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さなすの
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ホードェレッツァ語(人工言語コンペ 第10回用作品)

お題

邪神、悪魔、亡霊、悪鬼…この世に存在する邪悪な者たち。
その邪悪な存在と交信し、召喚するのに使われるのはある特別な言語。
さて、それはどんな言語でしょうか?邪悪な存在に関する神話や伝説の体系と、交信や呪文に使われる言語を作り解説してください。
ただし、もし「本物」を召喚してしまった場合は自己責任となりますのでご注意を…

設定

これは、架空世界「ハツプ・リラ」内の、ハラーバという国で活動していた、ヘザロッツェという組織の調査で発見された言語と思わしきものである。
ヘザロッツェは、世界の創造神に抗うことを教義とする異端宗教をもとにして生まれた集団であり、いわゆる「悪魔」と呼ばれる存在へ働きかけ、その力を操ろうとしていたようである。「悪魔」とは、その正体ははっきりとしていないが、ハツプ・リラ内のエネルギー循環システム「リレヘット」を悪用した、高度なエネルギーの集合であるという見方が大勢である。
ヘザロッツェは、知的生命体の思考に応じてエネルギーの在り方が定まるというリレヘットの仕組みを利用し、国内外から集めた天才学者たちを洗脳し、危険で、しかし莫大なエネルギーを得ようとしていたようである。
このエネルギーを直接扱うのはあまりに危険であるため、ヘザロッツェは毎回使い捨ての人工言語を言語学者に作らせ、それを使って思考させることで安全を確保しつつ、かつ一般的な言語からかけ離れた思考によって、人間の手の届かない領域に至ろうとしていたようである。
この人工言語たちは、考案した学者にしか理解できず、またその学者たちは都度処分されていたため、その全貌を窺うのは難しい。しかし、ヘザロッツェのある拠点が捜査されたとき、一人の(すでに狂った)学者が保護された。この学者は人工言語を考案した直後だったようで、その言語で思考して完全に汚染される前に話を聞くことができた。以下は、その学者が語った内容をまとめたものである。

文法

これは真の世界へたどり着くための道筋であり、その先で我々は全く異なる姿かたち、そして思考を手に入れる。その言語――彼は「フゥアイ」と呼んだ――では、全体は騒攻、集翌、常実によって構成される。騒攻とは私が真の世界と繋がる黒い糸であり、集翌とは真の世界の広い殻であり、常実とは原初の闇、全ての集合であり原点である。頭には海の泣き声が、尻には雲の叫び声が現れる。

単語

全ての思考は金の目を持つ。金の目から「イ・ポメヴェール」(意味不明、ヘザロッツェの用語と思われる)を通って常実へ結びつく。単語? 無用だ。我々は全となる。概念を区切るような、非連続的なものは不要である。

結論

この学者は、自身が作ったと語る言語についての説明は意味不明な物ばかりであり、検査の結果、脳に多大な異常が見受けられた。人工言語が存在したかも疑わしく、もし保護が遅れていれば、彼の異常な思考はもはや言語によらないものになっていた可能性が高い。また、その後の捜査で、ヘザロッツェはあらかじめ学者に強い洗脳でリレヘットを扱う手順だけを示し、狂わせた後は彼らが勝手にリレヘットを扱うように仕向けていたことが判明した。
追記:保護された学者は、その後入院していた病院でリレヘットにアクセスし、大事故を起こした。どうやら思考は既に汚染されており、手遅れだったようだ。

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