先日の10月18日に行われた総合創作サークル「悠里」第129回定期創作会において、リナエスト・オルス共和国の政党名をメンバーがリパライン語訳していたものを添削した。この際に「同胞の怒り・ウードヴャクツィから未来への進撃」という政党名が *olsa'd fae fal urdvjakzi ler stisniel el cec と訳されているのを olsa'd fae ad stisniel fua ceceso lerj urdvjakzi と添削した。これは "ler" や "el" が名詞を取るだけでは名詞句の要素として立つことができないというセンスからの訂正で、添削からは "fua" は名詞を取るだけで名詞句の要素として立てるし、"ler" は動詞派生名詞語尾による派生語の要素としてなら名詞句の要素として立つことが出来るということがわかる。
古くから、リパライン語の接置詞には整理不足のきらいがあった。
「◯◯に掛かる」という言い方で表現される接置詞の影響範囲の記述は、実はより細かい要素が含まれているのではないかということが昔から言われてきた。
ここの分析で重要な文章が2022年7月3日に書かれた「名詞に掛かる前置詞と名詞に掛からない前置詞」である。
ここでは従来通りの考え方である「名詞に掛かる」と「動詞に掛かる」という二項分類で接置詞を分類しており、その中でも "fua"「~のための」, "xale"「~のような」, "fon"「~の」は確実に名詞修飾にも用いることが出来るという結果が出ている(おそらく見落とされているのだが、"zu"(関係節を作る小詞)もこれに含まれる)。
ここで jekto.vatimeliju は新しい指摘を呈している。vatimelijuは2022年6月19日に開講されたリパライン語上級Ⅰの第三回講義の Fafs F. Sashimi の添削を引用し、「動詞要求か否か」と「動詞直後に欲しいか」は別軸ではないかと指摘しているのだ。
遠くから名詞に掛かる接置詞というものは考えづらいため、従来の接置詞の分類に加えられるのは、動詞直後に欲しいかという評価軸ということになる。
ちなみに動詞要求の中で動詞直後を要求する接置詞は、数が限られる。殆どの設置詞は動詞直後でなくても動詞に掛かることが出来るのだ。
Tvasnli'eser letix niv zant filx la kante.
「宣教師が意味もなく武器を持つことはない」
―スキュリオーティエ叙事詩4:20 3:2
上記のように普通多くの接置詞(今回は "filx"「~を除いて」)は、動詞(今回は "letix"「持つ」)の直後になくても主動詞に掛かることが出来るのである。
しかしながら、一部の接置詞はそうではない。
la snylod ve vietist xale ny l' l' exurs da.
「賢者は次のように答えた」
レーネガーディヤ1:2 1:21
この類の接置詞には "xale", "fon", "cix"「~として」、"zu"などがある。
これらは名詞に掛かる接置詞の役割を持っているため、直後に要求されるのはそういった名詞修飾と明確に区別するためであると考えられる。傍証として、名詞に掛からない接置詞は全て動詞の直後に来ることを要求していない。
まとめ
つまるところ、リパライン語の接置詞に関して気をつけるべきところは以下のようなところである。ちなみに接置詞の使い分けに関しては同志社語学同好会のリパライン語速習資料の1-2-1.の項目を参照すること。
- 基本的に設置詞は動詞にのみ掛かるもので、名詞に掛かる接置詞は少数である。
- 名詞に掛かる接置詞は名詞の直前・直後に要求される。
- 動詞に掛かる設置詞は殆どが動詞の直前・直後に要求されない。
- 動詞に掛かる接置詞のうち少数に動詞の直前・直後に要求されるものが幾つか存在する(おそらく殆どが名詞に掛かる接置詞の役割を持っている)。
覚書程度のメモなので乱文はご容赦のほど。
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