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ふぃるきしゃ(FILUKISJA)
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ニョンペルミュ版 不思議の国のアリス冒頭

hjulimis!(こんにちは!)ふるくしゃです。「不思議の国のアリス」冒頭のニョンペルミュ訳をしてみたので、その解説をします。


全文

FE FISFANAS TJEL TE ALIS

ALIS pofe lutjus tju pis mel folfan sun sjelmamjunel mi po sas sja hje timju. senel pas lel lis hi tju fusli sjelmamjunel sul li te tjes hjen, ni sja hje lje lel hjupelmis. ALIS mje "sja hje lje lel hjupelmis te tjes mi kihil na no?"

nilus senel fusfe fol (senel ljafan momelhjon tis mel fjunfa sas na mjefin lus, sjel senel so te nja) mje to sjolmin mi holsil te mjenmis kolkon me kolkon tus tje sjolmin te tonfjanmis te. nitel sja helfjal fju te hel pjenpje milfe senel hjefonnas kas.

ni me na mel hjasnas. sas, ALIS ho se pjenpje nilpel "folfeltinas! folfeltinas! la pen telhjo!" tel, senel me mje ni na meljatjelnas. (senel lin mje ni tel, senel fjus senel tjo mje ni na meljatjelnas hjen, nitel ni lina ljatjelnas.) hjen, se pjenpje sol fan hjolhos pun teltol li ni tel, senel pis kas. ni ljafan senel mil nitel me li sja hjolhos te pjenpje sas fan ni pun te teltol. sas, ALIS folmil ni sjus kelmus kas pju se pjenpje sas, senel kontel fjus se pjenpje pjen fussa fe sjolsju te pjenpje mi mel mun.


解説

FE FISFANAS TJEL TE ALIS
不思議な国にいるアリス

 タイトルからいきなり関係節が出てきましたね。関係節は後置詞teによって作られ、名詞に前置されます。ニョンペルミュでは、形容詞も副詞も属格も前置詞句も、基本的に全て前置修飾です。属格後置詞miを使ってFISFANAS TJEL MI ALISでも良かったのですが、所在の意味を明確にしたかったので関係節を使いました。miを使うと、アリスが不思議の国出身であるかのように受け取られる可能性がありますからね。
 ニョンペルミュでは、固有名詞は全て大文字で表記します。それ以外は、文頭含め全て小文字です。


ALIS pofe lutjus tju pis mel folfan sun sjelmamjunel mi po sas sja hje timju.
アリスは川の横で、姉妹の横に座り何もすることがないことにとても退屈し始めていた。

 原文ではbank「土手」ですが、もちろんそんな単語は作ってないですし、作ってもこの訳文くらいでしか使わないだろうと思ったので pofe lutjus「川の横で」としました。
 ニョンペルミュには時制の活用がないので、時制の判断は文脈次第となります。助動詞tjuは、「既に~した」という完了の表現です。
 原文がher siterなので、単にsjelmamjunel「女きょうだい、姉妹」としました。文脈としては姉でしょうし、参考にした和訳でも「おねえさん」となってますけどね。ニョンペルミュで「姉」と言いたい場合はnos sjelmamjunel「年上の女きょうだい」でしょうかね(明確に決めてない)。
 「何もすることがない」はsja hje timju「ゼロ個の用事を持っている」と表現します。


senel pas lel lis hi tju fusli sjelmamjunel sul li te tjes hjen, ni sja hje lje lel hjupelmis.
彼女は1、2回姉妹の読んでいる本を覗いたが、それには絵や会話がなかった。

 senelは「彼女」を指します。三人称有生単数代名詞seとnel「女性」の合成です。単にseでも良かったのですが、後に登場するウサギとの混同を避けるためにsenelとしました。一方niは三人称無生単数の代名詞です。
 hjen「~だが」は接続詞です。接続詞は日本語の接続助詞と類似しており、前の文の文末に置いて、その後をコンマで区切ります。hjenは文頭に置いて「しかし」という意味でも使えます。
 sjaの用法は英語のhaveに似てますね。「~には…がある」という意味で用いられます。身体部位や家族などを目的語に取ることもできます。


ALIS mje "sja hje lje lel hjupelmis te tjes mi kihil na no?"
アリスは「絵や会話のない本の使い道は何なの?」と思った。

 疑問詞疑問文にはno「何」を使います。なんか、ニョンペルミュのna no?「~は何?」と日本語の「~なの?」って似てますね。


nilus senel fusfe fol (senel ljafan momelhjon tis mel fjunfa sas na mjefin lus, sjel senel so te nja) mje to sjolmin mi holsil te mjenmis kolkon me kolkon tus tje sjolmin te tonfjanmis te.
そのため彼女は心の中で(彼女は暑い日が原因でとても眠くて愚かになっていたので、彼女のできる範囲で、)花の鎖を作る楽しさが立ち上がって花を集める面倒くささに見合うかどうか考えた。

 はい来ましたね、クッソ長い文。括弧が挟まってて意味が取りづらいんじゃ! 
 sjelは「~と共に」という意味ですが、ここでは「~な様子で」という意味で使われてますね。sjel S so te njaで「Sのできる分だけ、できる範囲で」を表します。
 括弧の後の部分は、原文でもやたらまどろっこしい言い方をしてますね。英語母語話者の子どもはこの文スムーズに理解出来るんか? 
 mjenmis・tonfjanmisの前のteは、それらの具体的内容を示す補文を作る機能をしています。一方、文末のteはto sjolminからtonfjanmisまでの部分を名詞化しています。こちらの用法のteは省略することもできます。
 kolkonは「~の値段は…だ」という意味ですが、この文のように「~は…に値する、見合う」という意味でも使えます。kolkon me kolkonのようにme「~ない」を挟んで反復することで「~か?」という諾否疑問文となります。ここでは諾否疑問文がteによって名詞化されmjeの目的語になっているので、「~かどうか」という間接疑問文として解釈できます。


nitel sja helfjal fju te hel pjenpje milfe senel hjefonnas kas.
その時、ピンクの目をした白いウサギが彼女の近くを突然走った。

 出ました! pjenpje! ぴぇんぴぇですよぴぇんぴぇ! かわいいね! 
 pjenpjeはpjen「跳ねる」とpje「耳」の合成です。このように、動物名には「特徴的な動き」+「特徴的な部位」を合成したものがあります(ハバタクカミやトドロクツキといったパラドックスポケモンの命名方法を参考にしています)。


ni me na mel hjasnas.
それは大して驚くようなことではなかった。

 hjasnasはhjas「驚く」+ nas「~的な」から成ります。つまり、人間を主語に取る動詞が基本で、それにnasを加えることでモノやコトを修飾する形容詞・副詞になります。


sas, ALIS ho se pjenpje nilpel "folfeltinas! folfeltinas! la pen telhjo!" tel, senel me mje ni na meljatjelnas.
そして、アリスはそのウサギが「大変だ! 大変だ! 遅れそうだ!」と独り言を言うのを聞いたときも、それが不自然だと思わなかった。

 se pjenpjeのseは形容詞として用いられてますね。冠詞のような役割を果たし、先ほどと同一個体のウサギを指示しています。
 folfeltinasはfolfelti「焦る・慌てる」の派生なので、「慌ただしい」が直訳です。さらにfolfeltiはfol「心」+ felti「波打つ、震動する」から成ります。ニョンペルミュでは「心が震える」は「焦る」なんですね。
 それにしてもmeljatjelnas「不自然」って発音しにくいね……。


(senel lin mje ni tel, senel fjus senel tjo mje ni na meljatjelnas hjen, nitel ni lina ljatjelnas.)
(彼女が後に考えたとき、彼女はそれを不自然と思うべきだったと気付いたが、当時はそれが自然に思えたのだ。)


hjen, se pjenpje sol fan hjolhos pun teltol li ni tel, senel pis kas.
しかし、そのウサギが実際にポケットから時計を取り出してそれを見たとき、彼女は走り出した。


ni ljafan senel mil nitel me li sja hjolhos te pjenpje sas fan ni pun te teltol.
それは、彼女がポケットを持っているウサギとそこから取り出す時計をそれまでに見たことがなかったからだ。

 ljafanは「~は…だからだ、~は…に由来する」を表す動詞です。
 ニョンペルミュには経験を表す文法要素が現状特にありません。mil nitel「それまでに」やmil sel「今までに」といった前置詞句を付け加えることで経験を表します(これは私が以前作っていた人工言語Labidimaの語法の流用です)。


sas, ALIS folmil ni sjus kelmus kas pju se pjenpje sas, senel kontel fjus se pjenpje pjen fussa fe sjolsju te pjenpje mi mel mun.
そして、彼女はそれに興味を持ち、原っぱを走ってそのウサギを追い、そのウサギが草むらにあるウサギの大穴に跳んで入るのをちょうど発見した。

 この文では、folmil「興味を持つ」やkas「走る」やpju「追う」といった複数の動詞が一つの主語ALISを共有しています。これを主語共有文といいます。一つの主語の後に、時系列に沿って複数の動詞句を並べることで「~しながら…する」「~した後に…する」といった意味を表せます。ニョンペルミュの前置詞は、このような主語共有文から派生したものがほとんどです。
 原文ではhedge「生け垣」の下の穴なんですが、参考にした和訳だと「しげみ」なんですよね。まあ生け垣って分かりづらいし、そんな単語作ってないので、ここは和訳に倣ってsjolsju「草むら」としました。


 というわけで、今回はここまで。やはり長文を訳してみるとさまざまな発見がありますね。今回の翻訳にあたって造語も進みましたし、文法の変更も行いました。最も大きな変更は関係節の表し方です。以前は代名詞のteと後置詞miで節を挟む形で関係節を作っていたのですが、それだとだいぶ冗長だということに気付きました。それで今回解説したとおり、teを後置詞とし、節の後に置くことで関係節を作る方法に変更しました。以前書いたニョンペルミュ解説記事の内容が早速古くなってしまいましたね……。
 今回は物語文を訳したので、次回は歌詞翻訳がしたいですね。まあ、やる気が起きたときにね。では次回の記事でお会いしましょう。hjufanmis!(またね!)


参考にしたサイト
不思議の国のアリス ルイス・キャロル
(C) 1999 山形浩生

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