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w類否定形のパラダイムの発達について

否定形の発達の概要については以前(https://migdal.jp/tsarhfis/-%E8%87%AA%E8%A8%80%E8%AA%9E%E3%81%AE%E5%90%A6%E5%AE%9A%E5%BD%A2%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%81%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-p2k) 述べたとおりである。

今回はw類動詞の否定形について深く掘り下げる。nekt "働く"を例にとる。

この動詞の否定形iʁ格は次のようになる。
*nəgʷ-xʷi-ixaq > *negʷ-xʷīʁaʔ > *negʷ-wīʁā > nøgvīʁ
ここまでは上記の記事で紹介したとおりである。

ここでこの動詞の肯定形iʁ格を見てみよう。
*nəgʷ-ixaq > *negʷ-iʁaʔ > *negʷ-iʁā > nøgviʁ

肯定形 nøgviʁ
期待される否定形 nøgvīʁ

肯定形と否定形が母音の長短のみで区別されている。
これは非常に誤解を招きやすく、不都合である。
ここで、w類否定形は母音類w型否定形から-ʁv-というパラダイムを借りてきた。

肯定形 nøgv
期待される否定形 nøgvīʁ
実際の否定形 nøgʁvīʁ

以上がw類否定形の-ʁv-を含む形態の発達に関する概要である。

以下に補足としてgɔpdvet "入る"を例にとって母音類w型否定形iʁ格の一例を示したい。

*gapdʷi-xʷi-ixaq > *gapdʷe-ʁʷīʁaʔ > *gapd-ʁwīʁā > gɔpdʁvīʁ

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