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Fafs F. Sashimi
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#02 はじめに言葉があった

Inspired by The reality is sprouting of stringy bok choy.
この文章はフィクションです。
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古来から、何かを始めるときは最初が肝心というのは良く言われてきたことである。
世に有名なかの教典の最初にある言葉は、人工言語作者にとっては目が覚めるような言葉だった。はじめに言葉があった、と。
今にして考えてみると、それを受容する意識の前に言葉に言及するというのは、結構な唯物論のようにも見える。果たして、世界の前提は神の意識だったのか、言葉だったのか。この問題に関して、先の一文から読み取るにはあまりにも意味が溢れすぎている。言葉という前提が理性という意味だったとしたら、その前提には意識があるとも考えられるわけでどっちつかずである。或いはどっちでもあるのかもしれないが、この記事は別に世界の始まりについて議論するものではないのでおいておくことにしよう。

いずれにせよ、肝心な最初に取り上げるのは『異世界転生したけど日本語が通じなかった』の第三話である。

シャリヤが最初に言った言葉は "mi es ales.xalija. xalijasti." だった。
ここには多くの情報が詰まっている。読者が翠君ほどの頭脳明晰さを持っていなくても、そこから拾い上げられることはいくらかありそうである。

SVO(SVC)という基本ルール

まず、"ales.xalija"が彼女の名前であることは、翠が確認している。
ここから、"mi"が「私」、"es"が繋辞(コピュラ)であることは簡単に予想ができよう。そして、リパライン語の基本的な語順であるSVO(SVC)がここで分かる。

現代標準リパライン語の基本的な文は、ほとんどがこの形を元に構成される。
どれだけ複雑な文章でもこの並びが基本になるのだ。
それゆえ、2つ目の文章である以下も簡単に読解が出来る。

Ja, mi es xalija mal co es jazgasaki.cen tirne?
ええ、私はシャリヤで、あなたは八ヶ崎翠よね?

中心に主動詞があり、その前に主語が来て、その後に目的語か補語が来る。その他の単語は補助的に周囲に付属していく。修飾詞(形容詞と副詞)は被修飾詞(名詞と動詞)の周囲に付属し、接続詞は接続対象(名詞句や文)の周囲に付属していくというふうにだ。
このルールはリパライン語の統語の強い規則となっている。
今後の読解においても重要になってくるので、最初に覚えるべきはこれなのだろう。

名詞の単立

先の文から読み取れるもう一つの要素、それが名詞の単立である。

リパライン語では、何も取られていない名詞が単立することを文法的には嫌うという規則がある。
そのため、正しい言葉遣いとしては "xalijasti" のように名詞に呼格をつけるのだ。

いせにほでは、翠がこれを誤解し、スティの部分まで名前だと思ってしまうシーンがあった。
それはそれとして、文章でも口語でも呼格が省かれることは無くはない。

Image description

上記はリパラオネ民族自決党フィシャ・グスタフ・ヴェルガナーデャが載っているポスターだが、呼格のない名詞が登場している。

どちらが正しいのかといえば、確かに呼格が付いていたほうが良いのではあるが、紙面だと幅を食うし、言葉ではテンポを失うので不評があるというのも間違いではない。
それゆえ、どちらも使われているのが現状なのである。

まとめ

今回は初回であるので本当に基本的な話題を取り出したが、次回はもっとリパライン語の細かいところを紹介できるような場面を切り出して紹介したいと思う。
その頃には、きっと世界の始まりについて判明しているかもしれないし、していないかもしれない。

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