久しぶりにmigdalの記事を書いた気がします……。最近は小説を書いていたので記事を書いている暇がなかったともいいます(そして余談ですがTwitterで呟いているゲーム制作も止まってます……)。
今日は、ちょっと昨夜とあるYouTubeの動画を見ていて「デナスティア語のあれを説明していなかった」と思い出したので急遽その放送を見ながら執筆した記事です(と言いつつ投稿前に大幅な加筆修正をしました)。
というわけで、今回はタイトル通り「集合」と「部分」を示す接辞を紹介する記事、です。あと、おまけで「代表」を表す接辞も紹介します。
このあたりの問題、デナスティア語に単数複数を作ったから発生した問題ではあるのですが。……ヨーロッパ風にしたかったからしょうがないね。
部分接辞の-peh
まずは部分の接辞の方を説明していきます。「-peh」という接辞を使います。
ちなみにメタい意味での語源は「水辺」の「辺be→pe」です。
まずは接辞を使っていない例から行きます。
murk:~家
tzar:王
Denastia tzarmurk:デナスティア王家
まあ、理解できると思うのでこれはこれとして。次に接辞「-peh」を使った例を示しておきます。tzarmurkの語頭が大文字になっているのは気にしないでください。
あと冠詞の「ua」とか数詞の「1:eh」とかは作者的についていないとなんか気分がよくないのでつけただけです。意味的にはなくても通じます。
1.Milehcja dat ua Denastia Tzarmurkpeh.
ミレーシャはデナスティア王家の一員です。
2.Milehcja es ja daus nit eh murk.
ミレーシャと私はひとつの家族です。
3.Eih venaus feu ua murkpa.
4.Eih naseus ua murk.
私たちは家族になります。
(venue:~になる、nase:~を作る)
はい。これが部分接辞の「-peh」の使い方です。3の「家族になります」の例文で「-pa」という形が出てきていますが、これは複数形になっているだけです。
→デナスティア語の名詞の曲用についてはこちらから
→動詞の活用はこっち
簡単にいうと、この接辞は思いっきり単語の一部になっているというノリでとらえていただければ大丈夫です。
でも、2の「ひとつの家族です」は「所属する」という動詞が欲しい気がするので、たぶん非母語話者の発話かもしれません。あるいは一番下のように「naseus」を使うか。知らんけど(先に語法決めなさい造語しなさい)(非母語話者ならたぶん「eh」とか使わない)。
他にも、このような使用例があります。
数 | 田語 | 日本語 |
---|---|---|
単数 | taj | 手 |
複数 | taja | 手 |
単数 | tajapeh | 片手 |
複数 | tajapa | 両手 |
はい。複数形に部分接辞の「-peh」を足していますね。こうすることで、複数あるものをセットとしてとらえた上で、その部分を示すことができるようになります。
同様に。
数 | 田語 | 日本語 |
---|---|---|
単数 | man | 目 |
複数 | mano | 目 |
単数 | manopeh | 片目 |
複数 | manopa | 両目 |
こんな感じの語彙もあります。ちなみに「tajpeh」や「manpeh(mampeh)」という語形は登録していなかったりします。家族は一個の中にたくさんの個人が入っていますが、ひとつの手や目の中を分けるとぐちゃぐちゃになるからでしょう(自分の考えを推量していくスタイル)。
「murkopeh」は登録した覚えがありませんが、父方の一族と母方の一族の血を引く子供みたいなニュアンスで使えるかもしれません。
あるいは複数形の「murkopa」なら、各一族それぞれに所属している人物の集まりととらえて、普通に使える語彙になっている気もします。
あと、これは完全に個人的な今後の文法についての課題なのですが。「兄弟:cjude」や「姉妹:nani」なんかにもこれを適用すべきかどうかという課題があったりします(セットが前提な気がするので)。
集合接辞の-tap
これは異分析によって生まれた接辞です。最初「本:jautap」という語があって。やはり集合名詞も作りたくなったので、勝手に「言う:jaue」と「-tap」に分解して完成させました。直訳するとたぶん言説集。
こちらもメタな話をすると「束taba→tab→tap」という設定です。あと「jautap」の本当の語源は「本(アラビア語)kitab→木束kitaba→葉(パピルス)束jautaba→jautab→jautap」です。
デナティシア語(デナスティア語の前身)時代は「jautab」でした……(語末の有声阻害音を無声化させることにしてこうなりました)。
これも「-peh」接辞と同じで接辞ごと複数形にできて。複数形は「本(複数):jautapo」になります。
ちなみに、こちらはまだ語彙がほぼほぼできていない感じです。紹介するのが早すぎたかもしれない……。というか、語彙が少なすぎるだけですね。はい。
あと、これはおまけですが。たぶん本の複数形は一種類の複数冊の本も、(1~)複数の種類の本複数冊もたぶん表せる気が、する(このあたりの複数形の用法も考えなければ)。
代表を表す-veih
この記事最後のテーマです。まずはつべこべ言わず以下の日本語を見てください(上から目線で口が悪いです)。
5.ミレーシャたちは図書館へ行く
6.私の父たちは図書館へ行く
たぶん、5は多くの日本語母語話者が問題ないと答えると思います。
しかし、6はなんかちょっと微妙……と感じる方が多いのではないでしょうか。少なくとも私はそうなので(n≧1)です。
では、これらの文をそれぞれデナスティア語に翻訳すると、どうなるでしょうか? ……というのが以下二つの文です。
7.Milehcja-veih muht feu nuinieve.
ミレーシャたちは図書館へ行く
8.Jat pava-veih muht feu nuinieve.
私の父たちは図書館へ行く
はい。どちらもハイフンつきの「-veih」という部分が共通していますね? これが代表接辞です。
muht以下も共通していますが、こっちはこの記事の本題ではないので無視します。あとnuinieveの発音は「ぬぃにえふ」です。
例えば、ミレーシャは人名です。つまり、固有名詞であり、一人しかいません。たしかに、ミレーシャという名前の人が二人以上いる場合もあるかもしれませんが、そんなことはまれです。
二人以上同じ人名の人がいたら、お遊びで一般名詞のように複数形にすることはなきにしもあらずですが、失礼だし普通はしません。
そして「私の父たち」。デナスティア語の「父:pava」はまあ、産みの親と育ての親と二人いたら別ですが、両方とも同一人物であることの方が多いです、よね?
(こちらは一般名詞なので二人なら普通に「父(複数形):pavai」にすればいいので。あるいは「祖父:soipava」なら父方と母方で二人いるパターン——soipavai——が普通にありますが)
そうした場合、例えばですが「私の父と誰か知らない人が」と言いたい時があるかもしれません。あるいは、父以外をぼかしたい場合もあるかもしれません(父親の浮気現場を目撃して、母親から「パパどうしてた?」と聞かれた場合とか)。
こういう時に代表接辞の「-veih」が役立ちます。「ミレーシャとその他」とか「私の父とその他」みたいなニュアンスで使えます。便利!
え? メタい語源ですか? 日本語で「~など」という意味で使われている「等」という字が中国語で「待つ」に関係するらしいので英語の「wait」にしてそこからちょっと形を変えた感じですよ?
ダイナミックアポステリオリ並感ある接辞です。
というわけで、今回は三種類の接辞を紹介しました。
小説執筆の間に語彙を増やすのもがんばります……。そのうち……。
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