Migdal

さざんか(Cada Endefluhna)
さざんか(Cada Endefluhna)

Posted on

デナスティア語における数の一致 フランス語と比較して今判明する衝撃の真実()

※本記事はお遊びです。学問ではありません。

はじめに

 この記事はskytomo221様主催の「語学・言語学・言語創作Advent Calendar2022」企画のネタに執筆したものです。

 最初は自作の人工言語デナスティア語のメタい内容について書こうと思っていたのですが。「まだメタい内容を語れるほど言語そのものについて語れていないのでは?」とか「カレンダーの趣旨的に言語そのものについて語った方がいいのでは?」などと思ってタイトルの企画にしました(来年はメタい内容にするかもですが)(というかカレンダー無視して普通に語る気が)。

 というわけで今回はタイトル通り、自作の人工言語デナスティア語における数の一致について、自然言語のフランス語(をGo〇gle翻訳を通して無理やり翻訳したもの)と比較しながら語っていこうと思います。

 ちなみに、訳文の例の意味を考えだすとあれですが。文の意味というより名詞性や数の一致の方がメインですので(というか、女性名詞だとわかりやすいのです。わかりやすいのです……)。
 ……と言いつつ、筆者はフランス語にあんまり自信がない(だから正しいかもなんとなくになっている)ので、間違っていたらご指摘いただけるとありがたいです。
 なお、冠詞の定不定がめちゃくちゃになっているのは仕様です。
 
 
 
 
 あと、これは最も大事なことなのですが。基本的に人工言語は言語学の範囲ではないので……これは学問ではなく完全なお遊びとして、創作活動としてやっているということをご理解いただければと思います。
 ほら、某Sさんも自作の言語を「be言語かhave言語か」みたいな分析をしていたではありませんか……。たぶんそういうノリに近い記事です。知らんけど。
 
 
 
 
 
 
 

1数の一致とは(と言いつつ性数一致について説明する)

 多分こんなことは言わなくても大丈夫では? 皆様ご存知なのでは? と思う自分がいるのですが。ちょっとだけ前提となる「数の一致」について説明しておこうと思います。
 説明されなくてもわかってるよ、という方は2へどうぞ。

 数の一致とはつまり……修飾語と被修飾語が「同じグループだよ♪」という感じでハモる感じのあれです(早速きちんと説明できていない)。
 例えば今回比較対象として出すフランス語には、名詞に「性」と「数」というカテゴリがあり、修飾語(例えば形容詞など)は修飾される名詞に対して「性数一致」を起こします。

 フランス語の名詞は基本的に男性名詞と女性名詞という二つの「性」に分かれ、また単数形と複数形という二つの「数」を持ちます。そして形容詞などの修飾語は、その語が修飾する単語の性と数の組み合わせによって形を変えます。
 例えば「petit:小さい」が「oignon:玉ねぎ(男性名詞)」や「pomme:りんご(女性名詞)」の単数形と複数形を修飾する時にどうなるかというと。以下の表のように形が変わります。

単数 複数
男性 petit oignon petits oignons
女性 petite pomme petites pommes

 男性名詞の単数形を修飾する時はそのままですが、女性名詞を修飾する場合は、語末にeがついてますね? これが性の一致です。そして性を問わず、複数形を修飾する時はsがついています。これが数の一致です。
 女性名詞の複数形は両方合わせてesが語末についていますね。これが性数一致です(リフレインしてないリフレイン)。というか、別に男性でも単数でも性数一致なのですが……今回はこれの定義についての記事ではないので流します。

 それでは、本題のデナスティア語の数の一致に入っていくことにします。

2デナスティア語の数の一致

 デナスティア語でもフランス語と同様に、修飾語が被修飾語の数に一致することがあります。そう。「性数一致」ではないのです。デナスティア語には性がありません。
 「性」とかいう日本人のヨーロッパ諸言語を学ぶ時のつまずきポイントが一個ないのです(やったね)(私日本人なので)

 で、今回私はデナスティア語の数一致の例を示していくのですが。なぜこんな企画になったかの詳細をもう少しだけ説明しておきます。
 理由はわりとシンプルで、私が五年ほど制作している中で最近「あれ、これフランス語の性数一致に似ているのでは?」と事後的に思うことになったことです。

 この直観が本当なのかどうかというのを検証していこうというのが本稿の趣旨です。ちなみに結論を先に言うと、デナスティア語で分詞や形容詞の数の一致が起こっている場合、フランス語でも性数一致が起こっています。面倒くさい場合最後の方の表まで飛んでください。

 以下では(無理やり)フランス語に(Go〇gle先生が)訳すために用意した日本語と、そのフランス語訳、そしてデナスティア語訳を載せていきたいと思います。

こんなイメージ↓
0s(気になる単語が単数形)
0s-j:日本語訳(Go〇gle翻訳に読み込ませた文)
0s-d:デナスティア語訳
0s-f:フランス語訳

0p(気になる単語が複数形)
0p-j:日本語訳(Go〇gle翻訳に読み込ませた文)
0p-d:デナスティア語訳
0p-f:フランス語訳

 0の部分は、気になる名詞の単数形の日本語訳1つごとに1つの番号を振ります。sは気になる単語が単数または不明で、pは複数の時といった意味合いです。

 つまり、このsとpで形容詞(分詞)の形が変わっていたら(性)数一致と見なすという感じです。
 ただし、動詞(分詞ではない)はただの活用と見なします。ほら、英語の三単現のsみたいな活用。あれは入りません。

3単純な形容詞

 というわけで、具体例を見ていきましょう。まずは「AはBだ」構文(繋辞あるいはコピュラあるいはbe動詞と呼ばれるあれを使うあれ)、SVCです。

1s-j:少女は美しい
1s-d:Sun lene dat mitoi.
1s-f:La fille est belle.

1p-j:少女たちは美しい
1p-d:Sun lena daut miteo.
1p-f:Les filles sont belles.

 はい。田仏どちらも4語で表現していますね。田語の最初のsunは義務的ではないのですが。こうした方が分かりやすいので載せています。と言いつつ次の文から省略しているのですが。

 フランス語では、単数形の時と複数形の時で、色々と違っていますね? 文頭にあるのが定冠詞で、直後の名詞の数に応じて変化しています。
 なお、動詞も主語の「数」と人称で活用するので、単数と複数(仏語はestとsont。田語はdatとdaut)で変わっていますが。これは本来の動詞なので、今回のメインテーマである形容詞や分詞の一致には含みません。

 それはさておき。本題の形容詞(今回は「美しい」)ですが、フランス語はきちんと主語の性と数に一致するbelle、bellesという形をとっていますね(ちなみに男性単数形はbeau。不規則すぎる)
 そしてデナスティア語もmitoi、miteoと数で形を変えています。衝撃の真実です(すごく白々しいです)。
 
 
 
 あ、まずはデナスティア語で一致している場合していない場合を示しておきましょう(忘れてた)。上が形容詞で下が分詞です。
 ちなみに、一致しているの欄は左側が単数形に一致した形で、右側が複数形に一致した形です。

一致している していない
mitia -toi,-teo (その他)
klaue -toi,-teo (その他)

 そして、フランス語の方も一致している場合を示しておきますね。同じく上が形容詞で下が分詞です。ちなみに、一致している方は、左が単数で右が複数です。

一致している していない
petit -e,-es (その他)
manger -ée,-ées (その他)

 本来であれば、もっと他の形でも性数一致とかあるのですが。今回は性数一致と分かりやすいように女性名詞をターゲットに据えているので、正確性は無視しています(なお例文ではpetitではなくbelleを使うという混沌具合)。
 ひとまず、この記事の中では左の語尾なら(性)数一致が起こっていると認識していただいて大丈夫です。
 
 
 
(ここから大量の例が出ますが、読むのが面倒くさい方は7の結論まで飛んでいただければ。字が大きいからわかる、はず)
 
 
 
 では次に、形容詞が目的語を修飾していたなら、という例を出しますね。

2s-j:私は美しい少女を愛している
2s-d:Ja lufes mitia lene.
2s-f:J’aime la belle fille.

2p-j:私は美しい少女たちを愛している
2p-d:Ja lufes mitia lena.
2p-f:J’aime les belles filles.

 まず「私は愛している(J’aimeやJa lufes)」の部分はともかく。「美しい少女」と「美しい少女たちを」では田語と仏語に差異が見られます。
 形容詞が名詞を修飾していると。フランス語は修飾語が被修飾語に一致しますが、デナスティア語は「少女」の数に関係なく、数を一致させていません。上の表を見れば明らかですね?

 しかーし! 本来、フランス語は形容詞を名詞の後に置くタイプの言語で。短い形容詞(要定義)だけ名詞の前に置くという言語なのですよね。

 まあ、デナスティア語の前置修飾は私が日本語と英語ぐらいしかまともに文法を知らない頃にできたのでしょうがないね(SVOは後置形容詞が主流とか知らなかった人)。
 
 というわけで、フランス語の形容詞は前置より後置がメインなのですが。じゃあ、後置してしまえばいいのではという話も出てくるのですが。

 デナスティア語は形容詞、後置できないと見せかけて後置できます(冗長)。ではその例を見てみましょう。

3s-j:彼は素晴らしい少女を見る
3s-d:Cja kvat lene mitoi.
3s-f:Il voit une fille merveilleuse.

3p-j:彼は素晴らしい少女たちを見る
3p-d:Cja kvat lena miteo.
3p-f:Il voit des filles merveilleuses.

 はい。今度は両言語とも見事に(あいも変わらず白々しいです)数の一致が起こっていますね。フランス語は複数形で名詞と形容詞の両方に「-s」が、デナスティア語では語末が変わっています。

 ちなみに、デナスティア語は英語やフランス語と違って、どの形容詞も基本的に名詞の前後どちらにも置けるのですよ。後ろに置いた時は修飾する語に数を一致させる必要がありますが、それでも置けるものは置けます。

 あとこれは余談ですが。「彼は見る」なのは、こうしないとグーグル翻訳さんが微妙なものを返してきたからです。私にはどうしようもないのです。
 
 

4一致する受動分詞による受身構文

 今度は受動文の比較をしてみましょう。いわゆる「be動詞+過去分詞」というあれです。

4s-j:そのりんごは食べられつつある。
4s-d:Omle dat klauntoi.
4s-f:La pomme est mangée.

4p-j:そのりんごたちは食べられつつある。
4p-d:Omla daut klaunteo.
4p-f:Les pommes sont mangées.

 デナスティア語、本当は「~である」と「~になる」が違うので、この日本語には対応していない訳し方をしているのですが(こら~!)、話がややこしくならないためにdat、dautを使っております(別に正確性を担保するとは言っていないし、学問とか論文とかではないので大丈夫大丈夫)

 で、両言語とも最後の単語が過去分詞なのですが。見てください。形容詞と同じように、両言語ともそれぞれに一致を起こしていますね。
 しかも語尾が田語は-oi、-eo。仏語は-e、-es。形容詞と全く同じです。「その少女(たち)は美しい」という形容詞構文とやっている事は全く同じです(リフレイン)。

5関係節(中の動詞が現在時制の場合)

 はい。それでは続いて関係節のお話に入っていきたいと思います。まずは、先行詞が関係節の主語になるタイプの他動詞能動文から。

5s-j:私はりんごを食べている少女を愛している
5s-d:Ja lufes lene klaust omle.
5s-f:J’aime la fille qui mange la pomme .

5p-j:私はひとつのりんごを食べている少女たちを愛している
5p-d:Ja lufes lena klaust omle.
5p-f:J’aime les filles qui mangent une pomme .

 これを見て「あれ?」と思う方も多いかと思われます。「デナスティア語、先行詞以下フランス語と違って何の違いもないじゃん。数一致してないじゃん。フランス語はmangeがmangentになってるのに」というように。

 でも、上の表を思い出してください。今回は形容詞や分詞の数の一致を取り上げる回でしかなくて。左側の「一致している」の方には-eも-entも見当たりませんね(-éeはある)?

 繰り返しますが、動詞の人称数の一致はどうでもいいのです。どうでもいいのです……。

 ちなみに。りんごを複数形にしても、他の部分は変わりません。フランス語は動詞の活用がfille(少女)の単数複数で変わっているということがわかりますね(メジャーな自然言語なので言うまでもない。けれど言う)。

6s-j:私はりんごたちを食べている少女を愛している
6s-d:Ja lufes lene klaust omla.
6s-f:J’aime la fille qui mange des pommes.

6p-j:私はりんごたちを食べている少女たちを愛している
6p-d:Ja lufes lena klaust omla.
6p-f:J’aime les filles qui mangent des pommes.
 
 
 デナスティア語変わってないって? だってデナスティア語のklaust、分詞だもの。数と人称で変化する普通の動詞じゃないもの。その上、-oiとか-eoとか数を示すものがついてないもの。

 なぜ数を示すものがついていないかといえば。理由は単純で、-oiとか-eoとかをつけると、後ろに直接名詞を置くことが許されなくなるんですよね、デナスティア語。
 つまり、直接目的語があるせいで-oiみたいなのがついていないのです。そしてそのせいで、数の一致も起こりません。

 一方で、先行詞が関係節の目的語となる場合は、以下の通りです。
 
 
7s-j:私は少女が食べているりんごを愛している
7s-d:Ja lufes omle sit lene klaut.
7s-f:J’aime la pomme que la fille mange.

7p-j:私は少女が食べているりんごたちを愛している
7p-d:Ja lufes omla sit lene klaut
7p-f:J’aime les pommes que la fille mange.

 りんごの数(と仏語はそれに関係する冠詞)が違っていますが、それ以外の部分は同じです。つまり、性数一致する形容詞や分詞はどちらの言語でも出てきません。klautもmangeも三人称単数の現在形です。共通していますね。覚えやすいですね(棒)。

 え? デナスティア語のklautが変わっていないって? これには深い深い事情があって。この動詞は現在形だと単数複数の区別ができないのです。ある種の設計ミスです()。
 これが見る(kvae)なら三人称単数がkvat、三人称複数がkvautで区別できるのですよ。
 
 
 それはさておき。今度は受動文を関係節に埋め込んでみたらどうなるでしょうか? という翻訳結果がこちらですね(三分クッキングならぬ二行翻やキング)

8s-j:私は少女によって食べられたそのりんごが好きだ
8s-d:Ja lufes omle klauntoi jili lene.
8s-f:J’aime la pomme mangée par la fille.

8p-j:私は少女によって食べられたそのりんごたちが好きだ
8p-d:Ja lufes omla klaunteo jili lene.
8p-f:J’aime les pommes qui sont mangées par la fille.

 どちらも過去分詞をとっていますね。「-ntoi(eo)」という語尾はデナスティア語では過去分詞です。
 またフランス語もmangéは過去分詞です。で、-eや-esがついていることからフランス語の過去分詞は性数一致を起こしていることがわかります。
 そしてデナスティア語も上表で見た-oiとかついているので過去分詞の数の一致が行われています。はい。

 ひとつ違うところといえば、8p-f(りんごが複数)が完全な関係節になっていて、8f-s(りんごが単数)だと分詞を使った修飾語の節になっているというところでしょうか?
 でも、いい日本語訳を思いつかなかったんだからしょうがない。すべてGo〇gle先生のせいです。

 ちなみに少女を複数形にしても……まあ実質同じです。こっちはきちんと両方とも過去分詞による修飾語の節になってくれましたが。
 どちらの言語でも、「食べる」の過去分詞は少女の数は関係なくりんご(つまり先行詞)の数に一致していることが確認できると思います。

9s-j:私は少女たちによって食べられたひとつのりんごが好きだ
9s-d:Ja lufes omle klauntoi jili lena.
9s-f:J’aime une pomme mangée par les filles.

9p-j:私は少女たちによって食べられたりんごが好きだ
9p-d:Ja lufes omla klaunteo jili lena.
9p-f:J’aime les pommes mangées par les filles.
 
 
 
 
 

6関係節(中の動詞が過去時制の場合)

 はい。ここまでは現在時制を見てきたので過去時制を見ていきましょう。過去のことに言及する場合ではなく過去時制です。
 デナスティア語には関係節相当の句の中にある、過去の動作を示す動詞を「副詞+分詞」で示すことができるのですが。これだと現在形と形の上では同じで意味がないので……。

 では、その正体はというと(フランス語の勉強経験がある方ならもうお分かりかと思いますが)「avoir(つまりhave)+過去分詞」というあれです。名前は複合過去。英語の現在完了形といえば仏語知識ゼロでも伝わると思います(伝われ)。
 この形、フランス語では現在完了と共に過去も指せるのですが……そこはメインでないので割愛します。

 で、もともとデナスティア語の分詞は、能動受動共に過去を示すことができない仕組みだったのですが。関係節との関係()で、関係節中では「jaoe+過去分詞」という形で過去を示すとういうルールを導入してみたのですが(これがアポステリオリ公言のいいところ。いぇい)

 そうすると「分詞、どの形を使えばいいの?」ということになり。それをちょっとずつ考えていった結果がどうなのかという話です。
 まずは先行詞が関係節の主語になる場合です。

10s-j:私はりんごを食べた少女を愛している
10s-d:Ja lufes lene just klauntia omle.
10s-f:J’aime la fille qui a mangé la pomme.

10p-j:私はりんごたちを食べた少女を愛している
10p-d:Ja lufes lene just klauntia omla.
10p-f:J’aime la fille qui a mangé les pommes.

 え? 「私は食べられたりんごを持った少女を愛している」とも訳せる? そんなこと言いましたっけ?
 デナスティア語は性数一致を起こしていないのが明らかですね。だって、りんごの部分以外何も変わっていませんし。
 同様に、フランス語も分詞の末尾に-eも-esもついていないので性数一致を起こしていないと判断できます。

 えっ? もし少女を複数形にしたら、ですか?

11s-j:私はひとつのりんごを食べた少女たちを愛している
11s-d:Ja lufes lena just klauntia omle.
11s-f:J’aime les filles qui ont mangé une pomme.

11p-j:私はりんごたちを食べた少女たちを愛している
11p-d:Ja lufes lena just klauntia omla.
11p-f:J’aime les filles qui ont mangé les pommes.

 やっぱり一致は起こっていませんね? いや、フランス語の動詞として存在している部分はaがontになって数は一致しているのですが。これは形容詞的な性数一致ではありません。動詞の活用です。だからノーカン!
 と言いつつ、どちらも肝心の「食べる」にあたる部分はしっかりと過去(受動)分詞(性や数の一致はない)になっています。

 では、最後に過去の受動文を埋め込んだ関係節を見ていきましょう。

12s-j:私は少女によって食べられてしまったひとつのりんごが好きだ
12s-d:Ja lufes omle junt klauntoi jili lene.
12s-f:J’aime la pomme qui a été mangée par la fille.

12p-j:私は少女によって食べられてしまったりんごたちが好きだ
12p-d:Ja lufes omla junt klaunteo jili lene.
12p-f:J’aime les pommes qui ont été mangées par une fille.

 両言語とも「食べる」にあたる部分が(性)数一致ありの受動(過去)分詞になっていますね? そしてもとの文が受動文なので、関係代名詞を使わないデナスティア語では、元来「持つ」という動詞であるものが「junt」という、数の一致なしの受動分詞になっています。
 
 
 
 つまりこういうことです。

omle junt klauntoi(りんご 「have+過去分詞」 一致する過去分詞)
les pommes qui ont été mangées(りんご 「have」 be動詞過去分詞 一致する過去分詞)

 デナスティア語は「持つ」とbe動詞の過去分詞を一体化させただけで。大体一緒と言っても過言ではないだろう思います(過言)。
 
 
 
 そして、当然ながら「少女」を複数形にしたところで、同じ結果が返って来るだけです。先行詞に対する(性)数一致を起こすということがあらためて確かめられるだけですが、通し番号は振っておきます。

13s-j:私は少女たちによって食べられてしまったひとつのりんごが好きだ
13s-d:Ja lufes omle junt klauntoi jili lena.
13s-f:J’aime une pomme qui a été mangée par des filles.

13p-j:私は少女たちによって食べられてしまったりんごたちが好きだ
13p-d:Ja lufes omla junt klaunteo jili lena.
13p-f:J’aime les pommes qui ont été mangées par les filles.

7結論(まとめ&おまけ)

 で、この記事長々と書いてきましたが。「結局何が言いたかったの?」という読者様が大多数でしょう。
 というわけで、以下にデナスティア語とフランス語の性数一致の比較した表を用意しました! あ、もちろんデナスティア語は単なる数の一致にとどまりますが。
 あと、ここで「〇」印で表示しているのは形容詞的な一致であって。主語の人称と数で活用する動詞の活用は形容詞的な一致ではないとして「×」印をつけております。
 また、形容詞や分詞が(性)数一致していない場合も「×」印です。

番号 以下に形容詞・分詞一致する? 田語 仏語
1 形容動詞補語
2 前置形容詞 ×
3 後置形容詞
4 受動文
5,6 関係節主語能動文現在 × ×
7 関係節目的語現在 × ×
8,9 関係節受動文現在
10,11 関係節主語能動文過去 × ×
12,13 関係節受動文過去
14,15 関係節目的語過去 ×

 見ればわかるように、数の一致が起こるパターンは前置形容詞と関係節目的語過去以外、一致しているのです! 今明かされる衝撃の真実(わりとしょぼい)とはこれのことでした。

 で、この表を見て「関係節目的語過去なんてあったっけ?」と思った方。まったくおっしゃる通りでございます。
 以下の通り、あるにはあるのですが……Go〇gle先生による翻訳がこちらです。

14s-j:私は少女が食べたりんごを愛している
14s-d:Ja lufes omle sit lene klaunet.
14s-f:J’aime la pomme que la fille a mangé.

14p-j:私は少女が食べたりんごたちを愛している
14p-d:Ja lufes omla sit lene klaunet.
14p-f:J’aime les pommes que la fille a mangées.

15s-j:私は少女たちが食べたひとつのりんごを愛している
15s-d:Ja lufes omle sit lena klaunot.
15s-f:J’aime la pomme que les filles ont mangé.

15p-j:私は少女たちが食べたりんごたちを愛している
15p-d:Ja lufes omla sit lena klaunot.
15p-f:J’aime la pomme que les filles ont mangées.

 なんと、フランス語の複数形だけ一致しているという……。avoir(have)を使った複合過去は、目的語が動詞よりも前に来た場合に一致するというルールだと私は聞いたのですが……単数形ではなぜか規則がはたらいていないという。
 主題ではないのですが、とてもモヤモヤする結果に……。

 一方、デナスティア語で一致しないのは受動分詞を使った過去表現ではなく、単なる過去形の動詞だから一致のしようがないとも言えますが。
 ひとまず、デナスティア語で形容詞や分詞が数の一致を起こしていたら、フランス語でも性数一致を起こすんだよ~ということを覚えておいていただければ幸いです。
 
 
 
 
 
 今回のお遊びの結論。デナスティア語で数の一致が起こった場合は、フランス語では確実に性数一致を起こしている、です。
 
 
  
 あれ? デナスティア語を広めるつもりが、フランス語の宣伝をしている気がしてきたぞ……。
 
 
 
 
 
 それはさておき。最後までお読みいただいた皆様、お読みいただきありがとうございました。

 これからも(今回よりは軽めの)記事を書いていくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。

人気順のコメント(0)