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Fafs F. Sashimi
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物語に登場するリパライン語名を顧みる

リパライン語の「名前感覚」という記事を大分前に書いたわけだが、悠里界隈では昔から様々な物語(悠里小説悠里におけるTRPG)が作られてきた。そして、その舞台はもちろん悠里世界なので登場人物は様々な名前を持っていることになる。
この記事では、そのうちリパライン語の名前について顧みるということをやってみたいと思う。果たして数々の物語の命名の中から、何か得られるものはあるのだろうか?

ルミヤ(ADC&V.A.)

フィシャ・ヴィール・ルミヤ(理: fixa virl lumija )は、TRPGシナリオ「アンチドグマ・コンプレックス」(ADC)と「ヴァイオレット・エンド」(V.A.)に登場した人物である。ADCでは、ユエスレオネ連邦疾病対策研究院(KSK)の研究者でプレイヤーと共に船内の混乱の首謀者を見つけ出そうとする。V.A.では邪神とその信奉者を監視し、世界の安寧を守る魔術師集団のリーダーとなり、プレイヤーたちに問題の解決を求める依頼者となった。
この名前は丁寧さを表す相位詞である "lu" と中性名前語尾である "-ija"、そしてそれを繋ぎ合わせる緩衝音の "-m-" で構成されている。彼女はきっと、親からどんな人に対しても礼儀正しく付き合うような人格者となるように願われて、この名前が付けられたのだろう。

エーリヤ(Artikel 28)

エーリヤ(理: erlija )は、TRPGシナリオ「Artikel 28」に登場する人間に擬態したショゴスである。基本、人間に友好的な存在である彼女(?)は、アルティ・ヴェルガーン・レシルの父に拾われる。彼はユエスレオネにて青空教室を開いていた品格のある人物であったのだが、ユエスレオネ革命にて反革命的貴族として市民に襲撃される「レシル家事件」によって悲劇的に死んでしまう。エーリヤはこれを新聞で知り、部屋を飛び出して車に跳ねられてしまった。
邪神リパコルはさすがに彼女を可哀想に思い、呪力を用いて、空間を作り出す。彼女はその空間に再び生き返ることになったが、リパコルの狂信者たちが彼女を利用して御使いを顕現させようと暗躍するのだった。
エーリヤという名前はヴェフィス語の "ailes"(皇帝、高貴なる席の者)の語幹√ail-に由来する。これはリパライン語ではerlと書き、これに名前化語尾(-ija)を付けたのが "erlija" なのである。おそらく名付け親はレシル父であろうが、名前がなくとも積極的に知識に旺盛なその姿勢を見て立派な者になると願って、名付けたに違いない。

フィネーイユ(いせにほ)

レシェール・フィネーイユは、異世界転生したけど日本語が通じなかったに登場する女性テクタニアーである。
第六部に登場する彼女はデュインにいきなり転移した翠を「先輩」(xatva)と呼んで慕い、共にウェールフープを学ぶ学園の中でお互いを知っていくことになる。
彼女の夢はケートニアーの護衛官になることだが、それは彼女が辿った悲しい過去に由来するものでもある。
さて、彼女の名前であるフィネーイユ(fhineriju)は "fhin-er-iju" というように分解することが出来る。この中で語幹は "fhin" という部分だが、これは古典リパライン語の "fhinu" に由来する「喜ぶ、歓喜する」という意味の動詞である。そして、それに続く接尾辞の "-er" は「~する者」を意味する名詞を生成する動詞派生語尾であり、最後の接尾辞 "-iju" は名前を作る派生語尾である。
彼女の親はきっと彼女がその先、喜びをたくさん得るように願ってこの名前を付けたに違いない。

まとめ

さて、今回は複数の作品からリパライン語の名前とその由来を取り上げてみた。リパライン語が使われる作品とそれに登場する名前は更に多くのものがあるが、これ以上紹介すると記事が長くなりすぎるため、一旦はここで終わりとさせていただきたい。
リパライン語の名付けのセンスは基本的にポジティブなもので、対象に良い未来を歩むことを願って付けられる名前が多い。今回は登場しなかったが、叙事詩に由来する名前も多い傾向にある。
今回の記事を通して、リパライン語の名付けの意識に関して、伝えられたのならば幸いである。

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