ビステジア!(こんにちは)
皆さんは先日投稿されたナナシアさんの自己紹介動画を見ましたか?
動画でも挙げられている通り、私 Fafs F. Sashimi はナナシアさんに日本語を教える代わりに、彼らの言葉――フィウ語(xör fiv)について教えてもらっています。
いわゆる、「言語交換」というやつですね!
この記事では、そんな交流の中で気づいたナナシアさんの言葉の少し細かい部分についてお伝えできれば良いなと思っています。
もしよければ最後までお付き合いよろしくお願いします!
こんにぢゔぁ~
一コマ漫画「30日後にデビューするVtuber」の3日目「《言語》ロール」の解説ですね。
「あ~、ナナシアくんちゃんやっぱり異世界人だから日本語間違えるのかな~」くらいで捉えてたと思うんですが、実は「間違えた理由」がちゃんとあるのです。
ナナシアさんの言葉は、フィウ語と言いますが、これは「名無しの森」の世界において、広く潜林士の間で通じる言葉として実質共通語と化している言語です。
一方で、そんなフィウ語でも地域によっては方言による違いを持っています。
自己紹介動画でも、幾らかのフィウ語が流れていましたが、ナナシアさんの言葉は一種の方言で、どうやら文章資料などで得られる標準的なフィウ語(ミラシア方言とも言います)とは違うようです。
その特徴に「単語の中に出てくる濁点の付いていない音は濁点が付く音に変わる」1というルールがあります。
例えば、自己紹介動画に出てくる単語としてアジネ(azine)がありますが、これは標準的なミラシア方言ではアシネ(asine)と発音します。
今では大分綺麗に日本語が発音できるようになりましたが、最初の頃はこの濁音化が激しく、「こんにちは」も「こんにぢゔぁ」になってしまったというわけですね。
ちゃんと教えてなかったら、「エコ」を「エゴ」と言っていたかもしれませんね……
語学に少し詳しい人に向けて
少し注意力が高いあなたは、きっと「『は』という文字は /h/ を表すのに、何故 /v/ になっているのだろう」と疑問に思うかもしれません。
ここもちゃんと理由があります。実はこれは有声化ではなく、フィウ語の音韻論に原因があります。
フィウ語の v は [w] から [v] まで広い発音を示します。
「こんにちは」の「は」は [w] で発音するため、ナナシアさんは前の音節頭の子音が有声音であったために、それにつられて [v] で発音したということになります。
鈴が割れる
今度は18日目「文化的差異」からですね。
ここでプロデューサーさんがやっているジェスチャーは、地球では「指ハート」という一時期流行った仕草なんですが、異世界ではとんでもない表現になってしまいます。
このジェスチャーはフィウ語ではギヴォリェル(givolyör)と呼ばれるものです。
これは森に潜り、自分の真名を得ようと目指す立派な潜林士の象徴――鈴を侮辱し、冒涜するジェスチャーとして捉えられます。
一度交わした指は鈴を示し、それはいずれ離れます。このことから、このジェスチャーは「鈴が割れること」を示し、相手が潜林士であれば、当人の侮辱に直結します。
確かに地方によっては、通じない、或いはより弱い表現として伝わることもあるとは思いますが、調査者の私からはできる限り利用しないことをおすすめします。
事が起こったあとでプロデューサーさんのジェスチャーを説明しようとしたときは、本当に大変でした。私もそのときはフィウ語の調査の最初期段階だったので。
異文化交流ってこんなに大変なんだって、再度実感しましたね……
まとめ
さて、如何だったでしょうか?
言語を通して、名無しの森の彼らに憧憬を抱いてもらえたなら、喜びに絶えません。是非とも、ナナシアさんと彼らが話すフィウ語を大切にしていただければ、調査者冥利に尽きます。
反響が多ければ、次回も彼らの言語文化について解説する記事を投稿する予定です。
それとナナシアchannelの登録と、通知をすべてに設定するのもお忘れなく! 動画の高評価も是非!!
それでは、言語翻訳・指導担当の Fafs F. Sashimi がお送りしました!
また次回の記事でお会いしましょう!
読了、お疲れ様でした~!
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難しい言葉で言うと「語中の阻害音が有声化する」ともいいます。 ↩
古い順のコメント(3)
おもじろがっだでず!
あ゛り゛が゛と゛う゛ご゛ざ゛い゛ま゛す゛!(
藤原竜也?)語頭と共鳴音で藤原竜也かフィウ語話者か区別できるんですね!便利!(???)