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想像地図の人工言語創作論

皆様の記事を見て想像地図の人も「なぜ言語を作るのか」について書いてみようと思います。

想像地図

既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、想像地図の人は2003年から「想像地図」という創作活動を行っています。これは架空の土地の地図を描くことを趣旨とした創作活動です。架空の地図と言っても、指輪物語のような世界観ではなく、地球の文明と同程度の文明を想定していて、道路と鉄道を中心とした地図になります。
想像地図の一部

想定している世界観

小学生の頃から「一つの地図の描画範囲をどこまでも広げ続ける」という方法で想像地図を描き続けています。描き始めた頃は、そんなに難しいことは考えていませんでしたので、「日本のどこかにある架空の街」くらいのイメージで地図を描いていました。

しかし、地図の描画範囲がどんどん広がるに従って、大きくなりすぎて「この架空地生きが日本のどこかにある」と想像するのは難しくなりました。というか、明らかに「日本のどこかにその土地がある」と想定すると矛盾点が出てきます。そこで、明確に「架空の星にある『城栄国』という国」だという設定世界観を定めました。

地図上に既に「JR」が存在していましたから、国名の頭文字は「J」である必要がありました。「城栄」という国名になったメタ的な理由の一つはこれです(ただしあくまでもこれは、複数ある理由の内の一つです)。

架空の星という設定になってから

架空の星という世界観で地図を描くことになりましたが、今度は思わぬ指摘をした人が居ました。それは「どうして架空の星なのに日本語が通じるのか」という疑問です。確かに一理あります。想像地図上の地名は、日本語(漢字)で書かれていますからね。
しかし、この質問が出たとき、想像地図はかなりの所まで描画が進んでいて、全てを1から作り直すことは現実的に不可能でした。

そこで出てきた解釈が「想像地図世界では日本語とは違う更紗語という言語が使われている。しかし、地名も含めて日本語に訳したのが、わたしの描いている想像地図である」という解釈です。例えば「赤松市」という都市名は、向こうの言葉で red pine を意味する地名を日本語に意訳したものだと考えるわけです。
この解釈であれば、あくまでも地図は日本語に訳しただけですから、「架空の星なのに日本語が通じる」という不自然さは解決が可能です。

ではその現地の言葉とは具体的にどのようなものなのか?

しかし、翻訳前の地名がどのようなものであると考えたとき、必ずしも全てが「日本語に"意訳"した」と考えるのは無理がありました。例えば「赤松」であれば赤い松という意味の地名を意訳したのだろうな、と考えることができます。しかし、「蓮間」や「降井屋」や「阿熊」ではどうでしょうか。無理矢理「意訳」だと考えることもできなくはないのかもしれませんが、大都会のど真ん中にある地下鉄の駅の名前が「クマにおもねる」という意味なのも変な話です。そこで、全てを更紗語と意訳と考えるのではなく、音訳も存在すると考えることにしました。阿熊は、更紗語で「アグマ」のように発音する地名を音訳したものだと考えることにしたわけです。

実際にはもう少し複雑な話もありますが、簡単に言うと更紗語の造語は、このように「想像地図の地名に合うように造語しないといけない」という縛りが存在します。名詞も動詞も、想像地図の地名を説明できるように造語する必要があります。

ということは、更紗語の創作は、断片的な資料から言語を組み立てていく、言オリや祖語再構のような作業と言うことになるわけです。

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