前回「ランディの造語法」について記事を書きましたが、今回はその「完全版」をお届けしたいと思います。前回は、あまり記事が膨大になりすぎないように要点のみをお伝えしましたが、どうやら字数制限とかは無いようなので、今回は非常に長文になりますが「完全版」をお届け致します。
では早速、本文に入っていきたいと思います。まずは、大雑把なランディの説明から始めていきます。
ランディは、7セグメントを用いた文字を使用する人工言語であるため、無制限に「造字」ができません。この制約の中で、文字の形状に適した発音体系が決められているため、5種類の母音と13種類の子音が定義されています。また、ランディの単語はすべて (C)V(ん) の単音節であることが先に決められています。この形に適合した単語しか造語できません。Cには、f / h / m / l / n / s / ʃ / p / b / t / d / k / g を入れることができ、Vには、u / i / a / e / o を入れることができます。なお「ん」は、後続音により、m / n / ŋ などに変化しますが、ここでは面倒を避けるために、一律 (C)V(n) と書くことにします。また、ʃ は、今後は x と書くことにします。作れる単語の数は、14×5×2=140 が上限になります。
ランディの語順は、SVO(主語・動詞・目的語)であり、主語と述語の間には su を入れ、動詞と目的語の間には lu を入れることが先に決められています。なので「主語 su 動詞 lu 目的語」が文の基本形になります。この su と lu は、母音の u を発音せず、直前の単語の末尾に付きます。つまり、ta su は tas になり、tan su は tans になります。また、ta lu は tal になり、tan lu は tanl になります。なお、tanl は発音しにくいので、taln に変化します。これに伴い、tans は tasn でも構わないこととします。つまり、tanl と taln は、どちらでも構わないので、発音しやすい taln が一般的な形となり、同様に、tans と tasn も、どちらでも構いませんが、こちらは tans のほうが発音しやすいので、tans が一般的な形となるわけです。
このような文法上の理由により、nu, nun, lun, sun の4個の音節は、ランディの単語として使用できないので、作れる単語の総数は136個になります。つまり、この世界のすべての概念を136個の単語で表現できるように、各単語が持つ意味の範囲を調整しなければなりません。その際に、とても参考になるのが、トキポナ(カナダ人の言語学者であるソニャ・ラング氏によって発表された人工言語)です。トキポナには、単語が120個しかありません。この世界のすべての概念を120個の単語で表現できるように編み出された人工言語がトキポナです。しかし、トキポナの数詞を見てみると「1」と「2」しかなく、3以上は、すべて mute という単語を使っています。「3」も「365」も mute です。これでは、さすがに不便なので、トキポナには存在しない単語もランディには必要です。トキポナの120語を参考にしながら、ランディ独自の136語を作る必要があります。137語ではダメで、135語でもダメです。全体で136語になるように、各単語が持つ意味の範囲をうまく調整する必要があります。では早速、単語を作っていく作業に入りましょう。
まず、su と lu は、すでに重要な役割を担う文法上の単語として決められているので、残る単語は134個です。
参考にトキポナの単語を眺めてみましょう。トキポナで「愛」は olin で「性」は unpa です。olin の後半部分と unpa の前半部分を取り出すと in と un になりますね。これは発音にも対称性があって良いですね。なので、ランディの単語に取り入れましょう。これで2個の単語、in と un が決まりました。
タイ語で「良い」は di です。仮にこれをランディの単語に取り入れたとして、反対語である「悪い」を仮に din としてみます。ここで、タイ語で「捨てる」は tin であることを思い出すと、din と tin を関連付けてみたくなります。日常の中で「良い部分は残し、悪い部分は捨てる」ということは一般的によくあることなので、din と tin には関連性があります。そこで、tin に「不要な/汚い」という意味を持たせてみると、この tin の反対語、つまり「必要な/きれいな」という意味の単語は、理論的には ti になるはずです。しかし、この ti と、先ほどの「愛」を意味する in を比べてみると、ほとんど意味が同じように思われます。「これは私にとって tin だ」と言うのと「これは私にとって in だ」と言うのは、「嫌いだ/ゴミだ」と言うのと「好きだ/お気に入りだ」と言うのに等しいとすぐに理解できます。この in と tin は、発音にも関連性があって良いですね。これで、di ⇔ din ⇔ tin ⇔ in という単語間の関連性も美しく整理され、また ti という発音(単語)を、別の意味に充てるためにキープして(残して)おくこともできるわけです。これで3個の単語、di, din, tin が決まりました。
タイ語で「見る」は du です。韓国語で「聞く」は tu です。発音に対称性があって良いですね。仮に「見る」を du とし「聞く」を tu としてみましょう。さて「見る」と「目」は同じ単語で良いでしょうか?これは意見が割れるところですが、私は「聞く」と「耳」は同じ単語で構わないと思いますが、「見る」と「目」は単語を分けたいのです。タイ語で「目」は ta なので、仮に「目」を ta としてみましょう。目と耳が、ta と tu になり、発音に関連性があって良いですね。私は du には「見る/読む/会う/視界/景色」の意味を与え、ta には「探す/調べる/目/中心」の意味を与えることにしました。これで3個の単語、du, tu, ta が決まりました。
タイ語で「口」は pak ですが、最後の k は破裂させないので、pa しか聞こえません。目が ta で、耳が tu なので、口を pa とすると、同じ無声破裂音で揃うので良いですね。また、人体の重要な部位として「手」がありますが、これは日本語の発音をそのまま採って te だと分かりやすいですね。さらに「足」は「手」とペアなので ten にしましょう。これで3個の単語、pa, te, ten が決まりました。なお、単語の持つ意味の範囲を少し拡大して te は「手/腕」とし ten は「足/脚」とします。
タイ語で「家」は ban です。「家/部屋」とは、人間などを入れる「入れ物」ですが、「鞄/器/箱/篭」なども「入れ物」です。これらは、物品などを入れる「入れ物」です。ところで「鞄」は英語で bag ですよね。なので「鞄」に ba の発音を充ててみましょう。すると、ban は「人間などを入れる大きな鞄」で、ba は「物品などを入れる小さな家」となり、意味と発音に関連性が持てるので良いですね。これで2個の単語、ba, ban が決まりました。
ところで、「棒」と「ボール」って、反意語ではないけれど、なんとなく逆っぽい形状ですよね。でも発音は似ています。なので「棒」を bo とし「ボール」を bon としてみましょう。タイ語で「玉」は bon ですし、分かりやすいですね。これで2個の単語、bo, bon が決まりました。
「果物」は英語で fruit です。この発音をランディらしく略すと fu になります。また、fu はランディの文字で書いたときにリンゴのような形をしています。なので「果物」を fu としましょう。また、fun をランディの文字で書くと、果実の近くを飛ぶ虫のように見えるので「虫」を fun としましょう。この fun には、昆虫の他、クモやムカデ、毛虫なども含めましょう。「蛇」や「蛙」は、漢字に「虫」が入っていますが、これも同じ fun で括って構わないでしょうか?あまり単語数を増やしたくない反面、あまり大きく括りすぎると会話に支障が出ることも考えられます。そこで私は「虫」と「爬虫類/両生類」を分けることにしました。「虫」が fun なので、カメやワニは hun が良いでしょう。ミミズは fun で、ヘビは hun です。似たものには似た発音を充てるのが良いですよね。では「魚」には、どんな発音を充てたら良いでしょうか?カメやワニは水中の生物であるとも言えるので、魚は hun に似た発音が良いですね。なので han にしましょう。そして「水」を ha とするのです。ha の中の生物だから han というのは納得できますよね。これで5個の単語、fu, fun, hun, han, ha が決まりました。
タイ語で「働く」は gan で「お金」は gun です。お金は働いて得るものなので関連がありますよね。発音も gan と gun で関連があって良いですね。ランディの単語に取り入れましょう。単語の持つ意味の範囲を少し拡大して「働く/作る/行なう」を gan とし「お金/買う」を gun としましょう。さて、人が gan をするのは gun のためですが、しばしば「食べるために働く」という言い方をします。お金がないと食料が買えないので「お金のため」とは「食べるため」ということでもあります。タイ語で「食べる/飲む」は gin です。つまり、gun のためとは gin のためでもあるわけです。発音も gun と gin で関連があって良いですね。また「買う」つまり gun という行動には「欲しい」という思いがあるはずなので「欲しい/~したい」という意味の単語を gu にしましょう。ここまでをまとめると「欲しい/~したい」が gu で「お金/買う」が gun で「食べる/飲む」が gin で「働く/作る/行なう」が gan です。これで4個の単語、gu, gun, gin, gan が決まりました。
さて「食べる」という行為は、前歯を使って「切る」という行為や、奥歯を使って「潰す/壊す」という行為でもあります。「食べる」が gin なので「切る」を gi としましょう。また「潰す/壊す」を gen としましょう。どちらも gin と関連した発音です。これで2個の単語、gi, gen が決まりました。
「熱/火/炎」という単語を作りましょう。熱は何でも破壊してしまうので gen と関連のある発音が良いですね。なので ge にしましょう。「熱い/暑い」も同じ ge で良いでしょう。では反対の「冷たい/寒い」はどうしましょうか?私は pe が良いと思います。なぜなら、ランディの破裂音は、p, b, t, d, k, g の6個あり、p で始まり g で終わります。p と g を入れ替えることで反対語を作るというのは、納得しやすい方法だと感じます。さて「黒」という色は「焦げた色」なので「熱/火/炎」を意味する ge と関連のある発音が良いですよね。なので go としましょう。「白」は、黒の反対なので、g と p を入れ替えて po が良いでしょう。これで4個の単語、ge, pe, go, po が決まりました。なお、単語の持つ意味の範囲を少し拡大して go は「黒い/暗い/影/苦い」とし po は「白い/明るい/甘い」とします。
「果物」は英語で fruit なので、ランディでは fu です。fu と hu は発音がとてもよく似ているので、hu に「女性」という意味を与えるのはどうでしょうか?hu はランディの文字で書いたときに女性器のような形をしています。また「婦」は「ふ」と読みます。このような複数の理由により「女性」を hu と決めましょう。では「男性」はどうなるでしょうか?子音 h のペアは f であり、母音 u のペアは i なので、fi という発音が良いでしょう。また、fi はランディの文字で書いたときに男性器のような形をしています。このような複数の理由により「男性」を fi と決めましょう。さて「女性」を意味する hu に n が付くと「爬虫類/両生類」を意味する hun になります。では「男性」を意味する fi に n が付くとどうなるでしょうか?「鳥類」が良いのではないでしょうか?そうすると、fun が「昆虫類」で、fin が「鳥類」で、hun が「爬虫類/両生類」で、han が「魚類」になって、いろんな生物が発音的にも関連付けられます。これで3個の単語、hu, fi, fin が決まりました。
さて、トキポナには前置詞が4個あります。私は、この4個の他に前置詞は必要ないと思うし、またこの4個の前置詞はどれも必要な単語だと思います。つまり、前置詞は5個でも3個でもなく、4個が良いと思います。トキポナには、lon (at, in, on), tan (from), kepeken (by, with), tawa (to, for) という4個の前置詞があります。これに相当するランディの単語を作りましょう。まず、lon と tan は、そのまま lon と tan で良いでしょう。kepeken は最後の音節を採って ken で良いでしょう。残された tawa ですが、これは単音節に略すことができず、無理に略すと tan になってしまい発音が被ってしまいます。そこで tawa は英語の to や for に相当する前置詞なので、fo とするのが最適と思われます。これで4個の単語(前置詞)、lon, tan, ken, fo が決まりました。
一人称の「私」は、英語で I なので、そのまま i で良さそうです。ランディの文字の i を反対側から見ると a になるので、二人称の「あなた」は a で良いでしょう。そうなると三人称の「彼/彼女」は、e か o が良いでしょう。トルコ語には三人称の人称代名詞がなく指示詞の o を使うので、これに倣って o にしましょう。これで3個の単語、i, a, o が決まりました。
次に、数字の読み方を考えていきましょう。1は、タイ語で nun ですが、ランディには nun の発音がないので、仮に nin としてみます。2は、タイ語で son なので、ランディでも son で良いでしょう。3は、日本語で san なので、ランディでも san としたいところですが、ここで san の発音を使ってしまうと「太陽」を意味する単語に充てる適切な発音が無くなってしまいます。そこで、3は韓国語で sam と se の2種類の言い方があるので、この se を使うことにしてみましょう。ランディの数字の読み方は、すべて n で終わる形に統一したいので、3を仮に sen とします。4は、英語で four なので、fon で良いでしょう。ここで、4に関連して「四角」を意味する単語も併せて作りましょう。すでに「丸」が bon に決まっているので、「四角」は fon と bon の両方に関連した発音が良いですね。すると必然的に pon になります。しかし「丸」が bon で「四角」が pon というのは理想的な設定ではないように思います。似ている発音を、意味が似ている単語に充てるなら良いのですが、「丸」と「四角」は意味が逆です。bon の反対が pon というのは、感覚的にピンと来ません。そこで、4を pon にして「四角」を fon にするという案はどうでしょうか?「丸い」が bon で、「四角い」が fon です。はっきりと発音に差が出ていて良いですね。このような理由から、4はとりあえず pon に直しておきましょう。5は、ランディではよく使う数字です。なぜなら「半分」を意味する単語がなく「0.5」という表現を用いるためです。ピッタリ5対5に分ける場合でなくても、日常的に「半分」という言葉はよく用います。そのため、ランディでは「5」は使用頻度が高い数字になるので、なるべく簡易な発音を充てたいと思います。そこで、tu は発音が簡易である上に、ランディの文字で書いたときに「中央」を象徴しているので、5を意味する単語に相応しいと思われます。なので、5は tun としておきましょう。6は、4のペアの数字としてランディ文字(数字)も定められているので、pon(4)のペアとなる発音が良いでしょう。先ほど、p と g を入れ替えて反対語を作るという方法を紹介しましたが、この方法を使うと、6は gon になります。同様に、7は3のペアなので、sen(3)のペアとなる発音が良いでしょう。den はどうでしょうか?どちらも、歯茎音+en の発音なので悪くはありません。仮に7を den としておきましょう。8は2のペアなので、son(2)のペアとなる発音が良いでしょう。ton はどうでしょうか?どちらも、歯茎音+on の発音なので悪くはありません。仮に8を ton としておきましょう。9は1のペアなので、nin(1)のペアとなる発音が良いでしょう。min はどうでしょうか?どちらも、鼻音+in の発音なので悪くはありません。仮に9を min としておきましょう。さて、これまで考えてきた数字の1から9までの読み方を、全体的に見てみましょう。1から順番に、nin, son, sen, pon, tun, gon, den, ton, min です。特に不都合はなさそうですね。これに決めましょう。この9個に加えて「四角い」を意味する fon も併せて、これで10個の単語が決まりました。
次に、序数詞について考えてみましょう。1は nin で、2は son ですが、これは基数詞です。第1番目、第2番目という表現、つまり序数詞はどうしましょうか?ナンバー1、ナンバー2という表現なので、基数詞の前に nan を付けるのはどうでしょうか?英語の number の最初の音節を採って nan にしましょう。nan は、序数詞を作る他「数/数える」という意味も持たせたいと思います。さて、先ほど1から9までの数字の読み方を決めましたが、0はどうしましょうか?1が nin なので、これに関連した発音が良いでしょう。母音を少し変えて nen はどうでしょうか?「数」が nan で、「0」が nen で、「1」が nin です。発音に関連があって良いですね。これで2個の単語、nan, nen が決まりました。
「言語/言葉」という単語を作りましょう。英語の language の最初の音節を採って lan はどうでしょうか?仮に lan とすると「良い言語」は lan di になります。つまり、この言語の名称は「ランディ」になります。なかなか良さそうですね。これで1個の単語が追加されました。
「空気/気体」という単語を作りましょう。これはトキポナで kon なので、そのままランディに採用しましょう。トキポナには ko という単語もあります。これは「半固体/砂/蜜/柔らかい」等を意味する単語なので、これもランディに採用しましょう。「気体」は kon で「半固体」は ko です。続いて「太陽」と「月」という単語を作りましょう。英語で「太陽」は sun で、「月」は moon です。この発音を、そのままランディに採用しましょう。「太陽」は san で、「月」は mun です。さらに「来る」という単語を作りましょう。「来る」は英語で come なので、kan という発音が良いでしょう。これで5個の単語、kon, ko, san, mun, kan が決まりました。
さて、「毛」や「糸」や「なわ」や「つる」は、どれも「線/ひも状の物」なので、まとめて1個の単語にしましょう。「毛」の読み方を採って ke にしましょう。また、「紙」や「書類」や「切符」や「本」は、どれも「薄っぺらい物」なので、これもまとめて1個の単語にしましょう。「本」の読み方を採って hon にしましょう。また、「戸」や「窓」や「トンネル」は、どれも「穴のような物」なので、これもまとめて1個の単語にしましょう。英語の hole や、日本語の「(穴を)掘る」の発音を採って ho にしましょう。これで3個の単語、ke, hon, ho が決まりました。
「大きい」と「小さい」という単語を作りましょう。トキポナで「大きい」は suli です。「小さい」は lili です。最初の子音と最後の母音を採ると、それぞれ si と li になります。ランディで su と lu は文法的に重要な単語です。この母音を i に変えたのが si と li です。なので「大きい」を si にして「小さい」を li にしましょう。対称性もあって良いですね。これで2個の単語、si, li が決まりました。
トキポナでは「これ」「あれ」「それ」を区別せず、同じ単語を用います。それで不都合はないのでしょうか?検討した結果、ランディでも指示詞は区別せず、同じ単語を用いることにしました。トキポナでは指示詞に ni を使います。タイ語でも「これ」は ni です。なので、ランディでも ni を使うのが良いでしょう。これで1個の単語が追加されました。
タイ語で「机」は to です。なので「水平面のある物」は何でも to にしましょう。板や台などすべて to です。では「垂直面のある物」はどうしましょうか?to に関連付けて ti とするのはどうでしょうか?壁などが ti に該当します。ただ、垂直面のある物はあまり多くはないので、ti には「正面/おもて/顔」の意味も持たせることにします。さらに「前方/次」の意味も ti に背負わせましょう。この ti の逆の意味、つまり「背後/うら/背中/後方」の意味を持つ単語は、日本語の「背」の読み方を採って se としましょう。これで3個の単語、to, ti, se が決まりました。
さて、「前」が ti で、「後」が se なら、「上」と「下」も決める必要があります。すべての概念を136個の単語で網羅するために、「上」には「空/神/上げる/神聖な/ぴったり」等の意味も持たせ、「下」には「床/底/下げる/打ち負かす/おおよそ」等の意味も持たせることにします。「上」には「神」という意味もあるので、特別な発音を充てたいと思います。ランディで特別な発音と言えば su と lu ですが、xu もこれに準じて特別です。重要な役割を担う文法上の単語(関係節など)として活躍してもらいたいと思い、これまで残しておいた単語(発音)です。xu は、su や lu と同様に、しばしば母音 u を略して x になります。この xu に n を付けた xun という発音は、特別な単語に充てられるべきです。そこで「神/上」を意味する単語を xun に決めたいと思います。「下」は、英語の down に関連させて don に決めたいと思います。これで2個の単語、xun, don が決まりました。
さて、重要な役割を担う文法上の単語といえば、まだ他にもあります。前後の文脈をつなぐ「~ならば/~のとき/~については」等に相当する単語です。この単語は、トキポナにもあり、その発音は la です。なので、ランディでも la の発音を充てたいと思います。また、英語の too に相当する「~も」という表現ですが、トキポナでは kin という単語を使います。ランディでも kin の発音を充てたいと思います。この kin に関連して、英語の only に相当する「~だけ」という表現ですが、ランディでは kin の反対語として位置付け、発音も関連付けたいと思います。k に対置する無声破裂音は p で、i に対置する母音は u なので、kinに対置する発音は pun です。なので「~だけ」を意味する単語は pun になります。なお、文頭では、kin は順接の接続詞になり、pun は逆接の接続詞になります。つまり、kin は「だから/~も」を意味し、pun は「しかし/~だけ」を意味します。これで3個の単語、la, kin, pun が決まりました。
さて、トキポナには疑問詞が1個しかありませんが不都合はありません。ランディでも疑問詞を1個作りたいと思います。簡単な発音が良いですよね?このために u という単語をこれまで残しておきました。また、ランディ文字の u の字体は、疑問詞を象徴しています。これで1個の単語が追加されました。
「植物」という単語を作りましょう。「水」を意味する ha と関連した発音ということで、hi はどうでしょうか?hi はランディの文字で書いたときに「地面から生えた植物」のような形をしています。なので「植物」を hi としましょう。次に「人間」という単語を作りましょう。タイ語で「人」は kon です。でも kon という発音はすでに「空気/気体」という意味に充てられているので使えません。なので kun はどうでしょうか?日本語では、人を呼ぶときに「~君」と言いますよね。「人間」を kun としましょう。これで2個の単語、hi, kun が決まりました。
「遠い」と「近い」という単語を作りましょう。「遠い」はトキポナで weka です。ドイツ語で weit です。ランディには we の発音がないので、これらに近い発音は be になります。「遠い」を be とし、これに関連付けて「近い」を bi とするのはどうでしょうか?「遠い/不在/遠ざける/外す/除く」等が be で、「近い/横/隣/側面/近づける/付ける/加える」等が bi です。これで2個の単語、be, bi が決まりました。
タイ語で「猿」は lin です。哺乳類の動物を意味する単語をまだ決めていなかったので「哺乳類」を lin としましょう。タイ語で「石」は hin です。「石/金属/硬い物/難しい」等を意味する単語を hin としましょう。タイ語で「寝る」は non です。「寝る」を non としましょう。これで3個の単語、lin, hin, non が決まりました。
「自分」という単語を作りましょう。トキポナには「自分」を意味する単語がないので、「彼は自分の手を見た」と言いたいときに「彼は彼の手を見た」としか言えません。これだと、自分の手を見たのか、他の誰かの手を見たのか判断できません。どうしても「自分」を意味する単語が必要です。この単語は「我が物にする/狩る/収穫する/獲得する」等の意味も併せ持つべきです。ランディは136個の単語しか持てないので、1個の単語が名詞になったり動詞になったりできるのが理想です。さて、そうなると「狩る」は「探す」と意味が似ているので、「探す」を意味する ta と関連した発音が良いですよね。なので、da にしましょう。これで1個の単語が追加されました。
さて、トキポナには pakala という単語と nasa という単語があります。pakala は「壊す/壊れる/故障」等を意味し、nasa は「非常/特殊/異常/おかしい/狂う/変な」等を意味します。どちらも「正常/通常/一般/普通/標準」とは異なる状態を意味していますが、トキポナでは2語に分けています。ランディでも、この2語に相当する単語が必要だと思われます。pakala に相当するランディの単語は、先ほど gen に決めたので、nasa に相当する単語を作りましょう。また、トキポナには無い単語ですが「正常/通常/一般/普通/標準」を意味する単語も作りましょう。この3個の単語は、それぞれお互いに関連のある発音にしたいと思います。そこで、gen に関連のある発音として ben と hen はどうでしょうか?「正常」を ben とし「故障」を gen とします。発音に関連があって良いですね。また「変」を hen とします。「べん」の濁点を取ると「へん」になりますし、「変」は「へん」と読むので分かりやすくて良いですね。これで2個の単語、ben, hen が決まりました。
すでに「白」と「黒」は決めたので、「青」「黄」「赤」を決めたいと思います。「青」は英語で blue なので bu で良いでしょう。「黄」は日本語の読み方の通り ki で良いでしょう。「赤」はどうしましょうか?「青」を意味する bu をランディの文字で書いて、その文字を反対側から見ると ku の文字になります。「紅」は ku とも読みますよね。なので ku にしましょう。これで3個の単語、bu, ki, ku が決まりました。なお、単語の持つ意味の範囲を少し拡大して bu は「青/しょっぱい/遅い」とし、ki は「黄/すっぱい」とし、ku は「赤/からい/早い/速い」とします。
タイ語で「持つ」は mi です。ランディでも mi にしましょう。「持つ」や「得る」は「物が自分のほうに来ること」なので、その反対は「物が自分から離れること」つまり「置く」「与える」「放つ」です。これに相当する単語は、mi に関連した発音が良いので pi はどうでしょうか?「持つ」が mi で「与える」が pi です。鼻音と破裂音で、それっぽい語感もあって良いですね。英語の free や pee の発音も pi に近いので、これに決めましょう。これで2個の単語、mi, pi が決まりました。
否定形を作る単語は、英語の not や日本語の「無い」に倣って、na が良いでしょう。これで1個の単語が追加されました。
「内側」と「外側」という単語を作りましょう。この2語は反対語なので、発音も対称的にしましょう。口の内側(奥)で作る子音 h と、口の外側(手前)で作る子音 f を使うのが良いでしょう。h を含む全10個の発音のうち、まだ残っているのは he だけです。なので「内側」を he とし「外側」を fe としましょう。これで2個の単語、he, fe が決まりました。
「書く/描く」という単語を作りましょう。トキポナに sitelen という単語があります。意味は「書く/描く/字/図/絵/写真」等です。この単語をランディに取り入れましょう。発音は sitelen に倣って、sin か xin が良いでしょう。また、トキポナには「塗る/色/カラフル」を意味する単語があり、この単語はランディでも必要です。「描く」と「塗る」は意味が似ているので、sin または xin に似た発音を充てるのが良いですよね。あいにく sin に似た発音は、もうすべて使われていて残っていないので、「描く」を xin にして「塗る」を xen にしましょう。これなら語感も悪くないですよね。これで2個の単語、xin, xen が決まりました。
さて「色」を意味する単語が決まりましたが、「味」を意味する単語がまだ決まっていません。トキポナに「味」を意味する単語はありませんが、ランディでは「味/技/味な/巧みな/うまい/上手」を意味する単語を作りたいと思います。「うまい/上手」というのは「良い」と意味が近いですね。つまり di と似ています。なので de はどうでしょうか?de に決めましょう。これで1個の単語が追加されました。
「はじめ/開ける」と「おわり/閉める」という単語を作りましょう。「はじめ」は、英語の open の綴りに pen が含まれているので pen はどうでしょうか?「おわり」は、英語の finish に似た発音で pen と対称的な発音ということで bin はどうでしょうか?これなら語感も悪くないですよね。これで2個の単語、pen, bin が決まりました。
ランディは136語しか単語を作れないので、「お父さん」と「お母さん」の両方の単語を持つことはできません。すでに「男」と「女」という単語が、それぞれランディにはあるので、これを使って「お父さん」は「男の親」、「お母さん」は「女の親」と表現することになります。では「親」という単語を作りましょう。また「親」は「古いもの」で「子」は「新しいもの」です。なので、「親」という単語を作るのと同時に「古い」という単語も作りましょう。タイ語で「母親」は me です。なので「親」の意味に me を充て、「古い」の意味に men を充てるのはどうでしょうか?タイ語で「臭い」を men と言います。古いものは、腐って、臭くなりますよね。この発音に決めましょう。「新しい」は sin でどうでしょうか?トキポナで「新しい」は sin ですし、「新」は「しん」と読むので分かりやすいですよね。これで3個の単語、me, men, sin が決まりました。
「死」という単語を作りましょう。トキポナで「死」は moli と言います。日本語の「喪」を英訳すると mourning ですし、mo という発音が多く登場しますね。なので「死/殺す」を mo にしましょう。また「恐怖/怪物/驚かす/脅す」という単語を作りたいと思います。「死/殺す」と関連があるので、mo に関連した発音を充てたいと思います。「怪物」を意味する monster の最初の音節を採って mon にしましょう。これで2個の単語、mo, mon が決まりました。
英語で「楽しい」は fun です。ランディでも fan にしましょう。「怒る/闘う/争う/競う」等は fan に関連付けて fen にしましょう。これで2個の単語、fan, fen が決まりました。
英語で「~と~」は and です。トキポナで「または/それとも」は anu です。これらの発音に倣って、英語の and に相当するランディの単語を en にし、英語の or に相当するランディの単語を an にしましょう。an には「選ぶ」という意味も持たせることにします。これで2個の単語、en, an が決まりました。
「音」という単語を作りましょう。「音」は、その読み方の通り on で良いでしょう。分かりやすくて良いですね。続いて「集団/組織/集める」という単語を作りましょう。この単語は「団」の読み方の通り dan で良いでしょう。「狩る/収穫する」が da なので、意味が似ている「集める」に dan の発音を充てるのは納得できますよね。続いて「差/違う/異なる/他の/別の/変える」という単語を作りましょう。この単語は「差」の読み方の通り sa で良いでしょう。続いて「道/方法/習慣/主義/種類」という単語を作りましょう。この単語は「道」の読み方の通り do で良いでしょう。続いて「主食/穀物/麦/ご飯/パン/麺」という単語を作りましょう。この単語は「パン」の読み方の通り pan で良いでしょう。これで5個の単語、on, dan, sa, do, pan が決まりました。
「土/地面/土地/地域/国」という単語を作りましょう。この単語はトキポナにあり、ma と言います。ランディでも ma で良いでしょう。続いて「服/布/覆い/覆う」という単語を作りましょう。この単語はトキポナにあり、len と言います。ランディでも len で良いでしょう。続いて「凸状の物/コブ/隆起/ボタン/山/鼻」という単語を作りましょう。この単語はトキポナにあり、nena と言います。前半の音節を採って、ランディでは ne としましょう。続いて「知識/知る/賢い」という単語を作りましょう。この単語はトキポナにあり、sona と言います。前半の音節を採って、ランディでは so としましょう。これで4個の単語、ma, len, ne, so が決まりました。
「体/形」という単語を作りましょう。先ほど「服」を len に決めましたが、服は体に着るものなので len から n を脱いだ le を「体」とみなしましょう。これで1個の単語が追加されました。
「~の~」に相当する単語は、よく使われるので簡単な発音を充てたいですね。残っている簡単な発音は e しかありません。韓国語でも、語順は違いますが「~の~」に相当する単語は e と発音されます。これで1個の単語が追加されました。
タイ語で「頭」は hua です。また、ランディ文字の fa の字体は、頭の形を象徴しています。なので「頭/率いる/操る」を意味する単語を fa にしたいと思います。これで1個の単語が追加されました。
「多い/たくさん/とても」という単語を作りましょう。英語の many の綴りには man が含まれています。韓国語で「多い」を意味する単語の語幹も man ですし、日本語でも「万」は man と読みます。このような複数の理由により、この単語は man に決めたいと思います。これで1個の単語が追加されました。
英語の can に相当する単語は、日本語の「可」の発音に倣って ka が最適と思われます。これで1個の単語が追加されました。
「思う/感じる/考える/気持ち/心」という単語は、英語の feeling に発音が似ている pin にしたいと思います。「名前/単語」という単語は、「名前」を意味するフランス語の nom に発音が似ている no にしたいと思います。「店/市場/売る」という単語は、英語の shop や中国語の「商」に発音が似ている xon にしたいと思います。「全部/すべて」という単語は、韓国語の modun の後半の音節を採って dun にしたいと思います。これは「5/中間/半分」を意味する tun と関連のある単語なので、発音にも関連を持たせています。「道具/機械/装置」という単語は、トキポナやエスペラントで ilo なので、後半の音節を採って lo にしたいと思います。「力/強い/激しい/鍛える」という単語は、「強い」を意味する韓国語の gagada の語幹から採って ga にしたいと思います。これで6個の単語、pin, no, xon, dun, lo, ga が決まりました。
「とある~/某~/何か/物事」という単語は、「他の~」を意味する sa と関連があるので、発音にも関連を持たせて xa にしたいと思います。「不要な/余分な/過剰な/飾り/飾る」という単語は、xa(物事)に余分な飾り n を付けて xan にしたいと思います。これで2個の単語、xa, xan が決まりました。
「ウソ/ニセモノ/騙す」という単語は、「演じる」を意味する「~ぶる」に発音が似ている bun に決めたいと思います。「留まる/待つ/残す/保つ/~し続ける」という単語は、mu が良いと思います。なぜなら「月」を意味する mun には「周辺に留まる」という意味もあり、これと意味が似ているため、発音にも関連を持たせたほうが良いからです。これで2個の単語、bun, mu が決まりました。
等級を表す「~のように/~と同じくらい/同じ/似ている」等の意味を持つ単語と、比較級を表す「~よりも」等の意味を持つ単語を作りましょう。等級は「一緒」の「しょ」から発音を採って xo が良いでしょう。比較級は、ロシア語の「チェーム」から発音を採って xe が良いでしょう。等級と比較級で、発音にも関連が持てて良いですよね。命令形などで使われる単語は、xi が良いでしょう。中国語で、命令形で使われる「請」の発音が xi に近いので、この発音を充てましょう。なお、ランディには「関係節」等の重要な文法上の役割を担う単語があり、これは su と lu に準じて、母音 u を略しやすい発音でなければなりません。その発音は xu 以外には考えられません。これで4個の単語、xo, xe, xi, xu が決まりました。
「時間/今」という単語を作りましょう。これは頻繁に使う単語なので、簡単な発音が良いですね。pu はどうでしょうか?というよりも、残された発音は pu しかありません。これで1個の単語が追加されました。そして、136語のすべてが決まりました。
お疲れさまでした。
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