Migdal

Tsuchifude
Tsuchifude

投稿

【覚書】造語する語をどう決めるか

  人工言語制作をすすめるにあたり、どんな語を造語すればいいのでしょうか。造語する語をどうやって決めればいいのでしょうか。これは古代ギリシア、古代メソポタミア、マダガスカル石器時代から人類最大の問題として、多くの歴史上名だたる人工言語作者の前に立ちはだかってきました。
 平安時代末期の藤原圃圃泥(ふじわらのほほどろ)が、日本語と漢語の知識を基に「黎州語」を作成し、『黎語和解』に自身の言語体系を書き残したことは、周知の事実です。しかし、圃圃泥が自身の日記『水稲記』において、「なんという語をつくればいいのか、皆目見当がつかない」と何度も書いたことはあまり知られていないでしょう。

 上で書いたことは全てまるっきり嘘なのですが、それはともかく、なにを造語したらいいのかわからないという人工言語作者の方もいらっしゃると思われます。
 そんな皆様に向けて、書き残しておきたいのですが、私は造語する語を決める際に2つのことのどちらかをやっています。
 一、翻訳したい文章を決めて、訳しながら足りていない語を造語する。
 二、ふと目に入ったものや、Twitterで流れてきたものを、自分の言語でなんというのか考える。

 悩むことなく単語数を増やすことができるのは、主に一の翻訳しながら増やす式ではないかと思えます。翻訳する文章をあらかじめ決め、それと同時に作る語も自動的に決定されば、どういう語を作ろうかと三日三晩考えつづけ飢餓状態に陥る必要もないのです。

 ただし、翻訳する際に、この表現はまだ訳せないなあ、と思っても、すぐに新しい語をつくるだけでなく、既存の語の新たな意味を追加してそれを使うという作業もある程度行わねばなりません。私の嗜好として、やみくもに語数を増やしても多義語が全然なければおもしろくないと思うからです。

 二の方法は、だるくて一の方法をとる気がない時に使います。たとえば、外出先でマダガスカルジャスミンバード(そんな鳥はいない)を目にしたなら、それをメモしておいて、帰ったら「マダガスカルジャスミンバード」を意味する語をつくる。また、部屋で『縄文時代の商人たち』という本が目に入ったなら、「商人」を表す語をつくる。このように、日常生活の中できっかけを見出すのも良いのです。
 
 また、私は「音から作る」という方法もやっています。音素の表を眺めていると、突然ある音節が脳内で湧き出てきて、ひとりごととして発音してしまいます。それを記録しておいて、適当に意味をあてるのです。その時あてる意味は、二の方法によることもありますが、なんとなく音の響きを感じ取って「この音だとこの意味っぽいな」ときめることもあります。
 しかし、この音から作る方法は、突然未知の音節を発音したくなる衝動にかられない人にとっては面倒ですから、万人向けではないと思われます。

 以上のように、私が造語をする際には、何という語を作るべきかあれこれ悩むのではなく、翻訳したい文章や、日常生活の些細なことからきっかけを作るようにしているのです。人によっては参考になるかもしれません。

 なお、『縄文時代の商人たち』という本は、洋泉社が本当に出していて、Amazonにて55円で売っているものです。これで、私の書くことが全部嘘というわけではないことがおわかりいただけるでしょう。 終わり

人気順のコメント(0)