私が作った人工言語ランディは「世界で最も簡単な言語」を自称する数々の言語の中の1つです。
さて、そもそも私は何故ランディを作ったのでしょうか?私は中学生の頃、誰にも読めない自分だけの文字を作って秘密のメモを書きたい…という願望がありました。その願望はどんどん膨らみ、文字だけではなく、誰も知らない自分だけの単語、文法、言語を作りたい…と思うに至りました。なぜなら、日本語も英語も難しいし合理性に欠けている…、言語ってもっと簡素化できないのかな?という思いがあったからです。
結果的に、合理的で簡素な文字の作成には成功したものの、言語それ自体の作成には挫折し、やがて言語作成への意欲もなくなり、そのまま年月が経過し、結婚し、子どもを育て、平凡な生活を送ることになりました。
ところが、ある日、私が遥か昔に作っていた言語のメモを見て、こう思ったのです。今なら、もっと簡単で、もっと優れた言語を作れるかもしれない。いや絶対に作れる。作らなければならない。…そして、わずかな制作期間で、ランディを作り上げました。
さて「簡単な言語」とは何でしょうか?単語数が少ない言語は「簡単な言語」と言えるでしょう。でも単語数が2個しかなく、0と1の羅列から意味を読み取るならば、それは簡単とは言えないでしょう。単語数には、丁度よい「少なさ」があるはずです。
さて「簡単な文字」とは何でしょうか?7セグで表示できる文字は「簡単な文字」と言えるでしょう。7セグで表示可能な127パターンのうち、文字として使えそうなものは90パターンほどあります。数字や符号などに20種類ほど必要なので、表音文字として使えるのは70種類ほどになりますが、これだけあれば文字としての種類は充分ですし、すべての音節(子音+母音)に1文字を対応させることも可能です。もし、単語数が70程度の言語を作れば、すべての単語を1音節にし、7セグ1文字で表示することができます。
しかし、わずか70程度の単語数で、言語が成立するでしょうか?単語数が少なくて有名な人工言語にトキポナがありますが、その単語数は120です。優秀な知能と豊富な知識をもった言語学者が、絞りに絞った結果の120語ですから、これをさらに絞るのは困難でしょう。
そこで私は、70の音節の各々に n を付けて、音節数を2倍にすることを思いつきました。たとえば、ta, ti, tu, te, to の各々に n を付けると、tan, tin, tun, ten, ton になります。これらは7セグ1文字では表示できませんが、1音節です。これで、単語数140程度(全単語1音節)の言語を作ることができます。
でも、これでは n の出現頻度が極端に高くなってしまいます。もし文中に、tas, tis, tus, tes, tos や tal, til, tul, tel, tol のような音節が混在していれば、相対的に n の出現頻度を減らせます。たとえば、主格を表す助詞(~が)を s と定義すると、「taが」は1音節 tas になります。「tanが」も1音節 tans になります。この方法を使えば、n の出現頻度を相対的に減らせると同時に、言語がもつ冗長性を極限まで排除し、圧縮することができます。
このような過程で、ランディは誕生しました。ランディは136個の単語と簡単な文法から成り立っている人工言語です。誰でも簡単に学べます。よろしければ、ブログ記事をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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