この記事は、夕向奏様の「古代の民族の為のお肉例文 62文」をお借りさせていただいています。
古代語……良いよね。ロマンだよね……。
ただ今回は、現代標準リパライン語で訳してみましょう。なぜなら、古典リパライン語で訳すと面倒な連中によって、命が脅かされる可能性があるためです(?)。
誰しもターフ・ヴィール・イェスカのような顛末になるのは嫌ですしね(??)。
1:私はお肉を食べる。
mi knloan larzi.
2:あなたはお肉を食べた。
(過去という意味で)
edioll co knloan larzi.
ここでは完了態は考慮していません。完了態であれば、 edioll liaxa か edixa を用いる必要があります。
3:彼はお肉を食べている。
(継続しているという意味で)
liaxu si knloan larzi.
4:彼女はお肉を食べ終わった。
(完了したという意味で)
liaxa ci knloan larzi.
現在(正確には時制不定)完了相です。
5:私たちはお肉を食べ終わるだろう。
(きっとそのときには食べ終わっているだろうという推測、もしくは未来予知)
(お肉は複数形、ただ明示しない言語であれば単数でもいい)
jol wioxa knloan larziss.
jol
は「~だろう」という推測や予測を表す助動詞です。今回の場合、「未来予知」という文言があったため、未来完了相の助動詞を用いています。
リパライン語の複数を表す語尾
-ss
は、本来複数ではなく多数性を表す語尾です。また、明示は不要なのですが、今回は訳文の意図を汲み取るために付けておきました。
6:あなたたちはお肉を食べ終わらないだろう。
(きっと食べ終わらないという予測、もしくは未来予知)
(お肉は複数形、ただ明示しない言語であれば単数でもいい)
jol wioxa knloan niv larziss.
先の文の否定です。
7:彼らはお肉を食べられますか?
(可能であるかという確認)
cene siss knloan larzi?
cene は「~できる」という可能を意味する助動詞です。
8:彼女たちはお肉を食べるでしょうか?
(彼女たちがお肉というものを食べるか食べないか予測、未来予知を尋ねる)
jol ci knloan larzi?
9:私の兄はお肉を食べたことがある。
liaxa mi'd viojeffeph lenivifarlo knloano larzi.
「 liaxa 主語 lenivifarlo 行為の名詞/動名詞(V- o )」は経験を意味する構文です。
上記の構文はしばしば冗長であり、文章語では次のように過去時制・結果存続相が用いられることがあります。
edicy mi'd viojeffeph knloan larzi.
10:あなたの妹はお肉を食べることがある。
co'd viojunsarkh flivi'a knloan larzi.
flivi'a 「ときどき」という副詞で表現しました。
11:彼の母親はお肉を食べることはない。
si'd malca knloan niv larzi.
一般的事実の表現に特別に付け加えるものはありません。強意を示したいならば fav 「まったく」や nasteon 「決して」を付け加えるかもしれない。
12:彼女の父親はお肉を食べることはなかったはずだ。
(過去を振り返って、きっとないだろうという予測)
edixu ci'd vixij fav knloan niv larzi.
過去時制・存続相と前述の fav を用いました。
13:私たちの兄弟はお肉を食べられる。
(可能という意味で)
cene misse'd viojaph knloan larzi.
14:あなたたちの姉妹はお肉を食べられない。
(尊敬と否定形で)
cossa'd viojakh knloan niv larzi lu.
リパライン語には複雑な敬語システムのようなものはなく、あえて表現するなら文末に lu を付けるくらいである。
15:彼たちの両親はお肉を食べるはずだ。
jol sisse'd nistamalca knloan larzi.
両親を表す語彙は nistavixij というのもあるが、特に使い分けはない。
16:彼女たちの誰かがお肉を食べたはずだ。
jol Fasfa faller ciss knloan larzi.
jol は文脈によっては「確信」を表すこともあります。
17:これはお肉だ。
(これは話者に近いという意味)
fqa es larzi.
18:それはお肉ではない。
(それは聴者に近いという意味)
fgir es larzi.
19:あれはお肉だろうか。
(あれは話者にも聴者にも近くないという意味)
fgir es larzi.
リパライン語の指示代名詞は、近称の
fqa
と遠称の
fgir
です。中称に当たる領域は後者で示します。
余談(どこかで書いてるかもしれない)ですが、南部ドラヴィダ語派は歴史的変遷として、元々ドラヴィダ祖語に存在した中称を失っています。この際にタミル語では、近称にドラヴィダ祖語でも近称だった /itu/ が継承されたのですが、同語派のトゥル語では /utu/ の方が近称として継承されているようです。
20:お肉は毎日食べられる。
(受動態がない場合は「私」を使って能動態で)
larzi veles knloan fal ecurun.
21:鹿の肉は美味しい。
ydunu'd larzi es doisn.
22:猫の肉は不味い。
kivuju'd larzi es niv doisn.
23:犬の肉は美味しくも不味くもない。
tirova'd larzi es nistadoisn.
24:動物は生肉を食べられるのに、人間はお肉に火を通さないと食べられない。
cene rypis knloan nefaftlaten larzi pelxify larta es la lex'i.
訳しましたが、リパライン語が話される世界観ではめちゃくちゃセンシティブというかアウトよりの発言になってしまいます。
詳しくはこちらをどうぞ。
25:私は神に肉を献上した。
mi xekyd larzi fua tonir.
「献上する」という表現はリパライン語にはないため、「私は神のために肉を失った」と表現しました。人肉は larzi ではなく gekarifew で示すので、恐らく自分の肉を削いでいるみたいな正気度判定的な事象にはならないと思います。
26:神はお肉が好きだそうだ。
(伝聞)
tonir lirf larzi ly.
27:その肉を地面に落としたから、それは食べられなくなった。
larzistan g'unses avimense'l, la lex es niv suiten.
28:私はお肉を食べたいが、今は野菜を食べなければならない。
selene mi knloan larzi pelx deliu knloan xyryx.
29:ああ、世界が全て肉だったらいいのになあ。
ar, als unde sinh lut es larzi.
30:このお肉は新鮮だ。
fqiu larzi es xajldyj.
31:そのお肉は腐っているかもしれない。
jol fgiu larzi es arkirfarven.
32:あのお肉は食べられない。
(好きか嫌いかで表す)
cene niv mi knloan larzistan nil.
「あのお肉は食べられない」という言明に好き嫌いの文脈をいれる必要があったので難儀したが nil という嫌悪を表す相位詞を付け加えました。
33:ここで鹿を解体する。
fqa io kakitercen sneniej.
34:そこからお肉が落ちた。
fgir ler larzi unses.
35:お肉があそこに着いたようだ。
jol larzistan furXvok mol el fgir.
36:どこかにお肉を忘れた。
liaxa mi amolalst larzi fal fhasfa.
「忘れる」と一言で言っても、リパライン語で表現するには色々とありまして、「記憶から忘れること」は
gentuan
,
kenis
,
gennitek
、「置き場所を忘れること」は
is melferterl
、「(本来の持ち物なのだが)持ってくるのを忘れる」は
edixa jol niv (i) -'s letix -'i fanme.
、「(居た場所から移動した際に)置いていってしまう」は
amolalst
といった感じで、少し面倒。
更に面倒な話として、デュイン方言では「置いて来てしまう」ほうも
gentuan
で言い表したりします。紛らわしい!
37:もしかしたら「お肉を食べたい」と言ったかもしれない。
(主語は明記されていないが、私。明示しない言語では明記しなくてもいい)
jol mi lkurf ny la lex. selene mi knloan larzi.
38:どこにもお肉がない。
larzi mol niv als.
39:獣の神に呪われてしまえ!
emiezelfa, rypise'd tonirsti!
40:お肉を食べているのに果実を食べなさいと言われた。
(主語は明記されていないが、私。明記しない言語では明記しなくてもいい)
liaxu mi knloan larzi dlirlo veles xlaiso knloano dyrur.
41:お肉は食べますか?
(日常的に食べるという意味)
liaoll co knloan larzi?
42:はい、食べます。
ja, mi knloan.
43:いいえ、食べません。
niv, mi knloan niv.
44:お肉が汚くなった。
larzi veles tineso.
「肉は汚された」と訳した。
45:神に肉を献上しろ。
(命令)
shrlo marvel larzi el tonir.
46:あの子にお肉を分けてあげなさい。
(柔らかな命令形)
vaxelf larzi el la lex'd selun.
語調によるので、字面では判断できない。
47:どの肉も食べるな。
(禁止)
fe knloan als larzi.
「すべての肉を食べるな」と訳した。
48:肉を食べさせられそうになったが、なんとか食べずに済んだ。
jol ni celes knloan larzi pelx edixa mi knloan niv la lex.
49:私は宗教的に肉を食べることが禁じられている。
fe mi knloan larzi fai tvasnarl.
50:お肉を食べたいなあ。
(主語は明記されていないが、私。明記しない言語では明記しなくてもいい)
selene mi knloan larzi ja.
感嘆は教科書的には esm で表現しますが、ここでは語調が強くなりすぎると感じたため ja を用いました。
51:野菜は食べたくないなあ。
(主語は明記されていないが、私。明記しない言語では明記しなくてもいい)
selene niv mi knloan xyryx ja.
52:どれも私の口に合う肉ではなかった。
liaxa als larzi felifel es niv fal mi.
「すべての肉が私にとって好みではなかった」と訳した。
53:食べたくないのに、お肉を食べさせられた。
selene niv mi knloan larzi pelx ni celes knloano larzi.
「私は肉を食べたくないが、彼・彼女は肉を食べさせた」と訳した。
54:自分自身で肉を解体する。
(中動態か再帰代名詞がある言語はそれを使って)
mime kakitercen larzi.
リパライン語には中動態は無く、再帰代名詞というカテゴリもありませんが、代名詞に -me という接尾辞をつけた単語が近い意味を表します。
55:肉が自分自身を解体する。
(再帰代名詞がある言語はそれを使って)
larzi kakitercen untirk
56:肉を食べさせあう。
(交互に使役することを表す)
miss celes miscaon knloano larzi.
「私たちは互いに肉を食べさせる」と訳した。
57:自ら望んで肉を食べた。
(あくまで自発的な意味を表す)
mi knloan larzi fal untirk.
fal untirk が「自発的に」を意味する。同じく辞書に「自発」と書かれている tena はむしろ自身の意志ではなく自然にそう至ったことを意味するため、表現の意味が異なるため、注意が必要です。
58:その時肉を食べたかもしれないし、食べなかったかもしれないが、今となっては分からない。
jol edixa mi knloan larzi fal liestustan pelx no io qune niv mels la lex.
「そのとき肉を食べたかもしれないが、今それについては分からない」と訳した。
59:肉を食べましょう?
(勧誘する意味で)
lecu miss knloan larzi?
60:はい、いいですね。
ja xace.
61:いいえ、お断りします。
niv xace.
62:動物を狩ることは食料を手に入れる行為であるし、同時に山の神に祈りを捧げるのと同じだ。だから私は無闇に狩ることを許さない。
ajervino rypis m'es icveo knloanerl, ilceon es dalle tvarcaro el licxa'd tonir. mag, mi pan niv cern ajervino.
諸々があって、結構時間が掛かってしまいました。
初めて公開予定のTRPGシナリオ「希死言語のグリーフワーク」の書き直し版も段々出来てきて、Pixivに載せられそうです。こちらの方に関しても、過去ログを以前の形式で記事にしたいところです。
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