はじめに
トキポナは発展の早い言語ですが、その発展は自然言語的な自由さから来るものであるため、従来の文法では説明のつかない文章も多く見られます。そこで、新たな品詞の分類によって統合的な説明を試みました。しかし、実際に出来上がったものを見ると極めて非常識的であったため、まずは多くの人の意見を募りたいと思ってここに投稿します。
文構造
(laやtasoを含まない)文は、主部、述部、目的部、状況部から構成される。特に主部、述部は必須であり、目的部、状況部は省略可能である。
- 主部:文の先頭またはenから始まる。
- 述部:liまたはoから始まるが、主部がmiまたはsinaだけの場合にliは省略される。主部の動作や状況を説明する。
- 目的部:eから始まる。主部による影響を受ける対象を指す。
- 状況部:前置詞から始まる。文の状況を補足する。
述部
述部は名詞、動詞、助動詞、前置詞、副詞、形容詞から成る。このうち名詞と動詞は述部の中核をなす。1つの述部内にどちらか1つ存在し、まとめて述語と呼ぶ。助動詞と前置詞は述部の前に来る。これをまとめて機能語と呼ぶ。副詞と形容詞は述部の後に来る。これをまとめて修飾語と呼ぶ。
- 名詞:目的部を伴わないもの。
- 動詞:目的部を伴うもの。
- 助動詞:述語の前に来る。
- 前置詞:名詞の前に来る。
- 副詞:述語の後に来る。述部を修飾する。
- 形容詞:名詞の後に来る。述部を修飾する。
述語
述語は述部の中核をなす。
名詞
日本語における名詞、形容詞、自動詞に相当する。以下は述部が名詞である文である。
jan moli li tawa. = 死体が動く。
waso li loje. = 鳥は赤い。
mi lape. = 私は寝る。
ona li soweli. = それは動物だ。
名詞は主部、目的部、状況部でも中核をなすことができる。
動詞
日本語における他動詞に相当する。
名詞と動詞
動詞は目的部を伴うが、しばしば目的部を省略した曖昧な文として現れる。
mi moku. = 私は食べる。/ 私は食べ物だ。
mi moku e ijo. = 私は何かを食べる。
「私は食べる」のmokuは動詞だが、「私は食べ物だ」のmokuは名詞である。このように動詞か名詞かわからない文章は、文脈に大きく意味が依存する。動詞だと明示的に示すには下の文のように目的部を伴えばよい。
日本語の同様の文章としては「魚は食べます」や「所長が食べられました」等があげられる。これらは文脈に依存して食べる側と食べられる側が交代する。
多くの場合、名詞と動詞は互いに影響を受ける対象が異なる。名詞は主部の状況を説明するのに対し、動詞では主部によって目的部が影響を受ける。例えばmokuを例にとれば、名詞では主部が何者かによって食べられるが、動詞では目的部が主部によって食べられることになる。
ただしmamaは明らかに例外であり、名詞と動詞どちらでも主部が親の役割を負う。
soweli li mama. = 動物が親だ。
soweli li mama e kasi. = 動物が植物を育てた。
機能語
機能語は主部と述語の関係を説明する。
助動詞
wile, awen, kama, ken, lukin, alasa, open, pini, sonaである。しかし、これらのうちkama以外は生物等を後ろにとると不自然になる(kamaでも多くの場合不自然ではある)。ただし可能性がないわけではない。
soweli li kama waso. = 動物は鳥になった。
soweli li ken waso. = 動物は鳥かもしれない。
前置詞
tawa, lon, tan, kepeken, samaである。前置詞から始まっていてもliから始まっているものは述部に相当する。
修飾語
修飾語は名詞が修飾語になったもので、名詞に意味が近い。
副詞
pona, ike, wawa, mute, sike等である。副詞と形容詞の区別はあまり研究が進んでいない。
o lape pona. = よくおねむり。
ona li pali pona e tomo. = 彼は上手に家を建てる。
jan lawa li utala wawa e jan pi nasin sewi. = 王は激しく神官を攻撃した。
tan ni la mi toki sike e ni: o weka e jan ike. = ですから、悪人を追放せよと繰り返し申し上げたのです。
形容詞
副詞でないものはほとんど形容詞である。
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