私が作っているレーゲン語では不定詞は存在しないことになっています。レーゲン語では ten という語が英語の to におおむね該当しますが、英語の to eat の要領で ten xapen (※xapen: ~を食べる) ということはできません。
……できないはずなのです。
しかし先日、奇妙なことが起こりました。レーゲン語に to 不定詞(のようなもの)が生まれてしまったのです。麗語辞書を作っていた時のことでした。
そのとき、私は zauq(どうやって, どのようにして) という単語の例文の編集をしていました。古いバージョンでの文は以下の通りです。
Junt zauq Doo keinon ten Dour wesgolmil? - Tuu cal atleenek.
君はどうやって会社に行っているの? - 電車を使っているよ。
単語の意味は以下の通りです。
・junt: 疑問(文)であることを示す語
・Doo: あなた(は, が)
・keinon: (あなたが)行く
・Dour: あなたの
・wesgolmil: wesgolm(会社) の与格形
・Tuu: 私(は, が)
・cal: ~を使う
・atleenek: atleen(電車)の対格形
この文の ten Dour wesgolmil という部分はレーゲン語的には場に合わず堅い表現なので、修正を試みました。
ten の後には動詞を置くことができます。このときの動詞は必ず原形です。
ここで、「会社に行く」というのは「働きに行く」ということを意図しています。そして、レーゲン語で「働く」は belt といいます。よって、当該部分を ten belt で置き換えることにしました。
修正後の文は以下のようになります(返事の部分は省略)。
Junt zauq Doo keinon ten belt?
君はどうやって会社に行っているの?
よく見てみると、Doo keinon ten belt は you go to work と同じ構成です。図らずも to 不定詞(の類似形)が再開発されたのでした。
レーゲン語ではこのように、意図せず既存の文法構造を作ってしまった
ことがあるので、また同じような記事を書こうかなと思っています。
何というか締まりのない終わり方になってしまいましたが、本文は以上です。
Top comments (2)
実際に言語を使っているからこそ見つけられる文法構造ですね!
こういう内容読んでいて面白いので、次の記事も、もし投稿されるのであれば楽しみにしておきます~
コメントありがとうございます!
やはり人工言語は実用によって活きるものだなと思いました。次作がいつになるかわかりませんが、もし上がればまた見ていただければうれしいです。