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ンソピハ!
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ビアムイン!(ミニマル系人工言語レビュー第5回)

Ya! こんにちは、ンソピハです。
唐突に再開した本シリーズの第5回は、トキポナとベトナム語を参考に作られた謎のミニマル言語「ビアムイン」を紹介します!
(ビアムインのリクエストを頂いていましたからね……。遅ればせながら真摯に対応させていただきます。)

過去に私もレビューしたパニパニに触発されて作られた言語のようです。

典拠

Migdalの記事とZpDICを典拠とします。

https://zpdic.ziphil.com/dictionary/biamuin

発音

具体的な音価は書かれていませんが、子音はこんな感じだと思われます:

子音 両唇音 歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 声門音
鼻音 m n
破裂音 b d g
摩擦音 s h
接近音 (w) y w
側面接近音 l

yと書かれているものはたぶん[j]を表しているのでしょう。
破裂音が有声の字母で書かれているのが興味深いですね。有声・無声の区別はないようですが、無気音を表しているのか、それともオーストラリア先住民諸語のYidiny語のようにホントに有声破裂音しかないのか……。後者だとしたら、かなり珍しいですね。
でも、「ベトナム語を参考にした」と書いてあったので、なんなら入破音の可能性さえ……((
ひとまず、言語名bia muinのカナ転写が「ビアムイン」なので、ここでは有声破裂音だと考えておきます。

母音は/a, i, u/のほか、たくさんの二重母音があります!
/ai au ia iu ua ui/

音節構造はCV(n)だそうです。

文字

ラテン文字で表記するようです。
表記にもベトナム語の影響があるみたいで、「東京」の音写がDau Gi Yauになるように、音節単位で分かち書きするそうです。

文法

語順がSOVなのが一つ特徴的ですね。
コピュラ文では動詞の部分が空欄になる、というのも面白いと思います。

語彙

ビアムインの解説はまず、トキポナ批判から始まります。
トキポナ好きの私はトキポナ批判があまり好きでないんですけど、ビアムインでのトキポナ批判はそこまで的を外していないと思います。
ただ、そこでビアムインは「熟語を作る」という解決策に走りましたが、このやり方はトキポナ以前・以後にもいろんな言語がやってきた陳腐な案です。
また、ビアムインの作者は「トキポナは『人間の思考過程をそのまま言語化する』という所に重きをおいています」と書いていますが、そのような話をトキポナ界隈で私は聞いたことがありませんでした。日本語版Wikipediaの古い記述にはそのように書かれていましたが、出典が明らかでありません。当時の日本語版Wikipediaの記述はpre-pu時代のものをベースにしていたので、もしかしたら昔のトキポナ公式サイトにそのようなことが書かれていたのかもしれませんが、少なくとも現在のトキポナではそのような言説は一般的でないと思います。

辞書は全体的にかなり癖の強い印象です。
品詞転換による意味変化はかなり恣意的に感じました。
1語1語が一つの上位概念を表しているというふうではなかったですね。1語にたくさんの概念をつめこんでいるという感じで、意味の共通項を見いだすのは難しかったです。
例えば、lauの語釈は次のように分類できます:
➀液体状のものやこと:水、液体
②液体状のものに典型的な動き:流れる、流す、流れている
③液体状のものの中にいる有生物の動き:泳ぐ
④……?:ゆっくり移動する、ゆっくりとした
1~3については「液体関連」としてまとめられますが、4はピンと来ません。液体は気体と比べて分子の動きがゆっくりだから、液体とはすなわちゆっくり移動するものである、ってことでしょうか?

yaという語で二人称と三人称の区別がなくなっているのは、以前レビューしたダミン語を思わせます。
また、この語には挨拶の意もあるみたいです。「あなた!」で「こんにちは!」の意になるのは面白いですね。

変だなあと思ったのがbainとsuaです。縦移動と横移動が区別されています。
……ミニマル言語でそこ区別するんだなあと思いました。

nuに「ゼロ」と「点」の意があるのも、ややこしそうですね。lan nu(「nu」の時間)で「一瞬」という意味の熟語になるようですが、文字通り読むとゼロ時間とも読めます。

熟語で言うと、gau sai(血)も不思議でした。直訳すると、「人の終わり」でしょうか……? むしろlau sai(「人の水」)こそ血っぽい感じがしますが、こっちは「消化器・内臓」という意味です。――ただ、lauには「流れる」という意味もあるようなので、「人体の流れ」と解せばこちらは納得できますね。

全体的に、恣意的な熟語が多いので、この言語の学習はかなりの暗記ゲーになりそうです。

話者

話者コミュニティーなどはおそらくないと思われます。
ZpDICに掲載の語彙数は351語。熟語を多用することから考えますと、実用するにはもっとたくさん造語していく必要があるでしょう。学習は造語しながらじゃないとできないかもしれません。

レビューまとめ

さあ、各部門ごとにレビューします!

かわいさ:私の好みの問題もあるかもしれませんが、個人的にはそんなにかわいくはないと思います。無でしかないアラズ語よりはかわいいかなあ……。暫定3位です。

おもしろさ:熟語を使うという案は陳腐ですし、1語1語の意味範囲が格別面白いとも感じませんでした。全体的に、造語が恣意的(強引)だと感じました。文化的背景とかがあれば面白いんですけど、そういうわけでもないですし、比喩が凝ってたりするわけでもないですし……。暫定5位です。

シンプルさ:語根の数自体は少ないですが、恣意的な熟語が多いので、シンプルではないと思います。順位を考えると、ニョンペルミュより上か下かで迷います。ニョンペルミュの造語法のほうが直感的だと感じますが、ニョンペルミュは語根が300もありましたから。うーん……。でもやっぱ、造語がこう強引だと本末転倒だと思うので、ニョンペルミュより下の暫定5位とします。

使いやすさ:語根の意味が多すぎるので、もっと造語をたくさんしないと相当使いづらそうです。暫定3位です。

学びやすさ:教材が充実していないと思います。暫定4位です。

順位 かわいさ おもしろさ シンプルさ 使いやすさ 学びやすさ 得点
1 パニパニ ダミン語 アラズ語 ダミン語 アラズ語 5
2 ニョンペルミュ アラズ語 パニパニ ニョンペルミュ パニパニ 4
3 ビアムイン ニョンペルミュ ダミン語 ビアムイン ニョンペルミュ 3
4 アラズ語 パニパニ ニョンペルミュ パニパニ ビアムイン 2
5 ダミン語 ビアムイン ビアムイン アラズ語 ダミン語 1

総合得点は10、暫定最下位です。残念! もっとこの言語に合ったレビュワーに出会えると良いですね。

言語名 総合得点 総合ランク
アラズ語 17点 1位
パニパニ 17点 1位
ニョンペルミュ 16点 3位
ダミン語 15点 4位
ビアムイン 10点 5位

(なんかニョンペルミュの順位が上がったな……。)

あとがきと次回予告

このシリーズ、完全に失踪してましたね……。皆さんとて、私がこの連載を再開するとは思われていなかったでしょう。(そもそも私のことを知らない人工言語界隈民増えてそう。)
まさか再開するとは、ですよね〜。最近またミニマル言語に興味が出てきたもので。気まぐれです。

レビューするときのノリを完全に忘れてたので過去回を読み返しましたが、けっこう辛口だったんですね。Conlang Criticのパロディーだしそりゃそうか。
今回も辛口でいかせていただきました。
Xもやめたからネット上のしがらみも少ないし、辛口を誇らすぞ〜

さて、前回の予告では真ウーンラング語の記事を投稿すると言っていましたが、なぜかビアムインの記事が書きかけで残っていたので、今回は一旦そちらを投稿しました。次回こそ真ウーンラング語の記事を書きたいですが、かなりしょうもないタイプの冗談言語なので、そんなしっかりとした批評は書けないかもしれません。次々回にご期待ください。

リクエスト引き続き募集しております。もし取り上げてほしいミニマル言語がございましたら、ここのコメント欄に書き込んでください! DiscordやBlueskyでご連絡いただいてもかまいません。頂いたリクエストは、気が向いたら記事化します。

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