こんにちは! ふぃるきしゃです。最近 Tsuchifude さんが「役立たずりんご文27」という面白そうな例文集を公開されました。役に立たないっていうけど本当かなあ?? てなわけでニョンペルミュに翻訳してみましょう。どんな文が待ち受けているか楽しみですね!
役立たずりんご文27
1.これはりんごです。
ke na ljanful.
これ-である-リンゴ
基本的なコピュラ文ですね。ニョンペルミュのコピュラは na であり、主語を na の前に、補語を後ろに置きます。SVC語順ですね。
ke は直接指示の代名詞であり、話者が発話時点で直接知覚できる範囲にあるものを指します。つまりこの文の場合、リンゴは話者の見える範囲にあるということですね。日本語の「これ」「それ」「あれ」のような距離の区別はありません。対象が無生物であることを明示したい場合は、派生語の ketu を使うこともできます。
ljanful「リンゴ」は ljannannas「甘い」+ ful 「赤」の縮約です。ljannannas「甘い」はさらに ljan「喜ぶ」+ nan「味わう」+ nas「~的な」に分解できます。つまり ljanful という字面だけだと「喜びの赤」くらいの意味になるでしょうか。
2.これは梨です。
ke na ljankjun.
これ-である-梨
ljankjun「梨」は ljanful「リンゴ」からの類推で、ljannannas「甘い」+ kjun「黄色」の縮約です。分かりやすいね。
3.これはオレンジ(果物)です。
ke na ljanljon.
これ-である-オレンジ
ljanljon「オレンジ」は ljanful「リンゴ」からの類推で、ljannannas「甘い」+ ljon「橙色」の……ってさっきから同じ造語パターンだな!? どうやらニョンペルミュでは、果物は味+色から造語されることが多いみたいです。
日本語(英語)だと果物のオレンジから色のオレンジが派生していますが、ニョンペルミュだと逆に、色のオレンジの方が単純語になっていますね。ニョンペルミュは300の形態素のうち純粋に色を表す語彙が9語もあります(赤・青・黄・紫・緑・橙・白・黒・灰)。ニョンペルミュ話者は結構色彩に敏感なのかもしれませんね。
4.これはみかんです。
ke na tismol.
これ-である-みかん
tismol「みかん」は tis「太陽」+ mol「球」の合成です。さっきまでとは異なる造語パターンですね。これは、みかんが生育に十分な太陽光を必要とすることに由来しています。
それにしても何でみかんってリンゴと対みたいに扱われるんでしょうね……。やはり日本人にとって馴染み深いから? 犬と猫、そばとうどんが対として扱われるようなものなんでしょうか。
5.これはバレンシアオレンジです。
ke na FALENSI'Aljanljon.
これ-である-バレンシアオレンジ
バレンシアオレンジ……? 急に細かい品種が出てきましたね。まあ Valencia の音写を合成して FALENSI'Aljanljon で良いでしょう。ちなみに、バレンシアオレンジはスペインのバレンシアではなく、アメリカのカリフォルニア州が原産地なんだそうです。なんでやねん。
6.これは柿です。
ke na talljon.
これ-である-柿
talljon「柿」は tal「硬い」+ ljon 「橙」の合成です。やはり色を表す形態素が主要部になることが多いですね。
7.これはデコポンです。
ke na taspiltismol.
これ-である-デコポン
taspiltismol「デコポン」は taspil「ツノ」+ tismol 「みかん」の合成です。見た目からの命名ですね。あれツノってほどではなくね……?と思ったかもしれませんが、別に良いのです。語呂で決めたようなもんだし
8.これは夏ミカンです。
ke na koljestismol.
これ-である-夏ミカン
koljestismol「夏ミカン」は koljes「来年」+ tismol 「みかん」の合成です。秋に結実し、翌年の夏に収穫時期となるためです。生育上の特徴が由来となるのは珍しいかもしれません。
9.これはかぼすです。
ke na 'O'ITA femi kjollutismol.
これ-である-大分-産の-かぼす・すだち
10.これはすだちです。
ke na TOKUSIMA femi kjollutismol.
これ-である-徳島-産の-かぼす・すだち
かぼすとすだちって何が違うんだ……? かぼすは大分、すだちは徳島の特産品であり、かぼすの方がすだちよりサイズが大きいようです。
当初はすだちを先に造語し、かぼすを「大きいすだち」として造語しようかと考えたのですが、徳島の人に怒られそうなので止めました。色々迷った結果、どちらも kjollutismol と呼ぶことにしました。kjollu「酢」+ tismol「みかん」の合成ですね。区別する必要があるときは、上記の翻訳文のように 'O'ITA femi「大分産の」、TOKUSIMA femi「徳島産の」を付けて呼び分けることにしましょう。お、怒らないで! 大分と徳島の人!
11.これは柚子です。
ke na njuskjun.
これ-である-柚子
njuskjun「柚子」は njus「加わる」+ kjun 「黄色」の合成です。薬味として料理に加えられることが由来ですね。
12.これは金柑です。
ke na leskoltismol.
これ-である-金柑
leskoltismol「金柑」は leskol「コイン」+ tismol 「みかん」の合成です。コインのようにサイズが小さいことが由来です。まあ8割がた語呂の良さが理由だけど
13.これは青りんごです。
ke na mjolljanful.
これ-である-青りんご
mjolljanful「青りんご」は mjol「緑」+ ljanful 「りんご」の合成です。すなわち green apple ですね。漢字ニョンペルミュ表記すると緑喜赤。緑なのかい赤なのかいどっちなんだい!?
14.これはびわ(果物)です。
ke na kjoltalljon.
これ-である-びわ
kjoltalljon「びわ」は kjol「曲がった」+ talljon「柿」の合成です。びわと柿って別に近縁というわけでもないようですが、なんか楕円形の柿っぽいなと思いこのような造語にしました。
それにしても、果物のびわってそのまま楽器の琵琶が名前の由来だそうです。言われてみれば果物と楽器で同じ名前ですけど、指示対象が違いすぎて、同音異義語という意識もなかったですね。語形が同じでも、指示するカテゴリが全く異なれば特に不便ではないみたいです。
これは人工言語の語義拡張にも利用できそうな気がします。造語となると、新しい語形の単語を作ることばかり念頭に置いてしまいがちですが、びわの例のように、全くカテゴリの異なる意味に転換する方法でも語彙は増やせそうですね。この方法なら、言語ごとにユニークな語義拡張が生まれて、独自性を出しやすくなる気がします。
15.これは梅(の実)です。
ke na halful.
これ-である-梅
halful「梅」は hal「空」+ ful「赤」の合成です。何でこんな語形成にしたのか自分でもよくわからん。
16.これはマンゴスチンです。
ke na fultosholtas.
これ-である-マンゴスチン
マンゴスチンて何……? なんか聞いたことはあるけど。どうやらライチっぽい果物らしいですね。よく分からないので、とりあえず外見をそのまま描写して命名しちゃいます。ful「赤」+ tos「台」+ hol「白い」+ tas「頭」です。果実の断面が、赤い台座に白い頭が収まっているように見えたのでこのようにしました。語呂も良いし、まあ良いでしょうこれで。
ちなみにライチは ljul「トカゲ」+ pal「皮」+ mol「球」の合成で ljulpalmol としました。あんま美味しくなさそう……
17.これはいちじくです。
ke na fulpes.
これ-である-いちじく
fulpes「いちじく」は ful「赤」+ pes「口」の合成です。果実の断面が口のように見えたのでこのようにしました。
18.これはグレープフルーツです。
ke na fulljanljon.
これ-である-グレープフルーツ
fulljanljon「グレープフルーツ」は ful「赤」+ ljanljon「オレンジ」の合成です。果肉が赤いことが由来です。白いのもあるけど別にええやろ!
それにしてもさっきから ful「赤」の出現頻度が高いな……
19.これはレモンです。
ke na kjolkjun.
これ-である-レモン
kjolkjun「レモン」は kjolnannas「酸っぱい」+ kjun「黄色」の縮約です。
kjolnannas「酸っぱい」はさらに kjol「曲がった」+ nan「味わう」+ nas「~的な」に分解できます。口が曲がるような味ということですね。よって、 kjolkjun という字面だけだと「曲がった黄色」の意味になります。
20.これはライムです。
ke na kjolmjol.
これ-である-ライム
kjolmjol「ライム」は kjolnannas「酸っぱい」+ mjol「緑」の縮約です。kjolkjun「レモン」からの類推です。ljanful「リンゴ」に対する ljankjun「梨」の関係に似ていますね。
21.これはシークヮーサーです。
ke na kjollukjaletu.
これ-である-シークヮーサー
「シークヮーサー」というのは琉球語で「酢食わし」の意味なんだそうです。てなわけでこれを直訳して命名してみました。kjollu「酢」+ kja「食べる」+ le「させる」+ tu「もの」の合成です。大分と徳島の人に冷たい視線を向けられてる気がする……
22.これは桃です。
ke na fulmul.
これ-である-桃
fulmul「桃」は ful「赤い」+ mul「尻」の合成です。もうそのまんまですね。
23.これは白桃です。
ke na holfulmul.
これ-である-白桃
holfulmul「白桃」は hol「白い」+ fulmul「桃」の合成です。白いのかい赤いのかいどっちなんだい!?
24.これはあんずです。
ke na ljanhalful.
これ-である-あんず
ljanhalful「あんず」は ljannannas「甘い」+ halful「梅」の縮約です。
25.これはキウイ(果物)です。
ke na kismjol.
これ-である-キウイ
kismjol「キウイ」は kis「半分」+ mjol「緑」の合成です。果実を半分に切ると緑の果肉が見えることが由来です。kiwi に倣って ki から始まる語形にしたいと考えた結果このような命名になりました。無理矢理とか言うな!
26.これははっさくです。
ke na talpaltismol.
これ-である-はっさく
talpaltismol「はっさく」は tal「硬い」+ pal「皮」 + tismol「みかん」の合成です。みかんよりも皮が厚いことが由来です。
27.これはすももです。
ke na kjolfulmul.
これ-である-すもも
kjolfulmul「すもも」は kjolnannas「酸っぱい」+ fulmul「桃」の縮約です。
全部果物じゃねえか!!
……はい。というわけで、果物に関する語彙がやたら増えてしまいました。今回登場した果物のうち、既に造語済だったのはりんご・梨・みかん・柚子・梅・レモン・ライムの7語で、残り20語は全て今回造語しました。ニョンペルミュでは、人名や地名でもない限りは音写による借用を行わない方針なので、なかなか苦しかったですね。
一方で成果もあり、果物名を造語するうち、命名のパターンが定まってきたように思います。ljanljon「オレンジ」や kjolkjun「レモン」のように色+味の合成。fulpes「イチジク」や fulmul「桃」のように色と身体部位による比喩。leskoltismol「金柑」や fultosholtas「マンゴスチン」のように語呂を重視した合成語。今後の造語の際も、今回見えてきたパターンに当てはめれば円滑に造語ができそうな気がします。
ただ、ニョンペルミュのように外見的特徴に基づいた造語法だと、どうしても似たような語形の単語が増えてしまうという欠点もありますね。ljanful、ljankjun、kjolkjun、ljanljon、talljon……とか、初心者は混同してしまいそうです。架空言語の方が、文化に基づいた比喩や他言語からの借用など選択肢が多く、もっと面白い造語ができそうですね。
役立たず……という割には面白い例文ていうか単語リスト?でした。皆さんもぜひ挑戦してみてくださいな。hjufemis! (またね!)
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