メイシカク語は、去年から僕がゆっっくりと制作している実験言語で、〈品詞が一つ(名詞)しかなくても、格変化が発達していれば、それなりに不自由なく運用できる言語が可能なのではないか?〉という仮説にもとづくものです。
今日は、格を統廃合した話と、そのついでに考えたこと・決めたことをまとめます。
因格の廃止
因格はその名のとおり原因を表す格でした。これは性質上、意味的に能格(メイシカク語は能格言語です)と被ってしまう1ということが(僕によって)指摘されていました。が、能格・絶対格をともに持つ文に原因を付け加えようとしたときに能格が被ってしまうのを回避するために、因格が保持されていました;つまり〈因 → 能 → …〉という因果の連鎖がありました。ところがこれでは、動詞がなく格どうしを対等なものとしておく言語でありながら、能格の有無を基準に補助的に因格を用いるような状態となっており、不自然さがありました。
そこで、今回、従来の因格にあたる意味を、"A.能 lastu" = 「A によることとして」と表すこととし、(意味的には能格に統合する形で)因格を廃止しました。
能格まわりの表現の調整
上記で因格を能格に統合したため、能格はより広く〈原因〉を表す格となりました。
その影響で、"A.能 B.絶" が「A が B を持っている」とすることに違和感が生じました(この場合 A は理由ではない)。そこで、絶対格一項のみの文が存在文となることを考慮して、"A.能 B.絶" は「A が B を作る(=在らしめる)」を表すこととしました。
「A が B を持っている」には、"A.於 B.絶"「A に B がある」をあてることとしました。
時格の廃止
時格はその名のとおり時を表す格でした。が、時のみというかなり限定された使い道であり、維持するメリットが感じられないと判断したため、於格(場所や前提領域を表す格)に統合することとしました。
なお、これに伴い、"tomex"「過去、後方」と "enod"「未来、前方」の2語は、格による意味の区別ができなくなるので、新たに造語してそれと意味を分担させることになります。
完了表現の設定
上記で時制にあたる表現をいじったついでに、長らく悩みどころだった相にあたる表現も考えたところ、完了相にあたる表現の方向性が決定しました。
"〜" という文を現在完了にあたる表現にするには、"〜, (そして) (今).絶" つまり「〜、そして今在り」のようにします(「そして」にあたる表現と「今」を表す語は未設定/未造語)。また、「今」の部分を適当に替えることで、過去完了や未来完了にもなります。
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能格はいわば英語の受動文の by somebody にあたるものなので、すなわちそれは「〜によって」ということになります。 ↩
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関係ないですけどすごい格の意味役割がフュトルに似てきてて笑いました