0. お題
邪神、悪魔、亡霊、悪鬼…この世に存在する邪悪な者たち。
その邪悪な存在と交信し、召喚するのに使われるのはある特別な言語。
さて、それはどんな言語でしょうか?邪悪な存在に関する神話や伝説の体系と、交信や呪文に使われる言語を作り解説してください。
ただし、もし「本物」を召喚してしまった場合は自己責任となりますのでご注意を…
1. 召喚術とは
召喚術とは一般に悪魔と呼ばれる存在を一時的に現世に呼び出し特定の行為を実行してもらう術である。召喚術を使うには予め悪魔と契約して権限を取得しておく必要がある。また召喚する度に対価を支払う必要がある。対価はマナが一般的であるが、宝石類や生物を生贄にする場合もある。
2. 召喚術式の構造
召喚術式は以下に示す構造となっている。
1.召喚対象への呼びかけ
2.召喚者の名前と権限の明記
3.召喚して実行してもらいたい内容
4.対価の提示
5.末尾
3-1. 召喚対象のランク
召喚対象である悪魔にはランクが存在する。
下級悪魔は個体名が与えられていない悪魔である。契約の際は一族と契約することになり、呼びかけでは一族の名前で呼びかける。一族の内で手の空いている者が召喚に応じる形となる。
中級悪魔は個体名を持っているが、二つ名を持っていない悪魔である。一族の長がこのランクに該当していることが多い。したがって、呼びかけの際は「xxx族の長、xxx」のように言うことが多い。「xxx族の長」の肩書は無くても形式的には問題ないがやや礼節を欠くため、急ぎでない限りは肩書を付けたほうが無難である。
上級悪魔は個体名に加えて二つ名を持ってる悪魔である。この場合は、呼びかけには二つ名を添えるのが丁寧な呼びかけとなる。急ぎでない場合なら二つ名を添えるべきなのも中級悪魔と同様である。(そもそも、上級悪魔に添えていた二つ名の習慣が中級悪魔にも伝播したというのが歴史的な経緯である。)
最後に、最上級悪魔の場合であるが、ここには記述しない。本書は入門書である。召喚術に長けていない者が安易に最上級悪魔に手を出すのは非常に危険であるためだ。ただし、入門者として必ず知っておくべきこととして、最上級悪魔の個体名を直接口にして呼び出してはいけないということだけは記しておく。
3-2. 呼びかけに関する文法
呼びかけには呼格を使う。呼格は原則 -o を末尾に付ける。名前が子音終わりの場合はそのまま -o を付け、母音終わりの場合は末尾の母音を取り除いた上で、 -o を付ける。
下級悪魔の場合は、多数いる悪魔の中から一体に依頼することになるため、不定単数冠詞である "wan" を名前の前に添えることに注意したい。これを忘れてしまうと、不特定多数の下級悪魔を呼び出すことになり、術式が暴走してしまう。
中級以上の場合は、固有名には特に冠詞は添えなくて良い。ただし族長の肩書や二つ名は特定名詞になるため定冠詞 "ni" を付けることになる。
4-1. 召喚者の名前
特に注意する点はない。自身の名前を口にすれば良い。自身に二つ名がある場合は、それを添えても良い。よく知られた名であれば召喚術の成功率が高まるからである。
4-2. 召喚権限の明記
契約した際に実行できる範囲や制約が存在する。このような条件を権限と呼んでいて、これを読み上げることになる。例えば「一日に20lukaまでの制約に従い依頼する」などと言った具合である。(ここで、 "luka" とはマナ量の単位である。)
なお、契約した際の契約名や契約日時を添えると成功率が高まる。悪魔側が契約時のことを思い出す手助けとなるためである。
5-1. 実行内容の記述
実行内容はとにかく正確に述べる必要がある。そうでなければ、意図しないことを実行される可能性がある。悪魔にもよるが、記述を曲解した内容で実行することもある。また悪魔によっても記述の解釈の癖があるため、何回か試して記述を修整していくのが良いだろう。
5-2. 実行内容に関する文法
実行内容の記述の際は、動詞の法(mood)に注意しなければならない。召喚者のランクと悪魔のランクを相対的に見比べて適切な法を選ぶ必要がある。
悪魔側のランクが十分に低い時は命令法を使う。下手に謙った表現を使ってしまうと、悪魔側がま舐めた実行をする可能性があるためである。
召喚者と悪魔のランクが同程度の場合は、「〜するべき」などの意味を表す助動詞 "jo tawa" を使う。これにより、「契約に従い、あなたは〜しなければならない」という中立的な表現になる。
悪魔側のランクが大きい場合は、「~することは可能でしょうか?」という疑問文を使うことで、直接的な命令を避ける。可能を表す助動詞は "ken" である。また平叙文はSVOの順序であるが、疑問文の場合は動詞の一部とSの間で倒置が起きるので、語順が色々変わってくることに注意。
6. 代償の記述
これも実行内容の記述と同様で、曖昧さを無くし正確に記述することが重要である。と言っても、マナ量などて記述することが多いためあまり認識齟齬が起きることは少ないが。過去に「俺の人生の半分をくれてやる!」と勢い余って曖昧に表現したところ、右腕と左脚を代償に持って行かれた術者が居たが……
7. 末尾の言葉
最後に締めの言葉を言って、術式が終わったことを明示するのが慣例となっている。普通の締めの言葉は「早めにお願い」である。これは慣用表現となっており、本当に早めにお願いと思っていなくてもこのように言う。本当に急ぐ場合は「お急ぎ便で」と言うこともある。最近は悪魔業界も忙しいようで、急がない場合は「ゆっくり便で」と言うと、代償を割引してくれるようなので、試してみるのも良いだろう。
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