はじめに(いつもの)
はい。皆様お久しぶりです。さざんかです。
前回の記事からそこそこ空いてしまいましたが。前回の記事と違ってまた専門的な感じ(?)の記事を書いてしまいましたが。初心者向け執筆しろとつよいあつりょくをかけながら自分はしないという無責任100%人間ムーブをかましておりますが。私は元気です。
……と半分本気の混じった冗談はさておき。今回はデナスティア語の動詞の条件法のちょっと変わった使い方について説明していきたいと思います。
条件法とは
デナスティア語の条件法。ひとことで言ってしまえば「場合」と「ている」の合体です(ひとことにまとまっていないという有言不実行さ)。
言語学っぽい(あくまで、ぽい)言い方をするなら法と相が混じっている感じです(法相のことではありません)。
とりあえず簡単な例文を見ておきましょうか。
Ja kvaines filitlame.
私は夜空を見ていた。
Kvaitzo filitlame!
(あなたは)夜空を見ていろ!
Fan jo kvaik filitlame, jo kak kvae amontia picjai.
もしあなたが夜空を見れば、あなたはたくさんの星々を見ることができる。
はい。今回の場合「kvae:見る」という動詞の条件法が三つの文に含まれていますね(原形不定詞も最後の文に含まれていますがそれはさておき)。
まあ、簡単にいえば「~ている」と「~すれば」です(難しく考え出すとこうなります)。
しかし。条件法の用法はこれだけではないのです。……とその前に。条件法の(命令時制以外の)活用を見ておくことにしましょう。
条件法の活用
条件法の活用は、常体であれば三パターン覚えるだけで済みます。
直接法だとこのように色々とあるのですが、条件法だと三パターンにまとまります(リンク先の表に条件法の活用もまとまっているのは秘密)。対応関係はこの直前の文のリンクにお任せすることにして。その条件法の三種の活用を代表的な動詞と共に上げておきます。
A活用、O活用、I活用の三パターンは以下の通りになります。
A活用の例(kvae:見る←A活用a型の動詞←a型に限らずA活用一応全部これ)
現在単数 | 現在複数 | 過去単数 | 過去複数 | |
---|---|---|---|---|
一人称 | kvais | kveus | kvaines | kvainos |
二人称 | kvaik | kveuk | kvainek | kvainok |
三人称 | kvait | kveut | kvainet | kvainot |
O活用の例(jaue:言う←A2活用の動詞←でも条件法ではO型O2型の仲間)
現在単数 | 現在複数 | 過去単数 | 過去複数 | |
---|---|---|---|---|
一人称 | jois | jous | joines | joinos |
二人称 | joik | jouk | joinek | joinok |
三人称 | joit | jout | joinet | joinot |
I活用の例(muie:聞く←I2活用の動詞←条件法では2と無印の区別が基本ない)
現在単数 | 現在複数 | 過去単数 | 過去複数 | |
---|---|---|---|---|
一人称 | mihs | mius | mihnes | mihnos |
二人称 | mihk | miuk | mihnek | mihnok |
三人称 | miht | miut | mihnet | mihnot |
条件法の活用は一見、複雑に見えるかもしれませんが、実はほぼ共通点しかなかったりします。直接法よりパターンが少ないのは伊達ではないのです……!
以下に原形不定詞(上の例では(原形不定詞:日本語)となっています)からの簡単な変換方法を書いておきますね。
あ、どの活用パターンがどれに対応するかは上の動詞活用一覧記事(雑!)で確認していただければ(と言いつつも、A2活用と呼ばれる活用方法がO活用のパターンに合流している以外は活用パターンの大文字そのままなのですが)……!
というわけで活用の説明を言語化しようとしたのですが……文章だと読みとりが面倒でした! ものすごく(非常に。だから消しました)!
そこで「一人称だけ並べたらたぶんほぼ同じと伝わるでしょ」と安直な考えのもと、上の例たちの語尾部分だけをまとめてみます。
現在単数 | 現在複数 | 過去単数 | 過去複数 | |
---|---|---|---|---|
A活用 | -ais | -eus | -aines | -ainos |
O活用 | -ois | -ous | -oines | -oinos |
I活用 | -ihs | -ius | -ihnes | -ihnos |
……ちなみに、euとiuはどちらも同じ「イウ」みたいな発音ですし、ouは「ウー」という発音だったりします。ついでにihは後ろに子音字があれば「イー」です。
それでは(ものすごく長かった)前置きはこのくらいにして。本題である「条件法の接続詞的用法」についての話題に移っていこうと思います。
条件法の接続詞的用法
条件法の接続詞的用法と言いましたが。実は、すべての動詞の条件法にこの用法が存在するわけではないのです。え、まって詐欺罪!? 訴えないでください……っ!
とにかく。日本語の感覚からいえば若干奇妙な感じのする動詞の用法ということです。というか、日本語訳がもとの動詞からかけ離れたものになる場合が時々あるといいますか。ひとまず以下の例文を見てください。
Joik, jo kvanek Milehcja, si na?
つまり、あなたはミレーシャを見た、んですよね?
はい。上の例にも出てきた「jaue:言う」の条件法現在時制二人称単数形の「joik」です。
直訳すると「あなたが言う場合」とか「あなたが言っている」となりますが。日本語に訳すと上記の通り「つまり」となります知らないと「言う」の要素どこよとなりかねない)。これが接続詞的用法です。
なぜこのような解釈になるか簡単に説明しておきますと。「joik」という単語が「あなたが言っていることをまとめるとこうですよね」ということを伝えるための単語として機能しているからです。
もちろんこの単語は動詞ですから(そして主語の人称や数が語尾で分かる形なので)、まとめるべき言葉を言った人の主語や時制が関わってきます。
Jois at efe gafi, koitoi.
ひとことで言えば、尊い
Joinot, ja bas muoe feu bucj-ku?
つまり、(彼らは私に)森へ行けと?
(直訳:彼らは私が森に行かなければならないと言っていましたか?)
見ていただければわかるように、「言えば」と訳すことができる場合もあります。
しかし同時に、「つまり~と」という感じのサンドイッチにすらなる場合もあったりするので大変です(漢文の返読文字みたいなのが近いかもしれない?)。……「言っていた」が省略されている日本語も大概だと思いますが。
あと主語がいちいち動詞に現れるのも面倒くさポイント。でもヨーロッパぽさを出したかったのでここは譲れないのですよ(といいつつメタ的には大昔はここまで人称とか発達していなかったという話があります。その話もいつかしたいですね……)。
とりあえず「jois:jaue(言う)の条件法現在時制一人称単数」はものすごく使い勝手がいい&よく使うのでこれだけで単語として覚えておいても損はなかったりします。あと二人称とかも(というかできれば全部)(ZpDICに載せるかは微妙ですが初学者を意識するなら一人称二人称あたりは載せた方がいい可能性……?)。例えば一人称単数だと「つまり(自分がいいたいことをまとめますよという合図)」とか「私に言わせれば」みたいに使えますよ。便利!
その他の例
以下では、その他の接続詞的な用法とか、その他全然関係ない条件法の面白い使い方とかをまとめていきます。
Mihs, sun ruht dat astoi.
噂では、その方法はよくないそうです(私が聞けば、その方法は悪い)。
はい。「言う」の場合と違って責任逃れ感がありますね。聞いただけで正しいかの判断はしていないという。
「聞く」のが明確に過去の出来事ではなく、時制不明という点で現在時制になっているのかもしれません(こら作者ちゃんと考えなさい)。
Fueh mihs.
知らんけど(ただ私は聞いているまで)
はい出た。究極の責任逃れ。私もよくTwitterとかで使っています。
聞いただけだから責任は持てないよみたいなニュアンスがあります。皆様もぜひぜひじゃんじゃん使っていきましょう(勧誘やめなさい!)。
Kvaik, gesek.
百聞は一見に如かず(見ればわかる)
長い慣用句がこんなに短く。もちろんこれは主語が二人称単数なので、複数人相手に言う場合は「Kveuk, geseuk」になります。韻を踏むのは人称と数の活用語尾の仕様です。
もちろん他には「Moik, gesek(行けばわかる)」とか「Rihk, gesek(来ればわかる)」みたいに。他の動詞を入れても成り立つので、慣用句かと言われると全然そんなことはなかったりします。
あれ? これ「gese:理解する」の直接法の用法で条件法まったく関係ないのでは?
おわりに
というわけで、今回はデナスティア語の条件法のちょっと日本語訳が変わってしまう使い方とか諸々を見て来ました。
はい。もっと初心者用記事を書きなさいという話ですよね。ごめんなさいでもこういう記事が書きたくて仕方がなかった&どこからどこまでをそれぞれの課ごとで放り込んでいいのかの判断がつかない(つまり私がぽんこつ)ので仕方がなかったのです。本当に仕方がなかったのです(一段落で三度目のリフレイン)。
また気が向いたら色々書こうかな、とは思っています。造語もしなくてはならないし他ジャンルの創作も待っているし忙しいし忙しいし……。
Jois、今回は以上です。お読みいただいた皆様ありがとうございました。
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