Du goya dá! (こんにちは!) 前回の代名詞・名詞の解説に続いて、今回は動詞の構造と活用、そして相の表現について解説します。
1. 動詞の活用
まず、エスルーデャ語の動詞の構造は不規則動詞を除いて 語幹+活用子音 という形となっており(例: woz-t-)、主格と対格の人称・態・法時制において活用されます。
人称変化
動詞の人称変化は、主格の人称だけでなく対格の人称もかかわっおり、(不定・一人称・二人称・三人称有性・三人称無性)×2+再帰と他動の分の2 の27通り存在します。
活用形は、語根・活用子音の後ろに母音を挿入する、語幹の母音を長母音にすることでつくります。
自動詞を表現する時は、対格に主語と同じ人称または不定を置きます。しかし、不定を置いた場合は、文脈によっては疑問詞が置かれているととらえられかねないので気を付けましょう。
- | 私を | あなたを | 彼(女)を | これを | |
---|---|---|---|---|---|
- | wouzdö | wouzdi | wouzda | wouzde | wouzdo |
私は | wozdoi | wozít | wozatí | wozyeit | wozdua |
あなたは | wozdau | wozút | wozetú | wozyát | wozdeu |
彼(女)は | wozdui | wozát | wozait | wozyút(再) wozdia(他) |
wozdai |
これは | wozdiu | wozöt | wozaut | wozyőt | wouzdu(再) wozotá(他) |
例) wozdoi 私は私自身を愛している
wozít 私はあなたを愛している
wozdai 彼(女)はこれを愛している
wozdau あなたは誰か/何かを愛している
態
活用子音は態を表現する際に活用されます。活用の方法はシンプルに、別の子音に置き換わるだけです。態は全部で5種類存在します。
活能動態...自分の意思を以て行った動作
不活能動態...無意識に行う、または自分の意思が介入できない動作
受動態...動作の影響を被る状態
再帰使役態...ある人や物に動作を指定して、その影響を自分が受けること
他行使役態...ある人や物に動作を指定して、その影響をまた別の人や物が受けること
また、子音を入れ替えるだけと説明しましたが、デフォルトの子音(活能動態)はその語根によって違うので、その分活用法も違っていきます。
語根の例 | 活能動態 | 不活能動態 | 受動態 | 再帰使役態 | 他行使役態 |
---|---|---|---|---|---|
woz(愛する) | t | f | k | m | n |
kint(戦う) | f | s | t | p | ts |
gir(震える) | k | r | p | ts | h |
yeu(動く) | s | n | h | t | m |
kir(終える) | ts | k | m | h | f |
mur(切る) | p | h | ts | r | s |
niv(感じる) | r | m | s | n | t |
tö(崇める) | n | t | r | s | p |
kös(勝つ) | m | ts | f | k | r |
sam(落とす) | h | p | n | f | k |
例) wozít 私はあなたを意識的に愛している
wozíf 私はあなたに一目ぼれしている
wozík 私はあなたに愛されている
wozím 私はあなたに自分を愛させる
wozín 私はあなたに○○を愛させる
法と時制
法の種類は4種類、時制は6種類存在し、接尾辞によっていっぺんに表現されますが、例外として命令法は現在形のみ表現します。
直説法...物事を事実そのまま述べる
仮定法...もしもの事、条件などを述べる
主観法...物事を自分の目線で感じたことを述べる
命令法...命令、勧誘、依頼などを述べる
現在...今する動作を述べる
近過去...直前にした動作を述べる
継続過去...過去にした動作で、現在までその影響が続いていることを述べる
分離過去...過去にした動作で、現在はその影響はないことを述べる
未来...将来するであろう動作を述べる
遠未来...いつかする、もしかしたらするかもしれない、実現する確率が低い動作を述べる
直説法 | 仮定法 | 主観法 | 命令法 | |
---|---|---|---|---|
現在 | -∅ | -mi | -rö | -ár |
近過去 | -ki | -ve | -hye | ∅ |
継続過去 | -ka | -vor | -hia | ∅ |
分離過去 | -hi | -sa | -tsye | ∅ |
未来 | -nan | -tam | -bai | ∅ |
遠未来 | -niu | -tea | -bgha | ∅ |
例) wozítkar 私はあなたを愛していた。(今も愛している)
wozíthi 私はあなたを愛していた。(今は愛していない)
wozítmi もし私があなたを愛すのならば、
wozítbai 私は将来あなたを愛すと思う
wozútár あなたは私を愛せ
なお、活用子音と接尾辞の頭の子音が重なった場合、直前の母音を間に挿入する。
例) wozyeit+tam > wozyeit"i"tam > wozyeititam
語順
エスルーデャ語の基本語順はVSO構文をとります。しかし、動詞で主語と目的語の関係を表現しているので動詞だけで話すことも多いです。
Wozít ko gor. 私はあなたを愛している。
Ubrua ko krewau vi nok mák. 私は紙の上に人々を描く。
Hetyeikiki vi wiughu. 私は彼をダンスパーティーに誘った。
2. 不規則活用
エスルーデャ語には人称変化が不規則活用である動詞が2つ存在し、それは air(~である)と ghot(欲しい)です。
air(~である) (rの部分が活用子音)
態によって意味はこのように異なる
活動態...「私は(意識的に)○○にとって△△である。」
不活動態...「私は(無意識的に)○○にとって△△である。」
受動態...「私は○○によって△△とされる。」
再帰使役態...「私は○○に自分を△△にさせる。」
他行使役態は存在しない。
- | 私にとって | あなたにとって | 彼(女)にとって | これにとって | |
---|---|---|---|---|---|
- | ar | sar | oir | nur | tur |
私は | ir | sunr | air | nir | tir |
あなたは | rea | ras | rai | rin | rit |
彼(女)は | roa | rus | rui | ran(再) run(他) |
rut |
これは | ur | sör | rör | nör | tör(再) tar(他) |
ghot(欲しい) (tの部分が活用子音)
態によって意味はこのように異なる
活動態...「私は(意識的に)○○が欲しい/○○を~~したい。」
不活動態...「私は(無意識的に)○○が欲しい/○○を~~したい。」
受動態...「私は○○に欲される/○○に~~して欲しがられる。」
再帰使役態...「私は○○に自分を欲させる。」
他行使役態...「私は○○に△△を欲させる。」
- | 私が | あなたが | 彼(女)が | これが | |
---|---|---|---|---|---|
- | tögh | thea | thai | thin | ghet |
私は | tagh | thoa | thui | than | ghot |
あなたは | tigh | tugh | gheat | ghyat | ghyet |
彼(女)は | tha | tho | gheut | ghyait(再) ghyaut(他) |
ghyut |
これは | thi | thu | ghoit | ghyant | ghait(再) ghaut(他) |
3. 相
お疲れ様です。最後に相の解説をします。エスルーデャ語の相は動詞の活用に含まれてはおらず、代名詞主格/属格に接頭辞を加えて表現します。
相は全部で6種類存在し、意味や用法、接尾辞はこのようになります。
準備...その動作がいつでもできる状態のこと
将然...その動作を今にもしそうである状態のこと
起動...その動作を今開始した状態のこと
進行...その動作がある程度の時間持続していること
習慣...その動作を日常的に反復して行っていること
中断...その動作を完結させずに途中でやめること
相 | 準備 | 将然 | 起動 | 進行 | 習慣 | 中断 |
---|---|---|---|---|---|---|
接頭辞 | re- | om- | nö- | ke- | ai- | ye- |
例) Wozít reko. 私はいつでもあなたを愛せる。
Wozít omko. 私は今にもあなたを愛しそうだ。
Wozít nöko. 私はあなたを愛し始める。
Wozít keko. 私はあなたを愛し続ける。
Wozít aiko. 私はあなたを常に愛している。
Wozít yeko. 私はあなたを愛すのをやめる。
なお、これらの接頭辞は一般名詞の造語の際にも使われています。
つまり、主語に人称/指示代名詞でない単語が来て接頭辞が接続されるとそれらまとめて一つの語なのか、相を表しているのか分からず混同してしまいます。
それを防ぐため、主格の名詞に人称/指示形容詞を付け加え、そこに相を表す接頭辞を接続します。
例) Wozdai tarou torúrtam. 太郎は言語を愛する。
↓
Wozdai tarou ketoi torúrtam. 太郎は言語を愛し続ける。
大変お疲れさまでした。以上が動詞の活用および相の表現の解説となります。最後まで読んでくださりありがとうございました。
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