭に話題格 -mi / -mu を置き、それが主語・目的語・その他いずれを指すかは文脈と動詞形式で判断する。
例)
関係節構文:エルフ語には関係代名詞がない。コンバーブの転用によって関係節的意味を作りだす。被修飾名詞を文中に残したまま、修飾節の動詞にコンバーブを付けて前置する。
例)
補文構文:動詞の不定詞(=名詞として機能)をそのまま対格に置く。補文標識は不要。
例)
疑問構文:疑問詞は文頭に置き、動詞に疑問法接頭辞 ec- / oc- を付加する。疑問詞自体も様態名詞として格変化する。
| 疑問詞 | 意味 |
|---|---|
| hū | 何(人性を想定) |
| hostas | 誰(人性以外を想定) |
| huscu | いつ |
| horma | どこ |
| sin | なぜ |
| sīlom | どのように |
| sidhīa | どれくらい |
態と構文
書きかけ
語彙とカテゴリー
未作成
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