弱変化とH構文に関する概略は以前の記事で述べたとおりである。
今回は弱変化の中でも特に特徴的なパラダイムを持つ属格について解説する。
さて、H構文は無標の名詞の後ろに3人称代名詞の屈折した形を添えることで名詞の格を明示できる構文であった。
dawik ha
櫂 3人称対格
「櫂、それを」=「櫂を」
しかし、属格のみは幾分か特殊である。3人称代名詞は属格を欠く。一般に「そのA」と表現したいときは*qiを膠着させることによって表現する。
dawik-he
櫂-3人称接尾辞
「その櫂」
よって、他の格と同様の方法でH構文を作ろうとすると以下のようになる。
gamer dawik-he
ガメル(人名) 櫂-3人称接尾辞
「ガメル、その人の櫂」=「ガメルの櫂」
よって、現代レスゲム語において「AのB」(Aは弱変化名詞)と表現したいときには、次のように表現される。
A B(定形)
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