Migdal

デナスティア語の使役構文についての「考察」

はじめに

 本日はデナスティア語の使役構文について紹介します!

 ……となぜこんなテーマで書くことにしたかといいますと。 昨日「らんらん」と呼ばれる人工言語界隈民が集まる某discordサーバーで、とある方のとある言語の構文についてのお話で盛り上がりまして。
 さざんかは真夜中になって布団に入ったのですが、その話の続きが今朝まで続いていたらしく、私が起きてからばったりとそこに出くわしてしまったのですよね。

 というわけで、そこで話されていたのが二重使役構文やら色々なことでした。そこで思い出したのです「デナスティア語の使役構文についてmigdalに書いてなくない?」と……!

 というわけで、今回はデナスティア語の使役構文の基本について説明していきたいと思います。思い立ったが吉日! なせばなる!

使役構文のnase

 というわけで、デナスティア語の使役構文について説明していきたいと思います。そしてこの使役構文ですが、最も基本的な動詞がありまして、その単語とは「nase/nas/(作る)」です! なせばなるとダジャレ狙ったでしょ、ですって? はい狙いました……。

 英語がmakeを使うのと同じで、作るを使うのが基本です。ではまず基本の使役構文について見ていきましょうか。

Ja nasnes cjao klaust omle.
私は彼にりんごを食べさせた

 まず前提として「ja:私(主格)」、「cjao:彼、彼女(対格。ここでは訳の面倒くささの関係上彼に統一しています)」、「omle:りんご(単数)」です。そして、nasnesはnaseの一人称単数過去形で、klaustは「klaue:食べる」の現在分詞の「語幹用法」です。
 分詞幹ですがこちらにあるように、後ろに直接目的語があるから分詞幹用法になっています。ただし、直接目的語を取らない場合は以下のようになります。

Ja nasnes cjao klaustoi.
私は彼に食べさせた

Ja nasnes cjeo klausteo al omle.
私は彼らにりんごは食べさせた

 直接目的語がなければこのように後置修飾形になり、修飾される名詞(代名詞)の数に一致することになります。直接目的語があっても、前置詞alと一緒にして間接目的語にした場合も同じ感じです。

二重使役構文

では、二重に使役する場合……例えば「私は彼にLitiaにりんごを食べるように言わせた」とした場合、どうなるでしょうか。というわけで答え出します。

Ja nasnes cjao jaustoi feu Litia klaust omle.
私は させる 彼に 言うもの ~に Litia 食べる りんご

 もうめんどうくさくなったので逐語訳です。
 で「私は彼にLitiaにりんごを食べさせさせた」みたいな文の場合。

Ja nasnes cjao nast Litia klaust omle.
私 させる 彼に させる Litia 食べる りんご

 はい。分詞形を重ねていくだけです。非常にシンプルですね。覚えやすいですね(過言)! でも実際事実だから仕方がありませんね(自身過剰すぎる)

「~させられた」の時

 では「私は彼に食べさせられた」と言いたい時はどういえばいいかといいますと(「い」が多すぎる)。

Ja das nasent klaustoi jili cjao.
私 である させられた 食べるもの ~によって 彼

 まずnasentというのはnaseの受動分詞幹で「da+受動分詞」という形が受身の意味を示します。
 で、普通の受動態の場合以下のようになるという例をひとつだけ見ておきましょうか……。

Ja das klauntoi jili cjao.
私 である 食べられたもの ~によって 彼

 だいぶ猟奇的な例文ですが、そこは気になさらないようにしていただきまして……。「klauntoi」はklaueの受動分詞で、かつ直接目的語がない場合の形だというところまでは大丈夫ですか? 主語の数にあわせて-oiや-eoがつくのは能動分詞と変わりません。

 言ってしまえば-stや-ntが動詞の語尾、-oiや-eoが目的語代わりみたいになっているわけです。

 ……ということを頭に入れていただいて、先ほどの例文に戻るとしましょう。

Ja das nasent klaustoi jili cjao.
私 である させられた 食べるもの ~によって 彼
(私は彼に食べさせられた)

 この文でいえば、nasentは直接目的語が後ろにあり、klaustoiは後ろに直接目的語がない判定になっています。つまり、分詞は目的語になることができる(というか実は実質名詞判定)……というわけでこのようになっております。

 ではでは「私はLitiaによって彼によってりんごを食べさせられた」みたいな二重受動使役ならどうなるかといいますと……。

Ja das nasent klaust omle jili cjao nasentoi jili Litia.
私 である させられる 食べる りんご ~によって 彼 させられるもの ~によって Litia
私はLitiaによって彼によってりんごを食べさせられた

 ……はい。このようになります。「りんごを食べさせられた」なので「nasent klaust omle」と直接目的語あり判定の分詞が二連続しています。その後は延々と「~によって」が続いていますね。「cjao彼」もまたLitiaによってさせられているという二重の使役受身になっているので、naseの受動分詞(直接目的語なし)が来ています。

 ではではでは、「私はLitiaによって彼にりんごを食べさせさせられた」みたいな構文はどうなるかといいますと。

Ja das nasentoi al cjao klaust omle jili Litia.
私 である させられたもの ~について 彼 食べる りんご ~によって Litia

 ……もう複雑で嫌になってきますね。「私」はLitiaにさせられる、つまりnaseの受動分詞のnasentが必要になってきます。で、受動文には直接目的語が取れないという欠陥ルールがありまして、

① *Ja das nasent cjao klaust omle jili Litia.
  ↑これはだめ(なお方言によってはOK)

② Ja das nasent klaust omle feu cjao jili Litia.
  ↑やや変かも(話し言葉ならありがち)

 ……となってしまうんですよね。というのも、受動文の基本は「A da B」というコピュラ文というところにあるためだったりします。そして、AはBという動作をされる目的語であって。つまり、その目的語が主語になっているわけで。
 ……とにかく、直接目的語だったものは主語になっているので、受動分詞の直後に直接目的語を伴うことはありえないという解釈になるのです。

 ①はcjaoが直接目的語と受け取られ、この受動文のルールに抵触します。
 一方、②はいちおうklaustという分詞でありながらもいちおう動詞を挟んでいるのでOK……となるかといいますと完全にはOKになりません。
 というのも「feu cjao」が出てくるまでは「私が食べさせられた(食べたのは私)」という解釈が生じる余地がおおいにあり、feu cjaoと出たところでklaustする人が変わってくるので、聞き手側からすれば「おいおい」となってくるわけです。特に書き言葉だと「ヘン」という母語話者が多いようです(さざんか調べ)

 まあ完璧なのは最初の前置詞alを使うパターンなんですけどね。「直接目的語なんてありませんよ!」という顔をするのが一番。これにつきます。

おわりに

 というわけで、今回はここまでです。いかがでしたか?
 (まとめサイト風に)

 実はタイトルにも「考察」とある通り、作者の私も明確な部分は分かっておりません(こら)。そのため、今後ガラリを起こす可能性はあるわけです(は???)。

 また、今回は最も基本的なnaseを例に挙げてきましたが、他の動詞でも使役構文に使用できるものがあります。地味にニュアンスが違ったりするので、そのあたりはまたいつか紹介できたらな……と思います。

 そんなこんなで今回はこのくらいで。お読みくださった皆様、ありがとうございました! また次の記事でお会いしましょう!

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