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テー語解説・発音編2「末子音と鼻母音・声調」

今回は末子音と鼻母音・声調について学びます。

末子音と鼻母音

テー語の末子音にはm, n, ŋ(ng), p, t, k, ʔがあります。
末子音によって母音の質が変わったりすることはありません。

-m…「あんみつ」というときの「ん」の音。両唇をあわせて(口を閉じて)「ん」と言います。
単語例…aâm「山」 aàm「山々」

-n…「あんず」というときの「ん」の音。舌を歯茎のうらにつけて「ん」と言います。
単語例…phín「大昔」 waān「鼻」

-ŋ(-ng)…「あんこ」というときの「ん」の音。舌の根っこを奥の方へ持ち上げて(?)「ん」と言います。
単語例…hiòng/jɔŋ˨/「食事」 tióng「隠れる、まぎれる、引きこもる」

-p…「かっぱ巻き」というときの「っ」の音。両唇をあわせて(口を閉じて)「っ」と言います。閉鎖は開放しないので「ップ」みたいな音は出ません。
単語例…haap「名乗る、名付ける」 ngip「とても」

-t…「なっとう巻き」というときの「っ」の音。舌を歯茎のうらにつけて「っ」と言います。閉鎖は開放しません。
単語例…bóut「使う」 faet「4」

-k…「てっか巻き」というときの「っ」の音。舌の根っこを奥の方へ持ち上げて(?)「っ」と言います。閉鎖は開放しません。
単語例…baék「紙」 seek「豚」

-ʔ(h)…この音は大変な音です。後に何の音も来ないで「あっ」と言ったときの「っ」に近いです。ahという音節は単に短い「あ」に聞こえるかもしれません。歴史的には、末子音-p, -t, -kを持つ単語のうち頻度が高いものが変化したものです。
語頭や語中および文頭・文中(詳細未定)では、声調はそのままで-ʔが消滅することに注意してください。
単語例…huah「大きい、えらい」 che:h「子供」

また、テー語には鼻母音という特殊な母音もあります。

鼻母音(Vnn)…この音は大変な音です。母音を鼻にかけて発音します。「ん」という音が聞こえてはだめで、あくまでも末子音のない母音を鼻声で発音するイメージです。歴史的には、末子音-nを持つ単語のうち頻度が高いものが変化したものです。
単語例…pānn「~である」 mînn「人」

母音の長短の区別…-m, -n, -ŋ, -p, -t, -kを持つ音節ではɑ, eに長短の区別があります。また、これらの音節ではɛ, ɔを長く発音し、それら以外の母音はすべて短く発音します。

声調

テー語に特徴的なのが声調です。声調とは説明が難しいですが、音節の中での音程の上下です。日本語とは違って、1音節の中で音が上下することがあります。
テー語の声調は以下の通りです。

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第1声(â)…中くらいの高さから一番下までおろします。五度式(一番高いところが5,一番低いところが1)では31です。第2・3・4・7・8声よりも短く発音されることが多いです。
単語例…aê「多い、(確率や可能性が)高い」 thuâ「いいにおいがする、おいしい」

第2声(ā)…一番上の高さで平らにのばします。五度式では55です。
単語例…sm̄「最高の」 tēnn「問題がない、体調が良い」

第3声・第6声(à・at)…一番下よりは少し上の高さで平らにのばします。末子音が-p, -t, -k, -ʔのときは第6声で記号は何もつけません。それ以外のときは第3声です。五度式では22です。
単語例…hà「心、気持ち、特徴、柱」 faet「4」

第4声(a)…中くらいの高さで平らにのばします。五度式では33です。
単語例…ko「土、地面、土地」 neem「人生、命、肉」

第5声・第8声(át・á)…一番上より少し低いくらいの高さから一番上まで上げます。末子音が-p, -t, -k, -ʔのときは第5声、それ以外は第8声です。五度式では45です。
単語例…bóut「使う」 lé「5」

第7声(ǎ)…一番下より少し高いくらいの高さから一番下まで下げます。五度式では21です。
単語例…laěng「生み出す、作る」 ndǎnn「石」

なお、テー語に連続変調の類はありません。

発音の揺れについては、設定がまだ練り切れていないためまたの機会にご紹介します。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

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