Migdal

A.I.
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省略接辞の可能性

突然ですが、我々の自然言語ではしばしば単語を省略することがあります。特に社会に込み入った概念が現れるようになると、いきおい語形が長くなることがあり、伝達の効率性から省略が行われがちです。

極端なものになると、

  • 「スタッドレスタイヤ」→「スタッド」 「スタッドレス」とは「鋲なし」の意味であることを考えると、まるでドーナツの穴を指して「ドーナツ」と呼んでいる感がありますが、鋲ありタイヤがすたれた今となってはこれだけで十分なのでしょう。
  • 「唐人阿蘭陀南京無双玉すだれ」→「南京玉すだれKatsumi Asaba doing Nankin Tamasudare もう実物を見たことがある人はほとんどいないと思いますが、このような伝統芸能があります。ナポリタンがナポリにないのは有名ですが、この名前に至ってはもう一ひねりしていて、本来「唐にもオランダにも南京にもない玉すだれ」という意味なのに、なぜかないとされる町の名前が残るという不可解な変遷を経ています。

さて、話がそれました。

語形の省略にはどのようなパターンがあるでしょうか。少し考えてみよう……と一瞬思いましたが、調べてみたら、我らがウィキペディアに大体書いてあります。

略語 とは、ある語の一部を何らかの方法で省略または簡略した形で、なお元の意味を保っているもの。広義では、頭字語をも指す。類似する概念に、省略語(しょうりゃくご)・短縮語(たんしゅくご)がある。地名・人名・団体名その他の固有名詞の正式名称について略したものは、略称(りゃくしょう)という。

要するに、大きく分けて以下の種類があるようです。

  • 頭を略すもの
    • バイト(←アルバイト)、ダチ(←友達)、blog(← weblog)など
  • 中を略すもの
    • 日本語にはほとんどないようで、英語では fancy(← fantasy)、maths(← mathematics)などが該当
  • お尻を略すもの
    • ケータイ(←携帯電話)、コンビニ(←コンビニエンスストア)、fax(← facsimile)など
  • 中だけ残すもの
    • 英語では fridge(← refrigerator)、flu(← influenza)などそこそこあるよう
  • それぞれの要素を取るもの
    • パソコン(←パーソナル・コンピューター)、高校(←高等学校)、Nabisco(← National Biscuit Company)など

日本語では主要部が最後に来がちなので、頭を略すパターンはよほど略語であることがわかりやすくない限り出にくいのは納得がいくと思います。

「それぞれの要素を取るもの」の部類は、言語ごとの特徴がよく現れるようです。日本語であれば 4 モーラだったり漢字二字だったり、英語は比較的音節単位で取りますが、ドイツ語ではしばしば Gestapo(← Geheime Staatspolizei「秘密国家警察」)や Schuko(← Schutzkontakt「安全コンセント」)など、音節構造とは?みたいな略語を作りたがる傾向があります。

音声言語の範疇で見ると「中を略すもの」は比較的まれなようですが、書き言葉には多用されます。ざっと思いつくだけで、

  • Dr. / St. など始めと終わりを書いて済ませるもの
  • Int’l / Gov’t など略した跡を示すもの
    • なおスウェーデン語などではコロンを使い、英語では上のパターンに相当する綴りをよく表すようです。s:t(← sankt = St.)、n:o(← numero = No.)、H:ki(← Helsinki)など
  • a11y / K8s / i18n などテック界隈で人気のヌメロニム

などがみられます。

このような方法をもっと音声言語に応用できないでしょうか?

というのも、複統合語の構想を練っていたのですが、このような特徴を持つ多くの北米先住民語は、固有語の造語力が極めて高く、そのあまり、たまに異様に長い単語を生み出します(これは複統合性のせいだけではないと思いますが)。

例えば、オジブワ語で「ブルーベリーパイ」は、
Blueberry Pie - 1275745615

miini­baashkiminasigani­biitoosijigani­bakwezhigan

となることが知られています。これは miin「ブルーベリー」 + baashikiminasigan「ジャム(ぐつぐつ煮詰めたもの?)」+ biitoosijigan「パイ焼き(中に挟み入れたもの)」+ bakwezhigan「パン(少しずつ切り落とすもの)」の合わせ技で、たまたま長くなる単語が多く繋がる構図になってしまったからです。

この時、baashkiminasigani­biitoosijigani­bakwezhigan にあたる部分は、長いですが少々省略したところで競合するような単語はありません(たぶん)。そこで、オジブワ語の例を少し失礼して、

*baash-x-zhigan

のように適当な中間の音節を抜いて、代わりに置けるような接辞 -x-(あえて形態素境界でないところで切るのがポイント)を作ると便利かもしれないと思いました。

もし似たようなしくみのある自然言語・人工言語をご存じでしたら、ぜひ教えてください🙇

なんだか無駄話が長くなってしまいすみません🙇🙇

人気順のコメント(2)

たたむ
 
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Atridott

関係ないかもしれませんが train というのは酷くて、train of wagon(ワゴン車の連なり)の「連なり」だけに省略された意味わかんない例です。

たたむ
 
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Atridott

そういえば:

ワンダーランズ×ショウタイム → ワンダショ → ダショ