往々にして同音異義語は学習者を苦しめ、あるいはそれを楽しむドM語学を趣味とする人々は目を輝かせてきた。
今回はリパライン語に存在するそんな同綴同音異義語1を三つ紹介していく。
cern
"cern" という単語には、1)過剰な、2)セーン(トイター教における神学議論)という意味がある。
前者はリパライン語の "ce"「~と同様に(形容詞)な」と "-en"「形容詞語尾」から出来た単語である。
後者の「セーン」はユーゲ人の信仰する宗教トイター教の宗教的な議論とそれによる意思決定を指す。この単語はユーゴック語に由来している。
ユーゲ人に対する少し人種差別的な言い回しとして "es niv cern cern'i."「たむろしてんじゃねえよ」があるが、この表現は少なくともユエスレオネでは殆ど聞かれない。
del
"del" は詩語体の単語だが、"deliu"「すべき」 と "delus"「必要」のどちらも指す。
詩語体で、普通体の単語の一部が端折られるのは良くあることだが被ることはなかなかない。これらを詩文中でどうやって区別するのかと言えば、場所で、ということになる。
例えば、無標名詞2が "del" の前後にあれば話が速い。「S del V」「S V del O」「del S V」などの形でSやOが確実に名詞ならば、この "del" は "deliu" のことである3。
逆に「del V」や「S V del」のように孤立しているとどうだろうか?
こちらはどちらとも言えない。前後に名詞が無いので、統語論的禁則を使った断定がことが出来ない。助動詞かもしれないし、名詞かもしれない。
まあ、「すべき」も「必要」も似たような意味だから、区別するのも無粋かもしれないが。
elaja
"elaja" は普通体と文語体で意味が違う単語である。普通体では "elajanerfen"「大丈夫」の縮約形である。崩れた感じの「だいじょーぶ」という感覚だ。しかし、文語体では古典リパライン語の "iloja" に由来する「賭ける、投資する」という意味の単語になってしまう。
チームの一人が下手をしでかして、「大丈夫、大丈夫!」って意図で言っていた言葉が、「(どうせ俺らは負けるから、敵に)賭けろ、賭けろ!」に聞こえるとしたら地獄過ぎるが、まあ文型の都合上そんなことはあり得ないだろう。
まとめ
リパライン語には、同音異義語が複数存在する。
-'s と -'c が同音であることは、割と初学者に致命的に思われがちだが、やはりそこはネイティブも -'seu と -'ceu で区別するというやり方で乗り切っているあたり、何も考えていないわけではないらしい(そもそも、現代語で -'c があまり出現しないということもあるが)。
しかし、こういった同音異義語で起こりかねない言い間違えも、時によってはバラエティになる。
読者の方々は、是非様々な言語での起こりかねない良い間違えをコメントで教えていただければ、筆者冥利に尽きる。
というか、是非自言語のこういうネタ書いて下さい!!
それでは!!!
Latest comments (3)
あまり造語をしていない作者としてぜひ聞いてみたいのですが、縮約や借用以外で同形異義語はどういう経緯でできたりするのでしょうか。意図的に作る感じでしょうか?
返信が遅れて、ごめんなさい()
リパライン語に限っての話にはなりますが、私のスタンスとしては意図的に同音異義語を作ることはなくて、縮約や借用以外で同音異義語は無いと思われます。同音異義語が出来るのにも理由があるとしておきたい(というのと、今の創作組織のスタンスがそれなので)あまり理由のない同音異義語が成立していることは無いと思われます。
質問の意図を汲めてなかったら教えていただけると嬉しいです><
いえいえ、雰囲気作りなどであえて同音異義語を入れたりしてるのかなと思いましたが、意図的なものはないようで安心(?)しました……