新年のごあいさつ
Tzaleh Esleo-seh, Dioluhlomo al ristoi teu Nibis!
(つぁれ えすれお せ、 でぃおるーろも あぉ り゜すとい てぃう にびす!)
みなさま、あけましておめでとうございます。
ちなみに上の文はデナスティア語の新年の挨拶(2023年1月1日時点)で、日本語訳は「精霊の皆様、新緑の訪れに喜びましょう」です。たぶん。
※デナスティア王国の1月1日は夕方ごろに「金の月」と「銀の月」と呼ばれる星が揃って東から出てくる年に一回しかない日で、この一週間後ぐらいからが夏に向けて穀物を育て始める目安とされています。だから新緑
全部固有名詞とかそれに関連する語ではないので、文頭以外は別に大文字にする必要はありません(大文字にしたかったからしただけです。それ以上かつそれ以下でしかありません)。
※まあNibis、あとEsleoも大文字にすることは時々あるのですが、デザインとか全体のバランス的な好みの問題です。この文は本文というより見出しですし……。本文中なら文頭以外はたぶん小文字になる気が
あとちゃっかりまだ説明していない「直接法敬体一人称複数命令時制」を使っているのはミノガシテ……ミノガシテ……。マタコンドセツメイスルカラ……。
今年も去年と同じく、こういった感じのノリでMigdalに記事を色々と投稿できたらな、と考えております。
デナスティア語のこと以外にも、デナスティア語が属する語族のこととか、あるいは他の語族のこととか、あるいは王国の文化のこととか、デナスティア語のメタいところ(廃止された語法や文法、あるいはアポステリオリな語源いろいろ←アポステリオリ語源は書いてるでしょ)とか……。あとこのサイトではないですが、辞書の登録単語を充実させたり……。
今後も色々と記事を書いていきたいなと思っておりますので、皆様どうか温かく見守っていただけましたら幸いでございます。
あ、もちろん同じく私も皆様の記事を読むのをこっそりと楽しみにしているので、皆様もじゃんじゃん投稿していただけると嬉しいです。
今年もよろしくお願いいたします。
デナスティア人にとっての「精霊:esloi」とは
はい。文化記事第一回目のテーマは……真上に書いてありますね。
初手から世界観の根幹にかかわる重いテーマです(消費カロリーが激しいから、きっと正月太りも解決するよ! なお責任は持ちません☆ミ)。
しかも厨二感満載ですよ。やったね(何が)!
本当は細かい設定が色々とあって、下手をするとデナスティア人の宗教観における&このデナスティア王国のある世界における実際の(ものとして設定されている)世界の始まりから説明することになりかねないのですが。
一回目からそんなことをするのはだるい大変なので、デナスティア人の宗教観の中で「精霊」がどういう扱いを受けているのかを中心に説明しますね(それでもかなり重い)。
つまりというか、それでもというか、今回の記事はちょっと正確性に欠けておりますので、そのあたりはご容赦ください。
「精霊:esloi」とは、デナスティア語において文化的に重要な語彙です。
なぜ重要かといえば、デナスティア人の信仰と密に関係しているからです。はい、宗教的な理由ですね。あるあるですね。
というのも、デナスティア人は人間の本来の姿を精霊と考えていて。そして、精霊は人間の身体を纏ってこの世界に人間として生まれてくると考えているのですよ。
それも、何度も。死んでも、また生まれてくるというタイプです。平たく言えば生まれ変わり思想です。
見た目がヨーロッパとは言ったけれど、宗教も同じとは言っていないので(全知全能な唯一の存在によって世界が生まれたという信仰ではあるのですが、本題ではないので今回は割愛)。
で。なぜ精霊が何度も人間として生まれてくるかといえば。
この、デナスティア人の多くが信仰している「デナスティア精霊信仰」と呼ばれる思想(開祖が見当たらないタイプの民族宗教)においては、そのデナスティア王国のある世界を精霊の世界にすることを至上命題にしているからです。
(え? さっきからどこかで聞いたことがあるような話ばっかりだって? アポステリオリつまみ食いは言語に限った話ではないのです……。楽ですし)
(あと、Denastiaという言葉も何気なくここに関わっていたり……)
その人間の正体である精霊とは、無尽蔵に魔法を使える存在ともされており。
一方、人間の身体を纏った精霊つまり人間(回りくどいです)は使える魔法に制約がかかっていると考えられており(実際問題、魔法を無尽蔵に使うことはできないとデナスティア人も観察や研究から認識している)。
そして、この制約の度合いなどは血統的・遺伝的(これは経験則由来だけれど、あってる)なもので、その血筋次第で制約の大きさが変わってくるのですが。
ここでちょっとカロリー消費も兼ねて考えてみてください。精霊に近い存在(=魔法がいっぱい使える人間)がいっぱいいた方が、そういった精霊に近いと考えられている人間が少ない世界よりも、世界自体も精霊の世界に近い感じがしません?
雪がたくさんある方がより雪国らしい、みたいな感じで(例えとして不適切です。よりよい例えを出せるようにがんばりましょう)。
これが、つまり魔法を使える、より精霊じみた血筋を保護するためという理由で、貴族制度存続の理由として「(作者にとって)都合よく」使われていたりします。
(王子様とお姫様のロマンスとか書けるように、と私のご都合主義で世界をデザインしたので。なお数万年単位で過去にさかのぼれば、ロストテクノロジー由来のSFも書けるようにはなっている模様。なおこちらについては書く予定はない)
魔法使えるというと、軍事力にもなりえますし……上層部は軍事的パワーを持っていたりすることが多いから、たぶん完全に破綻したりはしていない、はず(政治とか軍事とか苦手分野です……)。
国の制度で魔法がそこそこ使える平民と、そんなに使えない平民を分離したりして統治したりもしているらしい?(こら作者もっと設定しっかりしなさい)のですが、これも本題ではないので割愛です。
まあ、それでも領主が人間的にあれな貴族の領地(あるいは不作になって領主がリカバリーに失敗した場合とか)では、その領主一家のすげ替えを求める反乱はあったりするとは思いますが……。
さて。こんなデナスティア王国ですが、それでもやはり「万民皆精霊。万民皆平等」みたいなことを口ではデナスティア精霊信仰は言っている(それこそ、信仰していない国内外問わずの人に対しても)ので。
相手のことを「精霊」と呼ぶことは以下のような意味を示したりしています。
①私もあなたも精霊なので平等である
②あなたは精霊的な能力で私よりすぐれている
つまり、相手を「精霊」と呼ぶことは相手について「自分以上の存在である」と認めることであり。
ここから、精霊という言葉が相手を尊敬したり、あるいは尊厳あるいち存在として見なしていることを伝える意味合いを帯びる、といった感じで敬意を示す際に使われるようになったりするなどしました。
場合によっては皮肉で使われることもなきにしもあらずですが、それはこの語に限った話ではないので……。
(よくよく見なくても「万民皆平等」だけ読みとって貴族制度反対されそうなのですが……まあそこはぼうりょく魔法の出番ですよね。あとは「精霊世界では平等だけれど、こっちの世界では精霊に近い血筋のもんが上に立って世界を導いていくんじゃ~!」というタイプの嫌な理論ですかね? 作者だけど知らんけど)
それではデナスティア王国にうっかり行ってしまった時のために(そんな人はいない)、以前も示した「精霊:esloi」の曲用表を置いておきますね。
(え? 以前も見たことがある? 何も聞こえない私は何も聞いていない)
主格 | 属格 | |
---|---|---|
単数 | esloi | esloit |
複数 | esleo | eslet |
※複数属格は「esleot」とも。
なお、この相手を立てるために使われるesloiと以前説明した「~など:-veih」はその性質上相性が「非常に」悪いです。
だって、一部の人物を立ててはいるけれど、対照的にその「-veih」に該当する人物をけなしているようなものなので。
まあ、相手を立てるための「精霊」ではない場合もあるので、一概には言えないのですが。……注意が必要とだけお伝えしておきます。
おわりに
はい。文化記事一回目からそこそこ重いものを投稿してしまい、すみませんでした。
しかし、これで新年のあいさつに精霊という単語が入ってくる理由がお分かりいただけたかと思います。
※そして、この敬意をより伝えるために動詞も常体(dioluhso)ではなく敬体(dioluhlomo)を使っていたわけです
※なお言うまでもなく、デナスティア精霊信仰は架空の宗教ですし、デナスティア王国も架空の国です。そこを勘違いしてはいけません。そもそも、「精霊:esloi」という単語自体、「せいれい→seilei→seloi→esloi」ですし……
本稿が皆様の正月太り阻止の一助になることができましたら幸いでございます。
(この記事は2023年1月1日に投稿するために執筆されたものです)
(正月ネタが多いのはつまりそういうことです)
(これらの注釈は2023年の正月を忘れた頃にお読みくださっている皆様に向けたものです)
Oldest comments (2)
凄いです...!!私も創作の中に宗教観を反映させているのですが、詳細は無く言語の特性にもそれを活かしきれてないので、そちらのような完全な世界観があるのは尊敬します!
そろそろ私も創作も中枢に入れないとですね...
私も世界観は道半ばですね……。世界観を作っていると、言語制作が滞ってしまうのが悩みものだったりしますね。