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サルカズ語の研究2:音韻

サルカズ語の音韻を探るうえで、先ず必要なのが資料に含まれる文字の数である。
サルカズ語の表記に使われているサルカズ文字はラテン文字と一対一対応をするのと、サルカズ文字に対応したフォントが無いため、ここからはラテン文字転写で記述していく。

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図1:サルカズ文字の対応表、Gameslink様のアークナイツ:エンドフィールド攻略通信より引用
(https://gamesink.net/endfield/articles/348)

①使用されている文字

現在確認できるサルカズ語の資料を分析すると、使用されている文字は以下の通りである:
a b č d e f g ğ h i j k l m n o p q r s š t u v w y z '
このうち、'は発音に関係しないものと考えられる(理由は後述。次項以降に記す)。
また、kk,ss,zzなどの重子音、phなどの二重音字が確認できる。

②音韻構造

認められる音節構造は、V,CV,VC,CVC,VCC,CCV,CCVCの7つである。

③母音

殆どの場合母音は単独で存在しているが、二つの母音が並んでる場合でも二重母音か母音連続かは区別が出来ない。基本的にはa,e,i,o,uの五母音が使われているが、魔王イレーシュの綴りが Yliš であることから、a,e,i,o,u,yの六母音が正確であろう。
なお、正確な音価は不明である。ここに挙げているのは便宜的なものであり、実際のサルカズ語の音ではない可能性が高いことを強く示しておく。

前舌 中舌 後舌
i, y/i/,/y/ u/u/
中央 e/e/ o/o/
a/a/

図2:サルカズ語の母音

④子音

pとb,tとdなどの対比関係から、サルカズ語は有声/無声対立があることは明確である。この事実を用いることで、音価が分からない子音字の音価を推定することが出来る。ここでは、ハーチェク付きの子音などの音価を推定していく。

1.čの音価
魔王クィサルトゥシュタの従者クァリドチョアの綴りQalid'čoaから明らかに/t͡ʃ/や/t͡ɕ/などの無声歯擦音であることは明確である。

2.ğの音価
無声音q/q/に対応する音価を考えると、/ɢ/であると言える。

3.jの音価
サルカズ語ではiutor(公開求人)のiが/j/の音を表しているように見えるので、šやčに対応する/ʒ/や/d͡ʒ/、もしくは/ʑ/や/d͡ʑ/であろう。

4.šの音価
ウィシャデルの綴りWiš'adelから/ʃ/か/ɕ/であることは明らかである。

 
両唇 唇歯 歯茎 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂 声門
m/m/ n/n/
破裂 無声 p/p/ t/t/ k/k/ q/q/
有声 b/b/ d/d/ g/g/ ğ/ɢ/
ふるえ r/r/
破擦 無声 č/t͡ʃ/
有声 j/d͡ʒ/
摩擦 無声 f/f/ s/s/,š/ʃ/ h/h/
有声 v/v/ z/z/,j/ʒ/
接近・側面接近 l/l/ w/w/

図3:サルカズ語の子音

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