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留為語訳[夏目漱石「こころ」冒頭]の漢字転写

先日の投稿

先日、私がXに投稿したこのポスト

こちらの投稿に対する皆さんの反応に非常に驚きました。

何が驚きかって、ただでさえマイナーで見るからに頭がおかしい人工言語の作品に数百もいいねが付くことがあるなんて、いまだに信じ難いです。

こんな風にたくさんの評価を頂いたので、今回はこの内容について書いていきます〜

画面上における留為語の表記方法について

ご覧の通り留為語は表意文字を使用するので、フォントなどがない限りこれをパソコンの画面に表示するには画像を使う必要があります。

文字の種類は現在900種類近くありますが、そのうちフォントができている文字はほんの150個ほどで、公開しているものは30個程度しかありません(実現すんのかこれ)。

かといって画像をバシバシ貼り付けるのも見づらくなってしまいそうで、なんだかな〜と思うのです...

また、発音をIPA転写するという手法も、留為語には発音が存在しないため虚しいです。

そんな訳で留為語では、それぞれの文字に意味的に近しい漢字(対応漢字)を当てはめて、漢字転写をすることで表記します。

本文転写

夏目漱石が書いた原文は次の通りです。

私はその人を常に先生と呼んでいた。だから此処でもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間を憚る遠慮というよりも、その方が私に取って自然だからである。私はその人の記憶を呼び起こすごとに、すぐ「先生」と云いたくなる。筆を執っても心持ちは同じ事である。余所々々しい頭文字などはとても使う気にならない。
夏目漱石 『こころ』 新潮社, 1952年, 7頁

では、Xに載せた画像をもう一度見てみましょう。

Image description
(画像のデータを削減するために少し画質を落としました)

この文章を漢字転写すると次のようになります。

過呼他人「先師」常刻。然今、
不表白名、尚記「先師」。斯不
故我憂遷輩、而一平眺斯。常
刻顧他人、我即欲呼「先師」。
斯情猶不変、而我握書筆。先
語很過誰、不可嵌斯。

文字の対応が分かりやすいように改行の位置も揃えました。

また、パッと見で分かりにくい熟語の意味も載せておきます。

  • 他人:その人
  • 白名:本名
  • 遷輩:世間
  • 過誰:よそよそしい

具体的な文法の説明はここでは長くなりそうなのでまた別の記事で書きます(いつか)。

ただそんな説明がなくとも、漢字文化圏に生まれ育った方であれば原文と漢字転写を見比べるだけでなんとなく意味や文法が掴めるかと思います。

解読するのが好きな方は、それぞれの留為文字がどんな意味を持っているのかを考えてみるのも楽しいかもしれませんね♪

あんまり記事が長くなるといつまでも投稿できなくなってしまいそうなので、この辺で終わりたいと思います。

ではまた〜

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