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スライムさん
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人工言語コンペとは

(2024/02/04 11:00頃 追記あり)
coi rodo mi'e .slaimsan.

今回は、過去に私が主催していた「人工言語コンペ」という企画について説明しようと思います。

人工言語コンペとは、提示されたお題に沿って人工言語を期限までに作成し、提出されたものの中で投票を行い、最優秀作品を決めるという企画です。

狙いとしては、お題を解決する過程で新しいアイディアや手法を見つけ出して人工言語を発展させることです。

比較的短期間で作成する必要があるため、既存の言語を利用することも認められています。既存の言語を利用しつつも、自分なりの新しいアイディアを是非付け加えて欲しいという思いがあります。

見返してみたら、構想を書き込んだのは2014年となっていて、なんと10年前の出来事になってました。思いついても実行はされておらず、実際に開催されたのは3年後の2017年の年末になっていたので、今から6年前のことでした。そこから6回開催されて眠っていました。

久々にやってみたいなという機運が私の中で高まっており、その前段として今回は当時行われていた時のルールを纏めようかなと思います。そしてこれを基に最近のツールや技術を使った新しい形式にアップデート出来たらいいなと思います。

1. 基本ルール

基本的なルールは以下の通りです。

  • 出題者からお題を受け取った主催者がお題を出す。参加者はお題に沿った人工言語を期日までに作成する。
  • 期日が来たら公開し、聴衆が投票する。得票が多い言語が優勝。
  • 優勝した言語の作者は、次のお題を出す権利を得る。(権利を放棄したり、連絡がつかなくなったら、主催者が新たにお題を出す。)

このように、やりたいことはとても単純です。

過去のお題は下記の通りです。

  • 第1回 命名用の言語を作り、47都道府県の名前を翻訳せよ。
  • 第2回 天気予報の原稿を書いて文法的に説明せよ。「明日の天気」と「今日の最高気温、最低気温」を必ず盛り込むこと。
  • 第3回 百人一首を訳す、ただし、直訳である必要はない。新たな詩歌形態を考案したり、架空文化にのっとった意訳をしてもかまわない。歌番号1~10までを最低条件とする。
  • 第4回 人工言語で創世神話を記述する。既存のものでも良いし、架空文化の創世神話でも良い。
  • 第5回 道案内の会話を作例してください。場面は屋外でも屋内でも構いません。文法は側置詞を極力使わずに格を表す工夫をしてみてください。前置詞や格助詞の他にもいろいろな手段があることを楽しんでいただくのが目的です。
  • 第6回 惑星ククル唯一の言語として架空言語イシ・ククルの文法を創作してみたが、今一つ異世界の言語っぽい感じがしなくて困っている。何か設定や文法項目を1~2つ追加して、改善してほしい。改善点は、例文を5~10文くらい挙げて紹介すること。(残念ながら、資料がリンク切れになっていて拾いだせなかったです…)

当時やっていたスケジュールとしてはこんな感じでした。

  • 第1金曜日 22:00 お題発表
  • 第3金曜日 22:00 発表開始
  • 2日後の日曜日 22:00 締め切り
  • 2日後の火曜日 22:00投票開始
  • 3日後の金曜日 22:00投票締め切り

作成期間はおよそ2週間といったところです。1週間だと短いし、1カ月だと長いかなと言うことで、このくらいのスケジュールに落ち着いたように記憶しています。

お題に対する回答例があると分かりやすそうなので、先ほど実際に私が当時投稿したものを記事にまとめ直しました。ご参照ください。

2. 細かいルール

以下は、公平性を確保したり、旧Twitter上で実施するための細かいルールです。

お題の出題者は評価の対象外。

公平性を担保するため、出題者は参加できないということです。ただ、待ってる間が暇なので、作って公開する分には良いことにしました。ただ投票の対象にはなりません。

運営は参加可能だが、お題を知った時から2週間以内に作成すること。ただし公開はみんなに合わせる。

これも公平性確保のためのルールですね。運営(私)が参加できないのも寂しいので参加できるようにするためのルールです。作ったらお題出題者(前回大会の優勝者)に送るなどして、公開までに改変されていないことを証明してもらいましょう。

投票はTwitterの投票機能を利用して行う。

投票をどうやって行うかという問題を解決するためのルールです。Twitterに4択までの投票機能があるので、これを利用していました。しかしながら参加者が5人以上になるとこのルールは崩壊します。そこで後から、次のルールが追加されました。

参加者が5人以上の場合は、組み分けをして予選を行い、勝者同士で決戦投票を行う。

4択の制限を抜けるためのルールです。しかしここで更なる問題が起きます。「どうやって組み分けするのか」です。初めて5人以上になった時、仕方なく私がくじを作ってそれを引く動画を取って公開したのですが、引き直ししたりして結果を操作することが可能です。そこで、次の回からは、下記のシステムが導入されました。

参加者はエントリー時に、整理番号を選ぶ。整理番号は0から99の数字で、まだ選ばれていないものを選ぶ。
運営は、開始前に0から99の数字をランダムにシャッフルした表を用意し、参加者がエントリーする前に表のハッシュ値を公開する。
組み分けは参加者が選んだ整理番号を表に基づいて変換した数字の順番に基づいて割り振られる。

公平に組み分けするために、ランダムに割り振るための仕組みです。ランダムにシャッフルした表の実物は以下の写真です。

Image description

こういう表をあらかじめプログラムで生成していました。左の数字が変換前の数字で、右が変換後の数字です。例えば整理番号で0を選んだ人は組み分けの時は57番になります。変換後の数字を若い方から並べて、その順序に基づいて組み分けしていきます。

組み分けはあらかじめ決められた割り振りにしてありました。例えば

5人なら3,2に分ける
6人なら3,3に分ける
7人なら3,2,2に分ける

こんな感じです。

変換表が改変されていないことを証明するために、このテキストファイルのハッシュ値を生成して、コンペ開始前にハッシュ値だけ公開しました。(この辺りの話は、セキュリティの話に詳しい方はピンと来ているかと思います。)

3. 現在の環境への適用の検討

基本ルールは変える必要はなさそうですが、組み分け周りのルールは無くてもいいかもしれません。というのも、現在は Discord というSNSが存在していて、投票をそこで実施すればいいので、そもそも組み分けの必要がなくなります。(表示順とかを決めるために、整理番号とシャッフルの仕組みは残していいかもしれません。)ただ、投票対象の規模が大きくなるので、上位者で決戦投票をする仕組みがあるといいかもしれません。

4. 終わりに

この時期、人工言語に新規参入する人が増える傾向が、私の経験的に知られています。というのも、大学受験が終わった高校生がネットに浮上する時間が増え、かつ時間を持て余して言語を作成し始めるみたいなパターンがあるからです。(同様のパターンが、7月末くらいに起きることも私の経験的に知られています。)このタイミングを狙って、この人工言語コンペを復活させてみたいなと思っているので、近々また何か動こうと思います。

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