Hanon!
フィユス・ギャゾフィーウェイ・インヴァロムでございます。
ンソピハさんの記事をきっかけに、人工言語技術者の皆さんが人工言語創作論を続々と展開しています。
ンソピハさん
rainさん
かいねっしゅさん
ふぃるきしゃさん
矛盾と混沌さん
サカルトヴェロさん
Ziphilさん
はくメなさん
非常に面白い(interesting)ですね。これは便乗大好きな私としてはやるほかないです。
ということで、私が創作している言語であるフェルヴェザニ語をモデルにしつつ、私Fijus'の人工言語創作論を語りたいと思います。ぜひ新しい言語を作るときの気分に戻ってお楽しみください。
「これがゼッタイいいというわけではありません。あくまで私の理論です。」
IFADIN TORON A KY NE SOLITELK EZ'ANI?
なぜ人工言語を作るのか?
世の中には多種多様な創作物があります。小説や詩、conspiracy theoryを始めとする文字の創作物、絵や彫刻、音楽などの芸術的創作物…その延長線上、あるいは交点ともいえる場所に言語の創作があると思っています。
そんな、ある意味で究極の創作物といえる創作言語・創作世界をやってみたい、続けてみたいと思っているため、私は愚かにも言語創作をしています。
IFYDEL TORON A KY NE SOLITELK EZ'ANI?
どのように人工言語を作るのか?
1. 始点
発音から作るか?文字から作るか?文法から作るか?単語から作るか?あるいはそれが話される世界観から作るか?
いろいろあると思いますが、私はアイデアが先に出るので、それから作ります。
「発音が特徴的な言語を作ろう」と思ったら発音から、「文字が特徴的な言語を作ろう」と思ったら文字から…他もまた同様。「絶対にコレから作る」というルールは自分内に持っていません。持っている人もいるでしょうが…
フェルヴェザニ語の場合は、「自然言語っぽくも人工言語っぽくもある異世界言語を作ろう」というアイデアからできたもので、最初に作り始めたのは発音です。
2. 発音
言語は喋るものです。つまり音声が無いといけません。ということで次に発音を作ります。とはいっても、ここで全てを作る必要はありません。
あとから付け足してもいいし、要らないと思ったものがあれば、後から切り捨ててもいい。人間と同じです。
フェルヴェザニ語は最初に決めた発音でずっと続けています(説得力暴落)。
3. 文字
音ができたら文字を作りたくなるのが私です。表音文字が好きなので、表音文字を作ります。前々から言っている通り、フェルヴェザニ語は私が没にしてきた数々の人工言語の集大成として制作しているので、没言語のときの文字の原案がありました。フェルヴェザニ語の文字はそれを改造して作っています。
無意識下にですが、アルファベットと似た形になるのは避けています。仮に似せるとしても、全然違う発音に充てます。とはいっても異世界の言語なので、「オー」を表す文字は、口の形のイメージから円っぽい文字で(英語っぽい)、有声音と無声音は似た形にして(日本語っぽい)、など、あくまで人間らしさを出すように作ります。
制作中、書体が2種類になったり3種類になったり、文字が入れ替わったり(大母音推移的な…?違うね。)、文字の呼び方を決めたり、紆余曲折が何回もあって今の形に落ち着きました(実際は文法や単語がある程度できてしばらくしてからの出来事ですけどね)。
4. 文法
文法。
個人的に一番楽しいところ。
最初に決めるのは主語、動詞、目的語の順番ですかね。
有名な話ですが、英語や中国語のようなSVOよりも実は、日本語や韓国語のようなSOVの方が世界の割合でいえば多いそうです。
でもそもそもそんなメジャーな順番じゃ面白くなかろう。ということで、フェルヴェザニ語には第3位(多分)のVSOを採用しました。
…同じ考えでそうなったかは分かりませんが、人工言語界隈ではむしろVSOの方が多くないですか…?
形容詞-名詞の順番はとりあえずこだわりはないのでANの順にして、次に取り掛かったのは「フェルヴェザニ語独自の語法・文法を作る」ことでした。
他の人工言語に埋もれたくない、せっかくなら個性が欲しい。その一心でした。
…それで最初に思い浮かんだのが、主語によって動詞が活用するという意味不明で理不尽なアイデアでした。なんでなんだろうね。
しかし、私が人工言語界隈に参入するきっかけになったOmizan Sakamoto氏によれば、「異世界の自然言語を作るなら人工言語臭さをなくしましょう、そのためには一見意味の分からない不規則さが必要です」的なことをとある動画で仰っていたので、そういう意味でも、自然言語に近づけるという目標からすれば真っ当な考えなのでしょう。
5. 単語
文法を決めるためにはある程度単語がなきゃいけません。
人称代名詞と、助詞を使う言語にすることは決めていたので助詞と、あとは一般的な動詞、名詞などです。人称代名詞と助詞以外で最初に作った単語は"tajos'"です。これは「歩く」という意味で、前述の動詞の活用を考えるために動詞の代表として創りました。
現代フェルヴェザニ語の「歩く」は"tajos"です。これは、s'/θ/の音が言いづらいから製作途中に変えました。フェルヴェザニ語の言語史を作るとしたら、ここら辺の子音遷移がアツくなりますね。
最初に創作した名詞は当然"Felvez'ani"「フェルヴェザニ語」ですが、その後すぐに"zavain"「リンゴ」ができました。明らかにりんご文を意識してますね。
手っ取り早く単語数だけ増やしたいならスワデシュリストの利用が考えられます。
⇒フェルヴェザニ語でスワデシュリスト
6. 作文
ある程度できたなら、次に取り掛かるべきは作文でしょう。
先に言います。言語制作をするなら作文をしろ。
これはフェルヴェザニ語とか関係なく全ての創作言語(ネタ言語とかなら話は別ですが)に通づる話です。
単語を文法通りに並べて、自然言語っぽいか(言いづらすぎないか)?
活用形や格変化の具合はどうか?
時制は?文同士の接続は?疑問文は?
いくらでも疑問点、改善点は挙がるはずです。
おすすめなのはやはりりんご文です。たくさん種類がありますが、初めての方はざすろん氏のりんご文をオススメします。次いでもやし氏やQunoxts氏のりんご文かな。
デネブ氏のものは口語的すぎる&擬音表現が難しい、Ziphil氏のものは高校の英語の授業を思い出させる高難度の文法が多いので、制作に慣れてからがいいと思います。実際私もざすろんリスト、もやしリストまで翻訳して止めてます。
あとよくあるのは『不思議の国のアリス』の冒頭の翻訳でしょうか。
しかしアリスには欠点があり、「土手」「デイジー」みたいな、もう一生使わんやろみたいな語を造語させられる羽目になります。
いつぞやの人工言語かるたでも言われてましたね。
そういう意味でいえば、より抽象的・一般的な語彙が多そうな『ソノヒノキ』冒頭や『SCP財団とは』もあります(後者はmigdalで一瞬流行しました)。
7. 改定
さて、ここまで言語を作れてもまだ完成ではありません。単語や文法は増えるでしょうし、従来のものが修正されるかもしれません。
こういうのをちゃんと改正するためにも、文をいっぱい見つけていっぱい翻訳しましょう。足りないものは増やし、要らないものは削り、あなたの理想に近づけていきましょう。
NIL BO EMOINT SOLITELK EZ'ANI CU IFITA?
理想的な人工言語とは?
さらっと出しましたが、理想的な人工言語とは何でしょうか?
それは当然、その人の価値観や創作している言語によって違います。そのため一概にコレということは難しいです。
「Fijus'版の創作論なんだからお前の理想を語れ」という声がパラレルワールドから聞こえてきそうなので、遠慮せずに書きます。
どんな目標であれ、人工言語は制作者自身を反映するはずです。その言語があなた自身を象徴するような、表現するような状態になったとき、それは理想です。
「この人と言えば○○語だよね」という意味での「あなた自身を象徴する」ではありません。誰かがその人工言語を読み書きし、聞いて話して、表現した時、その人があなたの世界に、その言語の世界に自然に没入できるような、そういう状態が理想だと思っています。
もっと単純な話をするなら、あなたがその言語を通して達成したい目標が達成されればいいんです。
ルドヴィコ・ザメンホフ(Esperanto)⇒「世界語」
ソニャ・ラング(toki pona)⇒「最小の努力で最大の意味」
Ziphil Shaleiras氏(qilxalèh)⇒「言語という媒体を通して、私自身の世界の捉え方を表現し、自分がこの世界に存在したことを記録すること(引用)」
このように、熱意のある言語制作者には必ずその源としての目標があるはずです。源のない創作活動は自然蒸発するものですから、世に残っている言語は、目標を見ている言語ということになります。
皆さんの創作によって、より世界が広がることを楽しみにしております。
Fijus' Qaz'ofywei Invarom(Felvez'ani)⇒「自然言語と人工言語の中間に位置し、現実と創作を繋ぐこと」
まとめ
要は作りたいものが作れればいいんですよね。
ここまでお疲れ様でした。よければ皆さんの言語制作を通した目標も教えて下さいね。
FIJUS' QAZ'OFYWEI INVAROM
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