はじめに
今回は、新しい文法の解説に加え、過去の記事で紹介した文法から少し変更が加わった箇所があります。
『言語が持つ世界観』考_セキアーロ語が抱える課題を書いた時に抱えていた問題に対する自分なりの回答と、人工言語コキュアさんのみなさんの人工言語のコピュラについて教えて下さい(Test)でのコメントのやり取りを経て考えたことなどを取り入れています。
変更した点については記事の最後にまとめます。
動詞の活用と述語
語尾 | 意味 |
---|---|
-u | 〜だ(形容詞・形容動詞、副詞) |
-ui | 〜した(他動詞) |
-un | 〜した、〜になった(自動詞) |
-ur | 〜された(受動態) |
接頭辞なしの動詞原形は、現在完了形になります。
seka zugu. 私は動いた。
ただし原形なので多少の曖昧性を持ち、文脈によっては完了状態が前後します。接頭辞fa-で未完了、ja-で現在分詞(実行中)、pe-で完了(過去完了)を明示します。
基本形-uは動詞であると同時に「〜だ」「〜である(あった)」という状態も示す、汎用的な述語となります。
強いて動詞という言葉を使うなら、形容動詞と言ったところでしょうか。
この点は、トキポナが同様の汎用性の上で述語を成り立たせていることを参考にして変更しました。
kaa sevasa nuvetu. その鳥は黒かった。
動作を明示したい場合、-ui、-unを用います。
seka mugui mugi lejuli. 私は魚料理を食べた。
seka kigun. 私は寝た。
動作を示さないような単語を-uiまたは-unで活用した場合、「〜にした」「〜になった」を意味します。
seka lekilun. 私は白くなった。
一方で状態の明示、あるいは名詞文を作りたいときは、主題句の連続で作ることができます。jarを挟むとより丁寧な言い回しになります。
naa jar sakasa. あれは虫です。
動作に使える語
セキアーロ語の語彙のほとんどは2音節でした。
このうち、動作としての意味を明確に持つ語だけを2音節のまま残し、動作にならない(なりにくい)単語は3音節を取る方針に変更しました。
zawa → wazaza
草
間接目的語
副詞、つまり動詞を修飾する場合、その後に-uで繋げます。
seka nanui kanesu guli. 私は石を赤く染めた。
そして、間接目的語がある場合、それも副詞の形で示されます。
seka panui mugu nedi. 私はあなたに食べ物をあげた。
上の文ではmuguが間接目的語にあたります。
セキアーロ語では間接目的語は動作の一部として扱われるので、動詞句に属します。つまり副詞と同じく-uで活用します。
副詞でなく、間接目的語であることを明示する場合、-usで示します。
seka panui mugus lejulu nedi. 私はあなたに魚料理をあげた。
-usを用いた場合、その部分は動詞句の派生である副目的句として成立します。これにより、語順を変えたときに動詞句と分離することもできます。
mugus lejulu seka panui nedi. 魚料理を私はあなたにあげた。
まとめ
過去の文法からの変更点
- 動詞原形-uは現在完了形だが、曖昧性を持つようになった
- -uによる動詞句は状態を表す述語として扱えるようになった。同じ意味だった主題句の連続(-a -a)は名詞文などで引き続き扱われる
- 動作ではない単語は2音節から3音節に変更
- (今まで主題部、動詞部など「部」で呼んでいたものは「句」と呼ぶようになった。言語学用語的にはこっちが正解らしい)
「『言語が持つ世界観』考」への答え
動詞原形は厳密な完了形でない、なおかつ状態も表すとしたことで、セキアーロ語の語彙から「〜した」の意味を薄め、「〜だ」「〜である」の意味に寄せた。
これによって『セキアーロ語の世界観』は多視点的な方である程度固まった。
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