0. お題
天気予報の原稿を書いて文法的に説明せよ。「明日の天気」と「今日の最高気温、最低気温」を必ず盛り込むこと。
1. 方針
天気予報の記述に向いていなさそうなモヤシ語であえて天気予報をやる。モヤシ語の問題点VSOなので、天候動詞が先に来る。聞き手は地域の情報を先に聞きたいはずなので、よろしくない。天気予報としていかに聞き易い、かつ文法通りの文章を作成するかに力を入れる
2. 翻訳対象の文章
関東地方は、午後も広く晴れる見込みです。
平野部では天気の崩れはなさそうです。
北部の山沿いでは夜になると雪が降る見込みです。
最高気温は東京とさいたまは16度、横浜は18度ときのうよりも高く、暖かいでしょう。
ただ、風が強まりますので、洗濯物などはしっかりととめてほしたほうが良さそうです。
あすも日中は大体晴れますが、風の強い状態は続くでしょう。
3. 訳文と解説
関東地方は、午後も広く晴れる見込みです。
ko’o ginxilgi Kantos da io fespaste na prosku ra klapasmxilkarga.
- ko’oは可能性を表す法の単語。今回、天気予報の文書は基本的に可能性の話なので、毎回ko’oから始まることになる。ginxilgi Kantosで関東地方。モヤシ語はNA語順なので、カントウが後ろに来る。また、固有名詞は子音で終わらなければならないので、適当にsを追加している。
- モヤシ語の語順では動詞が文頭(法を表す機能語の直後の部分)なので、「関東地方である。」がこの文章の動詞となっている。本来の語順からすれば、「(可能性の法)晴れる、関東地方の広くで、午後に。」といった語順になるはずだが、元の文が主題として関東地方を文頭に持って来ており、これをなるべく維持したかったため、「関東地方だ」という動詞を文頭にし、その後ろに「晴れる、広い(ところ)で、午後に。」という意味の文を続け、全体としては「広い範囲で午後に晴れるのは、関東地方だ。」といったニュアンスの文にしている。今回の翻訳は全体的にこの調子で翻訳している。
- daは絶対格を表す前置詞で、何が関東地方なのかを説明するパートの導入になっている。
- ioは後ろ続く部分が文であり、かつその文全体を一つの内容語として扱うことを表す機能語。fespasteは「晴れである」を表す動詞。naは場所を表す前置詞。proskuは「広い」を表す語。naと合わせて「広い場所で」を表している。 raは時を表す前置詞。klapasmxilkargaは分解すると、kla-pas-m-xilkargaで、xilkargaが「半分」pasが「日」、mは緩衝子音、klaは「時間的に後」の意味で、全体としては「日の半分の後」で「午後」の意味になる。
平野部では天気の崩れはなさそうです。
ko’o gimfamba da io plalkusti nau.
- gimfambaは平野の意味。これも、原文に合わせて主題を前に持ってくる為に、動詞である文頭に持ってきている。
- plalkustiは「悪天候」nauは否定詞で、「悪天候でない」の意味。この文はそんなに解説するところないですね。はい。
北部の山沿いでは夜になると雪が降る見込みです。
ko’o malba bildu dusnaupaste da io glurgu ra drisku.
- malbaは「隣」bilduは「山」で、「山の隣」=「山沿い」の意味。dusnaupasteはdus-nau-pasteで、「日の無い方向」で「北」の意味。glurguは「雪」、driskuは夜。
最高気温は東京とさいたまは16度、横浜は18度ときのうよりも高く、暖かいでしょう。
ko’o landa dindi io dalbo la’a rei oi da io alsigo na tokios ai su saitamas oi ai du io alsixi na iokoxamas oi oi tu’u ko’o landa dalbo la’a glepaste.
- この文はかなり複雑で、説明するのが大変。だが、今回のコンペの見せ場でもある。まず、原文をモヤシ語に訳し易いように組み替えると「最高気温だ、16度は、東京と埼玉で。(最高気温だ、)18度は、横浜で。より暖かい、昨日より。」となる。
- モヤシ語での比較の表現は、英語のmoreに相当するdalboを使う。比較される対象は前置詞la’aで示す。最上級については、英語のmostに相当する単語はなく、比較表現を使って「他の何よりも大きい」と言った表現で表す。今回の文では、”io dalbo la’a rei oi“がその部分に相当する。io … oiは中の文を一つの内容語のように扱う開きカッコと閉じカッコ。ioは既に説明したものと同じ。今までoiで閉じてこなかったのは、閉じなくても文の構造が曖昧にならなかったからである。今回は、後ろに文が続く為、構造が曖昧になり、oiで閉じる必要が出てきている。reiは「全て」の意味。
- 文頭のlandaは「熱い」dindiは「大きい」で合わせて「暑さ」の意味。後ろのio … oiは先に説明した通りで、全体で最上級の意味を表す。
- alsigoとalsixiは数字でそれぞれ16, 18。数詞の最初はal-で始まり、後ろに1,2,3…に相当する語を続ける。siが1、goが6、xiが8。
- aiは前置詞で始まった名詞構造を閉じる閉じカッコ。普通は明示する必要はないが、後続する接続詞duがどことどこを並列しているのかを明示するために必要。aiがあることで、” io alsigo na tokios ai su saitamas oi”と” io alsixi na iokoxamas oi”が名詞として並列され、前置詞daに掛かっていることが明示される。
- saitamasとiokoxamasの後ろにあるoiは、それぞれ、その前にあるioの開きカッコに対応する閉じカッコ。iokoxamasの後ろに2つ続いているoiは誤植ではなく、一つ目は先に説明したoi。二つ目は文頭のko’oに対応するoi。法を表す機能語は文を開始する機能も兼ねているので、ioと同じで厳密にはoiで閉じる必要がある。今回ko’oの閉じカッコを付けている理由は、その後に接続詞tu’uが続いている為である。oiが無いと、接続詞がどことどこを並列しているのか曖昧になるため、oiが必要となる。
- glepasteは昨日の意味。tu’u以降の文は「昨日より暖かい」という意味になる。 ああ、複雑な説明で疲れた…
ただ、風が強まりますので、洗濯物などはしっかりととめてほしたほうが良さそうです。
ko’o gundi da prande oi tu’u kiski da io pulsoska gundi da pultarda.
- gundiは「強い」、prandeは「風」。Oiは後続の接続詞tu’uのために明示している文の閉じカッコ。Kiskiは「良い」、pulsoskaは「止める」、pultardaは「洗われるもの」=「洗濯物」。
あすも日中は大体晴れますが、風の強い状態は続くでしょう。
ko’o frupaste da io fespaste ra seste dindi oi su soska da prande gundi.
- frupasteは「明日」、sesteは「時」、seste dindiで「多くの時」=「大体」。 oiは後続の接続詞suが文を接続していることを明示するために配置。suは単なる並列の接続詞。soskaは「持続する」.
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