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夕向奏
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第11回人工言語コンペ提出作品「ヴァラール語、またそれに付随する世界観について」

【この記事は第11回人工言語コンペ参加作品です。】

どうも、こんにちは。
久々のMigdalで何を書いて良いかわからない夕向奏です。

ただいま風邪っぴきになりながら必死こいてこの記事を書いております。

多少語彙が変なのはそういうことだと思って見逃してください。

さて、無理に話題を捻り出してもしょうがないので手早く本題にいきましょう。
今回のお題は以下の通りでした。

苛烈な気候によって、歴史的に独特の言語や文化が形成されてきた……とある地域。
過酷な気候を持つその地域は、特殊なエネルギー源によって産業革命を成し遂げ、高い生活水準を手に入れたという。
さて、産業革命によってこの地域の言語や文化はどのように変質したのでしょうか?
・過酷な地域の様相について。

(ケッペンの気候区分のA区分,B区分,E区分など)
・気候によって形成された独特の言語や文化。

・特殊なエネルギー源の詳細。

・産業革命による言語や文化への影響。

これらを説明してください。



……えー、一言いいですか?




なあにこれえ……?




前回参加した時も「難解なお題だなあ」と思っていたのですが、正直今回はそれを上回るレベルの難解なお題です。

ていうか人工言語あんま関係ない

人工言語以外にも比重が置かれますね……

さて、じゃあヴァラール語の前に、ヴァラール同盟連邦について色々説明していきとう思います。

まずは以下の地図をご覧ください。

地図

仮にこの世界を凍結世界と名付けます。
この凍結世界の世界地図であり、青いところが今回の舞台、「ヴァラール民族同盟」もとい、「大ヴァラール帝政連邦」「レフェアン・ヴァラール連邦」、また「ヴァラール民族同盟連邦」と言います。

次に下記の地図をご覧下さい。

気候区分図

これはこの世界の気候区分ですが……ちょっとなにかがおかしいですね?

そうです、これはケッペンの気候区分図ではなく、ウォベフの気候区分図と言います。

これはヴァラール民族同盟出身の気候学者ウォベフ・ヴァリギメフもしくは、ウォベ・ヴァリギメ(Wonmev=Valitknimev/Wobe=Valigime)が考案した気候区分図……という設定です。

今回はこの気候区分をざっくりと説明していきます。言語にあまり関係がないので。

まず、この世界には熱帯がありません。
そのため一番暖かい気候はK気候、もしくはE気候となります。

温潤で暖かいとなるとK気候しかありません。そのため、この世界ではマングローブなどの熱帯林はありません。

E気候は乾燥帯です。ただし、EIfで年平均気温が10度以上と決められています、そのため、現実の砂漠よりもはるかに寒いことが想定されるでしょう。

K気候は温潤で暖かい、温帯です。
但しこちらもKoeで最暖月が17度以上なので、人間が簡単に住める土地ではありますが、現実よりは寒いことが想定されます。

Q気候は亜寒帯です。K気候と同じく、Qoeで最暖月平均気温が17度以上です。

C気候は寒帯です。ここは特に変わりません。
CJはケッペンのET、CZはケッペンのEFだと考えてもらって構いません。

さて、最後はX気候です。X気候は極寒帯とも言い、XRとXDの二つがあります。
またXの判定は無樹木気候で最暖月平均気温が-10以下の場合にX気候と判定されます。
XDの方がより寒いと思ってもらって構いません。

全体的にこの世界は寒いんですね。

さて、もう一度気候区分図を貼ります。

気候区分図

ヴァラールの場所はどうでしょうか?

そうですね、CZからXRに跨っています。
これが意味するのは、現実の南極よりも寒いということです。

ヴァラールは南極よりも寒い場所なのです。そのため、草も木もほとんど生えず、とてつもなく寒い環境で暮らさねばならないのです。当然、現実の人間には厳しい環境です。

さて、気候の話はそこそこに、この世界に住む人類の話をします。

この世界に住んでいるのは獣人です。ただし、熱帯雨林に住む動物っぽい獣人はいないと考えてもらって構いません。

様々な民族がいますが、ここではヴァラール民族同盟に住むヴァラール人を紹介します。

ヴァラール民族同盟は人口のほとんどがヴァラール人しかいない国家です。

彼らは大きなオオカミのような見た目で、筋肉量が多く、二つの大きな牙、長い耳、二つの角、鋭い爪を持ちます。

色は白から薄水色で、光沢のある毛をしています。毛量は多く、背は高いです。

これらの特徴は極寒の地域で耐えられるように進化しました。
ただそれでも寒さに耐えられないために、また文化的に服を着ることが多いです。

それらは伝統衣装で、男性も女性もモコモコしたスカートのような衣装を着ます。

彼らは樹木の少ない環境で暮らしているため、一般的な家の作り方もすることができません。

そのため、石や雪を積み上げて家を作ることが一般的でした。

また、地域によっては夏や短い草や苔が生えるため、それを乾燥させて燃料にすることも一般的です。

それ以外の地域では動物性の脂などを燃料として活用していました。

さて、ここからは国自体について話していきます。

ヴァラール民族同盟は独特な政治形態を持つ国です。まずは国の州地図を見てもらいましょう。

州地図

この通り、八つの州がこの国にはありました。それぞれの族長がそれぞれの地域を治めていました。

そのため、政治決定をする際は族長が評議会として集まり、意見を交わしながら国としての方針を決めていました。

そのため、政治決定はやや遅めな傾向がありました。

ただ、彼らの暮らしは文化的にとても富んでいました。その超極寒の地で育てられた文化は、独特の様相を呈していました。

まず、彼らには男女の区別がありません。いえ、もちろん男女という意識はあります。ただそれを表す言葉がなく、男も女も「vinrirltkme(性別のあるもの)」として表されていました。

これは男女がほぼ平等な位置に立っていたことを表しています。彼らは男女で筋肉量にさほど違いがありません。また、超極寒の地域であるために食料が少なく、一家総出で狩りをすることが一般的でありました。

そのため、男女の差というものがあまり意識されなかったのです。

どちらかというと強く意識されるのは子供と大人の差でした。

また、彼らは神を信仰していません。しかし、彼らは原始的なアミニズム的な思想を持っていました。

例えば雪を神聖化し、雪に魂が宿っているとしました。雪は彼らにとって大地を形作るものだと考えていたからです。

また、生物にも魂があると考えるのは想像に難くないと思います。但し、彼らは生物を先祖が与えてくれた恵みと考えていました。

そして、彼らはその強靭な胃もあり、生肉をそのまま食べる文化が根付いていました。彼らはその強靭な歯によって骨を噛み砕くことができるので、骨髄までも自身の栄養素とすることができます。

彼らの中にはこのような慣用句があります。
“Ghchchen nueenloghhdzte juggsimffzos ghghkghannisstss ffssguhg wohvh”
直訳すると「骨を捨てるべからず」言った感じですが、真なる意味は「もったいない」と言った感じです。
資源を無駄にした場合、この言葉が頻繁に使われます。

さて、ここまではこの世界で産業革命が起きる1850年以前の形です。

この世界では少し変わった形で産業革命が起きます。それは奇蹟的物質の発見です。
ヴァラール語ではラーンリロゲと言います。

ラーンリロゲは思念によって物理法則を捻じ曲げる力を持っているとされます。こちらの世界の言葉で言えば「魔力」「魔法」なんかが近いと思います。

この力は世界に格段な進化を齎し、産業革命起こさせました。

ラーリンロゲを使った機関車、ラーンリロゲを使った車、ラーンリロゲを使った機械などさまざまなものが作られてきました。

但し、ヴァラールは資源に乏しい国です。それでも旧来の貧しいながらも文化に富んだ暮らしを続けていましたが、状況が一変したのが1855年頃でした。

国外でテロが散発したのです。ラーリンロゲは制限はあるものの一人でも強大な力を扱うことができることもあります。そのため、反政府的な思想を掲げる人々がラーリンロゲを使い、テロ活動を行いました。

これに危機感を示したのがヴァラールの評議会です。まだ反政府的な組織がラーリンロゲを手にしたという情報はありませんでした。
但し、いつヴァラールでテロが起きてもおかしくないような状態でした。

そこで、ヴァラールは技術革新を進めることにしました。然し前述の通り資源に乏しい国です。いえ、食料や植物を除けば豊富です。

然し鉱石を掘るためのツルハシすら作れないような状況でした。

そこで政府が目を付けたのは「死体」です。もっと正確に言えば、死体に宿る「魂」です。

ヴァラールのその過酷な気候は、死体を腐敗させない程度には酷いものでした。そのため、普段は死んだら留まらない魂が死体に留まっていたのです。魂を取得するには絶好の気候でした。

また、ヴァラール政府の研究の末、「魂」が「ラーリンロゲ」の代替を果たすことを発見しました。

そこで、政府は囚人にありもしない罪を被せ、死刑にし、幾つもの魂を手にしました。また、冤罪によって罪を被せ、その人を殺したりもしました。

ヴァラールは禁忌を犯し始めたのです。

しかも、それは国民には秘匿されていました、ラーリンロゲの代替技術が発見されたと知らされていましたが、それが「人魂」であると、それには誰にも気付かなかったのです。

気付いた人がいたとしても、その人は処刑されたでしょう。

そうして国民を騙しながらヴァラールは急速な進化を遂げました。人魂のおかげで、ヴァラールは発展を遂げたのです。

ヴァラールは文化的にもめざましい変化を遂げました。伝統衣装は捨てられ、きっちりと整った洋服を着るようになりました。

昔ながらの無駄遣いをしない文化は否定され、消費社会へと舵を切りました。

伝統的な家は否定され、木造の近代的な家がたくさん建てられるようになりました。

また、今まで散発的な集落を形成していましたが、人が大勢集まる都市ができるようになりました。

さらに、男女の区別がされるようになってしまいました。
「vinrirltkme/vinrirg」は男という意味に、「wékenlirg」という外来語は女という意味になりました。

それだけならまだしも、外国からやってきた男尊女卑的な文化が、この単語の意味と結びついてしまいました。

本来筋肉量や文化的に大差のなかった男女の格差がどんどんと広がっていきました。男は働きに行き、女性は家庭を守るものだとされていきました。

そして2020年頃、ヴァラール民族同盟は「大ヴァラール帝政連邦」と名称を変えました。

またこの時期は第二次産業革命の真っ只中でした。

この世界の第二次産業革命はロミルグの発見です。ロミルグは金属で、ラーリンロゲと相性の良い物質でした。これにより、精密機械や化学物質を容易に作れるようになり、この世界は目覚ましい発展を遂げます。

大ヴァラール帝政連邦は大ヴァラール主義を掲げる国家社会主義的な国です。

具体的には以下の通りです。

  • 移民は「国家侵略」だとされて移民の完全排除を行う。

  • 神や霊的な存在は科学的でないとされ
    否定される。また、異常なまでの科学崇拝。

  • ヴァラール人のアイデンティティは「古代ルバダード文明」にあるとされ、古来から続いた文化の否定。ヴァラール人は古代ルバダード人の末裔であるとの主張。

  • 人魂をラーリンロゲに代替として使うことへの過剰な肯定。人魂はただのモノであるとの主張。

  • 反発するものの過剰なまでの押さえ付け、処刑。

  • 族長の否定、一党独裁による政治。

このような主義を抱えていました。そのため、反政府的な組織はあっという間に潰され、殺され、機械を動かすエネルギーとして使われてしまいました。

それこそが彼らに出来る最後の国家への奉仕であると考えられていたのです。

また、この体制が如何に素晴らしく、他国がどれだけ劣っているかを示すプロパガンダを文字や文学、映像などで流し、国民を洗脳しました。

勿論それにも人魂が使われました。

こうなったのは、第一次産業革命を成功させて調子に乗っていたこと、そしてアツェニメフ大統領/Azzenimev loeenlirltkmeの誕生が関係していました。

アツェニメフ大統領は国民平和党を築き、その党の党首を務めます。

そしてこの頃、族長による意思決定の遅い政治が国民の間から疑問視されている頃合いでした。

そうした背景もあり、アツェニメフは大統領となり、国の改革に乗り出しました。

このときの州地図は以下の通りです。

ヴァラールの州2

ほとんどの州はそのままですが、特別行政区が設けられていますね。

さて、第二次産業革命は2030年まで続きました。

それから20年経ったとき、世界を股にかける戦争、「世界大戦争」が起こります。

初めはイェーランデ帝国とアーラン共和国のし戦争が元でしたが、それを機に二陣営に分かれ、ヴァラールはイェーランデ側に着くことになります。

皮肉なことに、この戦争はヴァラールの技術をより益々発展させていくこととなりました。

人魂があれば幾らでも戦争兵器を量産することができたからです。

ヴァラールはいつの間にか世界最大の軍事力と技術力を持つ国へと成っていったのです。

また、この頃のヴァラールは以下の植民地を持っていました。

凍結世界の地図2

黄色いところが植民地です。

ヴァラールは幾つもの国に戦争を仕掛け、平伏させ、着実に植民地を増やしていきました。

ヴァラールは植民地にした国から資源を奪い取り、現地を文化的に浄化したり、叛乱するものを皆殺しにしていきました。

そうしてどんどんとヴァラールは豊かに成っていきました。しかし被害者の数は数知れません。しかし、じわじわと国民の不満が高まっていきました。

その理由は度重なる戦争で国民への負担が高まっていたからです。また、戦争疲れも起きており、それが政府への疑問を生む原因になりました。

が、ヴァラール政府は少しでも叛乱分子を見つけると収監や処刑を続け、恐怖政治を強めていきました。

しかし、そんなヴァラールに転機が訪れます。

ヴァラールは反対の大陸の大国である「レフェアン連邦」に敗北を喫してしまったのです。

同じく、イェーランデ帝国もアーラン共和国に敗北してしまい、最終的にイェーランデ帝国側は敗北し、アーラン共和国側が勝利しました。

大ヴァラール帝政連邦はは敗北し、多額の賠償金を各国に払うこととなってしまいます。そうして、大ヴァラール帝政連邦は瓦解しました。

数多持っていた植民地も放棄しました。

大ヴァラール帝政連邦はレフェアン連邦の統治下に置かれました。この時を、レフェアン・ヴァラール連邦と言います。

レフェアン連邦はヴァラールを統治し、様々な建物は資産を接収していきました。

レフェアン連邦はヴァラールから接収した資産を使い、より経済成長をしていきました。

一方のヴァラールは、貧困に喘いでいました。しかし、それと同時に今までの行いを悔やみ、反省する動きが強まりました。

レフェアン連邦の支配は2065から2070年まで続きました。然しレフェアン連邦の孤立化や経済情勢の悪化に伴い、レフェアン連邦軍は撤退し、2071年、レフェアン・ヴァラール連邦は「ヴァラール民族同盟連邦」として独立しました。

ヴァラールは今までの行為を反省しましたが、現実的に人魂を使わないことはできません。

そこで、ヴァラールは畜産で取れた動物の魂を活用したり、生前に死後魂を使って良いかどうか許可制を取るようになりました。

また、兵器への転用は全面的に禁止され、

いまだに倫理的な問題は孕んでいますが、政府はそれを解決するために代替技術の研究を進めていっています。

また、文化的には古代のヴァラールへの回帰が起こりました。世界的にリベラル化が進んだこともあり、ヴァラールが持つ文化にヴァラール人たちが気づき始めたのです。

さらに、古代ルバダード人の末裔という主張も科学的に否定されました。

そして、族長の統治も復活しました。
但し以前のような形ではなく、一年ごとに族長が変わり、それが一周するような形になりました。民主的な選挙で選ばれた副族長が族長を補佐するようにもなりました。

こうして、ヴァラールは力を失ったものの、地域大国として、多様性と伝統文化が入り混じる国として世界中から評価され、注目されています。

あれ、言語は?

そうですね、みなさんお待たせしました。

言語解説の時間です。

本題だぞ! みんな見ろよ!

ここでは中近代ヴァラール語、後近代ヴァラール語、現代ヴァラール語の三つに分けて解説していきとう思います。

中近代ヴァラール語は以下のとおりです。

中近代ヴァラール語

使用時期:1800年〜1855年前ほど

分類:屈折語
語順:OSV-NA
時制:現在、過去
相:進行、完了
態:能動態、受動態、使役態
法:直説法、連結法、仮定法、断定法、願望法、詛呪法、命令法、禁止法
節:関係節→主節

また、この頃は以下のような音韻と文字形態をしていました。

本来は独自の文字がありますが、作れなかったこちらの世界の人のために簡便さを求め、ラテン文字で表記します。

A/a→[ɑ]
Ae/ae→[æ]
E/e→[e]
Oe/oe→[ø]
I/i→[i]
Ue/ue→[y]
O/o→[o]
U/u→[u]

P/p→[p]
B/b→[b]
F/f→[f]
V/v→[v]
T/t→[t]
D/d→d
S/s→[z]
Tc/tc→[c]
Dc/dc→[ɟ]
Zs/zs→[ɕ]
Dzs/dzs→[ʑ]
K/k→[k]
G/g→[g]
Q/q→[g]
Ch/ch→[x]
Gh/gh→[ɣ]
C/c→[k~t͡s]※1
Z/z→[t͡s]
Dz/dz→[d͡z]
Ħ/ħ→[χ]
Għ/għ→[ʁ]
Ħh/ħh→[h]
R/r→[r]
Rh/rh→[ʢ]
L/l→[l]
Lh/lh→[ʎ]
N/n→[n]
M/m→[m]
J/j→[j]
W/w→[w]
X/x→[ks]

そして、以下のルールがありました。

規則一

語末の有声破擦/摩擦/破擦音は無声音で読まれる。
同じ無声破裂/摩擦/破擦音が二つ並んだ時、短子音の無声音として読む。
同じ有声破裂/摩擦/破擦音が二つ並んだ時、対応する短子音の無声音として読む。
同じ鼻音が二つ並んだ場合、対応する有声破裂音として読む。
同じ震え音が二つ並んだ場合、短子音として読む。
同じ接近音が二つ並んだ場合、短子音として読むが、j, wだけはij, uwとして読む。
ただし、前に母音がある場合はwu, jiになり、前と後ろに母音がある場合はj, wとして読む。

違う無声破裂/摩擦/破擦音が二つ並んだ場合、後の無声音として読む。
違う有声破裂/摩擦/破擦音が二つ並んだ時、後に対応する無声音として読む。
違う鼻音が二つ並んだ時、後に対応する有声破裂音として読む。
違う震え音が二つ並んだ時、後の震え音として読む。
違う接近音の前が並んだ場合はそのまま読む。ただし、j, wが前で、その前に母音が無い場合は、[i], [u]として読む。

規則二

無声破裂/摩擦/破擦音と有声破裂/摩擦/破擦音が並んだ場合、順番によって変わる。
無声音が先で、有声音が後の場合は後に対応する無声音で読む。
有声音が先で、無声音が後の場合は後に対応する有声音で読む。
ただし、hだけは対応する無声音がないため、ghに対応する。

無声破裂/摩擦/破擦音と鼻音が並んだ場合、順番によって変わる。
無声音が先で、鼻音が後の場合は前に対応する有声音で読む。
鼻音が先で、無声音が後の場合はそのまま読むが、nは無声音によって同器官的に同化する。
ただし、hだけは対応する無声音がないため、ghに対応する。

有声破裂/摩擦/破擦音と鼻音が並んだ時、順番によって変わる。
有声音が先で、鼻音が後の場合は、前に対応する有声音で読む。
鼻音が先で、無声音が後の場合はそのまま読むが、nは無声音によって同器官的に同化する。
ただし、hだけは対応する無声音がないため、ghに対応する。

全ての破裂/摩擦/破擦音と震え音が並んだ時は特に変わらない。

T, D, SS, SとJが/Cj/と並んだ時、[c], [ɟ], [ɕ], [ʑ]と発音される。
それ以外の子音とJが連結しても変わらない。
後に母音があればJを[i]として読む

子音とWが/Cw/と並んだとき、後に子音があればWは読まない。
しかし後に母音があればWを[u]として読む。

規則三

同じ無声破裂/摩擦/破擦音が三つ並んだ時、短子音として読む。
違う無声破裂/摩擦/破擦音が三つ並んだ時、真ん中の短子音として読む。

同じ有声破裂/摩擦/破擦音が三つ並んだ時、短子音として読む。
違う有声破裂/摩擦/破擦音が三つ並んだ時、真ん中に対応する無声音の短子音として読む。

無声破裂/摩擦/破擦音二つと有声破裂/摩擦/破擦音一つが並んだ時、順番によって変わる。
無声音+無声音+有声音の並びだと二番目の無声音として読む。
無声音+有声音+無声音の並びだと二番目に対応する無声音として読む。
有声音+無声音+無声音の並びだと二番目に対応する有声音として読む。

無声破裂/摩擦/破擦音一つと有声破裂/摩擦/破擦音一つが並んだ時、順番によって変わる。
有声音+有声音+無声音の並びだと二番目の有声音として読む。
有声音+無声音+有声音の並びだと二番目に対応する有声音として読む。
無声音+有声音+有声音に並びだと二番目に対応する無声音として読む。

無声破裂/摩擦/破擦音二つと鼻音一つが並んだ時、順番によって変わる。
無声音+無声音+鼻音の並びだと二番目の無声音として読む。
無声音+鼻音+無声音の並びだと一番目の無声音として読む。
鼻音+無声音+無声音に並びだと一番目に対応する有声音として読む。

無声破裂/摩擦/破擦音一つと鼻音二つが並んだ時、順番によって変わる。
鼻音+鼻音+無声音の並びだと二番目の鼻音として読む。
鼻音+無声音+鼻音の並びだと三番目に対応する有声音として読む。
無声音+鼻音+鼻音の並びだと三番目に対応する無声音とて読む。

有声破裂/摩擦/破擦音二つと鼻音一つが並んだ場合、順番によって変わる。
有声音+有声音+鼻音の並びだと二番目の有声音として読む。
有声音+鼻音+有声音の並びだと一番目だけを読まない。
鼻音+有声音+有声音の並びだと三番目の有声音として読む。

有声破裂/摩擦/破擦音一つと鼻音二つが並んだ場合、順番によって変わる。
鼻音+鼻音+有声音の並びだと一番目を読まない。
鼻音+有声音+鼻音の並びだと三番目を読まない。
有声音+鼻音+鼻音の並びだと二番目の鼻音に対応する有声音として読む。

無声破裂/摩擦/破擦音と有声破裂/摩擦/破擦音と鼻音が並んだ場合、順番よって変わる。
無声音+有声音+鼻音の並びだと二番目に対応する無声音として読む。
有声音+鼻音+無声音の並びだと二番目と三番目に対応する有声音として読む。
鼻音+無声音+有声音の並びだと三番目だけを読まない。
有声音+無声音+鼻音の並びだと一番目として読む。
無声音+鼻音+有声音の並びだと一番目を読まない。
鼻音+有声音+無声音の並びだと一番目と二番目に対応する無声音として読む。

規則四

最初の母音は二重母音、三重母音でも読まない
単独のHは読まない。
規則と規則が同時に起こることもあるが、その場合一から順番に行う。
規則は一つごとに一度しか行えない。

規則五

二重子音で破裂/摩擦/破擦音の場合、無声音と有声音の並びは否定され、無声音同士、有声音同士になる。その際、前に対応するように後ろの子音が変わる。
また以下の並びは否定され、こう発音される。

tf→ft
vd→dv
ħx→ħ
xħ→x
xh→x
hx→h
għgh→għ
ghgħ→gh
bv→v
pf→f
lhl→l
xf→kf
fx→h
fh→f
vh→v
tss/ts→z
sjs→sj
ssj→sj
mh→hm
nh→hn

また同じ子音が連続した場合は、短子音になる。

その他

ai, aui→[æ]
oi, oui→[ø]
ui→[y]
aeui→[e]
oeui→[ø]
ueui→[y]
ao→[o]
aeo→[e]
eo→[io]
oeo→[øy]
io→[io]
ueo→[yø]
uo→[uo]
au→[ɑ]
aeu→[ɑø]
eu→[ø]
oeu→[øy]
iu→[iu]
ueu→[yː]
ou→[ou]
aea→[ø]
ea→[ɑ]
oea→[yɑ]
ia→[e]
uea→[yɑ]
oa→[uɑ]
ua→[uɑ]
aei→[ei]
oei→[øi]
uei→[yː]
aa→[ɑː]
aee/aeae→[æː]
ee→[ei]
oee/oeoe→[øy]
ii→[iː]
uee/ueue→[yː]
oo→[ou]

ph→[f/h(語尾)]
bh→[v]
pf→[p/f(語尾)]
bv→[b/v(語尾)]
th→[t/h(語尾)]
dh→[z]
rl→[ro]

……めちゃくちゃわかりづらいですね!

例えば動詞「ghghkghannisstss/捨てる」は、IPAで表記すると[kanit]となります。

これはまず「ghghkgh」が「chkgh」になり、さらにこれは無声+無声+有声となるので、実質的に「k」となります。
また「sstss」も同様です。これも無声+無声+無声の子音連続となるので、「t」となります。
「nn」に関しては想像しやすいと思います。

また、先程も出した“ghchchen nueenloghhdzte juggsimffzos ghghkghannisstss ffssguhg wohvh”
は、こう読みます。

[xen nyːnlinroge jusibos kinat suk wof]

また、単語の意味は以下の通りです。

ghchchen→単数定冠詞

nueenloghhdzte→骨を

juggsimffzos→全ての人が

ghghkghannisstss→捨てる(現在形)

ffssguhg→するべき(助動詞、動詞の原型)

wohvh→あらず(助動詞、動詞の原型)


この言語には冠詞があります。

以下の通りです。

定冠詞単数→ghchchen
定冠詞複数→ghchchoeel

不定冠詞単数→kkdgsen
不定冠詞複数→kkdgsoeel

部分冠詞単数→mwen
部分冠詞複数→mwoeel

全体冠詞単数→dxxden
全体冠詞複数→dxxdoeel


部分冠詞はフランス語などに見られる部分冠詞と解釈して構いませんが、全体冠詞はこの言語独特なので少し説明をいたします。

全体冠詞は部分冠詞の逆です。つまり、〜の一部分ではなく、その全て全体を指します。

例えば”mwen nueenlirltkme“は、
「骨の一部分」を意味します。

”dxxden nueenlirltkme“と言う時は、
「骨の全ての部分」となります。

また助動詞を表す場合は動詞の原型を取ります。

また名詞の原型は名前の主格/無格を表記するときにも使われ、動詞、名詞、形容詞の原型は品詞を転換させたり、複合語を作ったりする際にも使われます。

みなさん思っていると思います。「読みづらすぎね?」と。

どうしてこんな読み方が誕生したかと言うと、昔は殆どの子音連続の間に曖昧母音があったからです。

これは祖語のアクセントのない母音に由来します。

ただ、そのままでは読みづらいため、略されました。然し、表記は変わらなかったのです。

また外来語が非常に少ないです。
これは島国である故、外部との接触が非常に少なかったことに由来します。

後近代ヴァラール語

使用期間:1855年から2071年以前

後近代ヴァラール語の特徴は表記が改められたことです。

他国の影響を受けながら以下に改められました。

A/a→[ɑ]
Á/á→[ɑː]
Ä/ä→[æ]
A̋/a̋→[æː]
E/e→[e]
É/é→[eː]
Ö/ö→[ø]
Ő/ő→[øː]
I/i→[i]
Í/í→[iː]
Ü/ü→[y]
Ű/ű→[yː]
O/o→[o]
Ó/ó→[oː]
U/u→[u]
Ú/ú→[uː]

P/p→[p]
B/b→[b]
F/f→[f]
V/v→[v]
T/t→[t]
D/d→[d]
ẞ/ß→[s]
S/s→[z]
Tj/tj→[c]
Dj/dj→[ɟ]
ẞj/ßj→[ɕ]
Sj/sj→[ʑ]
K/k→[k]
G/g→[g]
X/x→[x]
Ƣ/ƣ→[ɣ]
Z/z→[t͡s]
C/c→[d͡z]
Ħ/ħ→[χ]
Q/q→[ʁ]
H/h→[h]
R/r→[r]
Ṙ/ṙ→[ʢ]
L/l→[l]
Ľ/ľ→[ʎ]
N/n→[n]
M/m→[m]
J/j→[j]
W/w→[w]

また、これ以外の例外的な表記はなくなりました。

“ghchchen nueenloghhdzte juggsimffzos ghghkghannisstss ffssguhg wohvh”
を例にとると、

“Xen Nűnlinrg jusibos kinat suk wof”

になりました。読みは相変わらず、

[xen nyːnlinroge jusibos kinat suk wof]

です。

うーん読みやすい!

はっきり言って表記がクソすぎて制作者側としても大変でした

これは産業革命を意識したものであり、活版印刷や識字率向上のために使われ続けます。

文法はそこまで変わっていないので省略します。強いて言えば、名詞の活用だけが少し簡略化されました。

また、外来語が積極的に流入されました。

例えば

hűmörg→テレビ
vanbörg→機関車
júsonlirg→映画
wékenlirg→女

などです。

これ以外にも沢山の外来語が流入しました。

さて、最後に現代ヴァラール語です。

現代ヴァラール語

2071〜2120年の現在まで

A/a→[ɑ]
Á/á→[ɑː]
Ä/ä→[æ]
A̋/a̋→[æː]
E/e→[e]
É/é→[eː]
Ö/ö→[ø]
Ő/ő→[øː]
I/i→[i]
Í/í→[iː]
Ü/ü→[y]
Ű/ű→[yː]
O/o→[o]
Ó/ó→[oː]
U/u→[u]
Ú/ú→[uː]

P/p→[p]
B/b→[b]
F/f→[f]
V/v→[v]
T/t→[t]
D/d→[d]
ẞ/ß→[s]
S/s→[z]
Tj/tj→[c]
Dj/dj→[ɟ]
ẞj/ßj→[ɕ]
Sj/sj→[ʑ]
K/k→[k]
G/g→[g]
X/x→[x]
Ƣ/ƣ→[ɣ]
Z/z→[t͡s]
C/c→[d͡z]
Ħ/ħ→[χ]
Q/q→[ʁ]
H/h→[ゼロ子音]
R/r→[r]
Ṙ/ṙ→[ʢ]
L/l→[l]
Ľ/ľ→[ʎ]
N/n→[n]
M/m→[m]
J/j→[j]
W/w→[w]

現在ヴァラール語は特にあまり変化がありません。

強いて言うならH/hが完全に読まれなくなった以外は違いはありません。

ただ、語彙の方には変化がありました。

男尊女卑が否定されたので、男女を表す単語はこのようになりました。

arinvinrirg→自分と違う性別
vinrirg→自分と同じ性別

とこのように、旧来の文化を掘り起こしたこともあり、このように文化が戻ってきたのです。

また、外来語は積極的に現地語で表されるようになりました。然しただ合成するのではなく、使いやすさを考慮し、以下のようにかばん語を形成しました。

テレビ→jun(wörg)/見ること+fa(nlirg)/箱=jumfanlirg
機関車→gin(örg)/そり、乗り物+fa(nlirg)/箱=ginfanlirg

のような感じです。

これにて、ヴァラール語とヴァラール民族同盟連邦についての話はおしまいです。

ご拝読ありがとうございました。

あとがき

いやーキツかったっすね……
まあ無事に完走できたことをまずは喜びましょう。
一番時間がかかったのは地図です。フラクタルを描くのが大変すぎて……
あんまり言語には時間かけてないかもしれません。

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