私の制作するサイメノ(現:コノメノ)という言語では,文をグラフに直し,できる限り一筆書きをするように単語を並べることが推奨されている.そこで,今回は「頭が赤い魚を食べる猫」の可能な解釈のうち,サイメノで一筆書きできるものは何通りあるのかを調べてみたいと思う.
可能な解釈
まずは「頭が赤い魚を食べる猫」の可能な解釈を全て割り出したい.
この文の構文木は「頭が」「赤い」「魚を」「食べる」「猫」の5枚の葉を持った二分木である.
枚の葉を持った二分木の総数はカタラン数
で書けるため,今回の場合,構文木は14(
)通りである.そして,「頭が」「魚を」「猫」をNとし,「赤い」「食べる」をVとすると,木の分岐は
- V → N V
- N → V N
- N → 頭が N (「頭がNであるもの」という意味だとみなす)
の3パターンしか許されない.この制約を用いて14通りの構文木を1つずつ調べると,以下の6通り(2.の解釈が不自然とすれば5通り)の解釈が得られる:
- [[[[頭が赤い]魚を]食べる]猫]
- ?[[[[頭が[赤い魚(であるもの)を]]食べる]猫]
- *[[頭が赤い][魚を食べる]]猫]
- [[頭が[[赤い魚を]食べる]]猫]
- *[[頭が[赤い[魚を食べる]]]猫]
- *[[[頭が赤い]魚を][食べる猫]]
- *[[頭が[赤い魚を]][食べる猫]]
- [[頭が赤い][[魚を食べる]猫]]
- *[[頭が赤い][魚を[食べる猫]]]
- [頭が[[[赤い魚を]食べる]猫](であるもの)]
- *[頭が[[赤い[魚を食べる]]猫]]
- *[頭が[[赤い魚を][食べる猫]]]
- [頭が[赤い[[魚を食べる]猫]](であるもの)]
- *[頭が[赤い[魚を[食べる猫]]]]
これらの解釈に対して,グラフとサイメノ訳を与え,一筆書きできるかどうかを見ていく.使用する単語は以下の通りである:
motoc 頭 fylam 赤 lun 魚
hamin 食べる meacc 猫 nato 物
ansa x1はx2の属性である
ja x1はx2の動作主である
ke x1はx2の被動作主である
hanov x1はx2の部分である
kast x1はx2と等しい
1つ目:[[[[頭が赤い]魚を]食べる]猫]
訳:fylam ansa motoc hanov lun ke hamin ja le meacc
判定:○
2つ目:[[[[頭が[赤い魚(であるもの)を]]食べる]猫]
訳:fylam ansa lun kast motoc hanov le nato ke hamin ja meacc
判定:○
3つ目:[[頭が[[赤い魚を]食べる]]猫]
訳:fylam ansa lun ke hamin ja motoc hanov le meacc
判定:○
4つ目:[[頭が赤い][[魚を食べる]猫]]
訳:fylam ansa motoc hanov le meacc ja hamin ke lun
判定:○
5つ目:[頭が[[[赤い魚を]食べる]猫](であるもの)]
訳:fylam ansa lun ke hamin ja meacc kast motoc hanov le nato
判定:○
6つ目:[頭が[赤い[[魚を食べる]猫]](であるもの)]
訳:lun ke hamin ja meacc meansa fylam sen meacc kast motoc hanov le nato
判定:×
結果
大半(6つのうち5つ)が一筆書きできた.また,今回の結果では全てのグラフが木であり,一筆書きできるグラフは全て一直線のものに限られた.
この結果(大半が一筆書きできて閉路を持たない)は「頭が赤い魚を食べる猫」という1つの表現の曖昧性に注目したことによるのか,それともいろんな表現で見られる特徴なのかは現時点ではわからないので,今度調べてみたいと思った.(というか誰かやってほしい.)
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